2020年12月28日月曜日

フランス・コロナウィルスワクチン接種開始

  


 12月27日(日)、いよいよフランスでもコロナウィルスのワクチン接種が始まりました。

 78歳の女性がパリ近郊のセーヌ・サン・ドニの病院でフランス初めてのワクチン接種を受けました。次いで、午後には、65歳の医療従事者(心臓専門医)がワクチン接種を受けました。

 フランス初めてのワクチン接種を受けた女性は、ワクチン接種を受けるにあたって、「感動している!」と答え、またワクチン接種直後には、「暑くなってきた!」と高揚した面持ちで語っています。

 彼女は、高齢でしかも慢性疾患に苦しんでいることなどの条件からフランスでの最初のワクチン接種に選ばれたようですが、このフランスでの最初のワクチン接種として、マスコミに登場することを同意することも最初のワクチン接種対象者に選ばれた条件の一つであったと言われています。

 フランスもワクチン接種を始めたことをアピールしたい気持ちもわかりますが、マスコミ登場が条件の一つであったなどというのは、あまり気分の良い話ではありません。

 フランス政府は、このワクチン接種を来週から、パリ、リヨン、フランス北部の地域、トゥールの近く23カ所の高齢者施設から開始していく予定にしています。

 現時点での対象は、65歳以上の高齢者、医療従事者を中心に展開され、1月中旬には、数百の高齢者施設でのワクチン接種が行われます。

 ワクチン接種に関して、フランス政府は、「信頼」「透明性」「自由選択」を軸とした方針を掲げていることから、現在、ワクチン接種が行われる高齢者施設の居住者に対する「同意書」収集に追われています。

 ワクチン投与の前には、患者の同意を得る必要があり、高齢者施設の居住者については、主治医とのワクチン接種前の相談が行われます。他の医療行為と同様に、同意は口頭で行われ、本人が判断できない場合は、家族や信頼できる人に相談します。それが不可能な場合は、施設のスタッフとの合同会議が開催されます。

 フランスには、依然としてアンチワクチンを唱える人も少なくなく、むしろ、国民全体としては、現在のところ、ワクチンをするつもりでいる人は、全体の44%のみで、この「同意書」収集も必ずしも、あっさり進むとは限りません。

 また、今後の感染状況にもよりますが、政府では、「ワクチンパスポート」のような、「ワクチンを受けたことを証明するシステム」案が出ており、このパスポートを持っている人だけが、現在もまだ閉鎖されたままであるレストランや劇場、映画館を利用することができるというアイデアが、「ワクチンを受けなければ、これまでの日常生活に戻れないなどということは、ワクチン接種が自由選択であるとは言えない!」と、早くも大反発を生み初めています。(特に若い世代)

 政府は2月上旬までに70万人の高齢者施設居住者にワクチン接種を提供し、その後、2月から春にかけて、ワクチンを希望する高齢者と併存疾患のある介護者にワクチンを投与し、この夏までに合計で1500万人のフランス人がワクチン接種を受けることを目標としています。

 当面は、高齢者施設や高齢者、慢性疾患のある人が優先で、一般大衆にまで、ワクチンが広がるのは、少なくとも春以降の見込みで、レストランや映画館の再開とワクチン接種を結びつけることは不可能ですが、徐々にワクチン接種が拡大するとともに、この「ワクチン問題」への論争も徐々に物議を醸しそうです。

 それよりも、現在のところは、ワクチン接種が始まったことで、コロナウィルス感染の収束が見え始めた・・などと、気が緩むことの方が差し迫る危険因子なのではないかと思っています。


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「フランスのコロナウィルスワクチン接種」

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