2021年12月7日火曜日

フランス政府の発表した第5波対応策 ディスコ・ナイトクラブ4週間閉鎖

   


 新型コロナウィルス第5波が想像以上に大きな波となり、1日の新規感染者が5万人を超えたフランスで、週明けに開催された国防会議で決定された対応策を発表しました。

 感染者数の上昇とともに、現在のフランスは医療機関の圧迫も進み、入院患者数は、1週間で23%増加、集中治療室の患者数は28%増加しています。

 この現状のわりには、カステックス首相の発表は、現在以上の極度な制限はない、かなり多くの人に理解されやすいであろう程度の比較的マイルドなものでした。

 すでに、ヘルスパスにより、かなりの場面で制限がとられているフランスでは、なによりも、ワクチンの有効性が低下し始めている人々へのブースター接種、また、これまでに一度もワクチン接種を行っていない人のワクチン接種の拡大とスピードアップということが、中心に据えられ、1月初旬までには、1,500万人がブースター接種可能な状態になります。

 特にリスクの高い65歳以上の高齢者に関しては、ワクチン接種センターでは、予約なしに優先的に行われることになりました。ワクチンの予約が難しかったこの年代の人々には、朗報です。

 パリ警察庁は、今後15日間以内に、パリ市内に9つの追加の予防接種センターを開設することを発表しています。 

 

 今回の政府の対策で一番、影響を受けるのは、ディスコやナイトクラブで、12月10日(金)から、4週間にわたって閉鎖されます。2度のワクチン接種をしているにも関わらず感染者が増加している若者の集まる、この感染対策の取りにくい場所が今回は標的になりました。

 このセクションを閉鎖することに対する経済的な支援は、政府から支払われる予定になっています。

 現在、最も感染が急上昇している小学校では、感染対策のレベルをさらに上げ、屋内外を問わず、マスク着用が義務化され、ソーシャルディスタンスをこれまで以上にとることとし、ノエルのバカンスを前倒ししたり、学校を閉鎖したりすることは避けるとしています。

 また、既往症等のあるリスクの高い6歳から10歳の子供に対しては12月15日から、ワクチン接種を開始することになりました。その他の子供に関しては、今しばらく、科学的な研究結果を待つとしています。

 ただ、この年齢層の感染上昇は、明らかに異常であるとし、他の対策をとるべきだと訴えている専門家も少なくありません。

 その他、テレワークを3日に2日の割合に増やすことが推奨されていますが、これは、あくまでも推奨されるというレベルのものです。

 結局のところ、これまでいつも第一のターゲットになってきた飲食店に関しては、現状どおりのヘルスパスのチェック、文化施設、娯楽施設、商業施設に関しても、営業時間制限を行うことも、縮小して営業されることもなく、クリスマスマーケットが閉鎖されることもありません。(クリスマスマーケットに関しては、地域の県知事の裁量でヘルスパスが導入されます)

 ワクチン未接種者のみのロックダウンやレストランや商店の時間短縮営業などを行っている周囲のヨーロッパ諸国の対応に比べるとかなりマイルドな対応と思われますが、「ワクチン接種がこの勢いで進んでいけば、感染もおさまっていくでしょう」と、フランス政府は自信満々です。

 つまり、ワクチン接種の他には、ごくごく基本的な感染対策をとりなさいと繰り返し、伝えているのであり、今さら、連呼することなのかとも思うのですが、それができていないから、連呼しなければならないわけで、相変わらず、決して国民を叱ることもありません。

 ノエルまであと3週間を切ったこのタイミングでの発表は、「ノエルを安心して家族と過ごせるために、皆で協力して、感染対策をしましょう」というもので、あくまでも、日々の日常生活をできるだけ尊重する姿勢が見えます。

 かなり楽観的とも思われるフランス政府のこの対応は、今後、吉と出るか凶と出るかわかりませんが、私も、ブースター接種をして、できることを淡々とするしかないと思っています。

 それにつけても、この会見の際にカステックス首相の前に掲げられていた「Conférence de presse COVID-19」という立札の「COVID−19」という文字を見て、2021年ももうあとわずか・・2019・2020・2021といつの間にか過ぎて、もうすぐ2022年になることをあらためて、ジンとした気持ちで眺めたのでした。


フランスの第5波対応 ディスコ4週間閉鎖 小学校マスク完全義務化


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