日本に一時帰国して、地下鉄など電車に乗ってびっくりするのは、まず電車自体がピカピカできれいで清潔なことです。パリのメトロも最近、オリンピックに向けてお色直しをしているのか、ずいぶんきれいになったり、新車になったりして、かなり近代化された車両を使っている線もあるのですが、清掃の仕方が雑なのか、それを清潔に保てないので、新車でも、すぐにピカピカな感じは失せてしまうような気がします。
そんなメトロに慣れてしまっていると、日本の電車は眩しく感じられるほどです。
そして、もうひとつ、日本で驚くのは、電車に乗っている、ほぼ全ての人が携帯電話を見ていることです。日本に行く時には、通勤時間帯は避けて移動するので、あまり混雑している電車に乗ることがないせいもあるのかもしれませんが、概して、みんながお行儀がよく、おとなしく、人の迷惑にならないように同じように下を向いて携帯を眺めているので、視線をあげていると、ちょっと戸惑いを感じる気がしないでもありません。
正直なところ、最近、私は少々、携帯に疲れており、無ければ不便だし、なんとなく不安な気にさえなるのですが、四六時中、Twitterを覗いたり、ニュースを見たり、LINEをしたりして、画面を眺めていることに疲れてきたのです。
自分が携帯を眺めているときには、気が付かなかったのですが、いざ携帯を眺めるのをやめてみると、パリのメトロの中は、日本の電車の中ほど携帯を覗いている人が多くはないことに気が付いたのです。
そうやって周りを見回していると、色々な人が色々なことをしていて、それを観察しているのは、なんだか楽しいのです。バスなどになれば、窓の外の景色を見ている方がなんだかずっと楽しくて、携帯なんか覗いているのがもったいない気さえしてきて、精神衛生上も良いような気がするのです。
そもそも、パリ市内でメトロやバスに乗っても、そんなに長距離を移動するわけではないので(郊外線だとまた違うのかもしれませんが・・)、すぐに乗り降りするのに、携帯を覗いている間もないこともあるかもしれませんし、パリのメトロの車内は、日本の電車よりも狭く、座席の配置の仕方なども違って、効率よく人を詰め込めるようにはなっていないので、ちょっと混んでくると携帯を見ているのも邪魔になりそうな気もします。
そもそも、数年前(といっても7~8年前くらい?)までは、携帯をメトロやバスなどで取り出すのは危険だと言われていた時期もあり、「車内での携帯の扱いには盗難事件を引き起こす原因となるので注意しましょう」などと張り紙がしてあったくらいです。
実際に、会社の同僚などには、メトロの中で携帯を見ていたら、下車していく人にいきなりひったくられたり、道を歩いていて殴られて携帯を取られたなんてこともあったくらいで、もしかしたら、なんとなく、そのころの名残りもあるのかもしれません。
私自身は、危険だというより、ただ、なんとなく携帯を持っていれば、つい覗いてしまうような、携帯に縛られている感じに疲れて、周囲の人や景色をあらためて眺めてみたら、意外に楽しいという発見をして、なんだか感受性を生に刺激してくれるシンプルなことをこれまで携帯によって、失っていたような気がしているのです。
それでも、この間、メトロの中に携帯の充電用のプラグがついている車両をみつけて、「すごい!便利になってる!」と感激したものの、そんなに長い線でもないのに、どれだけ充電できるのかな? これ本当に役にたつのかな?とも思うのです。
もしかしたら、一見、便利そうでも、そうでもないかな?などと思いながら、ちゃんと充電できるかどうか、試してみたりしたのです。(ちゃんと充電できました)
考えてみれば、以前は電車の中ではずっと本ばかり読んでいた私ですが、そのころは、そんなに疲れると感じることはなかったので、どうやら私はあのスクリーン、そもそも携帯というものが苦手なのかもしれません。
携帯中毒 メトロ 地下鉄
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