2023年5月1日月曜日

少年院から出て2ヶ月後、5歳の少女を殺害した15歳の少年

 


 フランス北東部ヴォージュ県(グラン・テスト地域圏)の人口5,000人の小さな村で5歳の女の子が行方不明になり、届け出がだされて数時間後には、ビニール袋に入った状態で遺体で発見されるという衝撃的な事件が起こっています。

 この衝撃をさらに大きくしているのが、容疑者として拘留されたのが15歳の未成年の少年であったうえに、彼には過去にも、10歳前後の子供に対してのレイプや暴行などの犯罪歴があり、約1年間、閉鎖された教育センター(少年院のようなもの)で司法監督下におかれており、今年の2月に出てきたばかりだったことです。

 彼は青少年司法保護局の監督の下、少年院からこの村に戻った後も引き続きケアと生活訓練を受ける義務があり、彼の教育にあたる者たちが定期的に彼の家を訪問しており、彼の更生に関して教育関係者が作成した報告書には、彼は閉鎖された教育センターの枠組みの中で、また自宅においても前向きな更生を遂げたと結論づけられていたことがわかっています。

 しかし、結果的には彼は全く更生していなかったどころか、以前よりもさらに深刻な犯罪を起こしてしまったわけで、この青少年司法保護局の審査や監督状態についても疑問が持たれています。

 事件直後、早々に警察と憲兵隊により始まった5歳の少女の捜索に、最初、この少年はこの捜索隊にみずから近寄って行って、捜査を攪乱させるために実際とは反対の方向で女の子を見かけたというウソの証言をしたようですが、彼の身元もすぐに割れたことから(同様の犯罪歴があることなど)、突き詰められて、話のつじつまが合わなくなった結果、警察官が彼の自宅のアパートに立ち入ったところ、ビニール袋に入れられた少女の遺体を発見したということです。

 彼はひとりで遊んでいた少女を「猫をあげる」と言って誘い出したと言われていますが、犯行の詳細については、彼は黙秘権を行使して、多くを語ってはいないようです。

 数日後に行われた解剖の結果、遺体にはレイプの痕跡は見られなかったとのことでしたが、レイプどころか殺されてしまったことだけは確かなことで、その後、死因に関してはまだ発表されていません。

 彼女の遺体は自宅の100メートルほどの容疑者の自宅でみつかったわけで、ほんのちょっと目を離した隙に子供を連れ去られて殺された被害者の両親は打ちひしがれています。

 少女の母親が泣き叫びながら、テレビの取材に対して訴えかけていたのには、本当に言葉がありませんでしたが、今回は加害者の少年の家族、家庭環境に関しては、母親と二人暮らしであったということ以外、ほとんど知らされていません。

 どうしたら、こういう子供に育ってしまうのかについては気になるところでもあります。

 我が家は娘が10歳の時に夫が他界したために、母子家庭となったわけですが、私も娘も何の犯罪を犯したわけでもないのに、誰が通報したのか、児童裁判所に呼び出されたことがあり、おそらく、私一人で子供を育てていけるかどうかの審査のためだったと思われますが、市の児童裁判所の判事の面接を受けたことがあり、その時は子供を取り上げられるのではないかと非常に危惧して、夫の元同僚のフランス人の女性に付き添ってもらって、事なきを得ましたが、娘が成人するまでは、一応、裁判所の監督下におかれることになり、非常に定型的で儀礼的ではあったものの、毎年、報告書のようなものを提出しなければなりませんでした。

 しかし、一方では、娘には専任の判事がつき、「何か困ったことがあったら、私たちが彼女を守りますから、いつでも連絡してください」というちょっと頼もしい気もした部分もあったのです。

 そんなこともあったので、私には、「娘が成人するまでは、私も娘も本当にしっかり生きていかなければいけない!ちゃんとしていなければならない!」という気持ちがとても強くあって、絶対に娘を一人に放置したりすることはできないし、何がなんでも娘が成人するまでは死ねないと思ってきました。

 なので、今回のような加害者の状況を見ると、一度、少年院に入っていた子供をその親がどのように育てていたのかというのは、非常に気になるところでもあり、また、その地域の児童裁判所や青少年司法保護局がどのような体制で彼の社会生活を監督し、バックアップするという対応をしていなかったのだろうか?と疑問に感じながらも、そのフォローアップが家に送られてきていたような儀礼的?な報告書だったのではないだろうか?と思ってしまったりもするのでした。

 彼は現段階では一応、未成年暴行・殺害の罪で起訴されている容疑者ですが、15歳という未成年であることから、成人であれば終身刑となるところを最高で懲役20年になる可能性があると言われています。

 一応、未成年という括りがある以上、本人には責任を取り切れないということでもあり、彼自身も児童保護法により、ある程度、守られてしまっているために、判決は難しいものになると言われています。

 しかし、そもそも少年院を出る段階で彼が更生していなかった、その後の日常生活をまともに送れていなかったことは明白で、彼が社会生活を送る判断を下した機関や保護者にも問題があったのではないかと思われます。

 フランスの刑務所や少年院が超満員なのはわかりますが、やはり社会に放っておいては危険な状態の人間については、しっかり監督をしてもらはないと困ります。少なくとも彼がまだ少年院にいたのならば、一人の少女の命が奪われることはなかったのですから・・。


ヴォージュ 5歳少女殺害 15歳の少年


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