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2025年5月24日土曜日

フランスの研究者らが薬剤耐性ガン細胞を殺す分子の開発に成功

  


 国立科学研究センター(CNRS Centre National de la Recherche Scientifique)の研究ディレクターで、パリ・キュリー研究所の所長でもあるラファエル・ロドリゲス氏の率いるガン治療研究チームは、「現在、使用されている薬剤に耐性のあるガン細胞を殺すことのできる分子の作成に成功したこと」を発表しました。

 この詳しい内容については、5月22日号のフランス・アンテル紙で説明しています。

 また、ガン転移細胞の除去に関する彼らの研究は、5月7日号の科学誌「ネイチャー」にも掲載されています。

 現在のガン治療に使用されている薬の多くは、原発腫瘍を標的にしています。なぜならば、原発腫瘍は急速に増殖する細胞ですが、小部分の細胞は休眠状態にあり、増殖が少なく、そのため薬に抵抗性で体内を移動する能力を持っているのです。

 この体内を移動する能力を持った小部分の細胞が転移を形成するものとなります。

 ラファエル・ロドリゲス氏のチームはこれらの耐性細胞を標的にする方法を13年間、研究を続けてきた結果、これらの難治性細胞が現在の治療法に対抗するには、より多くの鉄と銅を必用としていることを突き止めました。

 鉄と銅は錆びる金属なので、この鉄を捕らえ、細胞膜を酸化して、細胞を死滅させる能力を10倍に高める新しい分子を開発したのだそうです。

 この新しい分子は、すでに膵臓癌や乳がんの患者の生研でテストされており、結果は良好であり、この分子は、現在、臨床で使用されている薬剤に反応しない細胞を殺すことができることがわかっています。

 ガンという病と闘病中の人々には朗報ですが、現段階では薬の開発は困難で、まだ、人間への効果を妨げる要因が数多く存在し、また毒性が強すぎる可能性も否定できないため、これが実際の臨床の場に登場するには、道半ばのようです。

 ガン治療の際によく、原発巣を取り除いて、5年以内に再発しなければ・・などという話を聞きますが、ちょうど5年を過ぎた頃に再発してしまい・・ということもあります。

 私の友人の一人もまさにこのケースだったのですが、再発してからは、あっという間でした。

 おそらく、この転移というのが、もう薬ではどうにもならない細胞ということだったのでしょうが、今回の研究成果が実際の臨床に使われるようになれば、多くの人の命が救われることになります。

 「この研究のために人生を捧げているので、実現を信じている」というロドリゲス氏・・素敵な人だなと思います。

 

薬剤耐性ガン細胞を殺す分子


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2025年3月17日月曜日

フランス人の86%が兵役復活に賛成している?

 


 IPSOS-CESI Ecole d'Ingénieur 世論調査によると、フランス人の86%が兵役の再開、さらには、53%が義務的兵役 に概ね賛成していると答えています。

 この世論調査は、ロシアのウクライナ侵攻とトランプ大統領就任以降の国際的な緊張の高まりを背景に周囲の欧州諸国が防衛力を強化するために徴兵制や予備軍増強を検討している中で行われました。

 それでも、調査対象者の多くが概ねこれに賛成している中、14%は完全に反対であると答えています。

 また、これらの回答は調査対象者の支持党派によっても異なり、極左政党に近い人の31%が兵役義務の復活を支持しているのに対し、極右政党国民連合の支持者では67%が支持しています。そして、これは、年齢層によっても異なり、35歳以下の人では41%が兵役義務を支持しているのに対し、60歳以上では、63%が支持しています。 

 いずれにせよ、この数字は私が想像していたよりも、ずっと多い数字で、もし、これと同じ世論調査を日本で行った場合にどのような数字になるのだろうか?と思って、そのような調査がないかと少し調べてみましたが、みつかりませんでした。

 先週の段階でマクロン大統領は、国民皆兵制度(SNU)の大幅見直しについて、翌週にも発表すると公表していましたが、よもや徴兵制度の復活?かと思いきや、週末の数社の仏紙のインタビューでマクロン大統領は、「兵役義務の復活は現実的な選択肢ではない」、「作戦に重点を置いた軍隊の専門家に着手した瞬間から、80万人の若者を動員することは絶対に可能なことではない」答えており、彼が言っていた国民皆兵制度の大幅見直しは、別のところにあるようです。

 たしかに、この国民皆兵制度が停止され、縮小されていった背景には、これには、大変な費用がかかるためだ・・という話も聞いたことがあります。

 この兵役問題は、別としても、軍事予算の拡大は、すでにマクロン大統領は、増税なしに行うと宣言済みのこと。

 とはいえ、増税なしに行うとなれば、なにか別の予算が削られることは大いに考えられること。フランス国民は、この軍事費の増額のために、医療費の払い戻し、住宅手当、家族手当、学生助成金などの社会保障を削減したり、法定年退職年齢を延長したり、年間数日の追加労働などのすでに提案されている案には、全て反対しています。

 防衛に関して、フランス人が賛成していることと、反対していること、どちらもフランス人をよく表している気もしますが、多くの人が兵役復活に賛成するような状況は、尋常ではありありません。


フランスの兵役に関する世論調査


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2024年12月9日月曜日

フランスの教育レベル PISA(International Program for Student Assesement)ランキング

  


 PISA(International Program for Student Assesement)は、世界中の教育システムの有効性を測定するためにOECD(経済協力開発機構)によって国際的に実施される調査です。

 フランスはこのレポートでランク付けされる国のひとつであり、日本もまた、このランキングの中に登場する国のひとつです。

 PISAランキング(留学生評価プログラム、またはフランス語で学生の成績を監視する国際プログラム)はOECDのプログラムで15歳の学生の学力を読解力、数学、科学の3つのカテゴリーで分析し、これにより、さまざまな国の教育制度を評価および比較することができます。

 PISAの報告書は3年ごとに発行されていますが、最新のものでは、フランスは特に急激に数学の学力が低下していることが問題視されています。今回のものは、2022年のデータに基づいたものであると言われ、パンデミックによるロックダウンのために学校に通えなくなった期間の悪影響ではないか?とも言われていますが、ロックダウンになったのはフランスだけではないわけで、なにか別に原因があるような気もします。

 それでも総合的に見れば、参加国85ヵ国のうち、フランスは26位、読解力29位、科学でも26位となっており、フランスはOECD参加国の平均内にあります。

 この調査はフランスの335の教育機関が評価に参加し、これらの教育機関から無作為に選ばれた8,000人の学生のデータが使用されています。

 フランスが急激にそのポイントを落としているという数学に関しては、圧倒的にアジア諸国が上位を占め、1位シンガポール、以下、マカオ(中国)、台湾、香港、日本となっています。

 私は数学は好きではない科目でしたが、「日本人は数学が得意である・・」というイメージがあるらしく、大変、低次元の話ではありますが、アフリカにいた頃におつりの計算を暗算したら、家にいたボーイさんにひどく感心され、「あ~でも、日本人だから数学が得意なのは当然だね・・」と言われたことにビックリし、心の中でこれは数学ではなく算数・・などと思った(アフリカの人にも日本人は数学が得意だというイメージがあることを知ってビックリした)のを覚えています。

 ちなみに、ヨーロッパで最もこのランキングの上位にいるのは、数学では、エストニアとスイス(7位と8位)で、読解力ではアイルランドとエストニア(2位と6位)、科学ではエストニアとフィンランド(6位と9位)となっています。

 単にランキングだけだと、あんまりピンと来ないし、同じ国でも学校によって、ずいぶん違うので、一概には言えないと思うのですが、それでもきっと、けっこうな違いがありそうで、その内容にも興味が湧いてきます。



PISA(International Program for Student Assesement)


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2024年12月1日日曜日

最近、とみに思うことの一つ 母と話したい・・

  


 私の母親との関係は、そんなにべったりした親子関係ではなかったけれど、かといって、全く、冷たい関係などではなく、むしろ、特に幼少時は母はしっかり私を教育してくれていたし、その最たるものは母が私にしてくれた英語教育で、本当に私が幼稚園くらいの時から母は自分が英語好きであったということもあって、母自らが私に英語を教え、英語に慣れ親しめる生活を送らせてくれていました。

 母は私に英語を教え始めたことをきっかけに、近所の子どもたちにも英語を教えるようになり、その後は英語のワークブックを出版したりまでして、しまいには、英語教育をする人向けの講演会などまで開催するようになり、主婦業、家事とともに忙しい生活を送っていました。

 しかし、結局のところ、母の本業?というか、もっとも大事にしていたのは、自分自身が子どもに英語を教えることで、それは晩年まで続けていました。

 母は心臓病を抱えていたので、晩年は、入院さえしなかったものの、家で安静にする生活をしていたものの、子どもに英語を教えることだけは続けようとしていたのですが、他の生活を制限までしているのに、自分の仕事を続けるのは無理だろうという周囲の意見もあって、本当に最後の2~3年は、その仕事も諦めてしまいました。

 我が家は母が幼少期から私たち子どもに英語を教育してくれたおかげ?もあって、私たちは二人とも海外生活をすることになり(といっても私はフランス語圏なのですが・・)、結果的に母は寂しかっただろうと思う反面、私が職場で「英語、上手だね(フランスでだけど)・・とほめられたよ!おかげさまで・・」などと報告すると、とてもうれしそうに満足気にしていました。

 私は、現在はあんまり英語を使う生活ではありませんが、弟などは、ほぼ英語で仕事をしているので、やはり母にはとても感謝していると思います。

 歳を重ねるにつけ、女性特有?の体調の変化や体力の衰えを感じ始めると、たびたび、母がいてくれたら、色々と聞いてみたかったな・・そういえば、母が体調について、こんなことを言っていたな・・などということを思い出したりすることが増えてきました。

 先輩の女性としたら、私にはけっこう今でも仲良くさせていただいている叔母たちもいて、話そうと思えば話はできるのですが、そこはやっぱり母の方がいいな・・と思ってしまうのは、年がいもないことですが、やっぱり今さらながら親子の距離感なんだな・・。

 母が亡くなってしまってから、もうそろそろ20年近くなるし、その2年後には、夫が急逝してしまったので、特に夫が亡くなってしまったときなどは、「母が生きていてくれたら、絶対に何をおいてもかけつけてくれただろうに・・」などと恨みがましく思ったりもしました。私にとっては、あの時の2~3年は本当にダブルチョップを受けた感じでボロボロでした。

 あれから徐々に更年期やら、体調の変化に気付くたびに、たぶん、あの時、母が言っていたことは、こういうことだったんだろうな・・と思うことが度々ありましたが、最近は、また別の意味で、最後まで母が子どもに英語を教えることをやめたくなかったことがわかるような気がする・・というより、やらせてあげればよかった・・と思うようになりました。

 最近、自分の体調がいま一つであったりすることもあるのですが、一応、夫が亡くなって以来、一人で子育てしてきた娘もどうにか自立し、これまで娘のことを第一に暮らしてきたので、しばらくはなんだかぽっかりとした気分でもいましたが、自分のためだけの生活というものの心地よさも、すっかり、しっかり楽しめるようになりました。

 しかし、これを死ぬまで続けていくのかと思うとなんとなく虚しい気もしないこともなく、これで夫でもいれば、まだ、二人で何かするということもあったのでしょうが、本当に半分余生のような気がしないでもありません。

 まあ、考えてみれば、高齢の人々はたいていそんな感じなんでしょうが、みんなどんな感じで暮らしているんだろう?などと思ったりもします。

 そんなとき、母が最後まで体調を押してまで子どもに英語を教えることを続けたかった気持ちが今では、なんとなくわかる気がするし、そばに私がいたら、それに協力してあげることもできただろうに・・とそんな気持ちになっています。

 母は、今の日本人の平均寿命からするとかなり早くに他界してしまったので、余計に母との時間は短かったとは思いますが、海外生活をしていた分も母との時間が少なくなってしまいました。

 最後の数年間は、今のようなネットでいつでも電話できるというわけではなかったのですが、それでも一週間に一度は必ず母に電話するのが習慣になっていて、もしかしたら、下手に同じ日本にいるよりも話はしたかもしれません。

 私は父とは、険悪とは言わないまでも、あまり良い関係とも言い難い分、母方に傾く傾向があったかもしれませんが、母娘というのは、やっぱり特別な関係でもっともっと一緒の時間を過ごしたかったな・・もっともっと話をしたかったな・・と年齢を重ねた今、とみに思うようになっています。


母との時間


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2024年9月3日火曜日

新年度の始まりで開始される制服導入と携帯電話禁止のテストケース

    


 フランスにおいて、ここ数年、話題にのぼっていた小・中学校の制服導入の試験的試みが70校を含む90の施設で開始されているようです。

 2年くらい前に、最初に公立小・中学校での制服導入の話が上がり始めたときには、「フランスの学校で制服?冗談でしょ!」と思ったくらいあり得ないだろうと思っていたことが、あっという間に実現に向けて、とりあえずは試験的にとはいえ、開始されたことに驚いています。

 これは、全国的にこの試験的な試みを行う学校を募集したうえで、学校側の賛同が得られた学校で行われ始めたことで、自治体と州がこの費用を負担しており、保護者には、一切、資金的な負担がかかっていないそうです。

 この制服の組みあわせについては、以前の段階では、多くはポロシャツ、パンツ、スカート、セーターなど比較的ラフな感じと聞いていたのですが、地域によっては、これにジャケット、ブレザーなどが追加されており、一人につき、合計9点の衣服が支給されているところもあるようです。


      


 男女別でもあり、また、季節を考慮しなければならないこともあり、またサイズ合わせなど、また一年の間の成長の過程などもあり、その生徒一人一人用に合わせた制服キットを用意するだけでも大変な予算と労力が必用となり、労力の面は特に、これをフランスの学校の先生がよく了承したな・・とも思います。

 この制服導入のテストケースの運営には、最大50%がコミュニティによって資金提供され、残りは国家が担うことになっており、国の教育機関が発表した費用は制服キット1個あたり(1人当たり)200ユーロと言われています。

 各自治体は、地元のコミュニティと対話しながら、制服を定義し、細かい衣装ひとつひとつは、教師チームと生徒の保護者の間で数回の会議を経て選ばれているそうです。

 このテストケースに参加している自治体は、「学校の制服は単なる規制上の服装ではなく、教育環境においても重要な役割を果たすものでもあり、規律上の側面を越えて高品質の衣服としての紛れもない利点も備えている!」と胸をはっています。

 このテストは、少なくとも2年は継続される予定だそうで、これが成功すれば、2026年には、一般化する可能性があると言われています。

 また、この制服導入とセットのように語られているのが、「学校内での携帯電話使用禁止」の流れで、これには、具体的な予算等は、さほどかからないうえ、ネットによるイジメ問題の深刻化などからも比較的、好意的に受け取られています。

 今や小中学生、特に中学生ともなれば、携帯を持っていない子を探す方が大変なくらいですが、学校に入る際に学校側が携帯を預かり、まとめてロッカーに保管。子どもたちが帰る際に子どもたちに返却するという方法をとる学校が多いようです。

 これには、保護者側も、子どもたちの登下校の際に所在確認ができればよいので、校内にいる間に携帯を使用せずに、学校での授業や他の活動に集中できることは、よいことだ・・と受け入れている人が多いようです。

 携帯電話に関しては、そもそも、10年、いや15年くらい?前までは、そんなものは取り上げるまでもなく、子どもたちは、携帯など持っていないのがあたりまえだったのですから、本来ならば、全然、問題ないはずどころかじゃまなもので、学校にいるときくらい、携帯を覗かずに、授業に集中し、友だちと話したり、遊んだりする時間は、必要だと思います。

 私は、ほぼ日本で教育を受けて育ちましたが、制服のある学校に行ったことがないので、余計に制服というものに、ピンと来ないのですが、とりあえず、これが良いのか悪いのか?試してみるというのは、よいかな?とも思います。


新年度の小中学校制服導入と学校内携帯電話禁止


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2024年7月29日月曜日

オリンピックを開催している街ってこういう感じなんだ・・

  


 パリオリンピック開会式の日は、交通手段も限られていたし、その翌日もお天気が悪く、なんとなく、街中に出てみようという気もしなかったのですが、2日後、ようやく、ちょっとオリンピック色に染まった街の様子を覗いてみようか?と、パリにあるいくつかのスタジアムのうちの一つの近辺を少し歩いてみました。

 相変わらず、我が家の周辺のバスは通常運転にはなっておらず、「え~~?まだダメなの~~?」と正直ウンザリもしたのですが、セーヌ川へのアクセスは、場所にもよるのでしょうが、再開されていて、久しぶりにセーヌ川沿いも歩くことができました。

 スタジアムの近くの駅は、やはり警備は相当なもので、「メトロ、結構、混んでる?」と思ったら、警備隊(私が見たのは憲兵隊でしたが・・)がメトロの中にまで乗り込んでいました。


 おそらく、セーヌ川近辺に取られていた人員が今度は市内、メトロの中にまで配置されるようになったものと思われます。まあ、こんな警備隊がメトロの中にまで乗っているのは、多少、緊迫感もありますが、よく考えてみれば、安心なわけで、おそらく、日常のパリよりは、数段、治安がよくなっているのではないか?と思われます。

 お天気が良いだけで、パリは本当に格段に美しく感じられ、また、オリンピックのための表示や看板などが周囲の風景や緑の木々など、計算しつくされたようにマッチしていて、路肩に何気なく置かれたブロックなどまでもが、今回のパリオリンピックカラー(オリンピックの五輪の色とは別のパステルピンクとペパーミントグリーンなどなど・・)にペイントされていて、とってもいい感じです。



 開会式のための警備のための、あまりの規制の厳しさに逃避してしまったパリジャンも多かったわけですから、すべてのフランス人がオリンピックに好意的、またオリンピックに興味あるというわけではないとは思いますが、それにしても、やっぱりオリンピックを開催している街がなんとなく、次第に湧いてくる、なんとなく多くの人がワクワクしている感じというものを少しずつ感じています。

 テレビのオリンピック中継なども、いつもは要所要所に少しずつフランス人の分だけ・・という感じが多いのですが、今回は、時差もなく、何より開催国ということで、夜20時のニュースの時間なども、ほぼ一般的なニュースは最小限でオリンピックの中継やオリンピック関係の報道に割かれています。

 私は、オリンピックといえば、やっぱり日本人を応援したくなるのですが、ふだんはあまり日本人の分は放送してくれないので、日本人がいない競技はフランスを応援します、

 昨日はちょうど、水泳の生中継をしていて、フランス人も日本人も出てきた男子400メートルメドレーの試合でした。

 これは珍しいタイミング!と思って見ていたのですが、満席の会場の応援はほぼほぼフランス人の応援で、テレビ越しからでも伝わってくる観客席の大熱狂。各国からの応援団はそれぞれいるとはいえ、これはフランス人にはずいぶん有利、気持ちの上がりかたはずいぶん違うのではないかと思いました。

 その試合では、なんとフランス人が金メダル!日本人が銅メダルを獲得していました。

 ちょうど、その日には、たまたま行ったスタジアムの近くに時計メーカーのOMEGA(オリンピックの公式タイムキーパー)のパビリオンができていて、実際にオリンピックで使われているタイムを測るための装置や実際のプールの中の装置がどんな風になっているのかなどを見てきたばかりだったので、「ほんとに、あれ、使ってるんだ!」あの展示場に出ていた写真の人(奇しくも当日金メダルをとったフランス人選手)だ!などと、いつもよりは、興味深く見ることができました。






 このオメガのパビリオン、実際に自分で走ってみてタイムを計ってくれるゲームなどもできるし、わりとふらっと見て回れるので、機会があれば覗いてみるのも楽しいかもしれません。Parc de Bercyの中にあります。入場無料です。

 まだまだオリンピックは始まったばかりではありますが、街がオリンピックでなんとなく高揚していく感じというものは、こんな感じなのか・・というのを少しずつ感じています。

 と、同時に無観客のまま行われた東京オリンピックは、本当に残念だったな・・とも思うのです。


Paris 2024 パリオリンピック


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2024年6月18日火曜日

娘はけっこうなハードワーカー??

  


 「パリ行きの安いチケット見つけた!」と、かなりフットワーク軽くパリにやってきた娘は、現在、家で仕事をしています。

 6月末までにとりきらなければならないお休みが残っているから・・と聞いていたのですが、それは、今回の彼女のパリ滞在まるまるの日程の分のお休みをとっているわけではなく、最初の一週間は、ほぼほぼリモートワークで通常どおりの仕事をしているようです。

 彼女の仕事は、リモートワークが中心なので、日本にいても会社に行くのは、せいぜい週1~2日くらいなもので、行っても行かなくてもいいけど・・という私にはよくわからないもので、私が日本に行っているときも、彼女は家で仕事をしていたり、たまに会社に行くことがあったりするし、私が日本に行くときには、私の方は、かなりスケジュールがキツキツで彼女の仕事の様子は、あまり気に留めていませんでした。

 今回、彼女が今の仕事についてから、初めてのパリでのリモートワークの様子を見ていて、朝は日本時間にあわせて、朝6時頃に起きて会議などに臨み、その後も、自分自身の仕事をしながら、次の会議はドイツと・・その次はアメリカと・・などと、結局、ものすごく長時間、仕事をしています。

 パリにいても、私は私のスケジュールで動いているのですが、意外にもリモートワークというものは、どこにいてもいい代わりに、どこにいてもいいからこそ、世界のそれぞれの時間にあわせていると、結局、かなりの長時間労働になるわけで、この国際間のリモートワークをしている人々の仕事ってどうなってるの?とちょっとビックリしています。

 リモートワークというと、なんだか、通勤しなくていいので、楽な気もしていたのですが、これがけっこう大変そうです。彼女は、けっこうなサラリーを頂いているようなので、やはり、それなりにすごく仕事しているのだな・・と、あらためて、娘の仕事ぶりに驚いているのんきなママです。

 私も以前は、パリで日本の会社と連絡をとらなければならない仕事をしていたことがあり、しかし、その頃は、リモートなどではなく、日本に電話しなければならないから、午前中の比較的早い時間に電話しないといけない・・などということもあったのですが、それは所詮、電話だけの話で、ずいぶん、世の中変わったな・・としみじみ思ったりもしているのです。

 しかし、そんなことにも全然、めげずにそれを利用してパリに来ているのですから、若いエネルギーってすごいものだと思います。

 そのうえ、これだけハードに働きながら、ほとんど動いていないのに、私があれもこれもとここぞとばかりに色々買い込んでくるものを食べているので、これはヤバい!とひととおりの仕事が終わると夕方には、1時間くらい走りに行くので、もう帰ってきて食事をすると、ふわふわあくびをしだして、もう電池が切れたように寝そうになっています。

 しかし、大いに仕事をし、大いに遊び、健全だな・・と思います。これも、この先、子どもを持ったりしたら、さすがにできないことで、今のうちだからできること・・できるときに、できるだけ人生を謳歌してほしいな・・と思っています。


リモートワーク


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2024年5月30日木曜日

フランスでの子どものお稽古事 習い事

  


 絶賛子育て中の女性たちの会話を小耳にはさんで、特にまだ小さい子どもを持つママたちは、子どもに何をやらせてあげればよいのか?子どもにとって良い教育とはどんなことなのか? とっても一生懸命に話をしているのを聞いて、なんだか、昔の自分の子育てをしていた頃を思い出し、「私もなんかもう、無条件に必死だったな・・」と、なんか、そんなママたちを見て、「そうだよね・・子どもに少しでもよいことをさせてあげたいよね・・わかるわかる・・がんばれ!」という、なんかそのママたちがとても愛おしいような気持ちになりました。

 私の場合は、とにかく何よりも娘には日本語をしっかり身につけてほしかったので、娘に一番、最初に始めたのは日本語の教育でした。私の最優先事項は決まっていたので、とにかく私は娘には日本語のみで話し、日本語の絵本を毎晩、夜2冊を読み聞かせをし、日本語の単語のカードなどを自分で作ったりして日本語を教えていました。

 まずは、日本語の読み書きができるだけ億劫に感じにくくなるようにと、フランスの学校(実際には幼稚園ですが、フランスでは学校扱い)が始まるまえには2歳で公文に通い始め、えんぴつの持ち方から日本人の先生に(私以外の日本人の人からということも大切だと思って)日本語で教わり、最初は線を引くところから始まり、それから毎週1回、当時はシャンゼリゼにあった教室にしばらく通い、その後はオペラ座近辺の教室に通いました。公文は本当は週2回通えるのですが、スケジュール的に無理だったので、1週間分の宿題をもらって週1にしてもらっていました。

 送り迎えも大変でしたが、毎日の宿題をやらせるのがホント、大変でした。毎日、毎日の積み重ね・・我ながらよく続いたものだと感心します。これらのことは、私が子どもの頃に母から受けた英語教育にちょっと通ずるところもある気がしています。

 私が子どもの頃は、母が私に少しずつ英語を教えてくれていたので(これは外に習いに行ったわけではなく母がずっと教えてくれました)、毎晩、寝る前には英語のお話のテープを聞きながら、ベッドに入るようになっていたので、子どもの頃はそのお話を英語で暗唱できたりしました。小さい頃だったからこそ、できたことです。

 しかし、娘には私も少しだけ英語を教えかけたこともあったのですが、途中でギブアップ、ただし、夫が存命中は夫とは英語で話すようにしていたので、そこに娘がフランス語で割って介入してくることはあったので、ある程度は聞き取れていたかもしれません。

 そして、娘には、私の小さい頃の憧れもあり、バレエをやらせたいと思っていました。もともとは、ほんとに親の勝手な趣味的発想です。しかし、パリにいるからこそ、そんなに高くない月謝で、しかもラッキーなことに先生は、元オペラ座でソロで踊っていたバレエダンサーでした。

 パリで女の子のお稽古事といえば、バレエは定番なのですが、そんなこととは関係なく、これは、単に、私が子どもの頃にやりたかったのにできなかった・・という私の勝手な希望でした。最初、娘はあまり乗り気ではなく、「じゃあ、一回、行ってみて、嫌だったら、やめよう!」と連れて行ったら、娘はたった1回で「やっぱりやりたい!」と変わりました。

 それが4歳くらいだったと思います。当時、娘はピンクのお年頃で、もう何から何までピンクがいいという頃、ピンクのチュチュを着た、ちっちゃなナルシスト集団みたいなところでしたが、結局、彼女は高校に入るくらいまで続けていました。

 日本語はともかくバレエは特に将来なにかにはっきりと役立つというものでもないのですが、しいて言えば、バレエというものはあらゆるダンスの基本のようなものでやってみると地味にキツいもので、しいて言えば、体幹が鍛えられ、姿勢よく成長できたかもしれません。

 私はずっとフルタイムで働いていたので、とにかくどこへ行くにも送り迎えが必用なフランス(小学校卒業までは)で、彼女のお稽古事は私が送り迎えができる日に集中させる必要があり、これ以上は無理でした。

 水泳等は、休みの日、時間が空いていると近所の市民プールに連れていき、私が教えていたので、娘は、しっかり泳げるようになっていました。ただ、ある時、(8歳くらい?)夫が急に水泳をやらせたいと言い出し、自分が送り迎えをするからと、平日の夕方の時間で週1で水泳のクラスに通わせていたこともありました。

 その他には、学校の合宿等で、乗馬をやっていたこともあったし、これまた学校の中のアクティビティでフェンシングなどのコースを取っていたこともありました。フェンシングなどは、これは、性格的にも合ってるのでは?と私は思っていたものの、1年のみで、やっぱりあんまり好きじゃない・・と彼女はあっさりやめてしまいました。

 その後、夏休みや冬休みのコロニーでは春には乗馬の合宿、夏にはサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツ、冬にはスキーと、お稽古事というわけではありませんが、色々なスポーツに触れさせることができました。

 これらのコロニー合宿は夫が亡くなってからの話で、長い夏休みをはじめとする学校のバカンスに私一人でお休みをとって付き合いきれなかった苦肉の策で、夫の元同僚だった人が、財務省(夫の勤務先)の職員の遺族補助が使えるから、通常よりもずいぶん安く行かせてあげられると紹介してくれたもので、まさに不幸中の幸いで、おそらく娘にとっては、私と過ごすよりも豊かな体験ができたのではないか?と思っています。

 ただ一つ、心残りといえば、心残りなことは、私が小さい頃からお稽古事としてやらせてもらってきたピアノをやらせてあげられなかったことで、当時、絶対音感は小さいうちに訓練しないと・・などと思っていたので、小さい頃に私自身が娘にピアノを教え始めていたのですが、どうにも彼女はピアノが楽しくないらしく、どんなに動いても決して音を上げない娘がピアノに関しては、すぐに「手が痛くなっちゃった・・」と言い始め、音に関しても、音ではなく、鍵盤の位置を数えて覚えようとする不思議な子で、他のスケジュールがキツキツだったこともあり、私は早々に「時間の無駄だ・・」と諦めてしまったのです。

 今から思えば、それをどう楽しく感じさせることができるのか?というのが親の力量だったのかもしれませんが、私には、当時、そんな余裕がありませんでした。

 後に「のだめカンタービレ」というドラマが流行ったときに、娘は「やっぱりピアノやりたかった・・」などと言っていたことがありましたが、結局、お稽古事とか習い事は、本人がやっていて楽しいかどうか?というのが続けられるかどうかの判断基準なのではないか?とも思います。

 「好きこそものの上手なれ」とか言いますが、なにをするにしても一定の努力が必用ですが、好きなこと、好きなものであれば、その努力がしやすいということで、それは、お稽古事に限らず、学業の専攻や職業を選択する際にも、よい判断基準なのかもしれないと思っています。

 その子どもの特性によって、合う合わないは色々あると思うので、一概にどのお稽古事がよいということも言えないと思いますが、とにかく少しでもとっかかりのあるものをとりあえず、やらせてみて、続けられるかどうか?本人が楽しんでできるかどうか?ということを試してみるのがよいかと思います。

 とりあえず、私が一番、優先的に考えていた日本語教育に関しては、小さい頃は、「日本語のできない子は日本に連れていけない」と言って、日本行きを餌にして、好き嫌いにうむをいわせない感じにして、とにかくやるのがあたりまえ・・という雰囲気になっていました。

 今となれば、私の念が通じ、彼女は日本でフランスの会社で日本語、フランス語、英語を使って仕事ができているので、結果的には、日本語教育はまことに頑張って続けた甲斐のあった習い事?となりましたが、結果として、はっきり見えるカタチではなくても、小さい頃に色々なことを経験し、一定の期間続けるということは、なんらかの意味があることだと思っているので、忙しい暮らしの中で送り迎え等、頑張っているママさんたちには、エールを送りたいと思います。

 本当に子どもの頃、スポンジのように様々なことを学習する、体験する時期をどのように過ごすかということは、その人の一生にとっても大きなことなのではないか?と思うのです。この時期を逃してしまうのは、本当にもったいないです。


子どものお稽古事 習い事


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2024年4月21日日曜日

「捕食者の巣窟」と呼ばれる危険なオンライン・チャットサイト

  


 4月の半ば頃に、グランド・シント(オー・ド・フランス地域圏)で未成年の少年(14歳・15歳)が路上で男性を襲い、殴り殺してしまったという事件が起こったことなどから、未成年の超暴力化が問題にされていました。

 この事件が注目されたためかわかりませんが、立て続けに似たような事件もとりあげられていました。

 グランド・シントでの事件を起こした少年たちは、すでに公判前拘留され、殺人罪で起訴されています。少年たちは、過去にも暴力行為や窃盗などで逮捕歴があったものの、今回は、殺人事件、彼らは、殺すつもりはなかったが、暴力行為を行ったことは認めているといいます。

 ところが、彼らのこの暴力行為についての計画が「coco.gg」というオンライン・チャットサイトで、「未成年の少女を装って被害者との面会を設定した」と供述したことから、このサイトの危険性に注目が集まっています。

 ココランドとして知られるこのサイトは、性別、年齢、ニックネーム、郵便番号を入力すれば、誰でも参加できてしまい、モデレータや会話のセキュリティやコントロールが全く行われていないサイトで、本人の身分をいくらでも偽ることができるため、このサイトを使って起こされている事件は少なくないようで、これが「捕食者の巣窟」と言われる所以のようです。

 ホームページの左側には、「料理」、「映画」、「60歳以上」などの、ある種のオーソドックスな感じのテーマに加えて、「異教徒の女性」、「女子高生」、「ふしだらな女」のようなわいせつで下品なテーマも並んでおり、小児性愛的なものや、同性愛嫌悪的なものなども含まれます。

 このサイトは、とても簡単にアクセスできるため、また匿名性という気軽さもあいまって、フランスでは85万人のユーザーが存在すると言われています。

 このような危険なサイトは、未成熟な未成年者には特に危険なうえに、その他、「小児犯罪者、強姦者、同性愛嫌悪者、武器、麻薬売買などの不法な交換の場にもなっていると警鐘が鳴らされています。

 Innocence in Danger などの児童保護団体は2013年からこのサイトの閉鎖を求める署名を集め、訴えているそうですが、現在、集まっているのは5,000人ほどの署名だそうで、85万人のユーザーに対しては、あまりにも少ないことは驚きでもありますが、私自身もこの事件が起こるまでは、このサイトの存在は全く知らなかったので、社会問題として、大々的には取り上げられてこなかったのかもしれません。

 しかし、このサイトはガーンジー島でホストされているために、フランス当局が必ずしも対抗できないかもしれないと児童保護団体の弁護士が語っています。

 近年、いくつかの事件がこのオンライン チャットにリンクされており、 ある男は10年以上にわたって妻に薬物を投与し、ココランドを通じて見知らぬ人に彼女とのセックスを持ちかけており、 この事件に関して50人の男性が2024年9月にアヴィニョンで裁判にかけられる予定になっているそうです。

 しかし、このココランドは、ある意味、そのような界隈の人々には象徴的な存在になっているものの、残念ながら、これは他の多くのSNSやチャット形式(ゲームなど一見無害に見えるものも含む)に存在する状況の一例にすぎないという見方もあります。

 近年、SNSを利用した犯罪が多発するようになり、コントロールが本当に難しくなっていますが、ある程度のセキュリティが保たれた状態でないサイトには、少なくとも未成年者だけでもアクセスできないようにしてもらわなくては・・と思います。


危険なオンラインチャットサイト ココランド


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2024年4月12日金曜日

3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止

  


 今週初めに国民議会にて、「保育園や保育所での3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止する法案」が提案され、子どものスクリーン使用に関する健康に影響を与える問題についての議論が高まっています。

 今回の議会への提案は、3歳以下の子どもに対するものですが、児童へのこれらの電子機器の過剰使用については、小学生、中学生についても以前から取り上げられているものです。

 今回の提案では特に3歳以下の子どもをスクリーンの前に置くことは、「言語能力、コミュニケーション能力の発達の遅れ」だけでなく「運動能力の低下」、「睡眠障害」などを引き起こす原因となっていると説明しています。

 今やバスや電車の中でも小さい子どもがスマホでアニメを見ていたり、ゲームをしていたりするのを見かけるのは珍しくなくなりましたが、今回の議会への提案については3歳以下の子どもの保育園での使用禁止ということで、そもそも保育園でタブレットなどを与えて子どもを保育していたのか?とちょっと、驚かせられるところでもあります。

 しかし、これは、基本的には、保育園だけでの話ではなく、家庭内にも同じことが言えるわけで、フランス公衆衛生局は、2023 年 4 月に発表した調査で、2 歳児は 1 日あたり平均 56 分、3歳半の子どもの場合、1日1時間20分をスクリーンの前で過ごしていることを明かしています。

 以前は、テレビは1日〇時間まで・・などと言われたものですが、テレビの場合は少なくとも家にいる時間しか見られなかったものが、持ち運びのできるスマホやタブレットの場合は、四六時中、触れることができてしまうのですから、どこかでストップをかけ、その危険性について、保護者や監督者が認識できていない場合は、その視聴時間が際限なくなってしまいます。

 たしかに、公共交通機関などの中でむずがる子どもにスマホを与えておとなしくさせたりするのは、一見、ラクで良いアイディアのような気がしてしまいますが、やはり、幼少期には、自分の目で色々なものを見たり触れたり、感性を育み、そして、公共でのマナーを学ぶチャンスでもあるのです。

 娘が小さかった頃は、ここまでスマホやタブレットが浸透していなかったので、これほどまでに問題にはなっていなかったものの、それでも、当時、フランスの子どもの間でも大人気だったNINTENDO DSなどのゲーム機器を私たちは決して買い与えなかったし、スマホでさえも、かなりの年齢まで持たせていませんでした。

 私が子育てを始める頃に、子どもの家庭内暴力などの問題が浮上していて、こんなになっちゃったら、どうしよう?と親族にもいる教育関係の仕事に携わっている人々に相談したら、「色々と家庭によって、事情はあるんだろうけど、とにかく身体を動かすこと、スポーツなどをさせて、エネルギーを発散させることが大切らしい」という話を聞いて、私は、とにかく、娘の有り余るエネルギーを発散させることを心掛けてきました。

 タブレットやスマホに子守をさせている場合は、その正反対になってしまうわけです。

 そもそも我が家の場合は、私も仕事をしていて、ウィークデーは仕事帰りに娘を迎えに行って、家に帰ってくるのは、夜7時近く、それから公文の宿題をさせて、食事をさせて、娘が寝るまでの時間には、他のことをしている余裕はほとんどありませんでした。

 ただ、タブレットはありませんでしたが、テレビはあったのです。しかし、私は娘の日本語教育のために、娘の幼少期は、ごく一部のテレビ番組を除いて、テレビは日本の番組をDVDで見るだけのものでした。娘が当時、繰り返し、飽きることなく見ていた日本のドラマなどのおかげで娘はずいぶん日本語を覚えたと思うので、必ずしも、スクリーンを全て否定するつもりはありません。

 しかし、やはり、幼少期には、タブレットなどではなく、身体を動かしたり、家族と会話をしたり、本を読み聞かせたりと他にやることはいくらでもあります。

 このスクリーンの有害性については、幼児だけでなく、ティーンエイジャーや大人とて過剰な使用については、気をつけなくてはいけないことがたくさんあるような気がしています。

 個人的にも、ついついスマホを覗いてしまう習慣をあまり良くない、もっとスクリーンから得られる情報以外のものを自分の目で見たり、感じたりすることが必用だと感じ、日中はできるだけ、スマホやネットに接しないようにしています。

 スマホから得られる情報はとても便利で有効であると同時に他の者と接する時間や機会を奪っているということで、これが精神衛生上、また健康上あまり良いことではないような気がしているのです。

 ましてや成長段階にある幼児や子どもの場合は、他のものから子供たちの経験すべきこと、感性を育てることを遮るものとなっているような気がしてならないのです。


3歳以下の子どものスクリーン使用禁止


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2024年3月7日木曜日

フランスの飛び級と留年

  


 娘が小学生の頃、夫はやたらと娘を飛び級させたがっていたのを私は、反対していました。子供の能力に応じての飛び級や留年というものが、小学校という低年齢層でも、わりと珍しくなく行われていることに日本育ちの私は、今一つ理解できませんでした。

 実際に、娘の同じクラスにも下から飛び級して上がってきていた子がいたし(その子は娘と結構、仲良しで、小学校から高校まで同じクラスだったうえ、高校を卒業してその後の進路がバラバラになっていくタイミングでも、示し合わせたわけでもないのに、なぜかプレパー(グランゼコールの準備学校)まで同じ学校でした。

 彼女は小さい頃からとても小柄で、一つ年下だから、小さいのかな?などと思っていましたが、大人になっても小柄なままなので、年齢は関係なかったようです。

 彼女の親がなぜ?彼女を飛び級させたのかはわかりませんが、飛び級しても、何の支障もなく、その後の学校生活を優秀な成績で過ごしていたようなので、彼女の飛び級は成功だったのかな?とも思います。

 たしかに、あまりに優秀な生徒の場合、子どもの年齢に一般的に定められている学年のままだと、物足りなくて、つまらない・・その子の学力を充分にのばせないということもあるのかもしれませんが、私としては、学校で学ぶということは、学業だけではなく、様々なことを体験していく時間ということでもあると思っているので、その1年間をスキップしてしまうことが必ずしも、よいことばかりではないだろうし、そんなに急ぐことないじゃない!、その年齢に体験できる事柄を奪う必要はないだろうに・・という気持ちでもありました。

 しかも、夫に娘を飛び級させたい理由を聞くと、「あとで、留年してしまったときのために・・」というよくわからないことを言っていたので、「そもそも、留年した時のために・・とか、留年するかもしれないと思うような人が飛び級にふさわしいのか?」という話で、結局、夫は、娘の飛び級は断念してくれました。

 実際に、実年齢どおりの学年での教育を物足りないと感じる子供は、かなり珍しい存在ではあるとはいえ、そういう場合に、飛び級ができるのは、たしかに良いシステムなのかな?とも思います。

 娘が通っていたのは、小学校から高校まである私立のカトリック系の学校で、あまり一般的な公立の学校とは異なることも多かったと思いますが、多くの子どもがそのまま同じ学校にいるので、小さい頃は、学校の行事で親が学校に行く機会もあったり、お誕生日会やお稽古事などで、娘の友人の親子と顔を合わすことも多かったので、小さい頃からの知り合いが多く、中学、高校と進むうちは、子供の方はもう外で会ってもすぐには、誰だかわからなくても、親の方はたいして変わらないので、「ああ~あの人○○ちゃんのママだ・・」と思うくらいで、あとは、娘からの話をたまに聞くくらいでした。

 そんな、娘から漏れ伝わってくる話の中には、「○○ちゃん、留年したらしい・・」とかいう話も混ざっていて、「え~~?あんなに明朗快活な感じだったのに!」と驚いたりすることもありました。

 留年については、そんな話がポツポツとあり、内心、本人は心穏やかではないところもあるのでしょうが、けっこう朗らかに学校に来ているとのことだったので、飛び級とは逆に、必要ならば、2年かけて追いつくことがあってもいいような気がします。

 ただし、娘の学校はかなり厳しい学校でもあったので、留年は1年だけで、その後の結果が思わしくないと、やんわりと転校を促されるらしいということで、そういえば、いつのまにかいなくなっていた子もいました。

 ただし、いなくなっていた子どもの中には、「さらに良い学校に転校した・・」というのもあって(こちらの方はかなり珍しいケースでしたが・・)、飛び級ではなく、学校を変えるという方法をとる人もいました。

 いずれにせよ、子供の教育環境を子供に適したものにするということは、とても大切なことでもあり、とりあえず、私が娘のためにしたことは、私立の学校に入れ、あとは、日本語の学習を続け、できるだけ色々な体験をさせてあげることを心がけたくらいで、我が家には飛び級も留年もありませんでした。

 私の数少ない日本人の友人には、子供の学校のために引っ越しまでして頑張っている人がいましたが、我が家には、そんな経済的な余裕はなく、そこまではできませんでした。

 とりあえずは、健康で横道に逸れることもなく育ってくれただけで、私は充分に満足しています。

 

飛び級と留年


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2024年2月23日金曜日

ほのぼのする光景 パピー・マミー(祖父母)と孫の時間

  


 現在、フランスでは、子供の冬休みのバカンス期間のためか、街に出ると、孫らしき小さな子供を連れたおじいちゃん・おばあちゃんの姿を見かけることが多いです。

 この間、市営プールに行ったら、孫を連れてきていると思われるおじいちゃん、おばあちゃんたちがけっこうたくさんいて、「あら~こんなにたくさん孫連れの人たちがいるのを初めてみたな・・」とちょっとびっくりしました。

 フランスの学校は、ついこの間、ノエル(クリスマス)のバカンスが終わったばかりというのに、1ヶ月後には冬休みのバカンス、そして、またその1ヶ月後には、パック(イースター)の休みのバカンスがそれぞれ2週間ずつ、そして、ちょっとするともう夏休み(2ヶ月くらい)と、とにかく休みが多いので、共働きの多いフランス人家庭は、自分たちの職場でとれるバカンスでは、カバーできない期間は、子供たちを、パピーとマミー(おじいちゃん・おばあちゃん)のところへ預けちゃう!・・という家庭は多いのです。

 もちろん、それができない子もいるので、また別に、市が運営しているバカンス期間のレクリエーション施設のようなものがあるのですが、そこには預けずに敢えて、実家に子供を預ける人も多いのです。

 孫の世話ができる期間というのも、限られていて、おじいちゃん・おばあちゃんの健康状態にも限界があるだろうし、子供は子供の方で大きくなれば、それぞれの世界を持っていくので、考えてみれば、そんな長い期間ではありません。

 でも、そんな光景を見かけると、なぜだか、微笑ましい、とってもほのぼのとした温かい気持ちになります。私自身がとてもおばあちゃん子だったからかもしれません。

 私自身が子供の頃は、父方の祖母は隣の家に住んでいて、よく花札(シブいでしょ!)をして、遊んでもらいましたが、それは、日常の少しの時間に、遊んでもらうという程度で、私の母は家で仕事をしていたので、祖父母に預けられたという記憶はありません。

 しかし、私は父方の祖母も母型の祖母も大好きで、なんなら、誰よりも好きくらいに大好きだったので、私にとって、祖母の死はものすごく悲しくショッキングなことでした。

 また、私の娘に関しては、夫の両親はすでに他界していたため、フランスには、パピーもマミー(おじいちゃんもおばあちゃん)もおらず、私の実家は日本なので、そうそう休みのたびに子供を預けるというわけにもいきませんでした。

 一年に一度、一時帰国をしていた際にも両親が揃っていた時でさえも、母は、心臓病で、寝たり起きたりの生活が多かったので、私が日本で外出する時でさえ、子供を両親に預けて、一人で出かけるということもせず、どこへ行くのにも娘を連れて出かけていたので、あまり、実家に預かってもらったという感覚はありません。

 こうして、孫とおじいちゃん・おばあちゃんだけでプールに来ていたり、お出かけしている様子を見ていると、こういう経験を娘にさせてあげられなかったことは、残念だったなぁ~と思いますが、仕方ありません。

 それでも私の父にとっても母にとっても、本当に「目の中に入れても痛くない」とはこういうことを言うんだろうな・・と思うほど娘のことを愛し、可愛がってくれていたので、それはそれで、できる限りの彼らなりの孫との時間を過ごせたのではないか?と思っています。

 特に父は、気難しく、厄介な人でしたが、娘とだけは、やたら仲良かったのは、孫というものの特別な存在が父の厄介な性格を和らげてくれた魔法のような時間だったように思います。

 核家族化が当然のようになり、祖父母との繋がりも薄くなり、さらに親戚付き合いはほとんどない・・という人も多いように思いますが、おじいちゃんと孫、おばあちゃんと孫というのも、双方にとってかけがえのない繋がりです。

 たとえ、孫の側からしたら、後々、大した記憶に残っていないとしても、心のどこかに暖かい炎をともしてくれる大切な時間なのではないか?と思うのです。


おじいちゃん・おばあちゃんと孫


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2024年2月21日水曜日

フランスの公立校の制服導入は、難航の兆し

  


 フランスの公立校(小・中・高校)で制服を導入するため、まずは、2024年度の新学期から試験的導入を開始すると発表され、思っていたよりも、この制服導入について、早く動き出そうとしていることに驚いていました。

 なぜならば、これまで四半世紀以上もフランスで生活してきて、およそフランスの学校には、制服のイメージが結びつかないものだったからです。

 それが、2年くらい前に、なぜかブリジット・マクロン(マクロン大統領夫人)が「フランスの学校にも制服があったらいい・・私の学生時代には・・」なんていうことを語ったというようなことが、話題にのぼり、「おいおい・・失礼ですけど、いつの話ですか?」なんていうことを思ったのですが、まさか、そんな話が本格的に制服導入という方向に進んでいくとは、その時には、微塵も思っていませんでした。

 このブリジット・マクロンの政府内の影の力というか、発言の威力、影響力というのも見過ごせない気もしています。

 フランスの学生は、学校にもよるのでしょうが、概して、みんなラフで自由な服装で、かといって、そんなに奇抜だったり、派手だったりすることもなく、また、学校自体も日本のような始業式とか終業式はもちろんのこと、入学式とか卒業式もなく、いつのまにか、始まって、いつのまにか終わっているという味気ないというか、よく言えばさっぱりしています。

 そんな中、制服導入の話が昨年あたりから、急激に具体的に進みだし、政府は、まずテストケースとして、100校を集めるとし、このうち87校がこのテストケースに参加することになっていると発表しましたが、内情は、このテストケースでさえも、集めるのに苦労しているようで、このテストケース参加募集の期限が2月15日だったものを結局のところ6月末まで期間を延長しています。

 つまり、期限内に試験的でさえ制服を導入してみるという学校が100校も集まらなかったということなのです。

 そもそも、これが実験段階とはいえ、「理事会と学校評議会の同意、そしてもちろん地方自治体の同意が必要で、それらのハードルを越えられない学校が多い=つまり、反対意見が多いということなのです。

 だいたい、この制服導入には、「格差社会の差別を抑制し、帰属意識を高めることを目的」としていますが、「制服で差別が解消されるわけではない」ということをみんながわかっているわけで、それ以上に自由な服装を縛られることを嫌っている・・「そんなことで差別が解消されると思うなよ!」というような気持ちが表れているような気がします。

 現在、進められようとして提案されている制服は、制服といっても、いわゆる日本にある制服ではなく、ポロシャツ、セーター、ズボンといったごくごくシンプルなもので、よく言えば活動的ではあるのですが、あまり、若い子たちが着てみたいと思いそうなものではありません。

 そもそも、みんなが同じでなくてよい、違った個性を認め合うところが、フランスの良さのような気が私はしているのですが、そこそこの国費を投じて制服?というのが、そこにお金使うの?という気もします。

 そして、個人的には、この制服導入に際して、学校側の仕事が増えることも、学校側が受け入れない理由の一つではないか?とも思っています。とにかく、フランスの公立校の教師は、少しでも余計な仕事が増えることを拒否する傾向があり、新年度が始まる前にそれぞれの生徒が買い集めなければならない文房具やノートやファイルなどのリストが配られて、それぞれが用意するのですが、こんなにまとまった量であれば、学校側が注文して揃えて、後からお金を徴収すればいいのにと思うのですが、そんなことですら、学校側はやらない・・余計な仕事を増やしたくないのです。

 フランス人お得意の「それは私の仕事ではない」というやつです。

 制服が導入されれば、それぞれの生徒のサイズに合わせて、注文をとり、服が小さくなったとか、破れたとかいうたびに、学校側が対応しなければなりません。

 それを「格差による差別の抑圧」など、もっともらしいことを言われても、私たちの仕事には、制服の管理などという仕事は入っていない・・と、さも言い出しそうなことのような気がします。

 まあ、とりあえず、やってみるのは、よいかもしれませんが、このテストケースにさえも学校が集まらないというのは、そこのところは置いておいて、集まった学校での結果をもとに、強行的に制服が導入されるのか?

 一部では、国歌を歌うことを推奨するとか、入学式とか卒業式を取り入れようとか、どちらかというと、引き締めにかかっているような感じのするフランスの学校教育。

 とりあえず、何かを変えるということには、大変な国民の圧力が存在するフランスで、政府が思っていたようには制服は簡単には受け入れられそうもない感じです。


フランス公立校の制服導入


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2023年12月14日木曜日

12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲う・・

  


 12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲うという事件が起こり、騒然としています。この少女は、前の週にその教師と授業中に携帯電話を没収されたことで口論になった経過があり、この教師を殺す目的で、ナイフを持って登校していたと見られています。

 彼女は、2ヶ月ほど前にアラス(フランス北部オードフランス地域圏)で起こったことと同じこと(教師が刺殺された事件)をしたかったと語っており、ある程度、計画的な犯行であったと見られています。

 とはいえ、彼女は昨年度にも、教師に対する暴力事件で前の学校を退学になっていたという過去があり、今回もまた、同様の事件を起こし、教師に向かってナイフで切りつける前に「今回は、自分らしくありたい!」と叫んでから襲い掛かったということで、どう考えても、ふつうではありません。

 そもそも彼女が持ってきていたのは、刃渡り17センチのかなりしっかりしたナイフで、こんなものを学校に持ってくること自体、異常です。

 このナイフの話で思い出したのは、以前、娘がコロニー(スポーツなどのアクティビティーをするサマーキャンプのようなもの)に参加したときに、同室の女の子が突然ナイフを取り出したとかで、コロニーのディレクトリス(責任者)から、「おたくのお嬢さんが刺されそうになりました・・」と会社に電話があったことがあったのを思い出しました。

 今、思えば、ちょうど、同じ年ごろでした。

 その時は、他から話が伝わって大騒動にならないようにとディレクトリスが先手を打って、「そういうことがあったのですが、大丈夫ですから・・」という電話だったのですが、それこそ、そんな話を聞かされて、「あ~そうですか・・」で済むわけもなく、知人に頼んで、そのコロニーのオーガナイザーに連絡してもらい、厳重に監視してもらうように釘を刺したことがありました。

 「そもそも、コロニーにナイフを持ってくるなんて、ふつうじゃない!」と思ったことを思い出しました。

 無事に娘が帰ってきて、事情を聴くと、「同室の女の子の間で、1人、電気を消すか?とか、窓を閉めるか?とかいう、そんな些細なことで、いじけていた子でちょっとおかしな子だっただけで、大騒ぎすることじゃない・・」などと言っていましたが、カッとしてはずみで・・ということもあり得ないではありません。

 そもそも、ナイフを持ってきていること自体が異常です。

 普段、私立の学校に通っている娘にとっては、学校側が、問題のある子は、排除している環境の中で生活しているために、なかなかお目にかからないタイプで、「とにかく、世の中には色々な人がいるんだから、ちょっとおかしな子だと思ったら、刺激しないようにしないとダメだよ!」とキツく、言い含めたことを思い出しました。

 今回の事件を起こした少女は、「アラスと同じようにしたかった・・」と供述したことから、イスラム過激派であることも疑われてもいましたが、現在のところは、そのような背景にはないようで、両親はモンゴル人で彼女自身はマルセイユ生まれで、特別に特殊な環境で育っているわけではないと見られています。

 しかしながら、ナイフを持ち出すのも初めてのことではなく・・しかも、授業中に教師を殺そうとする・・とは、いくら腹立たしいことがあったとしても、どう考えてもふつうではないため、彼女には、精神鑑定が行われているということです。

 一度、ナイフを使用した暴力事件を起こした段階で、退学処分というだけで、また別の学校に転校させればよいという話ではなかったことは明白で、なんらかのケアが必用であったことは、言うまでもありません。

 とはいえ、今回の事件では、即、同教室にいた生徒たちも教師も避難したために、怪我人は出なかったそうですが、学校内での混乱は、計り知れません。

 フランスでは、よく、学校などで事件が起こったりすると、その後の精神的なケアをするユニットを学校内や地域に設置したというような話を聞きますが、その実、問題を起こした張本人のその後について、ある一定の期間は、治療や施設での更生を行うものの、案外、あっさり放置されたりもする話を聞くので、その後も、しっかりと支えてあげてほしいな・・と思います。


12歳の少女の教室での殺人未遂事件


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2023年12月13日水曜日

フランスの学校での制服 2024年春から試験的に開始

  


 フランスの学校での制服着用案が議会に提案されたのは、今年の初め頃だったと思いますが、その時は、押し付けられ、強制されるのを嫌うフランス人には「ムリでしょ!」と机上の空論に終わるかと思っていたのですが、どうやら、その計画は着々と進んでいたようで、早いところでは、2024年の春から試験的に開始されるそうで、ちょっとビックリしています。

 とはいえ、現段階では試験的な試みなので、その効果について、少なくとも2年間は様子を見て、その効果を測定する期間として、この制服採用について「生徒の幸福度、学校環境、学業就業における社会的不平等の軽減に対する制服の影響を測定し、家族のサポートや関係者間の協力方法の問題を分析する」としています。

 これらの制服採用については、小・中・高等学校を対象とし、このテストに参加するのは、現在のところ、トゥルコアン、ランス、ニースの各都市、アリエ県、アルプ・マリティーム県、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏などの一部の学校のみで、この試験的試みは国から一部資金提供されるため、数は限られています。

 各生徒の基本キットは、ポロシャツ 5 枚、セーター 2 枚、ズボン 2 枚で構成される場合があります。 しかし、一部のコミュニティでは、全体のうちの一部だけ、たとえばポロシャツとセーターだけを使用することを想定しているということなので、日本の学校の制服のイメージとはちょっと異なる感じです。

 このキットの費用は 200 ユーロ(約3万円程度)ですが、家族は何も支払う必要はありません。 推奨される方法は、半分は国、半分は自治体が資金を提供する方法がとられます。

 また、子どもの成長に応じて服が小さくなったり、破損したりした場合、各子どもには1年ごとに新しい着替えを受け取る権利があるということです。

 この試験的な試みの中には、制服を義務化した場合に拒否した学生についての対応として、学校の内規にこれを取り入れるということも実験内容の一つに組み込まれているようです。

 義務化に関しては、その内容如何に関わらず、必ず反発が生まれると思われるフランスで、この実験結果は興味深いところでもあります。

 しかし、このインフレが進む中、楽観的に考えれば、学校での服飾費200ユーロを国が負担してくれるということで、宗教的な服装云々の問題を除いて考えるならば、低所得層からは、歓迎される可能性もあります。

 今回の話は、あくまでも試験的な試みを開始するということなので、とりあえず2年間はその行方を見て、具体的に全国的に実施するかどうか判断するということになるのでしょうが、そのどちらにしても、この話が議会に提出されてから、あっという間に、テストケースとはいえ、具体的に動き出す政治のパワフルでスピーディーなところが凄いなぁ~と感心するところです。

 実際に全国展開する前に、試験的に試みて、検討する期間を設けるところも、実施するにしても、やめるにしても、説得力のあるところです。

 私は制服のある学校に行ったことはないので、制服を着るという気持ちを味わったことがないのですが、単に社会的不公平感がどうのというだけでなく、まず、決められた服装に従うということや、皆が同じ服を着るという統制される感じが、学生の感性に影響を与えるところもあるのではないか?そんなことも思います。

 しかし、ちょっと前までは、思ってもみなかったフランス人の学校での制服というものがどんなものになるのか?楽しみでもあります。


フランス公立学校制服


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2023年10月7日土曜日

真実の追及よりも行儀よくルールを守ることが大事な一部の日本のジャーナリストに絶句した

  


 事実は小説よりも奇なりというけれど、それにしても小説としても、あまりにもシナリオがお粗末だという印象の今回のジャニーズ事務所の記者会見の騒動。

 この性加害問題が公に騒がれるようになってから、なんとなく、遠く離れた地からでも報道を眺めていて、直近の記者会見を見て、一番、気持ち悪いと思ったのは、会見が紛糾してきた時点で、副社長に就任した男性が、「どうか、落ち着いてください。この会見は多くの子供たちも見ています。ルールを守る大人の姿を見せていきましょう」というようなことを言いだしたときに、会場から拍手が起こったことです。

 そもそも、この子供への性加害問題についての会見を子供に見せる親がいるかどうかさえ、大いに疑問でもあるうえに、自分たちが勝手に決めたルールに従わないことを非難するのは、お門違い。

 会場に集まっているのは、今回の問題を追及するジャーナリストの集まりのはずなのに、その集団の中から、この問題そのものよりも、ルールを守るということを優先させ、拍手が起こるとは、もうため息しか出ない感じでした。

 この場面を見て、私は思わず、「うわっ!日本人!」と思ったのです。

 とかく、お行儀が良いこと、ルールを守ることが尊ばれる日本という社会は、たしかに、規律正しく、日本人の美徳である一面でもあります。

 しかし、時には、声を荒げることも必要だし、抗議することが必用な場面もたくさんあります。追及されるべきジャニーズ事務所側が設定しているルールにさえ、おとなしく従おうとして、しかも、それを諭すように説教されると、途端にいい子ちゃんになって、拍手まで起こるなど、もうつける薬もない感じがします。

 この後に、NG記者リストなるものが発覚し、以前のように、ジャニーズ事務所が記者媒体をコントロールしていたとなれば、この一部の記者たちの行儀のよさ?は、もう目も当てられません。

 今回のジャニーズ問題だけでなく、政治に関しても、日本人には話し合う、議論し合うということが極端に劣っていて、それを避けて通ろうとし、一方が抑圧的な態度になり、一般大衆が文句を言いながらも、強い権力を持つ者に行儀よく従う・・しかも、騙されていることにさえ気が付かずに・・という場面は、いくらでも存在しています。

 この期に及んで、まだ、以前と同じように、世間をコントロールしようとしているジャニーズ事務所にも、今回の性加害問題の深刻さの本質をまるで理解しているとは感じられず、終息ばかりを急ぎ、問題に本当の意味で向き合っていないことが感じられるうえ、それを受け取る一般大衆にも、この犯罪の重大さをまだまだ甘く受け止めているような気がしてなりません。

 この問題に関して、海外的に見たら、絶対アウトだから・・などとよく言われていますが、逆に言えば、なぜ?日本では絶対アウトじゃないのかが不思議でならないし、日本の認識が甘いということに他なりません。

 私もフランスでの生活に多分に毒されている部分があると思いますが、言うべきことは、行儀が悪くても、声を荒げても、言わなければならない時はあると思っています。特にその使命を担うジャーナリストは、正義を叫び続けてもらいたいと思っています。

 皮肉なことに、会見のたびに、ジャニーズ事務所が生き延びられないことを証明していくような結果になっていますが、そもそも、選ばれた新社長は、誰かが影で操るのに都合の良い人物であったというだけで、経営の能力があるわけでもなく、それどころか、特殊な権力のもとに守られて生き続けてきた一般社会を知らない人物。

 ジャニーズという名前や存在を消し去るなどと言っていますが、この分では、予想以上に早く、その日が訪れるかもしれません。

 それにしても、こんな場面を見ていると、日本人の教育には、議論するという教育を強化することが、絶対的に必要ではないか?と思うのです。

 そんなことを声をあげすぎる傾向のあるフランスにいると、特に強く感じるのです。


ジャニーズ事務所記者会見


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2023年10月6日金曜日

パリの日本文化会館は想像以上に立派だった・・

  


 前々から、パリに「日本文化会館」というものがあるのは、知っていたけれど、今まで一度も訪れる機会はありませんでした。

 時々、誰かの講演会とか、イベントごとがあったり、現在は、こんな映画の上映会をしています!というような広告を見かけることはあっても、なんとなく、あまり、普段、足をのばす地域でもなかったり、なんとなく、億劫で、一度も行ったことがなかったのです。

 先日、フランス人の知人と話していて、一度くらい行ってみたら?などと、フランス人から薦められて、「じゃあ、ちょっと覗いてみるか・・」と、半分はしぶしぶ出かけてみたのです。

 メトロの駅からも近く、場所は、エッフェル塔の近くで、パリらしい景色が広がるなかなかな好立地。

 日本文化会館の建物は、パリらしい感じの建物(いわゆる旧建)ではありませんが、近代的でなかなか立派な建物で、しかも、けっこうな大きさです。

 入口にはセキュリティチェックがあり、荷物をチェックされます。全体的にゆったりとスペースがとってあり、地上階には、日本の物産品店のようなお店があります。

 もっと、おざなりな感じのものしかおいていないかと思いきや、ちょっと、そこらの日本食材店ではおいていないような高級そうなお醤油やお味噌やお酒、こんなのあるんだ?と思うようなお菓子や、なぜかパン粉までありました。



 お皿や丼、お茶碗からお箸、箸置きなどの食器類なども小洒落た感じのもので、和紙のマスキングテープなどもなかなかセンスがよい品揃え・・意外にも、買い物できそうなものも揃っていて(失礼!)、日本人にも、また、日本のものが好きなフランス人にとっても、悪くない感じです。



 同じ地上階の反対側に赤文字で「虎」の文字が見えたので、和菓子の虎屋さんが入っているのかと思ったら、うどんの「国虎屋」さんでした。(うどんはないけど、おにぎりなどが売っています)

 私が訪れた日は、夕方から日本酒の試飲会のようなものがあるということでしたが、来週には生け花のイベントがあるとのこと。

 そして、上階には、図書館があり、これがなかなか充実していて、多くの本の中には、マンガなどもけっこう揃っていて(日本語のものとフランス語訳のものとが混ざっている)、オーディオスペースでは、たくさんの映画のDVDが揃っていて、無料で視聴できるようになっていて、また、webスペースでは自分のパソコンを持ち込み、勉強、作業ができるようになっています。



 パリの中にありながらも日本らしい空間で、整然としていて、清潔で、安心な感じのスペースで、ところどころには、日本以上に日本らしい小物などがおかれていて、日本人としては、なかなか心地よい場所です。




 また、ロケーションがよいために、上階に上がると、建物の中からは、パリらしい光景が見渡せて、なかなか大きなエッフェル塔がその景色に入ってくるところも嬉しいです。

 わざわざ旅行者が訪れる場所ではないかもしれませんが、在仏の日本人にとっては、結構、活用できる場所かもしれません。


パリ日本文化会館

101 bis Quai Jacques Chirac 75015 Paris


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2023年9月28日木曜日

学校でのいじめの惨状に容赦ない闘いを宣戦布告するフランス政府

  


 久しぶりに登場した感のあるボルヌ首相が、深刻化するフランスの学校でのいじめ問題の惨状に今年度の絶対的な優先事項として、学校および子どもたちが生活するあらゆる場所におけるいじめ問題やハラスメントを掲げ、容赦ない闘いを主導すると宣言しています。

 新年度早々に自殺した子供の事件をきっかけに、この動きが加速化し、パワーアップしたカタチをとりましたが、この問題に関して、組織的に、あらゆる手段を総動員するといくつかの対応策を発表しています。

 まず、いじめに遭遇した場合の通報ナンバーを、より迅速な対応を可能にするために、これまで3本あったナンバーを「3018」に統一して一本化し、通報があった場合は、組織的にただちに「検察官」を送致すると発表。

 また、「SNSによって、嫌がらせ、いじめをする者を徹底的に排除する」とし、深刻ないじめ加害者の携帯電話を没収、またそれに関与した者らの携帯のSNSへのアクセスを禁止することを検討していると発表しています。

 携帯の没収やネットへのアクセス禁止とは、なかなか強引な手段でもありますが、具体的に、誰によって、どのタイミングにどのように実践されるかは、有罪判決を下した裁判官ではないか?などと言う向きもありますが、現段階では未定です。

 新年度が始まる前に、すでに、いじめ問題に関しては、いじめの被害者ではなく、いじめの加害者の方が学校を退学、あるいは、停学になるという法令が施行されたばかりですが、SNSによる嫌がらせやいじめに至る場合は、それだけでは、充分ではないということなのでしょう。

 このいじめ加害者の携帯電話の没収やネットアクセス禁止の新たな措置を見る限り、SNS上での嫌がらせがどれだけ拡大していることか?と思います。

 また、ガブリエルアタル教育相は、2024年度から、学校教育の一環として、学校カリキュラムの中に「共感」の授業を設けることを発表しています。このカリキュラムは実際にオランダで行われて、いじめ問題減少の効果が表れているという授業をモデルにしていると言われています。

 これだけでも、警察、検察などの法務省、携帯に関してのデジタル省、そして、教育省と省庁間をまたがって、連携した対応が必要な問題であり、ボルヌ首相が総動員で連携していいめ問題との闘いを主導するという意味がわかるような気がします。

 たかだか子供のいじめ問題とは、簡単に済まされない惨状が、これだけの政府間の連携に感じられます。

 一度には無理なことは、わかっていますが、これらの措置と同時に、なぜ?いじめるのか?なぜ?嫌がらせをするのか? についてを追求し、原因を考えることも必要なのではないか? 病んでいるいじめの加害者をただ罰するだけではなく、指導していく道も必要なのではないか?と思います。

 今、フランスの学校では、1クラスに2~3人、年間80万人から100万人のいじめの犠牲者が生まれていると言われており、問題は本当に深刻です。


学校いじめ問題 携帯電話没収 ネット遮断


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2023年9月6日水曜日

フランスの大人気ユーチューバーのマクロン大統領独占インタビュー 24時間で100万回再生突破

  


 フランスの人気ユーチューバーの一人である通称ユーゴ(Hugo Travers氏)が新年度が始まる日のタイミングを狙って、「若者の将来」を中心としたテーマで、マクロン大統領への独占インタビュー映像が、当日、午後6時にYouTube、TikTokで同時に配信され、話題を呼んでいます。

 彼は、TikTokで500 万人以上、YouTubeで200 万人以上の登録者を抱える、特に若者に大きな影響力を持つ人物でもあります。若干、26歳の彼の位置づけは、もはやユーチューバーというよりも、ジャーナリストと呼ぶにふさわしいもので、毎日毎日、国内はもとより、世界中のニュースを抜粋して、客観的に解説して伝え、10分程度に編集されている彼のYouTubeは私もほぼ毎日、視聴しています。

 私が彼のニュースを好んで見ているのは、あくまでニュースが客観的に伝えられているためですが、マクロン大統領を始めとする政治家たちや、時代を動かしているような著名人に対するインタビューなどの中に彼の確固とした信念が感じられることでもあります。嫌みの感じられない好青年の印象です。

 日々のニュースの中で話題になりそうな問題については、SNSを通じてアンケートをとったり、また、それをInstagramなどでさらに、詳しく解説したりしながら、特に若者に関係するテーマに熱心に取り組んでいます。

 いわゆる○○チャレンジ・・とか、エンタメ系ではないユーチューバーがこれだけ人気があるというのも、政治の話題が好きなフランス人らしいところではありますが、このような若者からのインタビューや対談などでも、政治家が力強く自分の言葉で語るところなどには、日本にも、このような場面があったらいいのに・・と思うところでもあります。

 今回のインタビュー映像は、忙しい大統領が2時間以上、彼の質問に答えながら語るというもので、フランスでは、急上昇ランク1位、24時間以内に100万回再生を突破しています。

 数々のインタビュー依頼があるにもかかわらず、このタイミングで彼のインタビューを受けた大統領の側の意気込みが感じられるほどに、ものすごい熱量で、白熱して話続けるマクロン大統領の勢いを、若い彼の方が冷静に、しかし、適格に進行していく様子は、それはそれで、興味深いものでもありました。

 彼は、質問の最初に若者のうつ病が増加していることから、精神科の医師不足などの問題から始まり、今、話題になっている公立校でのアバヤ着用禁止問題や制服について、学校のバカンス短縮問題から、子供へのスポーツの重要性や環境問題の一環として、49ユーロで公共交通機関への無制限のアクセスを提供するドイツのモデルと同様の鉄道へのアクセスを促進する措置に好意的であることなどを述べています。

 私はこの内容よりも、日本にはおそらくあり得ないだろう大統領と若者が、若者の、そして国の現状の問題や未来を踏まえて熱く語る姿を羨ましいと思って見ていました。

 私は、マクロン大統領を全面的に支持するわけではありませんが、少なくとも、こうして若者に対して、もう止まらないと思うくらい熱く語る国のリーダーをいいなと思うし、そして、適格に社会の動きを捉えながら、多くの若者の言葉を代弁して大統領からの話を引き出す若者の存在を好ましいと思うのです。

 日本のYouTube業界には詳しくないものの、思い浮かぶのは、スキャンダルを暴くことで爆発的な人気を博したユーチューバーが国会議員になったものの、あっという間に消えていったという出来事で、正当に国をよくしていくような政治家からの若者への歩み寄りも、それにぶつかっていこうとする若者も日本には、見られないのは、残念なことです。


フランス人気ユーチューバーのマクロン大統領インタビュー100万回再生


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2023年9月5日火曜日

パリの国立自然史博物館はレイアウトもライティングも含めて美しい・・

  


 パリの国立自然史博物館は、オーステルリッツの広大な植物園の中にあります。

 国立自然史博物館 (MNHN) は、自然、生命科学、地球科学、人類学の教育、研究、普及を目的として1793年に設立された、この種の施設としては、世界最古の施設の一つでもあります。

 かなり前に友人が子供を連れて、パリに遊びに来た時に、その博物館に恐竜を見に行きたいと言って、でかけたことがありましたが、不覚にも、その時の記憶は、友人とのおしゃべりに夢中で、ほぼ記憶がないのです。しかし、この間、近くに来て、なんとなく懐かしくなり、久ぶりに覗いてみたところ、はっきりした記憶はなかったとはいえ、明らかにきれいになっていて、展示品はもとより、照明を含めた全体のレイアウトも素晴らしい、映画「ナイトミュージアム」を彷彿とさせる光景でした。

 この映画の撮影に使われたのは、ニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」のようですが、このパリの博物館もなかなか、悪くないぞ・・と、妙に対抗心を覚える私も奇妙なものです。

 アメリカの自然史博物館は行ったことがありませんが、ロンドンにいた頃は、私は自然史博物館の真ん前に住んでいて、何回か行ったことがありました。ロンドンの自然史博物館に比べると(などと書いても、あまり意味がないと思うものの・・)若干、小規模ですが、一つの箱としたら、トータルの美しさを堪能できる芸術性の高い博物館だと思います。

 私の夫はやたらと美術館・博物館の類が好きな人で、特に子供には、やたらと美術館や博物館に連れていきたがり、特に私が休日出勤の時などは、子供たちを連れて出かけるといえば、博物館の類で、娘などは、「え~~また?ミュゼ~~(博物館・美術館)?」などと言うほど、恐らくパリ中の博物館めぐりをしていたと思われます。



 現在は、巨大なクジラの骨が正面入り口に展示され、地上階には、まるで大きな動物(マンモスやカバ、キリン、象などなど)が行進しているように置かれていて、天井は吹き抜けになっており、その四方を囲むように上階が広がっており、時間帯によって変化するライトが神秘的です。



 昔の駅を思わせるような造りなのは、オルセー美術館などとも、共通する感じがあるのですが、やはり、自然史博物館ということで、動物が中心で、一つ一つの動物の解説などに、ビデオやゲームなどが取り付けられていて、小さな子供とともに家族で楽しみながら、動物の起源や習性、その生態などを楽しく学べるばかりでなく、大人がふらっと見て歩くのにも、美しく、デートコースとしても充分満足できそうな場所でもあり、実際にそんな感じのカップルもけっこういました。




 ちょっと腰掛けることができるように置いてある皮張りの椅子なども、いちいち味わいの深いもので、歴史の余韻に浸ることができます。




 現在は、常設展の他にネコ科の動物展を開催していて、猫好きの私としては、う~ん、勇ましいライオンもトラもネコみたいな動きやしぐさをする・・とか、逆に考えればうちの猫もライオンっぽいところがあるのかも?などと思いながら、楽しみました。




 ネコ科の動物展の最後に展示されていたのは、まさかの大きな招き猫だったのも、日本人としては、見事なオチだったな・・と、ちょっと嬉しくなりました。

 家族連れでも、デートでも、ちょっと行き場に困ったら、こんな博物館も楽しいかもしれません。


🌟 Musée National d'Histoire Naturelle

     57 Rue Cuvier 75005 PARIS

     入場料 大人13€、子供10€ 火曜休


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