2021年2月10日水曜日

このままロックダウンせずに乗り切ることは可能なのか? コロナウィルスによる死亡者8万人突破


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ワクチン接種よりも肉体美が話題を呼んだオリヴィエ・ヴェラン保健相


 昨日のテレビ番組のインタビューに応じたオリヴィエ・ヴェラン保健相が、現在のフランスの感染状況や感染対策について、「現在も非常に危険な状況にあることに変わりはないが、現在は、コントロールが不可能な感染拡大や医療崩壊は起こっていない」「このまま、ロックダウンしないまま、乗り切れる可能性もある」と発言したことが、大変な反響を生んでいます。

 また、ようやく承認され、接種が開始されたアストラゼネカのワクチンが南アフリカ変異種に対応しないために、南アフリカでのアストラゼネカのワクチン使用を停止になった騒ぎに対しては、自らがアストラゼネカのワクチン接種を行っているところを公開し、フランスでのワクチン戦略は変更しないことを明言しました。

 しかし、この大臣のワクチン接種は、アストラゼネカのワクチンの有効性云々以上に、ワイシャツを左半身脱いで、また、半身を隠した様子が妙に色っぽいとか、なかなか鍛えられた美しい肉体だとか、ワクチンそのもの以外の思わぬ方向で話題をさらっています。

 政府ができることなら、ロックダウンを回避して、このパンデミックを乗り切りたいと思っているということは、わかっていましたが、実際にテレビカメラの前で、「ロックダウンせずに乗り切る可能性もある」と公言することは、意味が違います。

 すでに数週間にわたり、感染者のうちのイギリス変異種の割合が増加しており(一週間で50%ずつ割合が増えている)、科学者、医師、労働組合等は、厳格なロックダウンを要求するために、もう何週間も声をあげ続けているのです。

 奇しくも、彼がこの発言をした日には、フランスのコロナウィルスによる死亡者数が、8万人を突破しました。死亡者数7万人を突破したのが、1月16日、1万人の増加に一ヶ月もかかっていない状況です。

 また、変異ウィルスは重症化する割合(集中治療室に入る割合)が高く、感染者自体は、目に見えて増加している状況ではないにも関わらず、集中治療室に入る人数は増加しています。

 オリヴィエ・ヴェランは、このインタビューの中で、感染状況、医療対応はもちろんのこと、社会的、経済的なバランスを大事に考えていると語っていますが、もはや、着々と増加しつつある死亡者数よりも医療崩壊が起こるかどうかに焦点が当てられています。

 現在の医療対応の状況は、新規感染者数こそ、10月末のような爆発的な上昇にはなってはいないものの、毎日の入院者数、集中治療室の患者数は、ほぼ2回目のロックダウン時と同程度にまで悪化している状態です。

 もっとも、ロックダウンという言葉の定義自体がもはや、疑問で、現在もロックダウンという言葉を使っていないだけで、実質的には、かなりの制限下にあり、レストランやカフェは当然、ずっと営業停止の状態で、一般の小規模の店舗の営業が認められてはいるものの、大規模なコマーシャルセンター等は、2回目のロックダウンでは営業が認められていた通信機器や電気製品店なども休業状態、部分的にはロックダウン時以上に厳しい状態が続いています。

 ロックダウン時には、外出許可が必要でしたが、それもほぼ、外出許可を携帯するかどうかだけのことで、実際には、外出できないわけでもありません。(距離の制限等はありましたが・・)

 こうして考えると、最初のロックダウン時のような、学校から役所などの全てが閉鎖されたロックダウンは別として、国民のショックを抑えるために「ロックダウン」というショッキングな言葉を使わずに、実は、ほぼロックダウンのような制限下のまま、なんとか爆発的な感染拡大を防ぎながら、時間稼ぎをしています。

 その間にワクチン接種を着々と進めながら、2月、3月の寒い時期を乗り切りさえすれば、それ以降は気候の変化の助けも借りることもでき、夏の終わりまでにはワクチン接種も終わらせ、次の秋のシーズンを迎えられることを目指しています。

 「ロックダウンせずに乗り切る」ということは、実は、「ロックダウン」という言葉は使わないというだけのような気もしてきました。


<関連>

「フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/12.html



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