2023年4月30日日曜日

クープ・ド・フランス フランスカップの決勝戦はサッカー以外のレッドカードとホイッスル問題でゴタゴタ・・

 


 サッカーをこのうえなく愛するフランス人にとって、クープ・ド・フランス(フランスカップ)の決勝戦といえば、大変な盛り上がりを見せるところです。

 今回の決勝戦は、ナントVSトゥールーズの試合となり、おそらく大変に盛り上がっているのだとは思いますが、サッカー以外のことで、ごたごたして、試合以外のことばかりに注目が集まる妙な決勝戦となりました。

 現在のフランスは人が集まる場所には、鍋を叩いたりする抗議行動が発生することが多く、今回のこのフランスカップの決勝戦には7万8千人の観客が予想されていたために、この場で抗議行動がヒートアップすることが、かなり過剰に警戒されていたようで、当日、決勝戦が行われるスタジアムには、3,000人の警察官と憲兵隊の動員に加えて1,400人のセキュリティー要員が配置されていました。

 フランスカップの決勝戦にはマクロン大統領も夫人を同伴して選手を激励し、観戦することが予定されており、このマクロン大統領の参加がさらにこの警戒をヒートアップさせた感じがしないでもありません。

 当然、これだけの観客を動員するサッカーの試合の決勝戦、しかも、そこにはマクロン大統領まで登場し、その模様が全国に生中継される機会とあれば、現在、年金改革問題について抗議を続けている組合にとったら、多くの人に注目される絶好のステージに違いありません。

 この決勝戦に臨むにあたり、組合側は64歳引退と書かれた「レッドカード」3万枚とホイッスル1万個を用意し、試合中49分3秒(年金改革問題を国会の採決をとらずに通過する憲法49.3条にちなんで)にこのレッドカードを掲げてホイッスルを吹く抗議行動を呼び掛けていました。なかなかお金もかけて準備周到だったようです。

 当日、組合側はこのレッドカードの配布を開始しましたが、スタジアムの入口ではこれが回収されていることがわかり、どうやらこれはパリ警察長官がこの抗議行動(デモ)を禁止する命令を発令しているためであったことがわかりました。

 その後にこの命令が一時停止され、パリ行政裁判所に判断が委ねられることになり、結局、試合開始後までも、結局、良いの?ダメなの?やるの?やらないの?と情報が錯綜しており、試合そのものよりも、49分3秒に何が起こるのか?に注目が集まることになりました。

 結局、キックオフの数時間前に裁判所は組合側に有利な決定を下していたようですが、その決定が浸透していなかったようです。

 また、本来は試合前にフィールドで選手を激励したりするマクロン大統領ですが、安全のためにマクロン大統領はフィールドに登場することはなく、舞台裏の廊下で選手との対面が行われていたようです。

 結局、皆が注目していた49分3秒には、もともとの歓声と大して変わらない程度にしか、騒ぎが起こることはありませんでしたが、今後、このような大きなスポーツの試合や催し物のたびに、このような騒ぎになりかねないことには、フランスの混乱ぶりが表れています。

 そもそもスポーツの場に政治を持ち込むのはナンセンスだという意見もありますが、それに過剰に反応して、警察がビラ配り(今回の場合はレッドカード)を禁止したり、デモ行為を禁止したりするのも余計に反発を買うことにもなりかねません。

 今回のフランスカップの場合は、ナントやトゥールーズから大勢のサポーターもシンプルにサッカーの応援に来ている人も多く、抗議活動は二の次だという人も少なくなかったとも思うのですが、結果的に裁判所が警察の決定を退けたことは、さらなる反発を生まずに済んだのではないかと思っています。

 暴力的でない抗議に対して警察が過剰に抑えつけるのは、逆効果のような気がしてなりません。

 しかしながら、今後、どんな機会に国民の怒りに火が付くかは、わからない状況で、気を緩められない政府としては、火種は少しでも消しておきたいと思う気持ちもわからないではありません。

 とりあえず、公然とデモを行えるデモの祭典である5月1日のメーデーが次の抗議運動のピークとなることは間違いありません。


クープ・ド・フランス フランスカップ レッドカード ホイッスル


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