2020年12月12日土曜日

ノエルに向けて治安の悪化するパリ

 

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  常日頃から、決して治安が良いとは言い難いパリも、ノエルが近づく頃になると、一段と治安が悪くなります。

 先日は、パリ6区のブルバード・サンジェルマンの高級衣料品店(モンクレール)に黒づくめの11人の男がお店になだれ込むように入店したと思ったら、大量の商品を持ち去るという強奪事件が起こりました。

 防犯カメラに映った犯行の様子は、万引きというには、あまりに堂々としていて、暴力などは、一切なかったのですが、大人数の黒づくめの集団に店員も圧倒された様子で、いささかの抵抗もしておらず、なだれ込んだ人々が商品を持ち去るのを遠巻きに眺めている様子が残されていました。

 一般的に高級店は、セキュリティーがキツいのですが、店員は、このような事件が起こった場合は、「犯人を捕まえようとしたり、抵抗したりはしない、犯人には接触しない」という教育がなされています。これもまた、フランスらしいところですが、「それは、セキュリティの仕事であり、店員の仕事ではない」ということです。安全性の面からも、これはあながち間違いでもないかもしれません。

 お店の方も当然、商品には、保険がかけてありますから、無駄な抵抗をして、暴力を振るわれたりするよりは、良いかもしれません。しかし、売れるはずの商品が失くなってしまうのですから、1カ月間、ロックダウンのために営業できなかったお店にとっては、ようやく営業再開したところにこの被害は、大きな痛手には違いありません。

 白昼堂々の犯行ながら、犯人は捕まっていません。まことに物騒なことで、こんなことが横行しては、たまったものではありません。今は、皆がマスクをしているために、このような人が街にいても目立ちにくいのかもしれません。

*犯行の様子

https://twitter.com/BFMTV/status/1337477830209376259


 年末の治安の悪さも、身近なところでは、郵便物の紛失、盗難が多くなり、日本からの荷物は特に狙われます。日本の郵便局では、「こちらの方が安全ですよ!」と勧められるらしいクロノポストは、フランスで一番、盗難に遭う可能性が高いのです。

 クロノポストの小包は、配送状況の追跡ができるようになっていますが、いざ、追跡をしてみると、届いていないのに配送済みなどとなっていることも少なくありません。配送済みとされてしまえば、それ以上、追跡の仕様がありません。

 また、知人がこちらから日本へ送った荷物がいつまでも届かないので、おかしいと思っていたら、郵便局の窓口の女性が素知らぬ顔をして、彼女が送ったはずのマフラーをしていたのを見つけ、(限定商品であったために、同じものが出回っていないことから発覚)大騒ぎになったこともありました。

 スリ、置き引き、強奪なども、この時期になると、一段と多くなります。この手の?仕事をしている人もノエルに向けて、お金が必要な時でもあり、12月は、犯罪者にとっては、かき入れ時です。今年は、観光客がほとんどパリにはおらず、例年に比べると、街にもずっと少ないので、スリも随分と収入が少ないかもしれません。

 また、空き巣の被害も少なくありません。空き巣は、定期的に巡回を行っており、留守にしている家のポストなどには、(バカンスで長期間、家を空ける家庭も多いため)留守であることを確認した印として、小さなテープが印に張られていたりします。

 フランスの空き巣は、かなり大掛かりなものも多く、家の中身をごっそりと引っ越しのように持っていかれてしまうこともあり、家に帰ると家の中がからっぽだった・・などという話も聞きます。金目のものを狙うのではなく、かなりダイナミックです。

 自転車の盗難の様子などを見ていると、頑丈な鍵で繋がれた部分だけを残して、タイヤからサドルまで盗まれて、無惨に鍵で繋がれた部分だけが残っている様子を見ると、こんなものまで盗んでどうするの?と思うようなものも、何から何まで持ち去る空き巣がいることも頷ける気がします。

 コロナウィルスだけでなく、犯罪も蔓延するパリ、無事に生活できていることが奇跡のような気さえしてきます。


<関連>

「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

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