2021年2月27日土曜日

混乱状態のフランスのワクチン接種 コロナウィルスワクチン接種の申し込みをした!

   


 そろそろ、処方箋をもらって、いつも飲んでいる薬をもらっておかなければと、たまたま、私はかかりつけのお医者さんに予約をとっていました。

 もう今の家に引っ越して以来のかかりつけの女医さんなので、私の健康状態はもちろんのこと、体調の変化や我が家の歴史などを全て知っていてくれて、気心も知れているし、特に今、体調が悪くて行くわけでもないので、本当に気楽にちょっと彼女の顔を見に行くような気分でした。

 私の方もいつもお願いする薬は、リストを作っていて、血圧を測ったり、軽い診察をしてもらって、いつもどおりの処方箋をもらってくるだけのつもりでいました。

 「今日はどうしたの?」「いつもの薬の処方箋を書いてもらいに来ました」と彼女と話し始めて、彼女の目元を見ると、なんだか、老けた?いや、疲れているのかな?と思いました。

 軽い診察を受けながら、彼女は、「あなたは、いつも飲んでいる薬(血圧の薬や他数種類の薬)もあるし、ワクチン接種をしますか?」とおもむろにワクチン接種の話を始めました。

 まさか、医療従事者や高齢者優先だと聞いていたし、以前に私が、「もしかして、私は、リスクの高い人(ワクチンが優先的に受けられる)に入りますか?」と聞いた時に、「あなた程度の人はリスクの高い人には入らないわよ!」と言われていたので、私が今のフランスのワクチン接種が滞っている状況で、まさかワクチン接種の話が出るとは思ってもみませんでした。

 とにかく年明けから、ワクチン接種の遅れが大バッシングされて以来、フランス政府のワクチンへの焦りと必死さは伝わってくるものの、実際には全く、予定どおりには、進んで行かないために、どんどんワクチン接種のできる枠を広げ、終いには、オリヴィエ・ヴェラン保健相みずからがワクチン接種をしているところを報道してアピールしたりして、政府の記者会見の度に、何日までには、どれだけのワクチン接種をするとか、目標値ばかりをやたら掲げている印象がありました。

 しかし、身近なところから、聞こえてくるのは、「とにかく電話は繋がらない!」「予約サイトがダウンしてる!」「予約が取れない!」「予約が取れても、家から車がないと行けないものすごく遠いところ!」などなど、およそ政府の発表とは、全く異なるものだったので、だいぶ、混乱しているな・・私の順番が来るのは、多分、まだまだ先の話で、まあ夏頃になるのではないか?と、のんびりと構えていました。

 それが、2月の半ば頃になって、ワクチン接種の現場が回らなくなったためか、一般開業医でもワクチン接種が受けられることになったのです。もちろん、ワクチン接種をすることを受け入れている開業医に限った話ではあります。

 彼女(私がかかっているお医者さん)は、ワクチン接種をすることを受け入れて、実際に開始しようとしたところ、「一向にワクチンが届かない!」「手続きが何重にも往復するので時間がかかる!」といつもは、エレガントで冷静な彼女が見るからにやつれて、怒り心頭の様子。

 普段は、あまり感情を露わにするタイプではない彼女が「まったく、フランスはこれだからダメなのよ!」とイライラモード。

 私は、突然のワクチン接種の話に、「でも、医療従事者でも高齢者でもない私みたいなのが、ワクチン接種を受けてもいいのかしら? 私に権利あるの?」と聞くと、「あなたは、いつも飲んでいる薬もあるし、受け付けられると思う」「それに、ワクチンは1パックに10回分のワクチンが入っているから、それを時間内に使い切らないといけないから・・」と言うのです。

 なるほど、一般の開業医での接種となれば、ワクチン接種に来る人ばかりではないため、ある程度、人数をまとめて行う工夫もしなくてはならないのです。つまり、ワクチンを受け取った時にセキュリテソーシャルから許可が下りている10人のワクチン接種希望者を同じタイミングで集めなければならないのです。

 個人でやっている開業医には、その手続きや人とワクチンの調整だけでも結構な負担です。彼女は一般の診察を一人でやりながら、それをやらなければならず、届かないワクチンの問い合わせなどまでしなければならないのですから、テンパっているのも頷けます。

 「とにかく申し込みをしてから、ワクチンが来るまでは、もの凄く時間がかかるから、申し込みは、早くした方がいいわよ!」と、申し込みをするための問診を受ける予約を3月18日に入れて帰ってきました。

 この予約は、問診とともに開業医がデータを入力すると、セキュリテソーシャル(国民健康保険)がすぐに、この予約に対するコードを発行し、セキュリテソーシャルの許可が下りるとこのコードに対してワクチンが振り分けられてくるシステムになっているようです。

 このコードは、セキュリテソーシャルのナンバーとも連携しているため、その後のワクチン接種の有無の追跡(ワクチンパスポート)なども、そのコードによって、作られていくものと思われます。

 私は、急なワクチン接種の話にびっくりしていましたが、その日の夜になって、珍しく彼女から電話があり、「届くはずのワクチンが今日も届かなかったし、思っている以上に時間がかかるし、予約だけは入れられるから、明日、問診をするから、もう一度、来てくれる? 時間はかからないから・・」と彼女も少々、混乱している様子でした。

 あいにく、彼女が言う時間には、私は、すでに他の予定が入っていたため、彼女は昼休みの時間を割いてまで、少しでも早く予約を入れたかった模様。問診の内容は、簡単なもので、「薬に対して特にアレルギー反応を起こしたことがありますか?」とか、「過去、3ヶ月以内にコロナウィルスにかかりましたか?」程度のことで、後の私の体調に関するデータはすでに彼女の方が細かく記録しているので、本当に簡単で、私は、すぐにセキュリテソーシャルからのワクチン申し込みのコードを受け取りました。

 国の混乱状態から、思わぬことで、医療従事者でも高齢者でもない(若くもないけど)私が、ワクチン接種のウェイティングリストに乗ったわけです。

 ワクチン接種が開始されたのは、昨年の12月の初め、当初は、高齢者施設の老人から、高齢者へと予定が組まれていました。フランスには、当時、アンチワクチン論者の人も少なくなく、私自身もどうしようか?様子を見ながら考えようと思っていました。

 しかし、そろそろパンデミックから一年が経ち、フランスは、その間、何回も感染拡大をしては、ロックダウン、そして現在もまた、感染爆発が目前の状況。もういい加減、うんざりです。日本にだって行きたいし、友達と食事もしたいし、ビクビクしないで外出したい!

 実際に、リスクを考えるなら、ワクチン接種をしてアレルギー反応を起こす可能性よりもコロナウィルスに感染する可能性の方が遥かに高いのです。

 「もうワクチン接種をして、少しでも早く元の生活に戻りたい」というのが、私の正直な気持ちです。

 そして、ワクチン接種をするのだったら、その後にもしも具合が悪かったりしても、ワクチン接種をしてくれた彼女にすぐに相談できるのは、心強いこと、他の見ず知らずのセンター等でワクチンを受けるよりは、私にとっては、ありがたいのです。

 しかし、思いもよらず、予約を入れることができただけで、実際にいつできるのかは、まだわかりません。ワクチン接種ができたら、また報告します。

 フランス在住の方でワクチンの予約が取れない方は、地元の開業医に相談するのが意外な早道かもしれません。

 

<関連>

「フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_12.html

「フランスのコロナウィルスワクチン接種」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_9.html

「フランスのワクチン接種が大幅に遅れをとっている理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_5.html

「今年のフランスのコロナウィルス対策は、ワクチン接種が最優先事項」

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