2020年12月17日木曜日

パリから車も人も消えていく パリ絶対伝説の崩壊!?

 


 ロックダウンが解除された代わりに、フランスに戻ってきた夜間外出禁止令。夜20時から朝6時までは、外出禁止になりました。取り締まりもあり、罰金(135ユーロ)付きということもあって、今のところ、夜になると街はシンと静まりかえっています。

 ノエルを控えているということもあるのか、予想以上に皆、この夜間外出禁止の規則を守っているようです。(といっても、まだ2〜3日しか経っていませんが・・)

 むしろ、外出証明書さえあれば、外出できたロックダウン中の方が夜も人がいたような気がするのは、皮肉なことです。

 いつもなら、ノエル前の人出は、相当なものですが、静まりかえって、車さえ、まばらな、イルミネーションだけが輝く夜のシャンゼリゼなどを見ると、やたらと美しいだけに、かえって今年の異常さを改めて感じます。

 3月のロックダウンの時に、家のアパートの駐車場が空っぽになったのには、驚きましたが、(多くの人がロックダウン中をセカンドハウスや故郷の両親の家で過ごしていました)一度目のロックダウンが解除になった5月になっても、車は、あまり戻ってきませんでした。

 私とて、そんなに頻繁に駐車場のチェックをしているわけではないので、詳しい出入りはわかりませんが、一度は、パリに戻ったものの、再び、バカンスに出てしまったのかと思っていました。

 ところが、バカンスが終わっても、車はやっぱり戻ってきませんでした。現在、駐車場のスペースは、半分も埋まっていません。

 うちの駐車場を見る限り、コロナウィルス感染が始まって以来、車を手放したと思われる人がかなりいます。経済危機はもちろんのこと、こう度々、ロックダウンや外出制限があっては、使わない車のための維持費(税金・保険料・駐車場料金・燃料費)もバカにならないのでしょう。

 倹約家のフランス人、当面は、車はあまり使えないとなれば、早々に車を手放すことを考えるのもわからないでもありません。

 もともと、我が家は、大きなコマーシャルセンターがすぐ近くにあるため、買い物などにも車は必要なく、小さい子供がいるわけでもなく、とっくの昔に車を手放しています。車がどうしても必要な時は、レンタカーかタクシーを使います。最近は、結構な距離でも、もっぱら自転車です。

 パリからは、車が減るだけでなく、住居や事務所も移転する人も 増えています。

 仕事がリモートワークが中心になり、これまで首都にいることが必須であった人たちも、リモートで仕事が済ませられることが定着し始めたこともあり、TGVで1〜2時間以内でパリを行き来できる範囲内に移転すれば、家賃が半分以下で、もっと広くて快適な暮らしができる庭付きの物件などに乗り換え始めているのです。

 以前、メトロの駅の広告で、パリの不動産物件を扱うポスターに、「買うなら、パリのアパートに限る!そこは、パリであり、値段は決して下がることはない・・」というようなコピーのポスターを見かけて、「さすがのスゴい、パリのプライドに満ち溢れた余裕のコピーだ・・」と思った記憶があります。

 コロナ禍の今、神話に近いパリ絶対伝説は壊れようとしています。そもそも、フランス人にとって、パリは憧れの地であると同時に嫌われ者でもある場所。ましてやこの経済危機にやたらと高い家賃に狭い空間のアパートに見切りをつける人が増えているのです。

 来年には、ワクチンも広まり始めるようですが、本格的に経済が復興するのは、まだまだ先のこと、収入が減ったり、失くなったりする人が増える中、パリの家賃や車の維持は重くのしかかっているのです。

 フランス政府は、自動車業界支援のために、新車購入のための特別控除・援助などを行っていますが、一般市民にとっては、新車購入どころか、アパートの家賃や車の維持費に頭を抱えている人の方が多いのです。

 今のところ、2024年パリで開催予定のオリンピックの話題は、全く上がっておらず、それどころではない状況のフランスですが、パリに人が戻ってくるかもしれないとしたら、そんなタイミングなのかもしれません。


<関連>

「パリはフランス人に嫌われている」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_9.html


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