2021年12月31日金曜日

12月31日 大晦日年越しの規制

   


 1日の新規感染者数が20万人を超えても、結局は、大晦日の年越しの夜もロックダウンや夜間外出制限は行われないまま迎えることになります。

 しかし、その代わりに細かい禁止事項は、いくつかあり、当日は、10万人の警察官が動員されるそうです。1日20万人の感染者と、取り締まりのための10万人の警察官。どちらも数十万単位でダイナミックなことです。

 今年は、すでにパリ、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)では、屋外でもマスク着用が義務化されているほか、公道でのダンス、飲酒、パーティーが禁止されており、レストラン・カフェ・バーなども1月1日午前2時には閉店が義務付けられています。


 すでに、ディスコ、ナイトクラブなどの場所は閉鎖されているので、その他の施設でもダンスは禁止、つまり着席のみということ、ダンス・飲酒は、公道でも禁止。せめて、おとなしく座っていなさいということです。

 また、パリ市内のなにかと人の集まるいくつかの地域では、31日午後6時から土曜日の午前6時まで、アルコールの販売と消費が禁止されています。

 コントルスカルプ広場、アンヴァリッド広場、サン・マルタン運河、セーヌ川の右岸と左岸、ポン・デ・ザールとポン・ド・サリーの間、シテ島の岸辺、サンルイ島の岸辺」が対象となります。いずれも、パンデミック発生以来、度々、人が集まり、問題になったところばかりです。

 とはいえ、昨年の大晦日は、午後8時以降の外出は禁止、また、全てのレストランやカフェなどの飲食店は、閉鎖されていましたので、昨年に比べれば、格段に規制は緩くなっているのです。

 昨年でさえも、ずいぶん、甘々だな・・と思った記憶がありますが、今年は、さらに甘々です。状況が許せば、もちろん、シャンゼリゼ(凱旋門)の花火なども毎年、楽しみにしていた私ですが、今年は状況が悪すぎます。

 オミクロン株は重症化しにくいということで、いくら感染者がいても、それほど深刻になっていない感じがフランスにはありますが、実のところは、昨年の12月31日の1日の感染者は1万9千人程度、今年は、その10倍以上で、集中治療室の患者数も、昨年はこの段階で、2600人程度であったものが、今年は、3469人にまで上昇しています。

 感染者が10倍以上になっているのに、重症患者が10倍にはなっていないところはせめてもの救いですが、感染症の専門家によれば、この感染拡大の波は、少なくとも2〜3週間は続くと説明しています。

 フランス全国の10万人あたりの感染率は1049.5にまで上昇(100人に1人以上は感染)、パリに至ってはその倍の2000以上にまで達しています(50人に1人以上は感染)。

 フランスではすでに、オミクロン株の割合がデルタ株を上回ったそうなので、少なくとも毎日、10万人以上のオミクロン株による感染者がいるということです。

 何よりも1日20万人という感染者がいても、まるで危機感がないのが何よりも信じられないことで、この「ワクチンをしているから大丈夫」「若いから大丈夫」に加えて、「オミクロンは重症化しない伝説」も、さすがにこれだけの感染者が増えれば、確実に重症化し、死亡する人も増加していっていることに、あまりにも鈍感で、この期に及んで、まだ屋外でのマスク義務化を受け入れられないなどと言っている人がいることが信じられません。

 マスクに関しては、よく「あなたは、日本人だからいいでしょうけど・・」などと言われますが、正直、自慢ではありませんが、私は、日本でマスクをしたことなど一度もなかったし、マスクをする習慣などありませんでした。

 日本に住む日本人とて、皆が皆、パンデミック前も日常的にマスクをしていたわけではないと思うのです。しかし、こういう事態になれば、日本では、義務化されているわけではなくても、マスクをしていない人などいないと思います。

 マスクをしているだけで、少しでも感染が防げれば、良いではないか?と思うのですが、そんなことだけでも、抵抗する人がいるのです。

 数々の規制があっても、そんな規制を潜り抜けるのは、どうとでもできることです。

 意識の低さがこの感染者1日20万人を生んでいると思うと、ギチギチの罰金付きの規制以外にこれを乗り切る術はありません。

 さらなる規制は、どういうわけか、1月3日からで、週3日のリモートワークの義務化にも早くも、「無理だ!効率が悪い!(日頃からそんなに効率よく働いてもいない)」と従わなさそうな気配が見えていたら、リモートワークに消極的な企業は、従業員一人当たりにつき、最高1,000ユーロの罰金」だとか・・。

 もはや日本と比較にはなりませんが、フランスにいて、今年も、どうにも不安な年の瀬を迎えております。


2021年フランス大晦日 年越し カウントダウン


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2021年12月30日木曜日

フランス1日の新規感染者数20万人突破 連日新記録更新

   


 一昨日の新規感染者数が10万人から一気に17万9,800人を超えたと聞いて、絶句しましたが、昨日は、とうとう20万人のしきい値も軽々飛び越えた(208,000人)のには、もはやもう、大した驚きではなく、もう諦めのような気分です。

 10万人を超えたのが12月25日でしたから、たった4日間で、倍の20万を突破したのは、これまで、オミクロン株の感染の速度が異常に速く、2〜3日で倍に膨れ上がると言っていたとおりになっていますが、さすがに5人が10人になるのではなく、10万人が20万人になるということは、その衝撃は大きく、異様な気分です。

 現在のフランスは、大人数での集会などの制限などはあるものの、ヘルスパスを持っていれば、ほぼ日常生活が送れるのですが、実際には、パンデミックが始まって以来、こんなに感染者が街中に溢れたことはなく、ロックダウンになっていた頃よりも逆に怖いような状況です。

 私自身、もうちょっと出かけただけで、すぐに感染者追跡アプリのアラートが届くので、その度にドキドキしながら、検査を受けに行くのは、ウンザリなので、もう外出したり、人と会ったりすることは、当分、したくない気持ちになっています。

 さらに感染者が増加し、20万人を突破したことを受けて、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、記者会見を行いましたが、「1日の新規感染者数208,000人というのは、もう、ちょっとめまいがしそうな数字だ!これは、1秒に2名以上がコロナウィルス陽性と診断されているということである!」と述べ、未だにワクチン接種を一度も行っていない500万人の国民に向けて「現在の感染状況では、デルタ株とオミクロン株のはざまで、ワクチン接種なしに乗り切れる可能性はほんのわずかである・・これは脅しではない!」と語気を荒げて語りました。

 また、現在の1日の新規感染者数を鑑みれば、おそらく現在、100万人以上のフランス人がコロナウィルスに感染しており、全国民の10%が感染者との接触している状態であることも併せて説明しています。

 この現状を重く受け止めた政府は、ヘルスパスからワクチンパスへの移行を大幅に前倒しにし、5日には、決議、1月15日から施行されることを発表。また、このワクチンパスについては、チェックの際に同時に身分証明書の提示を要求できることになります。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「この法案は、不正行為と戦うための措置をさらに強化するものである」と述べ、「偽のパスを使用することは無責任であるばかりでなく、何よりも自分も周囲の人をも危険に晒すことである」と説明しています。

 それにしても、この危機的状況に反して、街の様子は、一向に変わることのないのは、どういうことなのか? 政府と一般国民の温度差がこの驚くべき数字を叩き出しているような気がしてなりません。

 ノエルの時点で10万人を超え、そしてその4日後には、20万人を超えたというのに、相変わらずの街中の人出、これから大晦日のカウントダウンが待っているというのに、それでも、外出制限等をしない政府もまた、理解に苦しむところです。

 パリでは、12月31日から屋外でもマスク着用が義務化されることになりましたが、なぜ31日まで待つのか? 大晦日・年越しの規制・制限はそれだけなのか?と思います。

 おそらく、今回の感染爆発は、ノエル以前からのものではありますが、ノエルを境にさらに急増していることを考えれば、ノエルが影響していることは間違いありません。

 これに、さらに年越しのカウントダウンが加われば、ワクチンパス施行前に、さらにメガ級の感染爆発が起こるかもしれません。一部の専門家は、今後、1日の新規感染者数が40万人程度になっても不思議はないと話しています。

 数日前に、1月初旬には、1日の新規感染者数が25万人を超えるかもしれないという話を聞いたときは、まさか・・と思いましたが、今では、「まあ・・そうだろうな・・もしかしたら、もっとかもしれない・・」と、もう数字の感覚が麻痺してきました。


フランス1日の新規感染者数20万人突破 新記録更新


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2021年12月29日水曜日

感染者追跡アプリにアラート(注意)が来た! フランスの1日の新規感染者数17万9800人突破


慌てて検査に行ったところ、陰性でした・・


 フランスで現在、使用されているヘルスパスのアプリは、「TousAntiCovid」(トゥースアンチコヴィット)と言って、もともとは、ワクチン接種が始まる前に出来上がっていた感染者追跡アプリでした。

 感染者を追跡し、感染者との接触を回避する、また感染者と接触した場合に直ちに検査して、さらなる感染を回避するために作られたのですが、当初はあまり使用する人がおらずに、その効果は上がっていませんでした。

 現在は、ヘルスパス(ワクチン接種証明書など)として使用されているために、かなりのフランス国民が自分の携帯にダウンロードしているものと思われます。ヘルスパス以外にも、全国(フランス)の感染状況、ワクチン接種状況などのオンタイムの情報もこのアプリで情報を得ることができます。

 実際に、私も日常的には、ヘルスパスとして使用しているため、これが、感染者追跡アプリでもあったことを忘れていたくらいでした。

 ところが、先日、夜になって、そのアプリに「アラート」(注意)!と連絡が入っていて、「あなたが、もしワクチン接種をしていなければ、感染のリスクが高いです。直ちに隔離して、検査を受けてください」というお知らせ。

  


 そして、私が感染者と接触した可能性がある日付が記されていました。しかし、記されているのは日付だけで、一体、どこで感染者と接触したのか等は、記載されていません。もう、その日付から数日経ってのことなので、もしかしたら、アラートが来ているのに気付かずに数日経ってしまったのか?と思いながら、「明日、行けたら検査に行こうかな?」くらいにぼんやりと考えていました。

 ところが、翌朝になって、またアプリを確認すると、すると昨日の日付に加えて、さらにその翌日の日付でのアラートが入っていました。「これは、私が見過ごしていたわけではなかった」ことを悟った私は、「これでは、私は毎日のようにどこかで感染者と接触しているのではないか!」と、慌てて薬局に検査に行きました。

 実に私は、パンデミック以来、一度もこの検査を受けたことはなく、初めての経験でした。

 日頃、あまり出歩かない私にさえ、アラートが来るのだから、これでは薬局も混雑しているだろうと思って覚悟していくと、予想どおりに薬局は、検査を受けに来る人で溢れかえっていました。

 9月以来、ワクチン接種を拡大させるために、ワクチン未接種の人に対しての検査は有料になっていますが、ここでもワクチン証明書を提示すれば、検査は無料でやってくれます。

 薬局の検査対応の人は、大変、忙しそうで、「以前よりもずっと陽性の人が多いのよ・・」と、嘆いていました。検査に来るということは、症状がある場合とも限らないものの、私のように感染者と接触し、感染している可能性のある人が来ているわけで、しかも、その中から陽性者が多く見つかるようになったということは、この薬局に来ること自体、感染者との接触に繋がらないことにもなりかねないという事実に空恐ろしいものを感じました。

 一緒に生活している娘には、アラートは来ていなかったものの、数日前に会った友人から、「感染した」という知らせが入り、親子揃って検査にいくハメになりました。

 私は、12月の初旬に3回目のブースター接種を済ませ、娘もその翌週に済ませていますが、リスクがある限り、検査はしなければ、安心はできません。できるだけ、外出は控えていた私ではありますが、アラートが来ていた日付には、ノエルの買い物に結構な時間、パリの街をあっちもこっちもと出歩いていた日、外食したわけでも個人的に誰かと会ったわけではありませんが、ずいぶん、人出が多いなぁなどと思いつつも、マルシェ・ド・ノエルを覗いたりもしていました。

 しかし、その翌日のアラートが来ていた日は、家にアパートの管理人さんが来てくれたくらいで、外出はしていません。となると、彼女が感染していたのか?としか、考えられません。

 とにかく、感染者追跡アプリのアラートといい、娘の周囲での感染状態といい、もはや、少しでも誰かと接触すれば、かなりの確率で感染のリスクがあるのか・・と思わずには、いられない、これが1日の感染者10万人のフランスの現状なんだ・・と実感していました。

 幸い、親子ともども、検査の結果は陰性でしたが、娘の友人で、感染者と接触して、4日後に検査に行った時には、陰性で、そのさらに2日後に検査に行ったら、今度は陽性だった・・などという話も聞くので、感染者と接触しても、何日後に検査で陽性が出るのかもよくわからないため、現在、娘は念のため・・と家の中でもマスクをしてくれています。

 私は、「もしも、あなたから感染して死んでも、悔いはないよ・・」と言ったのですが、「そんな寝覚めの悪い、どれだけ、後で自分を責めることになるかわからない?」と娘から反対に怒られてしまいました。

 同じ家にいながら、半隔離状態のような生活・・あと、どれだけ娘と暮らせるのかもわからないのに、本当に悲しいことです。

 ますます、生き辛くなってきたこの感染状況、明日の朝もまた、アラートがついているかもしれないと、しばらく、毎日、検査に行かなければならないか?と覚悟しています。

 ここまで書いたところで昨日のフランスの1日の新規感染者数が17万人超え(ほぼ18万人)であったことがわかって、思わず絶句してしまいました。

 今日の薬局での「陽性者がとにかく多くて・・」という話からも、ありえない話ではないかもしれないとは、思ったものの、それにしても10万人から17万人とは、あまりの急増・・1月には、25万人を突破するかもしれないという昨日のオリヴィエ・ヴェラン保健相の話も現実的になってきたのかもしれません。

 このまま大した規制もなく、大晦日のカウントダウンを迎えるのでは、いくら、大統領選挙を前にして、マクロン大統領が国民に嫌われたくなくて、規制を控えているとしても、本当にこのままにするのかと思うと、彼の真意を逆に理解し難く感じてしまいます。


フランス1日の新規感染者数18万人 新記録更新


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2021年12月28日火曜日

1月初旬には、1日の新規感染者は25万人を超える! 政府が発表した感染者急増への感染対策

   

 

 ノエルとともに1日の新規感染者数が10万人のしきい値を超えたフランスは、これからさらに年末年始を迎えるタイミングで新たな感染対策を発表しました。

 週明けに招集された国防会議の結果を発表すべく、カステックス首相とオリヴィエ・ヴェラン保健相は記者会見を行い、まず冒頭にカステックス首相が「フランスでもヨーロッパと同様に、状況は極めて緊迫しており、新しい波が大陸に押し寄せ、この積み重ねが、10万件というシンボル越えを実現し、発症率(10万人あたりの感染者数)は700を超え、パンデミック以来最高となった」と述べました。

 この感染拡大をなんとか抑えるためには、ワクチン接種の加速が、なによりも重要で、フランス政府は、Haute Autorité de Santé(HAS)(高等保健機構)の勧告に従って、2回のワクチン接種から3ヶ月後にブースター接種を行うことになりました。

 ここ1ヶ月ほどの間に6ヶ月間だったワクチン接種の間隔が5ヶ月、4ヶ月、そしてとうとう3ヶ月になりました。

 早い人は、今年の9月の段階で3回目のブースター接種を受けていますが、ワクチン接種の間隔が3ヶ月となると、すでに3ヶ月をそろそろ経過することになります。当然、4回目のワクチン接種が必要となる可能性が出てくるのですが、この4回目のワクチン接種については、3回目のブースター接種を最も早く進めたイスラエルと連携をとりながら、検討して、必要な場合は、すぐに発表されるということです。

 すでにノエルの段階で、10万人のしきい値を超えたことがわかっている国民は、31日から元旦にかけてのカウントダウンには、ロックダウンになるのではないか? 通常の予定どおりならば、ノエルのバカンスは1月2日までで、3日からの学校再開が先延ばしになるのではないか?などの声が上がっていましたが、予想に反して、大晦日のロックダウンは行われず、学校も予定どおり1月3日に再開することになりました。

 しかし、少なくとも3週間は、大規模な集会は、屋内で最大2,000人、屋外で最大5,000人に制限され、スタンディングコンサートは禁止、公共交通機関、映画館での飲食が禁止されます。

 レストラン、カフェ、バーなどでは、着席のみの場合の飲食に限られます。

 また、週3〜4日のリモートワーク義務化、地域ごとの判断により、一部の都市中心部で屋外でのマスク着用義務化が検討され、復活します。

 また、政府は昨今、問題になっている偽造ヘルスパスに対する罰則を強化することも併せて発表しています。

 そして、現在問題になっている感染者、及び接触事例の隔離期間(隔離しなければならない人々が増加しすぎて社会機能不全をおこしている)については、さらにHAS(高等保健機構)との慎重な協議の上、週末にも新しい隔離期間についての変更を発表することにしています。

 同時にオリヴィエ・ヴェラン保健相は、現在のフランスの感染状況について、フランスは2つの異なる亜種に関連する2つの波(デルタ株とオミクロン株)に同時に直面しており、それらを抑制するために2つの異なる補完的なタイプの対策が必要であることを説明しています。

 特にオミクロン株については、以前の変異株(特にデルタ株)よりもずっとずっと感染力が強く、少なくとも3倍以上感染力が強いと指摘。この伝染力は、患者数が2倍になるまでの時間、いわゆる「ダブリングタイム」に反映されています。デルタ株では12〜15日かかっていたものが、オミクロン株では2日で倍増しています。

 このデータから計算すると、1月上旬には、1日の新規感染者数が25万人を超える可能性があることも示しています。

 この感染速度は、パンデミック発生当初から経験していることとは比較にならないほどのレベルであり、オミクロン株はすでにコロナウィルスに感染している人に感染する可能性もあります。

 しかし、他の変異株に比べてワクチンに対する感受性は低いものの、3回目のブースター接種で、90%以上まで上昇するとしています。

 現在、オミクロン株によるリスクが最も高いのは、ワクチン未接種者、また、2回のワクチン接種はしているが、ブースター接種をしていない高齢者や既往症を持つ人々であると述べています。

 1日の新規感染者数が10万人を超えた時点で、私は、すでに震え上がっていますが、今回の感染対策は、この1日で10万人以上が感染しているという状況にしては、かなり緩く、甘々な対策で、やらないよりはやった方がよいことに違いはありませんが、今さらのように、屋内空間(映画館など)での飲食禁止とか、レストランなどでは、着席義務(食事中は歩き回らない)など、今さら禁止されずとも良いはずのことで、「子供かよ!」というような禁止事項には、言葉が出ません。

 マクロン大統領は、年末年始にフランス国民に過剰な強制的措置をできるだけ与えない意向だそうですが、ワクチン接種のスピードアップには限度があり、その効果を待つ間に一体、どれだけ感染が拡大してしまうのかと思うと、ちょっと信じ難い甘さです。

 おそらく、来年4月の大統領選挙を前に国民を締め付ける決定を避けている気がしますが、ここで、感染がさらに拡大しても、結果的には、今回の決断は失敗であったという烙印が押されることになります。

 ノエルでさんざん人々が集った結果がまだ出ていない今、さらに大晦日から元旦のカウントダウンを大した制限もなく迎えるのは、どう考えてもさらに感染が拡大することは避けられないような気がしています。

 このままでは本当に1月初旬には、1日25万人の新規感染者を叩き出すかもしれません。


年末年始感染対策 フランス大統領選挙


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2021年12月27日月曜日

クリスマス当日に新規感染者10万人突破 陽性者隔離による社会機能不全

 


 フランスは、7月の時点でヘルスパスのシステムを起用して以来、ヘルスパスを持っている人に対しては、ほぼ規制のない日常が送れるような感染対策を続けてきました。

 パンデミックが始まった当初の最初の厳格な、ほぼ、外に出られないようなロックダウンが約2ヶ月間続き、それからは、いくつかの感染の波を繰り返し、長い間、飲食店なども閉鎖され、それに夜間外出制限や長距離の移動制限などを繰り返してきました。

 2021年が始まった当初は、今年はとにかく、「ワクチン・ワクチン・ワクチン!」と、ワクチン接種を拡大していくことを発表していました。ワクチン接種が始まった当初は、2回のワクチン接種をすれば、ある程度は、ウィルスから守られると思われていたからです。

 そして、夏のバカンスに入るにあたって、思うようにワクチン接種が拡大していかないことから、ヘルスパスのシステムを構築し、ヘルスパスがなければ、レストランやカフェ、文化施設や娯楽施設、長距離公共交通機関などにもアクセスできないようになり、これでは、事実上のワクチン接種の義務化ではないか?と思ったものでした。

 しかし、あまりに露骨なワクチン接種の強要はできずに、ヘルスパスをPCR検査で乗り切る逃げ道も残してあったために、結果的には、一定数のワクチン未接種者は残っていました。

 夏から秋にかけては、ヘルスパスにより、ワクチン接種がかなり拡大したこともあり、周囲のヨーロッパ諸国に比べて、かなり感染を抑えられてきたフランスですが、ワクチン接種の効果が思っていたよりも長続きしなかったこともあって、秋から冬に向かう頃には、徐々に感染者が増加していきました。

 そして、11月後半から12月にかけては、その感染増加に拍車がかかり、ノエルを迎えるという数日前からは、新規感染者数がほぼ毎日、1万人程度増加していくという恐ろしい状況に陥り、皮肉なことにノエル当日には、新規感染者数がキリ良く?10万人を突破してしまいました。

 あくまでも、ウィルスと共存していくために、どんな施設も閉鎖することなく、ヘルスパスで入場制限することで、フランス人は、ほぼ日常と変わらない生活を送り、何の危機感も感じられないようになっていました。

 しかし、あまりに感染速度の速い、オミクロン株の登場がちょうど、多くの人のワクチン接種の有効性が薄れていく時期に重なり、再び、感染爆発を起こしています。

 毎日、10万人近くの感染者が出るということは、これだけ多勢の人々プラス感染者の周囲の濃厚接触者が隔離生活を送らなければならないわけで、ロックダウンを行わずとも、社会機能が不全になっていくのは、不可避なことで、あらゆる場面で、支障が起こり始めています。

 先日もオペラ座の公演が中止になったというニュースを見たので、「感染対策で劇場が再び閉鎖になるの?」と思いきや、演者に感染者が続出して、公演が成立しないためのキャンセルで、「ああ〜そっち?」とちょっとびっくりしましたが、これだけ、感染者が多ければ、そういう場面は、あらゆるところで起こるわけで、たとえ、ロックダウンせずとも、ロックダウン状態に置かれる人が増えることで、部分的なロックダウンに近づいていくようなことになるという局面に陥り始めたのは、皮肉なことです。

 これは、フランスだけのことではありませんが、24日から26日にかけて、全世界で6,000便以上のフライトが欠航になり、18,000便以上のフライトに遅延が出ています。これもまた、乗務員の感染によるスタッフ不足により、欠航や遅延を余儀なくされていることによるものです。

 猛烈な勢いで感染が拡大していく中、感染者を隔離しないわけには、いかないのですが、これは、なにも、オペラ座や航空業界だけの問題ではなく、あらゆる場面、病院や警察、消防、薬局などの日常生活に必要最低限のライフラインに繋がる場所でも起こってきている深刻な問題になりつつあります。

 オミクロン株はワクチンを3回接種していれば、比較的、重症化しないという説もありますが、たとえ、重症化しなくても、感染することには変わりなく、結果として、ワクチン未接種者が医療体制を逼迫する状況に陥ってしまうのです。

 一体、いつになったら、終息することやら、ますます出口が見えなくなってきてしまいました。現在、フランスでは、3回目のブースター接種を加速度的に進めていますが、結局のところ、ワクチン接種を一度も行わない人が減らない限り、同じことが繰り返されます。

 そのため、一部では、ワクチン未接種者に対し、「いつまでも日常生活が戻らないのは、これらの人々のせいだ!」というアンチワクチン論者に対する非難の声も上がり始めています。

 フランスは、第5波がおさまらないうちに、その波がさらに大きくなり、第6波とも呼びにくいことから、今回の感染拡大を「オミクロン波」などと呼ぶ人も出てきました。

 週明けには国防会議が開かれ、新しい対策が発表されることになっていますが、一体、どうなることか、フランスは、まことに憂鬱な年末を迎えています。

 現在、フランスは全人口の1%が隔離中と言われています。


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2021年12月26日日曜日

クリスマスプレゼントは即刻転売サイト行きが急増

   


 フランス人にとってのノエルは一年のうちの一大イベントで、そのチカラの入れようは、なかなかなものです。むしろ、新年を祝うお正月よりも重んじられている感もあり、たいていは、ノエルは家族とともに、新年のカウントダウンは友達同士で・・という過ごし方をする人が多いです。

 日常は、どちらかといえば倹約家のフランス人もノエルの食事やプレゼントには、惜しみなくお金を使います。

 街を歩いていても、明らかにクリスマスプレゼントであろう包みを抱えた人を多勢見かけます。それも、家族全員分なので、結構な量でかなりの出費になります。

 多くの商店は、一年の売り上げの大半をこの時期にあげると言われています。

 我が家も娘が小さい頃は、クリスマスイブの日の夜に、クリスマスツリーの木の下に、家族全員の靴をならべ、なぜか、その靴にオレンジを添えて、サンタクロースを待つという不思議なことをしていました。

 そして、娘が寝た後に、クリスマスツリーの下に事前にあちこちから届いているプレゼントをツリーの下に並べておいておくのが習慣でした。

 翌朝、娘が起きてきて、一番にクリスマスツリーを確認しに行き、嬉しそうに一つ一つプレゼントを開けていく様子がかわいくて、私たちにとっては、娘が嬉しそうにプレゼントを開けていく、その場面を見ることこそが何よりのクリスマスプレゼントでした。

 このノエルのプレゼントの習慣は、相変わらずフランス人にとっては、とても大きなイベントではありますが、ここ数年、それに異変が起きているのは、そのプレゼントが即刻、転売サイトに掲載され、売り出されてしまうケースが急増していることです。

 私は、Vinted(ヴィンテッド)というフランス版メルカリサイトのようなもので、家にある不用品を処分しつつ、ちょっとしたおこづかい稼ぎをしているのですが、このサイトも11月から12月にかけてが一番、品物が売れるので、この時期に狙いを定めています。

 実際にそれは、クリスマスプレゼント用のものとして購入され、ノエルを過ぎるとパッタリと売れなくなるので、これまでは、この時期で今年の営業は終わり・・という気分でいたのです。

 ところが、最近は、結構、そのサイトをノエルが過ぎても覗いている人がいるのを不思議な現象だな・・と思っていたのです。

 楽天バロメーターによると、この1年間でフランス人の2人に1人以上がノエルのプレゼントの転売を行っているか、またはそれを検討していると言います。現に、あるサイトでは、25日の15時までに、60万件近くの広告が再販サイトに掲載され、2020年と比較して15%以上の伸びを示しています。(1月上旬までに300万個のクリスマスプレゼントが転売される見込み)

 プレゼントの交換の時には、大袈裟とも思われるほどに喜びあっているのに、実のところは、そのプレゼントが即刻、転売に出されているところは、あれは芝居だったのか?と思ってしまいます。

 無駄なものを持たずに、お金に変えてしまうあたり、さっぱりしているというか、がっちりしているというか、プレゼントを贈るときには、転売されないように、本人の希望を吟味する必要があるな・・と思います。

 それでも、あまりにプレゼントが行き交うために、同じものをダブってもらってしまったりするケースやサイズ違いや好みではないものであったり、転売の理由はさまざまです。

 実際に、子供などに対しても、これは、ちょっと物を与え過ぎではないか?と思うほど、ノエルには、甘々なフランスの親や祖父母なのです。

 今年、最も転売サイトに掲載された物は、「レゴ・ハリー・ポッター」や「スター・ウォーズ」、ボードゲームの「スカイジョー」や「コードネーム」、そしてフランスのスター選手キリアン・エムバペが表紙を飾るビデオゲーム「FIFA 2022」などがあります。

 スティーブン・キングの『アプレ』、漫画の『アステリックスとグリフィン』、バーナード・ウェーバーの『蜜蜂の予言』など、書籍は言うに及ばずです。

 これらの転売サイトには、Vinted、Ebay、Leboncoin、Rakuten France、fnac.comなど、すでに数社が利用されています。

 せめて、これらが廃棄されるのではなく、転売されて再利用されることは、救いといえば救いであるとも言えますが、なんだかせっかくのプレゼントを即日、転売されてしまうことも、空虚なプレゼント交換の習慣になりつつあるような気もします。

 しかし、それらをこのタイミングで買う人は、もちろん、店頭で購入するよりも安い価格であることが魅力なのでしょうが、来年のプレゼント用に買い置きしておくのでしょうか?どちらにしても、合理的?といえば、合理的、ノエルのプレゼントで多くの人が散財しながらも、不要なものは、その日のうちにすぐに転売する、フランス人のガッチリして、現実的な一面が垣間見える新しい現象でもあります。


クリスマスプレゼント転売


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2021年12月25日土曜日

ノエルの食材に和牛が君臨するパリ

  


 世界が、オミクロン株でバタつく中、フランス人は、急激な感染拡大にもかかわらず、やはりノエル一色になっています。

 街の中は、ノエルのデコレーションで煌びやかに彩られ、メトロやバスの中もいつもより多い人出で、クリスマスプレゼントを買い集めているのか、大きな袋をいくつも抱えた人が目立ちます。

 日本にいる私の友人たちからは、今年の日本はクリスマスをすっとばして、お正月って感じ・・という知らせが入っていますが、パリはクリスマス全開の感じです。

 毎年のことですが、ルパ・ド・ノエルといって、クリスマスに食べる食事についても、職場などでも話題の中心は、ノエルの食事についてが多くなります。

  


 スーパーマーケットは、やはりノエル仕様に山積みのチョコレート、フォアグラ、キャビア、牡蠣、シャポンなどのいつもはあまり大々的に前面には出てこない食材が並んでいます。

   

  


 特にお肉の種類は多く、いつも出回っているチキンなどは、むしろ目立たなくなり、この時期にしか登場しないシャポンや、鹿、バイソン、ダチョウ、猪などなど、ちょっと珍しいさまざまな種類の肉が並べられています。

 




 そして、特に今年、目を引いたのは、その多くの種類のお肉のセンターを飾るのが「WAGYU(和牛)」であったことで、「WAGYU(和牛)」がこんなに前面に出てきたのを見たのは今年が初めてでした。

 実際にフランス人がどの程度、WAGYU(和牛)を知っているのかは、わかりませんが、その和牛もコニャックでマリネされているものや、ヒマラヤの岩塩が添えられているものなど、種類はいろいろあります。

 ノエルには、普段は食べないちょっと高級なものを食べるという感覚がありますが、まさに牛肉の中でもWAGYU(和牛)は、高級な肉に位置付けられている(実際、高い)ような気がしています。

 空前の日本食ブームということもあるのでしょうが、とかく日本の食品というのは、フランスでは、高級なイメージが浸透している感じがあり、日本人の私としては、至極、光栄かつ嬉しいことではありますが、この和牛についても、どの程度のクォリティーのものかはわからず、また、日本から空輸しているとも思い難く、欧州産の日本米があるように、欧州産の和牛なのではないか?と思って、調べてみましたが、どこにも記載はなく、実際のところは、何物なのかは定かではありません。

 しかし、ここ数年で、日本の食品がかなりフランスに出回るようになったことは、事実で、お寿司、ラーメン、餃子などは、立派に市民権を得た感もあり、SUSHI, RAMEN, GYOZAなどは、そのままフランス語として使用されています。

 そして、ついには、このフランス人の食の祭典とも言うべくノエルの時期に「WAGYU」が堂々とセンターを飾る日が来るとは、私がフランスに来たばかりの20年ほど前には、想像すらつかないことでした。

 食品によっては、フランス人の好みに合わせて、変化しているもの(甘いお醤油など)もありますが、いずれも他の食品よりは、少々値段が高くてもフランス人が買いたがるようになりました。

 以前は、日本製品なら間違いなし・・と日本の工業製品がもてはやされましたが、現在は、日本の食品がちょっと高級で先端を行くような雰囲気を纏っていて、食品の中でも「日本」というのは、一種のブランドのような価値がつくもののような感じで、その実際のクォリティは、必ずしもどうかと思うところはありますが、イメージとして、かなり悪くないものとして、フランスでは浸透しつつあることを、スーパーマーケットの肉売り場で堂々とセンターを飾る「WAGYU」を見て感じたのでした。


WAGYU 和牛


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2021年12月24日金曜日

昨日は新規感染者9万人突破のフランスの感染者・濃厚接触者の隔離が社会機能を麻痺させる危機

 


 

 予想を裏切らないフランスの感染者数の拡大は、ここ3日間で記録を更新し、7万人、8万人を突破したと思っていたら、昨日はとうとう9万人(91,608人)を突破してしまいました。このままだと、ノエルぴったりのタイミングで10万人を突破しそうです。

 毎日のように、7万人、8万人、9万人の感染者が出ているということは、少なくともここ3日間で、24万人が隔離生活を送らなければならなくなっているわけで、それらの感染者の濃厚接触者を含めたら、隔離生活が必要な人もその数倍の規模で増加していきます。

 フランスでは、オミクロン株の感染対策の一環として、12月13日から、隔離のルールが変更されています。

 オミクロン株に感染した場合は、17日間の隔離が求められます。また濃厚接触者として、感染した者と同じ世帯の居住者も同様に17日間の隔離が必要になります。

 隔離状態ということは、海外から日本に入国する時のように、強制隔離施設に滞在しなければならないわけではありませんが、感染者本人とその家族がロックダウン状態になるということで、当然、仕事にも学校にも行けなくなります。

 この1週間のフランスの新規感染者数は、合計で432,611人で、一人暮らしの人もいるでしょうが、まあ、少なく考えてもその2倍、3倍の人々が隔離生活を余儀なくされるわけです。

 ただし、現在のところは、オミクロン株は感染者全体の20%程度(公式発表では)と言われているので、その全員が17日間の隔離が求められているわけではありませんが、数日のうちにオミクロン株の割合が優勢となると言われているので、感染者の大多数が長期の隔離生活を送らなければならなくなります。

 この感染増加のリズムで行けば、10万人を突破する日が何日も続くわけで、容易に100万人以上の人が隔離生活を17日間送ることになります。当然、病欠扱いです。

 これが続いていけば、1月には、病院、公共交通機関、スーパーマーケットなどの一般の商店、学校などなど、あらゆる場所においての社会的な機能が麻痺することが心配され始めています。

 毎日、10万人近くの人が17日間の隔離生活に入れば、少なくともその倍以上の人がその期間は働けない状態になるわけですから、社会機能に支障をきたすことは、言うまでもありません。

 すでに、一部の地域の交通機関などでは、減便、運行休止を余儀なくされています。

 これは、これまでの感染の波にはなかった新しい現実で、オミクロン株の拡散速度によるものです。フランス政府は、この事態を受けて、この感染者ならびに感染者の濃厚接触者の隔離期間について、症状の重さを考慮した調整が必要になるだろうと語っています。

 科学技術評議会と検討の上で、検査によって決定されるその時点の伝染力レベルや、その人の職務の性質を考慮して隔離期間が緩和される可能性があります。

 しかし、これは悪循環のスパイラルに突入する可能性も秘めており、ただでさえ、猛烈な勢いで感染が拡大している中で、本来ならば17日間は隔離する必要があると判断されていた隔離期間を社会機能が麻痺することにより、隔離期間を軽減することは、またさらに、感染を広げてしまう可能性を生み出してしまうことになりかねません。

 現在は、学校もノエルのバカンス期間に入っているために、学校での感染のリスクはなくなっていることだけが救いです。

 代わりに人が集まり集うノエルが控えているので、それも帳消しになりかねませんが・・。

 現在、パリの街に出てみると、ノエル前ということで、メトロの中も商店もマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)なども、ものすごい人出。メトロの中などは、平日の昼間にもかかわらず、いつもよりも乗車率が高く、スーツケースを持っている人、クリスマスプレゼントの買い物袋をたくさん抱えている人など、楽天的に考えれば、経済が回っているなぁ・・と思います。

 しかし、一方、マルシェ・ド・ノエルの人出などを見ると、屋外とはいえ、ほとんど遊園地のような状態。本来なら、遊園地などの娯楽施設(ディズニーランドなど)では、屋外とてヘルスパスの提示が求められているのです。

 パリのチュイルリー公園内のマルシェ・ド・ノエルなどでものすごい人にもかかわらず、マスクをしていない人もちらほら見られ、していても鼻が出ていたり、顎マスクだったりの上、ヘルスパスのチェックもありません。

 もっとも、ワクチン接種をしていても、重症化を避けられるだけで、感染のリスクはいつもつきまとうオミクロン株に対して、もはやヘルスパスが有効なのかどうかもわからなくなってきました。

 しかし、いずれにせよ、ノエルを控え、1日の新規感染者が9万人以上もいる国らしい緊張感はどこにも見えません。

 オミクロン株は、一般的に悪化する割合が低いと言われてはいますが、悪化する割合以上に感染拡大の割合が高ければ、結果的には、以前と同じ、あるいは、それ以上に医療体制も逼迫していきます。

 検査と隔離が基本であったはずの感染拡大の回避ですが、あまりの感染拡大の速度に隔離を緩和させなければならない、八方塞がりの状態になりつつあります。

 やはり、頼みの綱は、もはやワクチン接種の拡大しかないのかもしれません。


オミクロン株感染者 濃厚接触者隔離


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2021年12月23日木曜日

イギリスの1日の新規感染者数10万人、フランス8万4千人突破 もう止まらないオミクロン株

  



 イギリスの1日の新規感染者数が10万人を突破したと言うニュースに、さすがにイギリスは先を突っ走っていく・・とびっくりしていたら、同日のフランスの新規感染者数も8万4千人を超えて(84,272人)、これは冗談を言っては、いられない・・とますます怖くなってきました。

 一昨日のフランスの新規感染者数は、7万3千人、1日で1万人以上も増えるとは、やはり、只事ではありません。

 たしかに、現在はノエルを控えて検査する人が増えているのは事実ですが、それにしても、検査をして感染していなければ、感染者が増えるわけではないので、たしかに感染が急拡大していることは確かなのです。

 1日の新規感染者数を聞く前に、ちょっとお祝い事があったので、久しぶりに外食に出かけたら、そのお店では、ヘルスパスのチェックもなく、開店時間早々に入店したので、お店には、私たち以外は誰もいなかったため?と思いきや、その後、続々と入ってくるお客さんに対してもヘルスパスのチェックはしていませんでした。

 もともと、私は、あまり外食を頻繁にするわけではありませんが、それでもヘルスパスのシステムが始まって以来、全くヘルスパスのチェックをしていないお店は初めてでした。

 飲食店では、ヘルスパスのチェックが義務付けられて以来、それでも、数回は外食していますが、こんなことは初めてでした。

 これまでも、そんなお店はけっこうあるよ!と友人からは聞いていたのですが、明らかにヘルスパスもゆるゆるになってきているのを、目の当たりにしたのでした。

 知人がパリのガイドさんのような仕事をしていて、久しぶりにやってきた日本人観光客数人を案内して、ムーラン・ルージュ(フレンチカンカンなどを披露するパリの人気スペクタルショー)に行ったら、全席満席で、マスクをしている人など誰もいなくて、ビックリして、早々に外に出てしまった・・という話をたまたま昨日、聞いて、驚愕したところでした。

 まあムーラン・ルージュはドリンク付き、あるいは食事付きのショーなのでマスクをしていないのも無理はないのかもしれませんが、思わずそのド派手なショーと、満席の興奮している様子に屋内での全員ノーマスクの光景にギョッとする気持ちもわからないではありません。

 ディスコやナイトクラブなどは営業停止だと思っていたのに、ムーラン・ルージュは、食事やドリンクを伴うショーのために、この営業停止には、入っていないようです。気になって調べてみたら、もう年内いっぱい予約は満杯です。

 しかし、考えてみたら、どこのレストランも大勢のお客さんで賑わっており、飲食店ゆえ、お客さんは誰もマスクなどしていないわけで、何もムーラン・ルージュにだけ、驚くのもおかしな話です。

 しかし、ヘルスパスのチェックも適当になっているのなら、現在のフランスの感染状況が急速に拡大しているのも不思議な話ではありません。

 また、先日、偽ヘルスパスを入院の際に提示して、急激に病状が悪化して死亡した事件から偽ヘルスパスに対する調査が広がり、それ以前には、フランスでは3万6千枚の偽ヘルスパスが流通していると言っていたのが、それから、捜査が進み始めて、その次の段階では、「11万枚、またその次には30万以上の偽ヘルスパスが流通している」と発表されるごとにその数は新記録を更新し続けています。

 また、レストランなどのヘルスパスをチェックする側も、「けっこう同じ名前、同じ生年月日の人のヘルスパスを見かける・・」などと平然と言ってのけていたりするのを聞くと、これはもう、ヘルスパスが正常な機能を果たしてはいないのではないか?と思わずにはいられません。

 しかし、レストラン側では、ヘルスパスと本人確認のIDカードのチェックをすることはできずに、ハッキングされているか、闇でやりとりされているヘルスパスを見分けることはできません。

 ノエルを家族と迎えるために、絶賛、PCR検査進行中のフランスではありますが、こうなってくると、検査の結果、陽性になった8万4千人の人々が、家族とノエルを迎えることを諦めて、おとなしく隔離生活を送るのかどうかも疑わしく思えてきてしまいます。

 こんなに急激に感染が拡大している事態に、「昨年は、ワクチンなしにノエルを乗り越えた・・フランス国民は皆、どうやって感染回避ができるかはわかっているはず・・」と、ただ漠然と、「大勢での集まりは避けるように」というだけで、ノエル・年末年始を迎えようとしているのは、どう考えても甘すぎると思うのです。

 ヘルスパスからワクチンパスへの移行を急いで1月初旬に前倒しにすることになったようですが、たとえ、それがヘルスパスでもワクチンパスでもそのチェック機能がしっかりなされていなければ、同じことで、その前に最も人々が集うノエルや年末年始に特別な対策もとらずにいたら、ワクチンパスが施行される前に大事に至ってしまいます。

 11月の初旬にWHO(世界保健機構)が「ヨーロッパが再び感染の震源地になる 2月までにさらに50万人の犠牲者が出る恐れがある」と警告していましたが、まさに、ヨーロッパでの感染拡大は、現在とどまることを知らず、イギリスの10万6千人をはじめとして、フランス8万4千人、ドイツ4万5千人、スペイン6万人、イタリア3万6千人、オランダ1万3千人とこれだけの国でも、1日の新規感染者数は34万5千人以上、毎日、新記録を更新しつづけています。

 これまで「コロナと共存しながら生きる」などのスローガンを掲げて進んできましたが、どうやら、これでは、「とてもコロナと共存して生きる」どころではありません。


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2021年12月22日水曜日

フランス新規感染者数73,000人を記録 

 


 21日、フランスから日本への入国の際の強制隔離期間が3日間から6日間に延長されました。これまで、フランスよりも感染者の少ないイタリアなどの国が6日間の隔離とされていたので、「なぜ?フランスは3日間でいいの?」と思っていたくらいなので、当然だとは思うものの、やはりショックでもあります。

 もちろん、当分、日本には行くつもりはありませんが、あらためて隔離期間を延長されれば、ショッキングではあります。「あ〜あ・・」などと言っている私に娘は、あっさりと、「隔離云々以前に、来ないでくださいってことでしょ!」とバッサリ。

 そう、この6日間の強制隔離、しかも、どんな施設が割り当てられるかもわからず、ヘタをすると、テレビなし、ネットなしの狭い個室の監禁状態。これでは、ただでさえ、ややこしい日本への帰国は、さらにハードルが上がります。

 そんなお知らせが入ったと思ったら、フランスでの1日の新規感染者数は73,000人を記録したという、これまた衝撃的なニュース。毎週月曜日は、前日が休日のために感染者数が減少するのですが、その分が上乗せされた?としても、深刻な数字です。

 政府報道官のガブリエル・アタルは、この数字は1週間で15%増加しているものであり、現在、一番、警戒されているオミクロン株の割合が20%を超えたことを発表しました。

 10万人あたりの発症率は、全国平均で545人、しかしこれは、地域による格差も激しく、パリでは、発生率は1,000人に近く、20〜29歳の年齢層では1,748人となっています。

 首都圏での感染、特に20〜40歳の若年層における非常に強い感染の増加が見られることも特徴のひとつです。

 オミクロン株により、周囲のヨーロッパ諸国も感染が拡大進み、クリスマス・年末年始を前に続々と生活の行動制限を行い始めました。

 オランダのロックダウンをはじめとして、ドイツは、年末年始に人を招く際には、ワクチン接種者は10人以内、ワクチン未接種者は2人以内と人数制限し、28日からのスポーツ大会は非公開にすると発表。ポルトガルも来週からバーやディスコは閉店し、2週間のリモートワークが義務付けられます。

 これに対して、フランスは、クラブやディスコはすでに営業停止になっているものの、現在のところ、ノエルや年末年始の細かい具体的な人数制限などの規制は設けていません。

 むしろ、ノエルや年末年始の集まりを飛び越えて、ヘルスパスからワクチンパスへの移行を予定より前倒しにすることを急いでいるようです。

 常にウィルス感染に関しては先頭を切っているイギリスも、一時、1日の感染者数が9万人を突破していますが、イギリスの場合は、感染者数は多いものの、集中治療室の患者数は1,000人以下、死者数もフランスよりも抑えられています。

 そこへ行くと、フランスは、感染者の増加とともに、順調に集中治療室(3,000人突破)の患者数、死者数も増加しており、医療従事者の疲弊と危機感は増すばかりです。

 第1波の時の医療崩壊は、本当に悲惨な状態で、集中治療室の患者数が7,000以上にまで達しましたが、医療従事者が言うには、「それでもあの時は、ロックダウンしていたために、ほぼほぼコロナウィルスの患者に集中できていたけれど、現在は、交通事故もあれば、他の病気の患者さんもたくさんいて、しかも、この2年間に疲れ果てたり、ワクチン義務化に反対する医療従事者が退職したりで、人手不足のために閉鎖されている病棟も増えてしまった」のだとか・・。

 つまり、あの当時よりも病床のキャパも人手も減っているということなのです。

 ヘルスパスをワクチンパスに移行するのも良いけれど、とりあえず目前に控えたノエルでの人の集まりを具体的な人数などを示して制限しなければ、大変なことになりかねないと、私は心配でなりません。

 特に、昨年は、ワクチン接種をしていなかったにもかかわらず、想像以上にノエルのタイミングでは感染拡大を避けられたので、「ノエルはさほど心配ではなく、むしろ年末のカウントダウンの方に注意するべき」などと言っていますが、昨年とは、様々な点で状況は違います。

 あの頃は、レストランなどの飲食店も全て営業停止で、蔓延していたウィルスの種類も現在とは違うのです。

 特にオミクロン株が若年層で急拡大しているのならば、むしろ、子供からおじいさん、おばあさんまでの家族で集まるノエルは非常に危険なのではないかと思うのです。

 また、「ノエルの集まりの前には検査をして、少なくともオートテスト(簡易検査)をして臨みましょう」と言っているにもかかわらず、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)の薬局のオートテストはほぼ完売状態で今や簡単には手に入らない状況です。

 この2日に2倍以上に感染者が増加するというオミクロン株、ワクチンパスを急ぐだけでなく、年末年始の感染対策を強化しなければ、大変なことになりかねません。

 もうだんだん、感染者数の増加にも感覚が麻痺してきていますが、1日の新規感染者数が7万人というのは、現在の感染者数が7万人というわけではなく、毎日、プラス7万人増加しているということで、累積している感染者数は、考えるだけでも恐ろしい現状です。

 WHOは「2022年までにパンデミックを終わらせるために全力を尽くすことを約束します」と言っているようですが、本当に不安の中で過ごすノエルはこれで最後にしてもらいたいものです。


フランス新規感染者新記録更新


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2021年12月21日火曜日

フランスでのオミクロン株の拡大とその危険性 パリ近郊・首都圏では、すでにオミクロンの割合が高い

  


 現在のフランスでの新型コロナウィルスの感染は、デルタ株が主流とされていますが、オミクロン株もその間を縫って、着々と侵食しつつあります。現在のフランスでのオミクロン株は、感染者全体の7〜12%と言われていますが、セーヌ・エ・マルヌ、サルト、パリ(la Seine-et-Marne, la Sarthe, Paris)などの首都圏では、より高い割合になっており、感染者の20%がオミクロン株による感染に移行していると言われています。

 コビットトラッカーCovidTracker(感染状況確認サイト)とViteMaDose(ワクチン予約サイト)のウェブサイトの創設者であるギヨーム・ロジエ(Guillaume Rozier)によると、オミクロンは国内で6.8%を超え、イル・ド・フランスでは20%、パリでは27%にもなる可能性があるといいます。

 他の専門家はさらに悲観的で、CNRS の研究者である Florence Débarre 氏も オミクロン変異種がこの週末にイル・ド・フランスの症例の 50% を通過した可能性と、変異体の倍加時間が「2 日間程度」であることを示しています。

 現在のフランスでは、感染者に対する変異種のスクリーニングは一部のケースにしか行われておらず、このオミクロン株の数については、非常に不確実なものであり、感染者数がここ1〜2ヶ月で、毎週のように10%以上の速い増加傾向を示していることから、感染速度の速いオミクロン株の数は、確認されている数字よりもずっと高い可能性があるのです。

 イギリスの最新の研究によると、オミクロンに対するワクチン防御率は2回の接種で30%(ブースター接種では70%)に低下することがわかっています。重症化した場合の防御率は70%と依然高いながらも、オミクロンの危険性は、患者数が圧倒的に大幅に増え、ただでさえ医療体制が危機的状態に陥っている時に、危険にさらされている人たちに打撃を与えることです。

 ファイザー社製ワクチンの共同開発者であるバイオテック社のCEOは、12月20日(月)のルモンド紙でオミクロン変異種は、メッセンジャーRNAワクチンの有効性を脅かす存在であることを指摘しています。

 また、毎日新聞のインタビューを受けたウグル・サヒンによると、「3回のワクチン接種者も、この変異種でウィルス感染を広げる傾向があり、オミクロンに対する効果は時間とともに失われる可能性が高いが、そのスピードはまだ測定できていない」と語っています。

 しかし、また同時に「オミクロン特別適応ワクチン」の開発もすでに発表されており、規制当局の承認が得られれば、3月には最初のオミクロン適応ワクチンを提供できるはずであるとしています。

 また、12月中旬、南アフリカとイギリスの民間・公共団体の研究からは、「オミクロン株が我々の免疫システムを回避して、以前にコロナウィルスに感染した人に再感染する能力がある」ことも発表されています。

 このように、オミクロン株については、様々な研究結果が発表されていますが、世界保健機関(WHO)も12月14日(火)、オミクロンの変異型が「他のどの変異型でも見たことのない速度で」広がっていると警告し、G7諸国の保健相は、「今日の世界の公衆衛生に対する最大の脅威」であるとして各国に協力を呼びかけています。

 いずれにしても、クリスマス、年末年始を迎えるタイミングで、昨年とは違って、ワクチン接種が行われている状態にもかかわらず、すでに、爆発的な感染拡大を見せているオミクロン株は、十分に脅威的な存在であるに違いありません。


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2021年12月20日月曜日

2022年1月からのワクチンパスの内容

  


 12月17日にカステックス首相が発表した来年早々にはヘルスパスがワクチンパスになるという話は、実際の施行は、おそらく1ヶ月以上先になるためなのか、私が思ったよりは騒ぎにはなっていません。むしろ、7月の時点でのヘルスパスの発表の方が衝撃的で皆が慌てたと言ってもいいかもしれません。

 そもそもワクチン接種をすでに受けている77.8%の人にとっては、なんら変更のないものであり、これにより影響を受けるのは、残りの22%のワクチン未接種者にのみ限られており、すでにヘルスパスによる生活が浸透しているフランス国民にとっては、大きな変更はありません。

 しかし、これは、日に日に深刻になっている現在の感染拡大による病院等の医療施設の圧迫を食い止めるためのヘルスパスだけでは動じないアンチワクチン論者をワクチン接種を加速させるための施策であることは言うまでもありません。

 これは、これまでのヘルスパスをワクチンパスに変更し、公共の場所への入場はワクチン接種者だけに限定し、たとえPCR検査があってもワクチン未接種者は入場させないということです。

 フランス政府は、「一部の人々(といっても約600万人)のワクチン接種拒否が国全体の命を危険にさらすことは許されない」と、ヘルスパスからワクチンパスへの移行を説明しています。

 特に心配されているのは、50歳から74歳の130万人、75歳以上の高齢者56万5千人が未接種であることで、意外にも高齢者にもワクチン未接種者が多いことです。

 基本的には、ヘルスパスと同様の形態をとり、QRコード形式でデジタルまたは、紙媒体で提供されるとしているので、これまでのヘルスパスの中のワクチン接種の記録をそのまま使用する形になります。

 また、ワクチンパスが必要とされる場所は概ねヘルスパスと同様で、カフェ・レストラン(テラス席を含む)、文化施設、娯楽施設、スポーツジム、病院、高齢者施設、イベント会場などで、ヘルスパス同様、ショッピングセンターは影響を受けることはありません。

 また、飛行機、列車、長距離バスなどの長旅には、必要とされますが、メトロ、RER、TERなど日常的な移動には必要ない。ウィンタースポーツリゾートでは、レストランやスキーリフトでワクチンパスが必要となります。

 また、病院の一般外来に関しても、ワクチンパスが必要になりますが、救急(緊急)外来の場合には、ワクチンパスのチェックはありません。一般外来のワクチンパスについては、緊急ではないとはいえ、物議を醸しそうな問題ではあります。
 
 企業へのアクセスについては、今後、労働大臣がソーシャルパートナーとの会合で直接、話し合いがもたれることになっています。

 しかし、今後、さらに問題をややこしくするのは、ワクチンの有効期限切れの問題で、これまでは、ワクチン接種率を2回のワクチン接種で換算していましたが、(現在は2回目のワクチン接種から7ヶ月後以内に3回目のワクチン接種をしないとヘルスパス(ワクチンパス)が1月15日以降は無効になることになっており、65歳以上の人に関しては、すでに12月15日から、追加接種をしていなければ、(2回のワクチン接種から7ヶ月以降経過している場合)無効になっています。

 ですから、今後、初めてワクチン接種をする人に関しては、2回のワクチン接種で、すでに2回のワクチン接種をしている人に対しては7ヶ月以内に3回目のワクチン接種をした状態がワクチンパスとして通用することになるのです。

 医療従事者に関しては、すでにワクチン接種が義務化されていますが、彼らは、2022年1月30日までに3回目のワクチン(ブースター接種)がさらに義務付けられます。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、パリ近郊でオミクロン変異種の病院クラスターが複数検出されたことをこの理由として説明しています。

 また、医療従事者だけでなく、救急隊員(消防士)の接種義務を強化する予定であることも併せて発表しています。
 
 このワクチンパスへの移行について、「ワクチン接種強制の偽装ではないか?」と疑問の声も上がっていましたが、逆に政府は、はっきりと「これは、ワクチン接種を強制に近づけるものである」とはっきりと認めています。
 
 彼の態度は毅然としており、「我々は、いつまでもワクチン接種を受けない人のために、多くの国民を危険に晒し続け、コロナウィルスの被害を受け続けるわけにはいかない。ワクチン接種を受けていない人がバーやレストラン、一般の人々を迎える場所に行くのを防ぐことは、路上で捕まったら135ユーロの罰金を課すよりも効果的だ!我々は、罰を与えるためにやっているのではない!」と語っています。

 しかし、ワクチン接種が始まって以来、もはや1年以上経っても、未だワクチンを受けない人々の態度は強靭で、「ワクチンパス・・そんなの関係ない!」と息巻いている人が多いのも事実ですが、実際にワクチンを打たないとレストランにも行けない、TGVにも乗れない・・かなり厳しい措置、これにより、ワクチン未接種者は、フランス人にとって何よりも大切なバカンスも満足に過ごせなくなる、もはや兵糧攻めのような立場においやられることと同じことになります。

 このワクチンパスがどの程度の効果を見せるのかは期待したいところです。

ワクチンパス フランス


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2021年12月19日日曜日

イギリスとフランスの感染対策経緯の違い 順送りにヨーロッパを襲い続けるコロナ波

 


 パンデミックが始まって以来、ヨーロッパは、まるで順送りのように、感染の波の悪化と低下を繰り返しています。2020年の年末から2021年にかけては、イギリスでデルタ株が急増し始めて、急にイギリスとの国境を閉鎖し、クリスマスには、イギリスとの国境で立ち往生する多くのトラックの様子などが報道されていました。

 それから、イギリスは、どこの国よりも早く、ワクチン接種を開始し、猛スピードでワクチン接種を拡大していきました。

 今年の7月の段階では、イギリスはすでに国民の7割程度が2度のワクチン接種を済ませており、1日の感染者数は2千人台にまで落ち着いていました。

 この段階でフランスのワクチン接種率は、6割にも満たない状況で、バカンスを前にフランスは、ヘルスパスを起用し、ワクチン接種の拡大を促すとともに、ヘルスパスがないと身動きがとれなくなるような制限や医療従事者のワクチン接種義務化などを導入しています。

 イギリスは、同時期には、ワクチン対策が十分であることに賭け、フランスとは真逆の対応に向けて舵を切り、すべての制限を撤廃する方向に方針転換をしています。

 この段階では、フランスは、状況的に(感染状況・ワクチン接種状況)から、夏のバカンスに向けて、とてもイギリスのような方向に進むことができなかったのも事実です。

 しかし、冬が近づくにつれ、両国とも感染状況は悪化し始めましたが(デルタ株)、特に新しいオミクロン変異種が出現してからのイギリスの感染拡大は、ものすごい勢いで進み、1日の新規感染者数は毎日のように新記録を更新し、1日9万人を突破しています。

 現在のイギリスのオミクロン株の感染拡大は、デルタ株に関連した極めて緊迫した状況の上に発生しているのです。これは、今後、フランスでの感染がオミクロン株が主流になった場合におなじことが言えます。

 イギリス政府はこの事態を受け、パンデミック開始以来2回目となる「重大インシデント」を宣言したことを発表しています。現在は、屋内の公共の場や公共交通機関を利用する際、イベント参加等には、マスク着用が義務付けられ、可能な限りリモートワークにシフトすること、また、ナイトクラブなどに行く際は、NHS COVID PASS(フランスのヘルスパス)の提示などが呼びかけられています。(フランスではナイトクラブは現在、営業停止です)

 そして、ワクチン接種に関しては、2回目のワクチン接種から3ヶ月後にブースター接種が可能になっています。(フランスでは4ヶ月後から可能)

 このワクチン接種の間隔については、今後もしばらくは、感染拡大の重要な鍵となるかもしれません。

 結果的に、どちらの国も似たり寄ったりの感染対策のための制限を行なっているのですが、今年の夏の時点からヘルスパスを起用しているフランスは、以来、一貫して、若干、制限はキツめです。一時、制限を少し緩めたのは、小学校でのマスク義務化を撤廃したことでしょうか?

 しかし、このほんの少しの隙を縫って、ウィルスはワクチン接種をしていない子供の間から感染拡大し始めました。

 これまでの感染拡大の波を見てみると、イギリスは常に先頭を切り、フランスは、イギリスの2〜3ヶ月後にイギリス同様の感染の波を迎えており、ヘルスパスをもってしても、同じ道筋を辿る可能性は高いと思わざるを得ません。

 にもかかわらず、ノエル前にフランス政府が発表した感染対策は、特に厳しいものではなく、大勢での集まりは避けるように、年末のカウントダウンの花火なども中止という程度のもので、また、イギリスも感染対策のためのさらなる制限は、クリスマス後ということになっているようで、最も人々が集う機会を避けて制限を行うことに、両国民にとってのノエル・クリスマスの位置付けを垣間見ることができます。

 一方、似通った感染状況のオランダは、やはり、オミクロン株による急激な感染拡大から、19日から、日常必需品以外の店舗、学校、バー、レストラン、その他の公共施設をすべて閉鎖するという厳格なロックダウンに踏み切ることを発表しています。

 これだけの厳格なロックダウンは、第一波の際のロックダウン以来、ヨーロッパでは久しぶりのことです。

 先週火曜日、オランダ政府はすでに、午後5時から午前5時までのバー、レストラン、ほとんどの店の閉鎖を1月14日まで延長することを発表したばかりでした。

 人口に対する感染者数やワクチン接種率等は、ほぼフランスと変わらない状況のオランダが、このような厳しいロックダウンを行うことで、この間の感染は、おそらくフランスやイギリスとは桁違いに減少するのではないかと思います。

 どちらにしても、第一波から甚大な被害を生み続けているヨーロッパは、やはり、制限なしには、感染を抑えることは不可能で、この間、一時、若干(ヨーロッパと比較すればの話)感染が拡大したこともあったものの、結局のところ、ロックダウンなどは行わずに、オリンピックまで開催したというのに、結局、感染を抑えている日本は、別世界と言わざるを得ません。

 日頃からの衛生観念は、天と地ほどもの違いがあり、現在、ヨーロッパの国々が感染対策のために衛生に気を配った状態でさえも、コロナ前の日本の状況に及ぶものではありません。

 規則を守るとか、自制する、自粛するということも、結局のところ、制限されなければ、罰金が課せられなければ、遵守されることもないのです。(なかには、ちゃんとした人もいますが、大多数は違う)

 オミクロン株対策のための日本の水際対策により、日本人でさえも容易に日本に帰国できない状態になり、「日本は厳しい・・」と悲しく思うこともありますが、このような厳しい対策の上に現在の日本の状況が保たれていることを思うと、これも致し方ないかな・・と現在のヨーロッパの状況を目の当たりにして思い始めているのです。


オミクロン株対応


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2021年12月18日土曜日

ヘルスパスがワクチンパスになる! 

  


 現在、1日の新規感染者数が平均5万人のフランスは、ノエルのバカンスに入る前に国防会議を開き、カステックス首相がノエル・年末年始に向けての新しい制限を発表しました。

 ワクチン接種の効果から、これだけ感染者が多いにもかかわらず、重症患者は、昨年よりも少ない状況とはいえ、医療体制も限界に近づいており、地域によっては(マルセイユやアルプ・コートダジュールなど)、すでに患者の移送が始まっています。

 この状況の中でノエル・年末年始のバカンスを迎えるにあたって、「大勢での集まりは避ける=大きなパーティーや集まりは避ける」「公道での無許可の集会や飲酒を禁止し、自治体には、公道での集会、特に花火やコンサートの開催を控えるよう呼びかける」ことを発表しました。



 「皆の責任に訴える」という漠然とした発表に「皆の責任は、皆の無責任にはならないだろうか?」と年末年始への対策は、大いに不安です。「人数は少なければ少ないほどリスクは少なくなる」という言い方でしたが、具体的に集まりは、何名程度とか、そんな目安の提示があった方がよかったのではないかと思います。

 まあ、今さら、分かりきっていることではありますが、そうはいかないのがフランスです。

 年末のシャンゼリゼ(だけではないが・・)などでのカウントダウンなども、相当な人混みになるはずなのに、やるのかやらないのか? ヘルスパスのチェックがあるのかどうか、そんなことも発表されてはいません。

 現在のフランスは、デルタ株による第5波のピークを迎えていますが、もうすでに、ものすごい感染力を持ったオミクロン株による侵食が始まっています。イギリスでは、このオミクロン株による感染拡大で、1日の新規感染者数が9万3千人を超えたというニュースからも、このオミクロン株の波が1月にはフランスを襲うのは、もはや避けきれない状態です。

 フランス政府は結局は、国民がノエルを迎えることに対しては、相変わらず、甘々で、そのかわりに、その後に急速に制限を強化する方針が伺えます。

 何と言っても、最も衝撃的であったのは、1月早々にも、これまでの「ヘルスパス」が「ワクチンパス」になるという発表でした。すでに逼迫している病院の状況で、重症化している患者のほとんどがワクチン未接種者であることから、これは、ワクチン未接種者に対するさらなる追い込みであると考えられます。

 現在、ヘルスパスとして、PCR検査の陰性証明書も通用しているものが、来年からは、ワクチン接種者以外は、ヘルスパスで入場できていた場所(レストラン・カフェ、コンサート、映画館、長距離移動の交通機関、映画館、美術館、娯楽施設、スポーツ施設などなど)にワクチン接種者以外は立ち入れなくなります。

 フランスでは、未だワクチン接種を受けていない人が600万人以上残っています。(ワクチン接種を受ける資格のある年齢の人々)

 そして、また、これまで、2回目のワクチン接種から5ヶ月後(これも最近短縮したばかり)であったブースター接種が4ヶ月後に繰り上げられます。

 今年の7月にヘルスパスの発表を聞いた時は、「これではまるで、ワクチン接種の義務化だ・・」と思ったのを覚えていますが、結果的に、ワクチン接種は、77%程度でほとんど上げ止まりの状態で、ガンとしてワクチン接種を避け続けている層が存在しつづけています。

 今回のヘルスパスがワクチンパスになることで、どれほどのワクチン接種率があがるのかは、わかりませんが、この政策に期待したいところです。ヘルスパスがワクチンパスになっても、ワクチン義務化とは言わないのです。

 一方、先日、偽ヘルスパスを入院時に提示したことで、死亡した患者の事件で、偽ヘルスパスに対する警戒が強くなりましたが、それ以前までには、フランスでは、3万6千枚の偽ヘルスパスが流通していると言われていたのに、その後の調査から、実際は、11万以上もの偽ヘルスパスが流通していることがわかり、愕然としています。

 今回のヘルスパスからワクチンパスになることによって、ますます偽ワクチンパスが増えるのではないかと今から心配しています。


フランス ワクチンパス


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2021年12月17日金曜日

ワクチン接種の急な予約変更 パリのワクチンセンター

 


 フランスの感染状況が日々、悪化する中、政府は、ひたすらワクチン接種、ブースター接種を呼びかけ、毎日、ものすごい勢いでワクチン接種を進めています。先日は、1日のワクチン接種が828,705件という記録を更新したと発表されていました。

 私は、先週の初めにブースター接種を済ませたのですが、娘の予約はもう少し後になっていたのが、直前になって、場所が変更され、家から少し離れたパリ市内の大きなワクチンセンターに行くハメになりました。

 「家から近いところに予約したのに〜〜!」と不満気な娘。近所の薬局では、先週末に予約なしにワクチン接種をしていたので、念のため、今週末もやらないのかどうか聞きに行ったところ、「先週は、大量にワクチンが入荷することになったから、特別にやったけど、今のところ、大量に入る予定はないので、当分は予約制で・・」「予約は、今のところ12月中は、いっぱいだけど、あなた、家、近所でしょ・・もし、余ることがあったら、連絡しようか?」と言ってくれました。

 しかし、一応、場所は変更されたとはいえ、予約が取れている娘、いつになるかわからない近所でのワクチン接種を待つのも何なので、指定された家から少し離れたワクチンセンターに行くことにしました。

 それは、パリ15区ポルト・ド・ヴェルサイユにある「パリ・エクスポ」という大きな展示会や見本市をやったりする巨大な会場で、娘が小さい頃に春や夏のコロニー(合宿)の際の集合場所で(パリ近郊の子供たちが全て同じ場所に集められており、ここからバスが出発していました)毎年、バカンスシーズンの度に、娘を送り迎えに行っていた懐かしい場所です。

 数年ぶりに行ったパリ・エクスポは当時よりも数段、きれいに洗練されていて、長い年月が経ったと感慨深い気持ちでした。

 あの頃、来ていたあの場所がこんなにきれいになって、しかし、まさかワクチンセンターになるとは・・先のことはわからないものです。

 


 入り口から中がものすごく広いことはわかっていたので、そのどこでワクチンをやっているのか? 少し不安でしたが、何のことはない、入口には、大きな看板がたっており(そりゃそうだ・・)迷うことなく、すぐにワクチンセンターの中に入りました。

 中に入ると、まず、予約があるかどうかのチェック、ワクチン接種は、30歳以上、30歳以下で区別されていました。30歳以上はモデルナ、30歳以下はファイザーと分けられているのです。  


 おそらく、急激にワクチン接種を進めるために、最初に政府は一番、簡単にできるパリ市内の薬局にワクチンを大量に配り、少し軌道に乗ってきたところで、ワクチンセンターで集約してワクチン接種を行なっていくことにしたのでしょう。(薬局からも悲鳴があがっていましたから・・)

 私は、一歩、タイミングが早かったので、30歳以上ですが、予約していたとおりにファイザーを打ってもらいましたが、今週に入ってからは、ファイザーで予約したのに、モデルナになっていた・・などという人もいて、ワクチン接種を急拡大していくにあたって、交通整理のようなことをし始めたのだと思います。

  


 ワクチンセンターの中で働いているのは、救急隊員(通称ポンピエ)で、少々、ワクチンを打ちに来ている人に対して、待機しているポンピエが多すぎる気もしましたが、大きな会場の中に、いくつものブースができていて、ブースに進む前に問診票に記入し、その後にIDカード、名前、住所、生年月日、ヘルスパスの履歴のチェックの後、ワクチン接種へ進みます。

  


 ワクチン接種は、数分で済み、すぐにQRコード入りのワクチン接種証明書が渡されます。間隔をおいて置かれて並べられた椅子で15分ほど待ち、時間が経過すると、出口で証明書にスタンプが押されて完了です。

  


 ワクチン接種をする側からしたら、一つ一つの大きな場所で、このようにスムーズにどんどんワクチン接種をしていく方が、効率はよいのだろうと思います。

 オミクロン株の影響でフランス以上の急激な感染拡大を見せているイギリスのように(1日の感染者数8万人突破)、これから、ノエル、年末年始を迎えるフランスが年明けに第6波を迎えてしまうかどうかは、このワクチン接種の拡大にかかっています。


パリのワクチンセンター


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2021年12月16日木曜日

12月は犯罪が多いパリ パリのスリの生息地

   


 パリの治安はいつも悪いのですが、12月は特に悪いことを、ついつい忘れがちになります。友人がスリにあったという話を聞いて、そういえば、今は12月だったことを思い起こすほど、12月は特に治安が悪いのです。

 12月は、多くの人がノエルを控えての買い物に出たり、ノエルのイルミネーションで彩られていたり、何となく街全体が浮き足立っている中、スリやひったくり、置き引き、万引きなどの犯罪が一段と増え、届くはずの荷物が盗まれて、なくなってしまったりすることも多いのです。

 多くの人が買い物をする季節ということは、皆がお金がほしい季節でもあり、その手の犯罪のプロには、かき入れどきでもあるのです。

 そういえば、うちの娘も昨年のクリスマスイブにTGVの中でスリの被害に遭いました。いつ取られたのかわかっていれば、取られていないので、誰にとられたのかわからないのですが、TGVに乗った時にはたしかに持っていたお財布が降りるときには、なくなっていたのです。

 モンパルナス駅で一文なしになった娘が、落胆して、「これではメトロにものれない・・」と半鳴き声で電話をかけてきた、とんでもないクリスマスイブでした。

 そんな時は、警察に駆け込んだとしても、それは、被害届を作ってもらうだけのことで、そのことによって、盗られたお財布やバッグが戻ってくるわけではありません。

 一度だけ、友人がお財布を盗られた時に、後になって警察から連絡があり、お財布が戻ってきたという奇跡的な話がありましたが、それは、例外中の例外の話で、たまたまスリをはたらいた者が現金だけ抜き取って、お財布は捨て去ったために、運良くそのお財布を拾った人が警察に届けてくれたのであって、スリが捕まったわけではありません。

 お財布を盗られた娘は中には大した現金は入っていませんでしたが、銀行のカードの差し止めやIDカード、健康保険のカードなどの再発行手続きで年末年始は奔走することになったのでした。

 見るからに、怪しいジプシーの子供たちのようなグループや、数人でアンケートを装って近づいてきたり、親しげに話しかけてきたり、わざと何かをこぼしたり、落としたりして、注意を逸らして、その間に仲間がスリを働いたりと、わりとスタンダードなスリやひったくりもたくさんありますが、最近、増えたのは、一見するとそれとは、とても思えない、かなり身なりのよい、一見、ビジネスマン風の装いで、ごくごく普通に生活しているような風を装っているスリです。

 私の知人がレストランで食事をしていた際に自分の座っていた椅子に、自分のお尻と椅子のせもたれとに挟むかたちでバッグをおいていたところ、いつのまにか、バッグをとられており、その後、状況を思い返してみると、どう考えても、トレンチコートを着たビジネスマン風の男しか、思い当たらず、周囲の人の証言からも、おそらくあの男が犯人であろうということになったのですが、それは、後になってから思い返してみれば・・という話で、気付いた時には、その男は消え去っていたのでした。

 また、スリというと、電車やバスの中が狙われやすいのは、もちろんのことですが、スーパーマーケットやデパート、マルシェなどでの買い物中も危険です。買い物中は、買い物に気を取られがちで、ついつい気が逸れていることも多いので、そこを狙われるのです。

 特に日本人は、観光客はもちろんのこと、平和で治安のよい国で生まれ育っているためにスキも多く、現金をたくさん持っていると見られていて、ターゲットにされることも多く、一時は、日本食料品店がターゲットになっていた時期もあり、日本食料品に入ると、「店内でのスリが多発していますので、お気をつけください」などという張り紙がどこのお店にも貼られていました。

 その他、最近は、皆が携帯を持っているようになったので、電車やバスの中で携帯を出すと盗られる!などということは減りましたが、それでも、新しいモデルのiPhoneなどを持っていて、特に車内のドア近くに立って携帯を見ていたりすると、ドアが閉まる直前にひったくられるなどという被害にあった同僚がいました。

 「買ってまだ数日の新品だったのに・・」と嘆いていた彼女は、必死で同僚に「ドアの近くに立って、携帯を持っていてはいけない!」と言い回っていました。

 また、車に乗っていても、決して安心はできません。車の運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人もいました。これは、パリ16区で起こった事なので、特に治安が悪いところではありませんが、むしろ、お金持ち目当ての計画的な犯行とも考えられます。

 車に乗る時は、車のドアはロックしておかなければなりません。なんなら、バッグは座席の上に乗せておいてはいけません。

 ブランド物のバッグを持って街中を歩いていて、後ろからバイクに乗った男にバッグをひったくられた人もいました。

 こうして思い返していると、スリやひったくりの被害にあった知人の話はいくらでも出てきます。

 私自身は、急に男が近づいてきたと思ったら、いきなりネックレスをひっちぎられたことがありました。いつも通勤に通っている場所で、視界も良く、決して治安の悪い場所ではありません。

 その時は、恐怖で声をあげることもできませんでした。

 注意していれば、避けられることもありますが、狙われたら最後、避けられないものもあります。

 私は恐怖の一件以来、特に、パリではできるだけ目立たないように、地味な服装で、ブランド物などはできるだけ身につけないように警戒して暮らしています。

 名だたるブランドものを創出しているフランスではありますが、残念なことに、そんなブランドものは、パリでは持ち歩けないというまことに残念な治安の悪さです。

 友人がスリにあった!という話を聞いてすぐに、ドンピシャのタイミングでパリの日本大使館から、「スリ、置き引き、ひったくり等の犯罪が多発しています」という注意喚起のお知らせが入りました。

 いつもなら、見過ごしてしまいそうなお知らせですが、友人がスリにあったばかり、また、そういえば、12月だった!ということもあり、再び、身の引き締まる思いがしたのでした。


パリの治安 スリ 強奪 置き引き


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2021年12月15日水曜日

医療スタッフのノエルのバカンス延期に1日200ユーロの報酬 ノエルから年末年始にかけての病院の人手不足対応 

  

 

 ノエル・年末年始が近づいてきているというのに、フランスの感染拡大は一向にとどまることを知らずに、「ピークを迎えたかもしれない・・」と言いながら、すでに長い時が経過しています。

 ピークというのは、頂点ということで、ピークを迎えるということは、その後は減少し始めるということになると思うのですが、ひょっとすると、このピークの状態がしばらく上げ止まりの状態でしばらく続くかもしれないとも言い出しています。

 先週末には、人口10万人あたりの発症率が500人を超え(501.3人)、第2波のピーク時を超え、パンデミック開始以来、最高の水準に達し、昨日は、再び、これまでの記録を更新、1日の新規感染者数が6万3千人を突破(63,405人)しました。

 その結果、入院患者数は日に日に増加し、先週の11,526人に比べ、1週間で14,050人にまで増加しています。フランスで感染が急拡大しはじめて、マクロン大統領が緊急演説を行った11月9日には、6,851人でした。1ヶ月程度で2倍の増加です。

 この勢いで入院患者数が増加し続ければ、従来ならば、ノエル・年末年始のバカンス期間に休暇を取る予定にしている病院スタッフ・医療従事者も多く、この第5波に乗って病院に送られてくる患者の対応が非常に心配されています。

 この2年近く続くパンデミックでの疲弊から、病院では、退職者・転職者が増加した上に、以前よりも採用が少なく、人手不足が高じて年度始めから閉鎖されている病床が出ています。

 今週に入って、AP-HP(Assistance publique-Hôpitaux de Paris)(パリ公立病院連合)事務局長は、このノエル・年末年始のタイミングで、運び込まれる患者の対応のために、より多くの患者を受け入れることができるよう、病院スタッフ・医療従事者に対して、この期間のバカンス休暇を延期して、この間、働いた者に対して、1日あたり200ユーロ(約2万6千円)、10日間で2,000ユーロ(約26万円)を支払うという提案をしています。

 すでにこの提案は、8地域の医療機関で発動されていますが、これはあくまでも、強制ではなく、休みを取りたい人は取り、休暇の延期に同意してもらえれば、買い取りを申し出る予定としています。

 買い取りと言っても、休暇を取り上げられるわけではなく、延期です。休暇が延期された場合、この特別手当プラス、特に子ども一人につき週50時間を上限とする家庭でのケア費用を払い戻すことにより、病院スタッフの子どものケアを促進することを示しました。

 しかし、これには、賛否両論分かれており、「背に腹はかえられない」両者が苦渋の決断を強いられています。

 フランスでは、時間貯蓄口座を認可している企業では、従業員は取得しなかった休暇や、残業、または賞与や利益分配などの報酬をこの口座に入れ、積み立てることができます。しかし、今回のAP-HPの提案では、病院の人手不足を補うために、病院スタッフの休暇を「時間貯蓄口座に入れるのではなく、直接買い戻す」ことを提案していると言います。

 2020年末、フランス政府は、すでに政令により、医療従事者がパンデミックの影響で2020年10月1日から12月31日までに休暇数に応じて算出される「補償手当」を受け取ることを許可していました。

 これは、病院が人手不足に悩む中、クリスマス休暇を犠牲にすることに同意するよう、病院スタッフから有給休暇を高値で買い取り、患者さんの流入に対応するための発表です。

 それにしても、フランス人が何よりも尊ぶノエルを高額の特別手当と引き換えにするのかどうか? お金か?ノエルか? 

 AP-HPの事務局長は、この報酬を払う価値のあることであると語っています。

 それよりも、皆が何の不安もなく、大切な家族とノエルを過ごせる日が一日も早くやってきますように・・。


病院の人手不足


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2021年12月14日火曜日

1月には、フランスにオミクロン株による第6波が来るかもしれない

   



 現在、ヨーロッパでは、イギリスとデンマークでオミクロン変異株が爆発的に増加しており、両国では、近いうちに、オミクロン株が既存のデルタ株を抑えて優勢になると見られています。

 これまでもフランスは、イギリスの1ヶ月〜2ヶ月遅れでウィルスの流行を追っているような傾向があり、現在、人口10万人あたりの発症率が500人を超えるデルタ株がほぼピークに達していると言われているフランスでは、オミクロン株による症例は、約60例検出されています。

 この周囲の国の状況から、パリの公的機関であるAP-HP(Assistance publique - Hôpitaux de Paris)の事務局長は、このオミクロン株のために「1月」には、フランスで「第6波」が起こる可能性を示唆しています。

 まだ、「第5波」の真っ只中にいるうちから、「第6波」の予告とは・・「第5波」の波が下がることなく、そのまま「第6波」・・。

 いずれにしても、イギリスとデンマークのケースから、今後数週間のうちにフランスで起こりうることを予見しているのかもしれません。

 現在、イギリスでは、オミクロン株に関連した感染者数は、2〜3日ごとに感染者数が倍増しており、これはパンデミック以来、最も速い感染率と言われています。12月13日現在、イギリスでは、1,576件のオミクロン株感染が報告されていますが、1週間前には90件でした。(なんと1週間で17.5倍です)

 オミクロン株による感染者は全体で4,700人とされていますが、実際の感染者数はもっと多い可能性があり、英健康安全庁(UKHSA)は、現在の1日あたりの感染者は約20万人に上ると推定しています。

 今回のオミクロン変異種の発生は、既存のデルタ変異種と重なっており、国内の感染者数は2021年1月以来の水準まで増加しており、毎日、平均して、5万件以上の症例が報告されています。

 現在のオミクロン株の正確な危険性や重篤な症状を引き起こす能力は、まだ解明されていませんが、たとえ、この変異種の危険性が低いことが分かったとしても、この異常な感染の速さはから、これまでよりも多くの感染者の波が病院を圧迫することを懸念しています。

 感染者数が多いので、重症度が低くても、絶対数が多くなるということです。

 残念ながら、オミクロン株は、入院が必要な症例も引き起こしており、イギリスでは、少なくとも1名の患者がオミクロン株で死亡したことが確認されています。

 緊急に会見を行ったイギリスのボリス・ジョンソン首相は、「このオミクロン株がウィルスの毒性が弱まったバージョンであるという考えは、否定しなければならないことであり、ウィルスの広がる速度が加速していることを深く認識する必要がある」と語っています。

 11月末にイギリスで検出されたオミクロンは、すでにロンドンでの感染の40%を占めており、近いうちにイギリスに蔓延するコロナウィルスの主流になる可能性があります。

 また、デンマークでは、2,471件のオミクロン株による症例が報告されています。人口580万人のこの国では、1週間前には25件だった感染者数が、12月7日には581件に急増、なんと1週間で23倍に増加しています。

 現段階では死亡率は高くはありませんが、これは、感染から死亡までの時間によるタイムラグがあることや、ウィルスに対するワクチンの有効性も考えることができます。

 オミクロン株が優勢になってきている両国では、ブースター接種を加速するという同じ戦略を選択しています。まさにオミクロン株の感染の速さとブースター接種の拡大の時間との戦いが始まっています。

 ボリス・ジョンソン首相は、イギリスの18歳以上のすべての人に予防接種を提供するという目標を1カ月前倒しし、新年までに予防接種を受けることができるように3回目の接種数を1日約100万回に倍増させることを目指しています。 

 初期のデータでは、2回の接種ではオミクロン株に対する十分な防御効果が得られないと考えられていますが、3回の接種では70~75%程度の適切な感染防御効果が得られるとされています。

 イギリスでは2,300万人以上がすでにブースター接種を受けており、これは人口の36%に相当し、英国人口の75%が少なくとも1回のワクチン接種を受けています。

 フランスでは、1,500万人(人口の22%)がブースター投与を受けており、クリスマスまでに2,000万人の達成を目指しています。フランス人の約77%が少なくとも1回のワクチンを接種しています。

 デンマーク保険当局は、40歳以上のすべての人を対象に、ブースター接種を前倒しし、2回目の接種から4ヶ月半後にワクチンの追加接種を行うことを決定しました。18~39歳の年代にも追加で接種しますが、接種から5ヶ月半後になります。

 約120万人のデンマーク人がすでに追加投与を受けており、これは人口の21%に相当します。デンマーク当局は、年明けまでにさらに150万回の投与を見込んでいます。

 また、デンマークでは、学校や大学の閉鎖、ナイトライフの縮小、テレワークの導入など、新たな規制も導入しています。

 現在のところは、このオミクロン株の何よりの脅威は、この感染の驚くべき速度のようで、イギリスのヘルスコントロールのリーダーの一人であるロンドン・インペリアルカレッジの教授は、最悪の場合、最大1万人の入院がこの変異種と関連して起こる可能性があると示唆しています。

 そして、これは、足し算ではなく掛け算の増え方である・・と。

 予備的な研究では、ワクチンを接種することで、オミクロンへの感染を防ぎきることはできないものの、重症化するリスクを減らすことができると考えられています。

 これは、ワクチンを接種していない人の方がリスクが高いということになります。忘れてはならないのは、フランスの成人人口の約9%が全くワクチンを接種していないということです。

 この9%のうち、かなりの割合の人がコロナウィルスに感染したことがありません。オミクロンは、ワクチンを接種した人にも感染する能力があるため、これほど速く流通すると、ワクチンを接種していない人もすぐに感染してしまう危険性があります。

 過去を遡れば、フランスでの最初の医療崩壊の波は、65歳以上の人の約3%にしか影響していなかったにもかかわらず、病院が飽和状態になるほどだったことは、恐ろしい現実です。

 オミクロン変異種の深刻さについてはまだ不確定要素が多く、未知の部分が大きいようですが、いずれにしても、この新種がフランスを含むほとんどの国で定着し、大規模な感染者が発生する可能性が高いと考えられているのです。

 フランスでは、このオミクロン株のモニタリングが充分にされていないだけであって、実際のオミクロン株感染者はずっと多いと考えられています。フランスは、この変異株の種類の特定以前に感染者数は十分に急激に増加しているため、結果的には、イギリスやデンマークと同じ、ブースター接種の拡大を始めています。

 気を抜けない生活は、再び年を越しそうな気配です。


フランス第6波


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2021年12月13日月曜日

ノエルまでに2000万人のブースター接種達成のために日曜も営業する薬局の混乱

  


 フランスでは、普通、一般的な場所での商店は、日曜はお休みです。レストランやカフェなどは、営業していますが、普通のお店は、日曜休みという日本人からしたら、信じられない慣習が続いています。

 それでもノエルが近づくと多くの商店は、特別に営業許可をとって、日曜日も営業しているお店が増えます。

 我が家の近所にあるコマーシャルセンターも例に漏れずに、12月に入ると、コマーシャルセンターに入っている商店はどこも営業していますが、それでも余裕で閉店しているのは、薬局です。

 数日前にこの薬局に薬をもらいに行った時に、目につきやすい位置に黄色い貼り紙が出ていて、「日曜日に3回目のワクチン接種(ブースター接種)致します!(ファイザー)予約不要」と書いてあり、びっくり!

 書いてあるにもかかわらず、お店の人に「ここで予約なしにファイザーのワクチン接種が受けれるの?」と聞きなおしてしまいました。

 この薬局が日曜日にオープンしているなんて、私がこのあたりに引っ越してきてから初めてのことです。幸いなことにというか、残念なことにというか、私は先週、すでに他でワクチン接種をやっと終了したところ・・。もしも、ここで予約なしにできたのなら、遠くまで(といっても大して遠くもない)行くことなかったのに・・と、ちょっと残念にも思ったのです。

 どうやら、この薬局では、日曜日のコマーシャルセンターの人出を見込んで、この日に集中して予約なしにワクチン接種を行う作戦だったようで、当日、薬局を覗いてみると、薬局内には、動線が敷かれ、人が待っていられるように、いくつもの椅子が用意されていました。

 ここ数ヶ月で感染悪化が急激に進み、一日平均5万人の新規感染者数を叩き出しているフランスは、この感染をなんとか抑えようと、先週、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ノエルまでに2,000万人のフランス人が3回目のワクチン接種を受けられることを目標としていることを発表しています。

 このペースを維持するために、薬局に日曜日も営業してワクチン接種を行うように呼びかけ、少しでも多くの人が少しでも早く、確実にワクチン接種ができるように体制を整えています。

 この政府の呼びかけにより、我が家の近所の薬局も日曜日にオープンしてまで、ワクチン接種をしていたのですが、そんなことは、急に決まったことで、1ヶ月近くも前から予約をして、ワクチン接種のできるのをひたすら待っていた私には、なんとも拍子抜けした気持ちでした。

 まあ、どちらにしても無事にブースター接種を無事に済ませたので、問題はありませんが、今は、状況がどんどん変わり、しっかりニュースを見ていないと生活に支障をきたしかねません。

 しかし、このように急激な薬局でのワクチン接種の拡大にパリの薬局は、悲鳴を上げ始めています。そもそも、2回のワクチン接種率も全国的にも最も高いパリは90%以上の人が2回のワクチン接種を済ませており、2回のワクチン接種をしている人が3回目のワクチン接種には、さほど抗うこともなく、また、ノエルを少しでも安全に家族と過ごしたいという目の前に人参をぶらさげられた状態で、3回目のワクチン接種に駆け込むのは、当然のことです。

 65歳以上の高齢者の2回のワクチン接種済みのヘルスパスの期限(12月15日)も間近に迫っていることも、このブースター接種を急ぐ人で立て込む薬局の一因になっています。

 ちなみに12月15日は昨年もひと区切りの時期であり、フランスは家族とノエルを迎える権利を守るためにロックダウンが緩和されたタイミングでもありました。

 しかし、振り返ってみれば、昨年の今頃の感染者数は1万人前後、感染者数だけ見れば、現在はその5倍以上です。(ワクチン接種の効果のため、重症化している人は昨年よりも少ない)

 薬局では、この押し寄せるワクチン接種希望者に対応しきれず、人手不足に喘いでいます。政府から、提案されていた医学部の学生の応援も現在、試験期間中のために人は集まらないようです。

 ワクチン接種自体は、時間がかかるものではありませんが、それに伴う問診や、ワクチン接種後の証明書の発行など、小さな薬局で一日に大量の人数をこなすとなれば、なかなかの仕事量になります。その上、通常の業務ですから、これは大変なことです。

 12月6日の時点で、パリ警察庁は、今後15日間以内に、パリ市内に9つの追加の予防接種センターを開設すると発表していましたが、これができるまでの間も少しでもワクチン接種を進めようと薬局でのワクチン接種を開始したのです。

 ヘルスパスの施行が発表されたのが、夏のバカンス直前の7月のことで、バカンスを安心して過ごすために、フランス人は、一気にヘルスパス獲得のためにワクチン接種に走りました。

 そして、いみじくもその5ヶ月後の今がワクチン接種の有効性が落ち始めるタイミングが今度は、ノエル前という時期にあたり、今度はフランス人は、ノエルのために再びワクチン接種に走り出したのです。

 幸か不幸か、フランス人にとって、何よりも大切なバカンスとノエルがちょうどワクチン接種の有効性が低下し始める時期に当たったことは、なんだか皮肉な現実ではありますが、国民にワクチン接種を浸透させるには、絶妙なタイミングであったと思わざるを得ません。

 今後、ワクチン接種をし続けることになれば、毎年、バカンスの前とノエルの前には、薬局は、大賑わいになるのかもしれません。


日曜日の薬局でのブースター接種


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2021年12月12日日曜日

偽ヘルスパスを持っていた患者の死が警告すること

   


 新型コロナウィルスに感染した57歳の女性がパリ郊外ガルシュ(Hauts-de-Seine)のレイモン・ポアンカレ病院で死亡したことが大きく取り上げられました。

 というのも、この女性の死亡が特に取り上げられたのは、彼女が入院の際に、医者に提示していたワクチン証明書が実は偽の証明書であったことが発覚したからです。

 この女性がコロナウィルスのために入院したのは、12月初旬のことで、入院の際に彼女がヘルスパス(ワクチン2回接種の証明書)を提示したために、病院側は、ワクチン接種者用の治療法に基づいて、治療を続けていましたが、彼女の病状は、深刻かつ急速に悪化し、重度の呼吸器発作に至り、10日に死亡してしまいました。

 この病院では、既往症等の病歴のない高齢でもない女性が、ワクチンを接種したにもかかわらず、重篤な状態に陥ったのは初めてのことで、集中治療室のチームは、死亡した患者の病気の未知の可能性を追求するために様々な検査を行いましたが、それを解明することはできず、彼女の抗体レベルを調べるためにサンプルを採取したところ、ワクチンを接種していないことがわかりました。

 この事実が発覚した後、彼女の夫が、彼女が今年の8月から偽のヘルスパス(ワクチン証明書)を使用していたことを告白したのです。彼は、通報されることを恐れて、彼女が偽ヘルスパス(ワクチン証明書)を妻が使用していたことを医者には知らせておらず、結果的にそれが彼女を死に至らしめたことを深く後悔しています。

 彼女は、ワクチン接種を拒否し続けており、職場にも定期的にPCRの陰性証明書を提示しながら、仕事を続けていました。しかし、ある日、職場の同僚から、200ユーロでヘルスパスを売ってくれる人がいることを知らされ、彼女は偽ヘルスパスを購入したのでした。

 報道によれば、彼女が偽ヘルスパスを購入したのは、ニースの医師からということで、この医師は、すでにコートダジュールでは問題になっており、医師免許を剥奪されています。

 しかし、彼女は偽ヘルスパスを取得したことで、まるでワクチン接種を行って、守られているかのように、行動範囲も広がり、気持ちにも隙ができてしまったことは、容易に想像できることです。

 彼女の夫によると、彼女が感染したのは、学校で感染した13歳の息子からであると言われていますが、夫ばかりではなく、息子にまで「自分が殺してしまった」という気持ちを与え、彼女は、自分の家族にも深い心の傷を残してしまいました。

 病院によると、「彼女が入院の際に、ワクチン未接種であることを知っていたら、病気の進行リスクを減らすのに有効であることが知られている中和抗体を、早い段階で患者に投与することができたので、彼女の病状の悪化は防ぐことができたかもしれない。残念でならない。」と語っています。

 コロナウィルスによる重症患者や死亡者の大多数がワクチン未接種者であることは、すでに発表されていましたが、偽ヘルスパスを入院時に至ってまでも提示したために死亡した例は初めてのことで、偽ヘルスパスによるしっぺ返しを本人がくらった悲劇でした。

 彼女の夫は、あらためて、彼女に偽ヘルスパスを売った医師を告訴(5年の懲役と75,000ユーロの罰金)すると話していますが、このことにより、せめて偽ヘルスパスの危険に警鐘を鳴らすことに繋がってほしいと願っています。

 社会保険庁によると、現在、フランスには3万6千枚の偽ヘルスパスが流通していると言われています。

 病院では、「虚偽の証明書は、ウイルスを防ぐことができないだけでなく、人々の治療のチャンスを損なうことになります。入院時には、正直にワクチン接種をしていないことを申し出てほしい。ワクチン接種済みの人とそうでない人とは、治療法が異なり、助かる命も助からなくなってしまう」と訴えています。

 偽ヘルスパスを持ったことで、守られているような気分になってしまうかもしれませんが、それは、あくまで偽物であることに違いはありません。

 私には、ワクチン接種を拒否する人の気持ちは正直わかりませんが、ワクチン接種・ヘルスパス反対のデモの様子を見ていると、ことのほか、マスクをしていない人も多く、ワクチン接種をしないならば、せめて他の方法で十分に感染対策をしてほしいものだ・・とつくづく思います。


偽ヘルスパス


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2021年12月11日土曜日

日本の水際対策のための強制隔離が大混乱の模様

   


 パンデミック以来、私は日本に帰国していませんが、この間、一時、感染状態が少し下火になっていた時期もあったのですが、日本はオリンピックもあったりして、どうにも躊躇われたし、何より隔離期間の2週間(強制隔離も含めて)は、実際に滞在する日程プラスの2週間が必要なわけで、まず何よりもそれが、日程的にもキツいことが、一番でした。

 もちろん、長距離フライトの間の感染も気掛かりでしたが、それに加えて、往復の際に必要な検査、書類、交通手段などを考えると、いつもは必要のない高額の予算が必要で、強制隔離期間(フランスからの場合は3日間)を終えて、羽田から自宅に移動する際にも公共交通機関は使えず、専用のハイヤーを頼むか、レンタカーを借りて自分で運転して帰るかしなければなりません。

 親戚や友人に迎えに来てもらおうにも、叔父や叔母も立派な高齢者で、友人や従姉妹たちとて、高齢の親を抱える者ばかりゆえ、万が一、私がどこかのタイミングで感染していて、感染させてしまったら、取り返しがつかないので、そんなお願いも絶対にできません。

 この期間に日本に留学するつもりでいた娘は、留学する予定だった大学が地方であったために、(その地方には、フランスからの直行便がない)強制隔離の3日間を終えたら、東京の実家で残りの隔離期間を過ごすつもりで、荷物だけ送って、羽田から世田谷の家まで歩くつもりでいました。(結局、留学はキャンセルになったので、そんなことは必要なくなりましたが・・)

 「自宅での隔離期間は、絶対に親戚の人にご飯食べにおいで!」などと言われても、絶対に行っちゃだめよ!」と言い聞かせていた私に、娘は、「全然、余裕で大丈夫!」と、出前やUberで頼めるメニューに目を通したりして、「あれも、これも食べたい!」とそれなりに楽しんで、隔離期間を過ごすつもりでいました。

 しかし、現在は、オミクロン株という新たな変異種の登場と、再び、ヨーロッパを中心にした感染拡大で、隔離状況は、さらに厳しくなり、イタリア、イギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツ、ポルトガルなどの14カ国からの入国には、6日間の強制隔離、フランス、ベルギー、スイスなど39カ国からの入国には、3日間の強制隔離が必要となり、強制隔離施設が確保できずに、成田に着いたはずなのに、強制隔離施設が福岡、仙台、ついには、那覇などの地方になったり、関東近県でも、大学の学生寮になったりと、大変なことになっているようです。

 そもそも、14カ国から入国の6日間の強制隔離、プラス39カ国から入国の3日間の強制隔離施設といったら、大変な数の宿泊施設が必要になるのは、当然のことです。

 それも、日本到着後にも、自分がどこに連れていかれるのかも知らされず、ましてや、そこから再び長距離移動して地方に連れていかれるなどとは、思いもよらないことです。

 海外からの長いフライトのうえに、羽田や成田で検査やチェックにも3〜4時間はかかるそうで、ようやく入国したと思ったら、さらに延々と待たされた挙げ句に、また国内の長距離移動では、それだけでも具合が悪くなりそうです。

 帰国後2週間は、「公共交通機関を使うな」といいつつ、隔離施設への移動には、まさか隔離者専用のチャーター便というわけでもあるまいし、一体、何のために何をやっているのか?わけがわかりません。

 また、施設にもかなり、当たり外れがあるようで、話を聞いていると、ロシアンルーレットのようです。しかも、乗ってきた飛行機に感染者がいて、6日間の強制隔離がさらに延長された・・なんていう話まであります。

 そして、3日間の強制隔離と6日間の強制隔離をどのような基準で決めているのかはわかりませんが、(初期に発表されたオミクロン株の感染者数?)、これもわけがわかりません。

 イタリアがなぜ6日間の強制隔離が必要でフランスがなぜ3日間のみでいいのか?感染状況から見ると、自慢にはなりませんが、現在はフランスの方がずっと酷い状態です。

 強制隔離も振り分けられた施設にもよるでしょうが、3日間くらいならまだしも、6日間となると、精神的にも健康維持の面でも、かなりキツそうです。

 昨年の3月から約2ヶ月間、私はフランスでほぼ完全なロックダウン状況で、ほとんど外に出られない生活を送ってきましたが、それは、自宅での話で、それでさえ、息がつまり、毎日、YouTubeを見ながら、ヨガやストレッチ、ZUMBAをやったり、ベランダで野菜を育てたりと精神的にも病まないように過ごしてきました。

 それが、たとえ6日間であろうと、決まった時間に食事の配給はあるものの、小さなホテルの一室の空間から一歩も出れずに過ごすのは、具体的な話を聞いてみると、想像以上に心身ともに病んでいく様子がわかります。

 しかし、この強制隔離に関しては全て日本国の負担。文句を言えるものではありませんが、この現状のやり方に何も説明がないのは、納得しにくいところです。「そういう決まりですから・・」でおさめてしまうのが日本なのですが、せめて説明があれば、もう少し受け入れやすいような気がします。

 イギリスなどは、この強制隔離に対しても、自己負担にしているようですが、日本もこれを自己負担にすれば、逆に国籍の区別なく留学生なども受け入れられるようになるのでは?とも思います。

 しかし、現状のような日本への一時帰国者の話を聞いていると、「とても日本へは帰れない」と思ってしまいますが、実は、もしかして?そう思わせることが目的??、いやいや、そうではないでしょうが、しかし、帰国者の話を聞けば聞くほど、日本行きは当分、無理だ・・と確信するのでした。


日本入国の際の強制隔離


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2021年12月10日金曜日

美食の街リヨン 市議会が公式レセプションでのフォアグラ使用禁止

  


 フォアグラと聞いてフランス料理を連想する人は多いのではないかと思います。世界三大珍味の一つとも言われるフォアグラは、フランス人が大好きな高級食品の一つでもあります。

 特にこれからノエル・年末年始と、フォアグラのないスーパーマーケットはないだろうし、レストランなどでもフォアグラを使ったメニューが多く登場します。

 そのフォアグラをリヨンでは、市議会の決定により、リヨン市が開催するイベント、ビュッフェ、レセプションでのフォアグラの使用が禁止されるという奇妙な事態に発展し、波紋を呼んでいます。

 エコロジストの市議会は、公式レセプションだけでなく、レストランでのフォアグラの使用禁止も切望しているようです。ここまでいくと、あまりに非現実的な気もします。

 エコロジスト(エコロジスト色の強い)のリヨン市議会によると、この決定の主な理由は、「フォアグラは動物福祉に完全に反する農場の製品であるため」と説明しています。

 リヨンはフランス第二の商業都市としても有名ですが、「美食の街」としても知られるところ・・フランス料理を学びにきている人だけではないでしょうが、日本人の留学生が多いところでもあります。

 以前、娘が学生時代に知り合った友人にリヨン出身の子がいて、彼女が日本人とのハーフであることを知ると、リヨンには、日本人が多いんだよ・・と教えてくれたそうです。

 おそらく、日本でも有名な「ポール・ボキューズ」も、国家最優秀職人賞(MOF)・レジオン・ド・ヌール勲章を受賞し、ミシュランの三つ星を50年以上維持したリヨン出身の料理人で、彼のレストラン「ポール・ボキューズ」も、もちろんリヨンに誕生し、今では世界に知られるフランスを代表するフレンチレストランの一つです。

 よりにもよって、そんなリヨンでの「フォアグラ使用禁止」は、なかなか違和感を感じる決定です。しかも、一年のうちでも、恐らくフランス人が最もフォアグラを食すると思われるノエルの前に、この決定は大きな波紋を呼んでいます。

 エコロジストたちが「動物福祉に反する」強制給餌や繁殖に抗議するために行った公式レセプションでの使用禁止ですが、これには、「リヨン市長は、レストランのオーナーにまで、フォアグラの提供をできる限り制限するか、あるいは中止するように求めて、我々の食卓を規制しようとしている」と反対の声も大きく上がっています。

 前市長のジェラール・コロン氏は、この決定を受けて、「美食の都・リヨンの恥」と反発しています。フォアグラの使用を禁止することが、「リヨンの恥」とまで言い切るのも、これまた、なかなかです。

 反対の声をあげている者たちは、「リヨン市長は、周囲に耳を貸さず、対話が成立しない」とコミュニケーションの欠如を指摘しています。

 リヨンは今年の2月の段階で、市長が、コロナウィルスの感染対策のために、キャンティーンのサービスをスピードアップして、混雑状態を緩和するために、学校のキャンティーンのメニューから肉を排除し、単一メニューにしたことで波紋を呼びました。

 コロナの感染対策を利用して、キャンティーンから肉を排除したことに多くの反発が起こりました。キャンティーンは、時には、家では満足に食べられない子供たちの大切な栄養源でもあるからです。

 どうにも、偏りが強すぎる感が拭えないエコロジストの強いリヨンの発信には、歪な議会の様子が映し出されているようにも思えます。

 皮肉なことに、リヨンのお料理には、肉料理が多く、豚や牛、鶏肉類の肉はもちろん、内臓や皮、脂肪や血など肉のすべてを使うものも少なくありません。フォアグラの使用禁止に反対する人々は、「次はロゼット(ドライソーセージ・サラミ)でも禁止するか?!」と怒りをあらわにしています。

 私は、フランスにいながら、それほどフレンチレストランに行くわけではありませんが、周囲のフランス人のチョイスを見ていると、「フォアグラや肉が好きなんだなぁ・・」とつくづく思うほど、彼らは肉食です。

 この決定を下したのは、リヨンだけではなく、グルノーブルやヴィレルバンヌでも同じことを言っているそうです。

 

ノエル前にはお色直しをして山積みにされるフォアグラ


 しかし、ノエルの近づいてきたスーパーマーケットなどの様子を見ると、さっそく、例年どおり、「フォアグラ祭り」が始まっていて、綺麗にお色直しされたフォアグラがこれでもかというほど山積みにされています。

 こんな光景を見る限り、フォアグラがリヨン市の公式レセプションで使用されないことなどびくともしない感じがするのですが・・。


リヨン市議会エコロジスト フォアグラ使用禁止 


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2021年12月9日木曜日

フランスの1日の新規感染者数6万人突破のタイミングで3回目のワクチン接種をしました!

  

  

 私が3回目のワクチン接種の予約をしたのは、11月11日のことでした。

 ちょうどフランスの感染者数がグングン上昇を始めて、1万人を超えた頃だったのですが、その時は、フランスでは、ブースター接種は、2回目のワクチン接種から6ヶ月後とされていたので、2回目のワクチン接種をしたのが6月5日だった私は、自ずと12月6日以降ということになるため、その近辺で空いているところを探して予約していました。

 その頃には、65歳以上の高齢者のヘルスパスが3回目のワクチン接種をしないとこれまでのものが無効になるという発表がされていたのですが、・・ということは、その後は、全ての年齢の人も3回目のワクチン接種をしないと無効になるということは、当然のこと。

 時の流れとともにワクチンの有効性が弱まるのは、何も高齢者だけではないので、同じようにワクチン接種を重ねてヘルスパスも更新していかなければ、ヘルスパスの意味がなくなってしまいます。

 案の定、11月末になって、全世代に対して、2回目のワクチン接種から7ヶ月以上経過した場合は、来年の1月中旬には、これまでのヘルスパスは無効になることが発表されました。

 そして、何よりも、1日の新規感染者数が1万人を超えてからは、感染者数の上昇の仕方も加速度的に進み、週ごとに1万人増えていく感じで、とうとう昨日は、6万人超え。感染者が増加すれば、感染するリスクも高まるわけで、何よりも私は感染することが恐怖でした。

 私が3回目のワクチン接種の予約を入れて、しばらくして、あまりの感染の増加に3回目のワクチン接種は、5ヶ月後からできることになりましたが、時すでに遅しで、私が予約していた日にち以前の予約はもうすでにいっぱいで、前倒しにすることはできませんでした。

 おそらくワクチンの有効性が薄れているであろう身でウィルスに怯えながら生活するのは、もう懲り懲りで、私は心臓疾患があり、リスクが高い人に分類されているため、おそらく、もし、感染した場合のリスクは、本当に大きいのだろうけど、食事にだって行きたいし、友人にだって会いたいし・・ワクチンでもなんでも頼れるものには、なんでも頼りたい・・もうそんな気持ちになっていたのです。

 2回目のワクチン接種から有効性が薄れると言われている6ヶ月間の最後の1ヶ月は、ちょうど、フランスの感染も急拡大していくタイミングで、私は本当にできるだけ出かけずに、おとなしく、おとなしく過ごしていました。

 いつもはしないインフルエンザのワクチン接種までして、久しぶりのインフルエンザの予防接種に軽く熱を出したりもしました。

 前回2回のワクチン接種はかかりつけのお医者さんでやってもらったのですが、今回はDoctolib(ドクトリブ)というアプリを使って、予約の空きを探したために、バスで15分ほど先の薬局でした。

 それはごくごく普通の薬局で、もっと立て込んでいるのかと思いきや、薬局には誰もおらず、予約した時間よりも早く着いてしまった私は、「ちょっと予約した時間より早いけど・・」と言うと、すぐに受け付けてもらうことができ、「薬に対するアレルギーはありますか?」とか、「これまでにコロナに感染したことはありましたか?」などの簡単な問診に答え、健康保険証のカードを渡すと、別室に通され、あっという間にワクチン接種は終了。

 その場で、数分で、3回目のワクチン接種の証明書、QRコードをもらって、難なく、3回目のワクチン接種は終了しました。

 これまで2回のワクチン接種でもそうでしたが、ほぼ、何も感じず、ほんとにやってくれたの?と思うほどの速さと何の感覚もありませんでしたが、証明書のQRコードをもらって、記載されていることが間違いないか確認し、ほんの10分ほどで薬局を後にしました。

 ず〜っと、まだかまだかと待っていたワクチン接種、私は、正直、これまで、今回ほどワクチン接種というものを心待ちにしたことはありませんでした。

 ワクチンが身体に浸透するまでに2週間ほどかかると聞いていますが、薬局からの帰り道、私はすでにもう、あ〜あそこにあれを食べに行きたい!とか、あそこにも買い物に行きたいとか、友達にも会いたい!とか、色々と考えていました。

 ワクチン接種から6時間ほど経った時点で、若干、腕が痛くなりましたが、(これは前回と同じ)その他は1日経過した現在も、特に副反応らしき兆候はありません。

 なんとなく、ちょっとだけ安心したところで、3回目のワクチン接種直後に感染したという人の話を聞き、ガックリ。すでにワクチン接種をした時点で感染していたのか、それともワクチンが効き始める前に感染してしまったのか? しかも、ワクチン接種後に体調が悪化したのをワクチンの副反応だと思って、ひたすら耐えているうちに悪化してしまったとのこと。

 いずれにせよ、やはり、ワクチンとて、100%安心できるわけではないということを再確認させられました。

 家に帰って、QRコードを携帯のヘルスパスに読み込むと、画面には、花吹雪が舞いました。




 3回目のワクチン接種のヘルスパスにこんな遊び心を盛り込んでくれるところは、フランスらしいところかな?と思いました。

 ひとまず、大仕事を終えた気分のところに、夜のニュースでは、さっそく科学技術審議会の会長が、「場合によっては、4回目のブースター接種が必要になるかもしれない」という話をしており、思わず指折り数えて、次は、5月?と気が重くなるのでした。


フランス新規感染者数6万人突破 ブースター接種


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