2021年12月12日日曜日

偽ヘルスパスを持っていた患者の死が警告すること

   


 新型コロナウィルスに感染した57歳の女性がパリ郊外ガルシュ(Hauts-de-Seine)のレイモン・ポアンカレ病院で死亡したことが大きく取り上げられました。

 というのも、この女性の死亡が特に取り上げられたのは、彼女が入院の際に、医者に提示していたワクチン証明書が実は偽の証明書であったことが発覚したからです。

 この女性がコロナウィルスのために入院したのは、12月初旬のことで、入院の際に彼女がヘルスパス(ワクチン2回接種の証明書)を提示したために、病院側は、ワクチン接種者用の治療法に基づいて、治療を続けていましたが、彼女の病状は、深刻かつ急速に悪化し、重度の呼吸器発作に至り、10日に死亡してしまいました。

 この病院では、既往症等の病歴のない高齢でもない女性が、ワクチンを接種したにもかかわらず、重篤な状態に陥ったのは初めてのことで、集中治療室のチームは、死亡した患者の病気の未知の可能性を追求するために様々な検査を行いましたが、それを解明することはできず、彼女の抗体レベルを調べるためにサンプルを採取したところ、ワクチンを接種していないことがわかりました。

 この事実が発覚した後、彼女の夫が、彼女が今年の8月から偽のヘルスパス(ワクチン証明書)を使用していたことを告白したのです。彼は、通報されることを恐れて、彼女が偽ヘルスパス(ワクチン証明書)を妻が使用していたことを医者には知らせておらず、結果的にそれが彼女を死に至らしめたことを深く後悔しています。

 彼女は、ワクチン接種を拒否し続けており、職場にも定期的にPCRの陰性証明書を提示しながら、仕事を続けていました。しかし、ある日、職場の同僚から、200ユーロでヘルスパスを売ってくれる人がいることを知らされ、彼女は偽ヘルスパスを購入したのでした。

 報道によれば、彼女が偽ヘルスパスを購入したのは、ニースの医師からということで、この医師は、すでにコートダジュールでは問題になっており、医師免許を剥奪されています。

 しかし、彼女は偽ヘルスパスを取得したことで、まるでワクチン接種を行って、守られているかのように、行動範囲も広がり、気持ちにも隙ができてしまったことは、容易に想像できることです。

 彼女の夫によると、彼女が感染したのは、学校で感染した13歳の息子からであると言われていますが、夫ばかりではなく、息子にまで「自分が殺してしまった」という気持ちを与え、彼女は、自分の家族にも深い心の傷を残してしまいました。

 病院によると、「彼女が入院の際に、ワクチン未接種であることを知っていたら、病気の進行リスクを減らすのに有効であることが知られている中和抗体を、早い段階で患者に投与することができたので、彼女の病状の悪化は防ぐことができたかもしれない。残念でならない。」と語っています。

 コロナウィルスによる重症患者や死亡者の大多数がワクチン未接種者であることは、すでに発表されていましたが、偽ヘルスパスを入院時に至ってまでも提示したために死亡した例は初めてのことで、偽ヘルスパスによるしっぺ返しを本人がくらった悲劇でした。

 彼女の夫は、あらためて、彼女に偽ヘルスパスを売った医師を告訴(5年の懲役と75,000ユーロの罰金)すると話していますが、このことにより、せめて偽ヘルスパスの危険に警鐘を鳴らすことに繋がってほしいと願っています。

 社会保険庁によると、現在、フランスには3万6千枚の偽ヘルスパスが流通していると言われています。

 病院では、「虚偽の証明書は、ウイルスを防ぐことができないだけでなく、人々の治療のチャンスを損なうことになります。入院時には、正直にワクチン接種をしていないことを申し出てほしい。ワクチン接種済みの人とそうでない人とは、治療法が異なり、助かる命も助からなくなってしまう」と訴えています。

 偽ヘルスパスを持ったことで、守られているような気分になってしまうかもしれませんが、それは、あくまで偽物であることに違いはありません。

 私には、ワクチン接種を拒否する人の気持ちは正直わかりませんが、ワクチン接種・ヘルスパス反対のデモの様子を見ていると、ことのほか、マスクをしていない人も多く、ワクチン接種をしないならば、せめて他の方法で十分に感染対策をしてほしいものだ・・とつくづく思います。


偽ヘルスパス


<関連記事>

「ネット上で広まる偽のワクチン接種証明書・QRコード販売に、パリの病院の看護師が加担していた!」

「フランスのアンチワクチン・アンチヘルスパス論者の言い分」

「フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由」

「インフルエンサーに届く報酬2,000ユーロのファイザー・ビオンテックネガティブキャンペーン依頼メール」

0 コメント: