ノエル・年末年始が近づいてきているというのに、フランスの感染拡大は一向にとどまることを知らずに、「ピークを迎えたかもしれない・・」と言いながら、すでに長い時が経過しています。
ピークというのは、頂点ということで、ピークを迎えるということは、その後は減少し始めるということになると思うのですが、ひょっとすると、このピークの状態がしばらく上げ止まりの状態でしばらく続くかもしれないとも言い出しています。
先週末には、人口10万人あたりの発症率が500人を超え(501.3人)、第2波のピーク時を超え、パンデミック開始以来、最高の水準に達し、昨日は、再び、これまでの記録を更新、1日の新規感染者数が6万3千人を突破(63,405人)しました。
その結果、入院患者数は日に日に増加し、先週の11,526人に比べ、1週間で14,050人にまで増加しています。フランスで感染が急拡大しはじめて、マクロン大統領が緊急演説を行った11月9日には、6,851人でした。1ヶ月程度で2倍の増加です。
この勢いで入院患者数が増加し続ければ、従来ならば、ノエル・年末年始のバカンス期間に休暇を取る予定にしている病院スタッフ・医療従事者も多く、この第5波に乗って病院に送られてくる患者の対応が非常に心配されています。
この2年近く続くパンデミックでの疲弊から、病院では、退職者・転職者が増加した上に、以前よりも採用が少なく、人手不足が高じて年度始めから閉鎖されている病床が出ています。
今週に入って、AP-HP(Assistance publique-Hôpitaux de Paris)(パリ公立病院連合)事務局長は、このノエル・年末年始のタイミングで、運び込まれる患者の対応のために、より多くの患者を受け入れることができるよう、病院スタッフ・医療従事者に対して、この期間のバカンス休暇を延期して、この間、働いた者に対して、1日あたり200ユーロ(約2万6千円)、10日間で2,000ユーロ(約26万円)を支払うという提案をしています。
すでにこの提案は、8地域の医療機関で発動されていますが、これはあくまでも、強制ではなく、休みを取りたい人は取り、休暇の延期に同意してもらえれば、買い取りを申し出る予定としています。
買い取りと言っても、休暇を取り上げられるわけではなく、延期です。休暇が延期された場合、この特別手当プラス、特に子ども一人につき週50時間を上限とする家庭でのケア費用を払い戻すことにより、病院スタッフの子どものケアを促進することを示しました。
しかし、これには、賛否両論分かれており、「背に腹はかえられない」両者が苦渋の決断を強いられています。
フランスでは、時間貯蓄口座を認可している企業では、従業員は取得しなかった休暇や、残業、または賞与や利益分配などの報酬をこの口座に入れ、積み立てることができます。しかし、今回のAP-HPの提案では、病院の人手不足を補うために、病院スタッフの休暇を「時間貯蓄口座に入れるのではなく、直接買い戻す」ことを提案していると言います。
2020年末、フランス政府は、すでに政令により、医療従事者がパンデミックの影響で2020年10月1日から12月31日までに休暇数に応じて算出される「補償手当」を受け取ることを許可していました。
これは、病院が人手不足に悩む中、クリスマス休暇を犠牲にすることに同意するよう、病院スタッフから有給休暇を高値で買い取り、患者さんの流入に対応するための発表です。
それにしても、フランス人が何よりも尊ぶノエルを高額の特別手当と引き換えにするのかどうか? お金か?ノエルか?
AP-HPの事務局長は、この報酬を払う価値のあることであると語っています。
それよりも、皆が何の不安もなく、大切な家族とノエルを過ごせる日が一日も早くやってきますように・・。
病院の人手不足
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