2021年12月19日日曜日

イギリスとフランスの感染対策経緯の違い 順送りにヨーロッパを襲い続けるコロナ波

 


 パンデミックが始まって以来、ヨーロッパは、まるで順送りのように、感染の波の悪化と低下を繰り返しています。2020年の年末から2021年にかけては、イギリスでデルタ株が急増し始めて、急にイギリスとの国境を閉鎖し、クリスマスには、イギリスとの国境で立ち往生する多くのトラックの様子などが報道されていました。

 それから、イギリスは、どこの国よりも早く、ワクチン接種を開始し、猛スピードでワクチン接種を拡大していきました。

 今年の7月の段階では、イギリスはすでに国民の7割程度が2度のワクチン接種を済ませており、1日の感染者数は2千人台にまで落ち着いていました。

 この段階でフランスのワクチン接種率は、6割にも満たない状況で、バカンスを前にフランスは、ヘルスパスを起用し、ワクチン接種の拡大を促すとともに、ヘルスパスがないと身動きがとれなくなるような制限や医療従事者のワクチン接種義務化などを導入しています。

 イギリスは、同時期には、ワクチン対策が十分であることに賭け、フランスとは真逆の対応に向けて舵を切り、すべての制限を撤廃する方向に方針転換をしています。

 この段階では、フランスは、状況的に(感染状況・ワクチン接種状況)から、夏のバカンスに向けて、とてもイギリスのような方向に進むことができなかったのも事実です。

 しかし、冬が近づくにつれ、両国とも感染状況は悪化し始めましたが(デルタ株)、特に新しいオミクロン変異種が出現してからのイギリスの感染拡大は、ものすごい勢いで進み、1日の新規感染者数は毎日のように新記録を更新し、1日9万人を突破しています。

 現在のイギリスのオミクロン株の感染拡大は、デルタ株に関連した極めて緊迫した状況の上に発生しているのです。これは、今後、フランスでの感染がオミクロン株が主流になった場合におなじことが言えます。

 イギリス政府はこの事態を受け、パンデミック開始以来2回目となる「重大インシデント」を宣言したことを発表しています。現在は、屋内の公共の場や公共交通機関を利用する際、イベント参加等には、マスク着用が義務付けられ、可能な限りリモートワークにシフトすること、また、ナイトクラブなどに行く際は、NHS COVID PASS(フランスのヘルスパス)の提示などが呼びかけられています。(フランスではナイトクラブは現在、営業停止です)

 そして、ワクチン接種に関しては、2回目のワクチン接種から3ヶ月後にブースター接種が可能になっています。(フランスでは4ヶ月後から可能)

 このワクチン接種の間隔については、今後もしばらくは、感染拡大の重要な鍵となるかもしれません。

 結果的に、どちらの国も似たり寄ったりの感染対策のための制限を行なっているのですが、今年の夏の時点からヘルスパスを起用しているフランスは、以来、一貫して、若干、制限はキツめです。一時、制限を少し緩めたのは、小学校でのマスク義務化を撤廃したことでしょうか?

 しかし、このほんの少しの隙を縫って、ウィルスはワクチン接種をしていない子供の間から感染拡大し始めました。

 これまでの感染拡大の波を見てみると、イギリスは常に先頭を切り、フランスは、イギリスの2〜3ヶ月後にイギリス同様の感染の波を迎えており、ヘルスパスをもってしても、同じ道筋を辿る可能性は高いと思わざるを得ません。

 にもかかわらず、ノエル前にフランス政府が発表した感染対策は、特に厳しいものではなく、大勢での集まりは避けるように、年末のカウントダウンの花火なども中止という程度のもので、また、イギリスも感染対策のためのさらなる制限は、クリスマス後ということになっているようで、最も人々が集う機会を避けて制限を行うことに、両国民にとってのノエル・クリスマスの位置付けを垣間見ることができます。

 一方、似通った感染状況のオランダは、やはり、オミクロン株による急激な感染拡大から、19日から、日常必需品以外の店舗、学校、バー、レストラン、その他の公共施設をすべて閉鎖するという厳格なロックダウンに踏み切ることを発表しています。

 これだけの厳格なロックダウンは、第一波の際のロックダウン以来、ヨーロッパでは久しぶりのことです。

 先週火曜日、オランダ政府はすでに、午後5時から午前5時までのバー、レストラン、ほとんどの店の閉鎖を1月14日まで延長することを発表したばかりでした。

 人口に対する感染者数やワクチン接種率等は、ほぼフランスと変わらない状況のオランダが、このような厳しいロックダウンを行うことで、この間の感染は、おそらくフランスやイギリスとは桁違いに減少するのではないかと思います。

 どちらにしても、第一波から甚大な被害を生み続けているヨーロッパは、やはり、制限なしには、感染を抑えることは不可能で、この間、一時、若干(ヨーロッパと比較すればの話)感染が拡大したこともあったものの、結局のところ、ロックダウンなどは行わずに、オリンピックまで開催したというのに、結局、感染を抑えている日本は、別世界と言わざるを得ません。

 日頃からの衛生観念は、天と地ほどもの違いがあり、現在、ヨーロッパの国々が感染対策のために衛生に気を配った状態でさえも、コロナ前の日本の状況に及ぶものではありません。

 規則を守るとか、自制する、自粛するということも、結局のところ、制限されなければ、罰金が課せられなければ、遵守されることもないのです。(なかには、ちゃんとした人もいますが、大多数は違う)

 オミクロン株対策のための日本の水際対策により、日本人でさえも容易に日本に帰国できない状態になり、「日本は厳しい・・」と悲しく思うこともありますが、このような厳しい対策の上に現在の日本の状況が保たれていることを思うと、これも致し方ないかな・・と現在のヨーロッパの状況を目の当たりにして思い始めているのです。


オミクロン株対応


<関連記事>

「1月には、フランスにオミクロン株による第6波が来るかもしれない」

「ヨーロッパが再び感染の震源地になる 2月までにさらに50万人の犠牲者が出る恐れ」

「フランスは、ヘルスパスがないと身動きが取れなくなる! 義務化という言葉を使わない事実上の義務化」

「ヘルスパスがワクチンパスになる! それでもワクチン義務化とは言わない」

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」


0 コメント: