2021年12月3日金曜日

WHO日本の鎖国対応批判と留学生への思い

   


 

 WHO(世界保健機構)は、新型コロナウィルスのオミクロン株出現を受けて日本が導入した全世界を対象とする外国人入国禁止阻止について、「疫学的にこの原則は理解困難である」と指摘、「ウィルスは国籍やビザを区別するわけではない」と述べ、自国民か否かで判断するような対応は矛盾していると批判し、渡航の一律制限に否定的な見解を示し、検査などを活用し、人々の生活に多大な負担をかけないようにと呼びかけています。

 日本のこの対応は、さらには、国土交通省からの「12月末までの日本到着の国際線予約停止」という日本人さえも閉め出す強行措置にまで及びましたが、大きな反発と混乱を招いたとして、数日のうちにこれを撤回、「新規予約の一律受付停止の要請を取りやめ、日本人の帰国需要に十分に配慮するよう航空会社に改めて通知されました。

 日本のこの一連の対応は、すばやく、未だはっきりと得体の知れないオミクロン株対応は日本国内にいる日本人には安心できる対応であったとは思いましたが、さすがに日本人が日本に帰れないとか、外国人の日本のビザを一時停止・・などとエスカレートするのは、さすがにちょっとやりすぎで、海外で外国のビザを取得して生活している者にとっては、一度、発行されたビザが一時とはいえ、停止など、ちょっとあり得ないほど恐ろしい話です。

 イスラエルなどは、当初からワクチン接種も早く、日本同様に外国人の入国禁止など、かなり厳しい対応をとってきましたが、自国民に関しては、南アフリカ等レッドゾーンからの入国には7日間指定施設での隔離を義務付けてはいるものの航空便の予約停止などは行っていません。

 WHOの「ウィルスは国籍を区別するわけではないので、疫学的に日本の措置は矛盾している」というのは、もっともなことではありますが、はっきり言えば、「この際、今は、日本の外から、誰も入ってきてほしくない」というのが本当のところなのでしょうが、日本人が日本に入国できないという事態はさすがにあり得ないことから、このような措置に右往左往しているところだと思います。

 個人個人、日本に帰国、入国したい事情は様々あるでしょうが、日本人の入国はもちろんのこと、個人的には、日本への留学生などに対しては、日本人同様の隔離や検査はもちろん行うとして、許可してあげられないものだろうか?と思うのです。

 我が家の娘は、日本人でありながら、パンデミックの最中に「海外からの留学生はお断り」という理由で、日本への留学が二回にわたりキャンセルになり、とうとう日本での留学のチャンスを逸したまま、こちらの学校を卒業しました。

 もう彼女には、留学の機会は、ありませんが、そんなこともあったために、余計に留学生に対する思い入れが強いのです。

 日本という国に興味を持ち、日本で学びたいと思っている外国人に相当の隔離や検査を義務付けた上で(日本は世界的にも隔離や検査などの基準は相当厳しい)、外国人に日本での教育の門戸を開くことは、決してマイナスなことではないと思うのです。

 日本という国は、日本人が思う以上に外国人には知られていないというのが、私が外国に住むようになって実感しているところです。例えば、日本人がフランスに来る以上に、フランス人が実際に日本に行った場合の驚きは大きく、まるで未知の世界のような感じを受けると思います。

 「日本で学ぶ」という機会を通して、世界の若者に日本を知ってもらうことは、大切なことだと思うのです。留学生ならば、ある程度の期間限定の滞在なので、入国時に感染を持ち込みさえしなければ、条件は日本在住の人と同じです。

 日本人と同じ条件できっちりと隔離期間を取り、検査を受ければ問題はないはずです。

 感染対策や隔離などのレベルもまるで違うフランスとは、一概に比較することはできませんが、フランスは留学生に対して、とても鷹揚です。

 移民受け入れ問題などが、議論されている日本ではありますが、将来のある若者に日本の教育の門戸を世界に開き、少しでも日本に好意的な人々に日本を知ってもらう意味でも、日本の国としての懐の深さを見せてくれないものだろうか?と、現在のその頑なさを少々、残念に思っているのです。


WHO日本のオミクロン株対応批判 留学生


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