フランスで2週間に渡って行われていたグローバルセキュリティ法反対のデモは、それを前後して発覚した警察官による暴力事件により、フランス全土での大規模なデモに発展し、特にパリでは、夕刻にはデモが暴徒化し、大騒動になりました。
翌日のレピュブリックから、バスティーユにかけての界隈は、騒動により、店舗やキオスクが壊されたり、信号が壊されたり、キャッシュディスペンサーが壊されたり、挙げ句の果てには、フランス銀行まで燃やされ、本来ならば、ノエルのデコレーションでキラキラしているはずの街が廃墟のようになってしまった様子は、悲しいばかりです。
13万人超えの人々が抗議をしたグローバルセキュリティ法に関しては、警察官による暴力事件による警察への反発もあいまって、簡単なことではおさまりそうもない気配で、このデモは当分、続くだろうとウンザリとしていました。
ところが、そんな国民の気配を感じてか、昨日、国会のLREM会長(la République en marche・前内務大臣)クリストフ・カスタナーより、「グローバルセキュリティ法・第24条を全面的に書き変える」ことが発表されました。どのように書き変えるかは、また次の問題ですが、とりあえず、法令の施行には、ストップがかかったのです。
デモという世論が政治を動かしたわけです。
今回、物議を醸したグローバルセキュリティ法・第24条は、警察官を守るための法律であり、彼らの顔を撮影することを禁じ、それを公開した場合に対して罰則を与えるというものでしたが、撮影自体を禁止したものではなく、公開する場合などには、顔をボカすなどの必要があるという内容なのですが、それを全面的に撮影禁止と受け取ったり、また、映像の加工等の必要から、映像の公開へのハードルが上がり、表現の自由を損なうものであるという反対意見や警察の暴力を抑えるためには、あくまでも映像の公開が必要だという意見などがあります。
たしかに、先日のような暴力事件があれば、暴力を振るうのが、一般市民であろうと、警察であろうと、気軽に誰もが携帯などで撮影できるようになったことは、後の証拠として残されることから、とても心強いことでもあります。
ましてや、今回の警察官の事件のように、偽りの報告書で済まされようとしていたことを考えれば、撮影は不可欠とも考えられます。
しかし、今回のデモを暴徒化させ、騒動を大きくしたのは、ブラックブロックと呼ばれる黒づくめの服で覆面をした暴力集団です。
今回のデモにも100名前後のブラックブロックが出現しました。彼らは、デモなどの騒ぎに乗じて、破壊行動を起こし、壊した店舗から金品を強奪したり、警察を攻撃したり、破壊行動そのものを目的とするブラック集団です。
今回のグローバルセキュリティ法の書き変えが、彼ら(ブラックブロック)の行動を正当化するものとなってはなりません。
グローバルセキュリティ法が国民に受け入れられるように、わかりやすく書き変えられることは必要ですが、彼らの暴力行為が国民の求める結果を勝ち取ったようになってしまわないように彼らの暴力も厳しく追求しなければなりません。
フランスは、警察の暴力もブラックブロックの暴力も同時に断固として制圧する道を探さなければなりません。
<関連>
「騒ぎに乗じて暴れるフランスの暴力集団の存在 ブラックブロック」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_25.html
「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_17.html
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