2021年2月4日木曜日

「コロナがどういう形であろうと東京オリンピックは開催する」とは何と思いやりのない言葉なのか?

   Les Jeux Olympiques de Tokyo doivent débuter le 23 juillet prochain


 これまで、東京オリンピックに関しては、これまでフランスでは話題に上ることもありませんでしたが、先日、ちらっとニュースでオリンピックに関するニュースをさらっているのを見かけました。

 フランスのラジオ局RTLなどが実施した世論調査によると、今年夏のオリンピックの開催を望まない・開催されないだろうとの回答が多数を占めています。

 当然です。世界はオリンピックどころではないのです。

 つい先日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が「私たちはコロナがどういう形であろうと必ずオリンピックを開催する」「やるかやらないか?という議論を超えて、どうやってやるのか、新しいオリンピックを考えよう」などと発言していることが、伝えられています。

 「コロナがどういう形であろうと・・」とは、どういうことなのでしょうか?

 「やるかやらないか?どうやってやるか?」ではなく、どうやってやめるか?でしょう。

 オリンピックが開催されないことは、残念なことではありますが、それ以上に残念なのは、多くの人々がコロナウィルスで苦しむ状況の中での、このような思いやりのない発言です。

 幸いなことは、これが日本の総意として伝えられてはおらずに、開催か否かについて、日本国内でも意見が分裂していると伝えられていることです。

 現在のヨーロッパは、ほぼ昨年のコロナウィルス発生時のような、またそれ以上と思われるピークを再び迎えつつあり、一日何千人もの人が亡くなっているのです。

 躍起になって進めているワクチン接種も供給が間に合わずに難航しています。

 世界は、オリンピックよりも何よりも、まずこの感染を抑え、ワクチンによって、なんとか日常を取り戻したいと思っているのです。多くの人が、オリンピックを開催するために選手らのワクチン接種が優先されるべきではないと考えています。

 フランスも今、ロックダウンか否かで日々、ニュースは持ちきりです。森会長の発言が取り上げられるほどニュースに余裕もないことは幸いです。

 昨日は、現在、危機的な状況を迎えているポルトガルで、病院の前で救急車の渋滞が起こり、埋葬の間に合わない棺が冷蔵室で山積みになっている映像が繰り返し流されています。

 このような近隣諸国の危機的な状況を見て、あらためてコロナウィルス感染の恐ろしさを再認識し始め、フランス人の55%は、昨年3月のような厳しいロックダウンを自ら望んでいる状況なのです。

 夏までこの状態が続くとは思えないし、思いたくはありませんが、昨年と同じサイクルで感染が続いているということは、昨年、オリンピックを断念した時と、同じ状況にあるということです。

 ワクチンは開発されましたが、ワクチン接種には、時間もかかり、また、変異種に対しての有効性は、減少するとも言われています。

 フランスでは、東京オリンピックを2024年に延期してパリオリンピックを2028年に開催することが最も良い解決策だとも言われています。

 

<関連>

「世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html

「どんなことがあっても、東京オリンピックやるの???」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_5.html






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