2021年2月5日金曜日

ロックダウンは最終手段という姿勢は崩さないフランス カステックス首相の記者会見

        

   Discours de Castex : vacances de février, vaccins... Les annonces


 昨夜、カステックス首相の記者会見が行われるというので、多くのフランス国民が注目していました。とはいえ、先週のような緊急会見ではなく、数日前から予定されていた会見、しかもカステックス首相の会見と聞いていたので、この会見がロックダウンに踏み切る会見とは思っていませんでした。

 しかし、今週末から冬休みのバカンスに入るフランスは、バカンスに際して、何らかの制限が加わるのではないかとは思っていました。

 18時という約束どおり、きっちり18時に始まった会見にカステックス首相は、なぜか、満面の笑みをたたえて登場し、依然として危険な状態ではあるものの極度の感染爆発は迎えておらず、現在の制限内容に変更はなく、さらに衛生管理、検査、隔離を強化しつつ、現在の時点では、ロックダウンをせずにできることで、感染拡大を回避していく方針を発表しました。

 ロックダウンは、あらゆる事業、教育機関を止め、国民を経済的にも精神的にも追い詰めてしまうものであり、あくまでも、最終手段として考えるのは、当然といえば、当然のことです。

 夜間外出制限を始めとする、あらゆる制限に関する取り締まりを一層、強化することで、現在の制限内に留め、リモートワークを全くしていない企業に対しての指導も行っていくとしています。

 すでに一週間で39%の取り締まり体制の強化により、罰金を徴収された数は、53%増加しています。

 若干の増加はしているものの、ほぼ数値は横這い状態を保っている段階で、確かに現在の制限でさえ、まだ引き締める余地があるフランスでは確かにロックダウンの前にまだまだできることがあるのかもしれません。これでロックダウンが避けられるなら、こんなに良いことはありません。

 私がこんな風に感じたのも、その記者会見の見事さで、会見は、首相をはじめとして、厚生大臣、労働大臣、内務大臣、産業大臣が同行し、あらゆる角度から、理路整然とそれぞれの管轄に関わる現状と対策を述べ、質問に応じて、微塵も淀むことなく回答する、どっからでもかかってこいという確固としたものであったたこともあるのかもしれません。

 どんなものでも跳ね返す鉄のバリアって感じだったかな?

 質問に応じて首相が各担当大臣に回答を振り分け、首相がほどよいタイミングで纏めるその会見は、充分にトップ内で話を練り込んでいる証拠であり、またそれぞれがきちんと話すことができる、フランス人の話す能力を感じます。(口ばかりが達者というところもありますが・・)

 特に、政治家の話す能力は、大事だなぁ・・とこの会見であらためて、感じたのでした。

 とはいえ、今週末から始まるバカンスに関しては、移動制限は設けないとしており、(クリスマスの時ほどの移動は見込まれていないが・・)その点に関しては、不安が残ります。

 横這い状態とはいえ、非常に高い数値での横這い状態、いつでもロックダウンになる可能性があり、バカンス期間の途中で突然、ロックダウンになった場合には、自宅に戻る長距離移動は、許可されるという妙に具体的な内容も含まれていました。

 ヨーロッパ内では、現在はスペインが一番、1日の新規感染者が多く(スペインは制限が一番緩い)、次いでフランスが2位という高い感染者数を維持?し続けており、フランスは、もはや、一時、驚異的な感染者数を叩き出していたイギリス(現在も死者数は多い)やドイツを追い越しています。

 ロックダウンを望んでいる国民が半数以上を占めているフランスは、国民の危機感も高くなっていて、今日、買い物に行ったら、入り口のアルコールジェルの消毒のスペースには、人が並んでいたのには、びっくりしました。

 なんとか、国民の危機意識を保ちつつ、ロックダウンをせずに乗り越えられれば良いのですが、今にも爆発しそうな状態に少しも気は緩められないのです。


<関連>

「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html


「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_9.html

 

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