2021年12月16日木曜日

12月は犯罪が多いパリ パリのスリの生息地

   


 パリの治安はいつも悪いのですが、12月は特に悪いことを、ついつい忘れがちになります。友人がスリにあったという話を聞いて、そういえば、今は12月だったことを思い起こすほど、12月は特に治安が悪いのです。

 12月は、多くの人がノエルを控えての買い物に出たり、ノエルのイルミネーションで彩られていたり、何となく街全体が浮き足立っている中、スリやひったくり、置き引き、万引きなどの犯罪が一段と増え、届くはずの荷物が盗まれて、なくなってしまったりすることも多いのです。

 多くの人が買い物をする季節ということは、皆がお金がほしい季節でもあり、その手の犯罪のプロには、かき入れどきでもあるのです。

 そういえば、うちの娘も昨年のクリスマスイブにTGVの中でスリの被害に遭いました。いつ取られたのかわかっていれば、取られていないので、誰にとられたのかわからないのですが、TGVに乗った時にはたしかに持っていたお財布が降りるときには、なくなっていたのです。

 モンパルナス駅で一文なしになった娘が、落胆して、「これではメトロにものれない・・」と半鳴き声で電話をかけてきた、とんでもないクリスマスイブでした。

 そんな時は、警察に駆け込んだとしても、それは、被害届を作ってもらうだけのことで、そのことによって、盗られたお財布やバッグが戻ってくるわけではありません。

 一度だけ、友人がお財布を盗られた時に、後になって警察から連絡があり、お財布が戻ってきたという奇跡的な話がありましたが、それは、例外中の例外の話で、たまたまスリをはたらいた者が現金だけ抜き取って、お財布は捨て去ったために、運良くそのお財布を拾った人が警察に届けてくれたのであって、スリが捕まったわけではありません。

 お財布を盗られた娘は中には大した現金は入っていませんでしたが、銀行のカードの差し止めやIDカード、健康保険のカードなどの再発行手続きで年末年始は奔走することになったのでした。

 見るからに、怪しいジプシーの子供たちのようなグループや、数人でアンケートを装って近づいてきたり、親しげに話しかけてきたり、わざと何かをこぼしたり、落としたりして、注意を逸らして、その間に仲間がスリを働いたりと、わりとスタンダードなスリやひったくりもたくさんありますが、最近、増えたのは、一見するとそれとは、とても思えない、かなり身なりのよい、一見、ビジネスマン風の装いで、ごくごく普通に生活しているような風を装っているスリです。

 私の知人がレストランで食事をしていた際に自分の座っていた椅子に、自分のお尻と椅子のせもたれとに挟むかたちでバッグをおいていたところ、いつのまにか、バッグをとられており、その後、状況を思い返してみると、どう考えても、トレンチコートを着たビジネスマン風の男しか、思い当たらず、周囲の人の証言からも、おそらくあの男が犯人であろうということになったのですが、それは、後になってから思い返してみれば・・という話で、気付いた時には、その男は消え去っていたのでした。

 また、スリというと、電車やバスの中が狙われやすいのは、もちろんのことですが、スーパーマーケットやデパート、マルシェなどでの買い物中も危険です。買い物中は、買い物に気を取られがちで、ついつい気が逸れていることも多いので、そこを狙われるのです。

 特に日本人は、観光客はもちろんのこと、平和で治安のよい国で生まれ育っているためにスキも多く、現金をたくさん持っていると見られていて、ターゲットにされることも多く、一時は、日本食料品店がターゲットになっていた時期もあり、日本食料品に入ると、「店内でのスリが多発していますので、お気をつけください」などという張り紙がどこのお店にも貼られていました。

 その他、最近は、皆が携帯を持っているようになったので、電車やバスの中で携帯を出すと盗られる!などということは減りましたが、それでも、新しいモデルのiPhoneなどを持っていて、特に車内のドア近くに立って携帯を見ていたりすると、ドアが閉まる直前にひったくられるなどという被害にあった同僚がいました。

 「買ってまだ数日の新品だったのに・・」と嘆いていた彼女は、必死で同僚に「ドアの近くに立って、携帯を持っていてはいけない!」と言い回っていました。

 また、車に乗っていても、決して安心はできません。車の運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人もいました。これは、パリ16区で起こった事なので、特に治安が悪いところではありませんが、むしろ、お金持ち目当ての計画的な犯行とも考えられます。

 車に乗る時は、車のドアはロックしておかなければなりません。なんなら、バッグは座席の上に乗せておいてはいけません。

 ブランド物のバッグを持って街中を歩いていて、後ろからバイクに乗った男にバッグをひったくられた人もいました。

 こうして思い返していると、スリやひったくりの被害にあった知人の話はいくらでも出てきます。

 私自身は、急に男が近づいてきたと思ったら、いきなりネックレスをひっちぎられたことがありました。いつも通勤に通っている場所で、視界も良く、決して治安の悪い場所ではありません。

 その時は、恐怖で声をあげることもできませんでした。

 注意していれば、避けられることもありますが、狙われたら最後、避けられないものもあります。

 私は恐怖の一件以来、特に、パリではできるだけ目立たないように、地味な服装で、ブランド物などはできるだけ身につけないように警戒して暮らしています。

 名だたるブランドものを創出しているフランスではありますが、残念なことに、そんなブランドものは、パリでは持ち歩けないというまことに残念な治安の悪さです。

 友人がスリにあった!という話を聞いてすぐに、ドンピシャのタイミングでパリの日本大使館から、「スリ、置き引き、ひったくり等の犯罪が多発しています」という注意喚起のお知らせが入りました。

 いつもなら、見過ごしてしまいそうなお知らせですが、友人がスリにあったばかり、また、そういえば、12月だった!ということもあり、再び、身の引き締まる思いがしたのでした。


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