2021年2月8日月曜日

冬休みのバカンスでスペインに出かけるフランス人

  


 先週の冬休みのバカンス突入前のカステックス首相の会見では、バカンスに全く制限が敷かれなかったことには、私もとても、心配していました。

 しかし、もともと、冬休みのバカンスは、クリスマスや夏のバカンスとは違って、バカンスに行かない人も多いため、わざわざ制限するまでもなかったのかな? とも思っていました。

 ましてや、このシーズンのバカンスの一番人気であるスキー場も閉鎖されているままなので、例年に比べれば、格段にバカンスに出かける人は、少ないはずなのです。

 実際にSNCF(フランス国鉄)は、バカンス突入時のタイミングで、例年のような混雑はなく、混乱もないことを発表していました。

 フランス国内は、どこへ行っても18時の夜間外出禁止であり、レストランも、ほとんどの観光施設も閉鎖されているので、バカンスに出かけたところで、思うように楽しむことができず、移動でさえも、宿泊先に18時までに到着しなければならないわけで、制限が多くて、ハードルが高いのです。

 ところが、そのハードルを超えて、スペインやイタリアへバカンスに出かけているフランス人が多いことが、問題となっています。本当は閉鎖されているはずの国境を超えてです。

 スペインは、政府の方針の違いから、マドリッドなどは、レストランやバー、美術館等も営業していて、夜間外出禁止も21時までというフランスと比べると格段に緩い規制です。

 前回、一回目のロックダウンの際もイースターのバカンスの時に国境を超えてスペインのリゾート地に出かけるフランス人が後を絶たずに問題となり、当時、スペインもロックダウン状態だったことから、スペイン人からのひんしゅくを買ったこともありました。

 しかし、今回は、スペインでは、比較的、規制の緩い、自由な生活が許されており、普通の日常を求めてフランス人がやってくると言って、取り立ててスペインで問題になることはありません。

 フランス人は、フランスでは長い期間営業されていないレストランやバーなどで普通に人と食事をする、かつて、当たり前であったはずの日常生活を楽しむためにスペインやイタリアに出かけているのです。

 中でも、マドリッドのレストランなどは、お客さんのうちのかなりの割合はフランス人だと言います。

 すでにEU圏内とはいえ、仕事や特別な理由以外で国外への出入国は禁止されているはずなのですが、公共交通機関を使わずに行ける地続きの国へ、車などでの国境突破は、最初のロックダウンの際にも問題になっていましたが、懲りずにバカンスに出かける人が後を絶ちません。

 スペインのレストランなどで、インタビューを受けているフランス人は、悪びれることもなく、「これが本来の日常生活だ!」と満面の笑みで答えている様子にやるせない気持ちになります。

 その多くは若者ですが、この期に及んで、まだ、「若者は大丈夫」という神話が根強いことを思い知らされます。

 スペインは、フランスのような制限がないからとはいえ、感染自体は、実はフランスよりもさらに深刻な状況なのです。1日の新規感染者数は、ヨーロッパで一番多い状況がもう数週間も続いているのです。

 もともと、フランス人にとって、スペインはバカンスに出かける場所としては、人気の国で、ちょっと余裕のある人などは、セカンドハウスをスペインに持っているという人も多いのです。

 もっとも、スペイン側は、これらの観光客からの収入も含めての経済効果を見込んでの緩い制限を押し通しているわけですから、フランスからの観光客とてウェルカムなのです。

 年末年始の制限に失敗した結果と言われているポルトガルの現在の悲惨な医療崩壊の状況が、この制限の甘いスペインに、果たしてはフランスまでやってきてしまう危険は、すぐそこにあるのです。

 これらの束の間の、以前のような日常を求める気持ちはわかりますが、今、束の間の楽しみのために、どれだけの犠牲者を生み、今後、さらに長い制限下の生活が続くことになるのかを考えると許せない気持ちです。

 バカンスが終わる2月後半から3月にかけての感染拡大が心配されています。

 このタイミングは、まさに一年間、まるまるコロナ禍に飲み込まれ、ちょうど一周して、また元の1回目のロックダウンの時のような感染爆発が起こった時期と重なります。

 

<関連>

「バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_96.html

「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

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