2021年2月26日金曜日

感染悪化し続けるフランス・20の地域における監視強化で3月6日まで様子見


 

 これまで、感染悪化が続きながらも、1日の新規感染者は2万人台を行ったり来たりしていたフランスで、24日(水)には、ついに31,519人と3万人の大台を突破してしまいました。

 ロックダウンは、あくまで最終手段としていた政府の方針から、フランス国民の間では、ロックダウンの話題も少し下火になり始めていました。

 ところが、先週あたりから、ニース・アルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏)での記録的な発生率と前例のない集中治療室の占拠率の増加で、この地域では週末だけのロックダウンが発表され、今週の金曜日の午後6時から月曜日の午前6時まで、とりあえず2週間に渡って、週末のみのロックダウンを行うことになっていました。

 ニースでの週末ロックダウン発表の翌日には、同等の感染悪化がみられるダンケルク(オー・ド・フランス地域圏)でも週末ロックダウンが発表されました。

 新規感染者数が3万人を突破したのは、またその翌日のことです。毎日毎日、迫り来る感染悪化のニュースに再び、フランス国民の脳裏には、「ロックダウン」の気配が戻り始めました。

 そのタイミングで、カステックス首相が記者会見をするというので、「これは、もしかしたら・・」という声が一気に広がりました。

 果たして、カステックス首相は、「感染状況は深刻に悪化している。特にイギリス変異種の拡大は深刻で、現在、感染者の50%は変異種による感染になってきている。しかし、我々は、現在の段階では、ロックダウンの選択はしない。特に感染状況が深刻な20地域(アルプマリティーム、イル・ド・フランス、ローヌ、ブーシュ・デュ・ローヌ、ノール、オワーズ、パ・ド・カレー、ソンム、ドローム、モーゼル、ムルト・エ・モーゼルなど)においての取り締まりを強化すること」を発表しました。

 取り締まりを強化するということは、現在以上の制限が加わるわけではありません。

 そして、同時に、もしも今後、一週間の間にさらに感染が悪化した場合には、3月6日の段階で、さらに厳しい制限を敷くことを発表しました。

 特にイル・ド・フランスは、ニース、ダンケルクに次いで感染状態が深刻ですが、なんと言っても人口の多い地域、ロックダウンをした場合の影響も甚大です。

 この感染拡大は、3〜4週間のロックダウンで、完全に収まるものではなく、ロックダウン以外の措置を講ずることで、少しでもロックダウンの時期を後送りにし、生活、教育機関、経済的にも心理的にも負担がかかる時間を少しでも減らし、また、この間にワクチン接種を少しでも広げたいというのが、昨日、発表された政府の方針です。

 とはいえ、監視を強化することで、一週間後に効果が現れるものでもなく、運よく一週間以内に更なる感染悪化がなければ・・という希望的な要素が強い現段階の措置であるとも言えます。

 しかし、この一週間、急に感染悪化がストップするなど奇跡的なこと、一週間後にさらに厳しい措置が敷かれるのは、ほぼ確実、まさに昨年と同じタイミングで感染が爆発する可能性が大です。

 日本は、緊急事態宣言により、感染も少しおさまり始め、ここ数日、1日の新規感染者は、1,000人前後、フランスは1日3万人越えということは、1日で日本の一ヶ月分の感染者が出ているわけです。しかも、フランスの人口は日本の半分であることを考えたら、二ヶ月分です。

 12月から1月にかけてのドイツやイギリスの感染爆発によるロックダウンを横目にみながら、我々は、うまくやっていると自画自賛していたフランスですが、それは、あくまでも、時期がズレただけのことで、その前の10月末から11月の1日の感染者が6万人という壊滅的な状態のためにすでに11月にロックダウンしていた効果が現れていただけのことで、何もフランスがうまくやれていたわけではありません。

 しかも、10月から11月にかけては、変異種による感染拡大ではありませんでした。

 今回の変異種による感染拡大は、2度目のパンデミックとも言われるくらい、感染拡大のパワーが異なっています。感染速度も早く、若い世代でも重症化する傾向にあるのです。

 おまけにフランスは、政府が発表しているワクチン接種の予定は、絵空事で、実際のワクチン接種は、ドイツやイギリスのように進んではいないのです。

 現在、国によっては、コロナ感染者ゼロを本気で目指し、達成しかけている国もあるようですが、少なくともヨーロッパ、ことにフランスは、そんなことを目指せる段階でも状態でもありません。

 だとしたら、少しでも制限を現段階程度で留めた状態を1日でも長く稼いで、凌いでいき、さらに制限の厳しい状態、あるいはロックダウンの期間を少しでも短くできるようにしたいと考えるのもわからないでもありません。

 しかし、実際の医療現場などは、かなり逼迫している上に、これまで1年間続いている厳しい状態に医療従事者の疲弊も激しく、また、3月の始めには、冬休みのバカンスが終わってフランス全土にわたる学校も再開されるため、さらなる感染悪化は確実で、パリ市長は、政府に対して、「もう一刻も待てない!すぐに3〜4週間の完全なロックダウンをすること」を提案しています。

 どちらにしても、まだまだ目が離せないフランス。一週間後にどうなっているのか?

 全く見当もつきません。


<関連>

「ニース・アルプ・マリティーム県 週末のみのロックダウン」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/02/blog-post_23.html


「フランスのコロナウィルス感染第二波が来るのは当然だった・・」

https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/rikamama/2020/10/post-1.php

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