2021年12月24日金曜日

昨日は新規感染者9万人突破のフランスの感染者・濃厚接触者の隔離が社会機能を麻痺させる危機

 


 

 予想を裏切らないフランスの感染者数の拡大は、ここ3日間で記録を更新し、7万人、8万人を突破したと思っていたら、昨日はとうとう9万人(91,608人)を突破してしまいました。このままだと、ノエルぴったりのタイミングで10万人を突破しそうです。

 毎日のように、7万人、8万人、9万人の感染者が出ているということは、少なくともここ3日間で、24万人が隔離生活を送らなければならなくなっているわけで、それらの感染者の濃厚接触者を含めたら、隔離生活が必要な人もその数倍の規模で増加していきます。

 フランスでは、オミクロン株の感染対策の一環として、12月13日から、隔離のルールが変更されています。

 オミクロン株に感染した場合は、17日間の隔離が求められます。また濃厚接触者として、感染した者と同じ世帯の居住者も同様に17日間の隔離が必要になります。

 隔離状態ということは、海外から日本に入国する時のように、強制隔離施設に滞在しなければならないわけではありませんが、感染者本人とその家族がロックダウン状態になるということで、当然、仕事にも学校にも行けなくなります。

 この1週間のフランスの新規感染者数は、合計で432,611人で、一人暮らしの人もいるでしょうが、まあ、少なく考えてもその2倍、3倍の人々が隔離生活を余儀なくされるわけです。

 ただし、現在のところは、オミクロン株は感染者全体の20%程度(公式発表では)と言われているので、その全員が17日間の隔離が求められているわけではありませんが、数日のうちにオミクロン株の割合が優勢となると言われているので、感染者の大多数が長期の隔離生活を送らなければならなくなります。

 この感染増加のリズムで行けば、10万人を突破する日が何日も続くわけで、容易に100万人以上の人が隔離生活を17日間送ることになります。当然、病欠扱いです。

 これが続いていけば、1月には、病院、公共交通機関、スーパーマーケットなどの一般の商店、学校などなど、あらゆる場所においての社会的な機能が麻痺することが心配され始めています。

 毎日、10万人近くの人が17日間の隔離生活に入れば、少なくともその倍以上の人がその期間は働けない状態になるわけですから、社会機能に支障をきたすことは、言うまでもありません。

 すでに、一部の地域の交通機関などでは、減便、運行休止を余儀なくされています。

 これは、これまでの感染の波にはなかった新しい現実で、オミクロン株の拡散速度によるものです。フランス政府は、この事態を受けて、この感染者ならびに感染者の濃厚接触者の隔離期間について、症状の重さを考慮した調整が必要になるだろうと語っています。

 科学技術評議会と検討の上で、検査によって決定されるその時点の伝染力レベルや、その人の職務の性質を考慮して隔離期間が緩和される可能性があります。

 しかし、これは悪循環のスパイラルに突入する可能性も秘めており、ただでさえ、猛烈な勢いで感染が拡大している中で、本来ならば17日間は隔離する必要があると判断されていた隔離期間を社会機能が麻痺することにより、隔離期間を軽減することは、またさらに、感染を広げてしまう可能性を生み出してしまうことになりかねません。

 現在は、学校もノエルのバカンス期間に入っているために、学校での感染のリスクはなくなっていることだけが救いです。

 代わりに人が集まり集うノエルが控えているので、それも帳消しになりかねませんが・・。

 現在、パリの街に出てみると、ノエル前ということで、メトロの中も商店もマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)なども、ものすごい人出。メトロの中などは、平日の昼間にもかかわらず、いつもよりも乗車率が高く、スーツケースを持っている人、クリスマスプレゼントの買い物袋をたくさん抱えている人など、楽天的に考えれば、経済が回っているなぁ・・と思います。

 しかし、一方、マルシェ・ド・ノエルの人出などを見ると、屋外とはいえ、ほとんど遊園地のような状態。本来なら、遊園地などの娯楽施設(ディズニーランドなど)では、屋外とてヘルスパスの提示が求められているのです。

 パリのチュイルリー公園内のマルシェ・ド・ノエルなどでものすごい人にもかかわらず、マスクをしていない人もちらほら見られ、していても鼻が出ていたり、顎マスクだったりの上、ヘルスパスのチェックもありません。

 もっとも、ワクチン接種をしていても、重症化を避けられるだけで、感染のリスクはいつもつきまとうオミクロン株に対して、もはやヘルスパスが有効なのかどうかもわからなくなってきました。

 しかし、いずれにせよ、ノエルを控え、1日の新規感染者が9万人以上もいる国らしい緊張感はどこにも見えません。

 オミクロン株は、一般的に悪化する割合が低いと言われてはいますが、悪化する割合以上に感染拡大の割合が高ければ、結果的には、以前と同じ、あるいは、それ以上に医療体制も逼迫していきます。

 検査と隔離が基本であったはずの感染拡大の回避ですが、あまりの感染拡大の速度に隔離を緩和させなければならない、八方塞がりの状態になりつつあります。

 やはり、頼みの綱は、もはやワクチン接種の拡大しかないのかもしれません。


オミクロン株感染者 濃厚接触者隔離


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