2020年12月14日月曜日

他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする

 


 フランスでは、ドイツをはじめとする他国の感染悪化の様子を盛んに伝えています。

 特に、ドイツは、これまでにない感染悪化から、13日、メルケル首相が会見を行い、1月10日までの「学校の閉鎖、生活必需品以外の店舗の営業停止 」のロックダウン(部分的)を発表しました。

 メルケル首相の会見からもいつになく、必死な感じが伝わってきます。このクリスマスの前の時期に学校やお店を閉めざるを得ないことは、大変な決断です。

 これまでドイツは、ヨーロッパ全体がコロナウィルス感染が拡大し、苦しんできた中、強固な医療体制と、先んじたテストや隔離の実施から、感染が広まりつつも、常にフランスなどよりは、遥かに余裕の優等生の状況で、フランスからの患者も多く受け入れてくださり、助けの手を差し伸べてくれていました。

 ここへ来て、ドイツは11日には一日の新規感染者数が2万9千人を超え、死者数も598人に上り、これまでにない第1波以上の感染の拡がりを見せています。

 スイスでも、第1波の際には、一日の感染者が数百件であったにも関わらず、現在は、5,000件を超える勢いになっています。ほんの少し前までは、スイスでは、このノエルのバカンスにリゾートで食事もリゾートも楽しむと豪語していたばかり・・バーゼル、ベルン、チューリッヒ、ローザンヌ、ジュネーブの5つの大学病院は、厚生大臣に向けて、病院の逼迫状態から、感染拡大を警告する書面を提出しています。

 また、スウェーデンのストックホルムでは、病床の占拠率が99%にまで達し、集中治療室の飽和状態が起こっています。

 フランスのニュースでは、これらの国々に加えて、日本まで例にあげて、一日の新規感染者数が3千人に迫る勢いで第3波が加速している様子を伝えています。

 フランスの新規感染者数は、ここのところ、1万2千人前後、決して良い状態ではないにも関わらず、なにせ、一時は、6万9千人まで上昇した時期があったばかりに、現在の状況を甘く考えているような気がしてなりません。

 これから、ロックダウンに入るというドイツも、フランスが2回目のロックダウンに突入した時(新規感染者数6万9千人)ほど状況が悪化しているわけではありません。

 たしかに現在のドイツの状況は深刻な状態ですが、かといってフランスの状況が改善しているわけではありません。ドイツやスイス、スウェーデンなどの状況を見ると、第2波は第1波の状況を上回っているのです。

 ましてや15日から、ロックダウン解除に向けて動き出すフランスは、次の波を迎えれば、一層深刻な状況を迎える可能性大な、危険極まりない状況なのです。

 そんな中、ノエルが近づき、ロックダウン解除を控えて、気も緩んでいるのか、一昨日は、マルセイユで500人を超える人が集まるパーティー、(マスクなしの上に大量の麻薬まで押収された)ロワール沿いのナント、ストラスブールでは、100人超えのパーティーが警察の介入により、解散させられたという事件が起こっています。

 第2回のロックダウン開始以来、私は、一度も外出制限の巡回を見かけたことはなかったのですが、実に290万件以上のチェックが行われており、そのうち違反として罰金を課せられたのは、28万5千件以上にのぼるとの報告が上がっています。

 これだけのパーティーやあれだけのデモが毎週のように行われている中、この数字が多いのか少ないのか、もはやよくわかりません。

 隣国の感染悪化に加えて、日本の新規感染者が3千人に迫る勢いで第3波を迎えているなどと伝えていることに私は、唖然とするのです。もし、今、フランスで1日の新規感染者数が3千人まで下がれば、あたかもコロナウィルスは消えたかの如くの扱いになることでしょう。

 自画自賛が得意なフランスは、第2回目のロックダウンをよく乗り切った、自分たちは、うまくやってきたと、現在、余裕をこいて、他国の感染悪化を伝えていますが、これから年末年始にかけてのフランスのロックダウン解除による結果は、火を見るよりも明らかなのです。

 他国の感染拡大に関する、どこか上から目線の報道に、「お前ら、余裕こいてる場合かよ!?」と、ため息が出るのです。


<関連>

「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_27.html

「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_20.html


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