2024年2月29日木曜日

パリオリンピックのセキュリティ情報が盗まれた セキュリティ情報のセキュリティ

  


 一昨日の夜、テレビのニュースを見ていたら、速報が表示され、「パリオリンピックのセキュリティ情報が盗まれた」と書いてあったので、「なんで?ハッキングにでもあったの?」と思いました。

 そのうち、詳細が報道されると思っていましたが、その日の夜は、そのニュースに関しては、それ以上は、報道されることはありませんでした。

 翌日になって、この「オリンピックのセキュリティ情報盗難」については、それがその情報が入ったパソコンと2本のUSBキー入りのバッグが盗まれたということであったということがわかりました。

 このバッグの持ち主はパリ市役所に勤める56歳のエンジニアで、彼はパリ北駅からクレイユ(オワーズ県パリ北部)行きの電車に乗りましたが、彼の乗っていた電車が遅れたために、電車を乗り換えようとした時に、車内上部の棚においていた彼のバッグが盗まれていることに気付いたと言います。要は彼は置き引きに遭ったのです。

 そもそも、そんな重要な情報が入ったものを電車の棚に置くなど、信じられないことではありますが、人間、ふと気が緩むということはあり得ることではあります。しかし、そのような重要なセキュリティ情報を外部に持ち出せるということ自体が、セキュリティの甘さのような気もします。

 私は、あまり郊外電車に乗る機会がないので、電車の棚というものは、ふつうパリのメトロ内にはないので、荷物を置いてしまう誘惑?はないし、やはり、パリで自分の手から荷物を放すということは、ちょっと怖くて想像がつきません。

 このバッグを盗んだ人が、単なる置き引きで、パソコンが入っている感じのバッグとして盗んだだけであったのか?そのような重要情報が入ったことを狙って盗んだのであるかは不明ですが、この報道がされた時点で、自分が盗んだパソコンとUSBキーには、重要な情報が入ったものであったことは、わかったはずです。

 悪く考えれば、パリオリンピックの安全を脅かそうと企てている輩には、高く売れる情報だと考えるかもしれません。

 パリオリンピックに際しては、パリ市はこのために2,000人の市警察官を動員する予定にしており、オリンピックの交通に関するセキュリティ情報が含まれていると言われています。

 翌朝、パリオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会​​長は、これらの文書の盗難について慎重な姿勢を示し、「パリ市からの確認は得られていないので、自分の意見を表明する前にこの情報が確認されるのを待ちたい」としながらも、「情報はオリンピック期間中のパリの交通に関する注意事項であり、機密性の高いセキュリティ情報に関するものではない」としていますが、言い訳じみている気もします。

 このオリンピック組織委員会会長の「機密性の高い情報ではない」という発言に対し、サイバーセキュリティの専門家は、そのようなデータの盗難に伴うリスクを説明しています。

 「盗難の被害者になることは誰にでも起こり得ることで、その人を責めるつもりはありませんが、これは非常に深刻なことです。盗難の背後に誰がいるのかはわからないので、標的型攻撃であると言い切ることはできません。しかし、この事態に接し、私たちは、すべての計画の見直しプランを確認する必要があります」

 「このような事態には、最悪のシナリオを想定する必要があり、これを盗んだのが、犯罪ネットワークのメンバーであれば、それを売ろうとするであろうし、現在、戦争を起こしている国がオリンピック期間中に攻撃をしかけよう必死になっていることは、公然の秘密です」

  「この場合の問題は、USBキーだけでなくパソコンも盗まれたことです。 ただし、PC では、起動時から暗号化が行われることは非常にまれです。 その後、ハッカーはコンピュータ上のシステムを再構築し、何が入力されたのか、いつキーが接続されたのかを確認し、記録されたパスワードの履歴を追跡する可能性があります。すべての要素が揃っておらず、誰が誰であるかわからないため、不確実性がありますが、これをすべて入手したら、すべての計画、いずれにしても盗まれた計画を確認する必要があります。 悪意のある誰かがそれらを持っていると考えたほうがよいでしょう」と説明しています。

 この盗難事件がなかったとしても、オリンピック期間中は、常に大規模なサイバー攻撃合戦のイベントのようなもので、ハッカーフォーラムやダークウェブにおいて、この攻撃の成功は、「悪名」という点において、彼らの聖杯となるのです。

 しかし、現段階では、それがハッキングとか、そんなレベルではなく、物理的にパソコンとUSBキーを盗まれるという思いもしないレベルの問題に、なんだか、拍子抜けする気もするのです。

 パリ検察当局は、公共交通機関での盗難の捜査として、この事件は、運輸ネットワーク保安局に委託されたと発表しています。


パリオリンピック セキュリティ情報盗難


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2024年2月28日水曜日

パリのメトロは乗客に病人が出ても停車しない?

  


 イルドフランス交通の規制当局であるIDF(イルドフランス)モビリテスの社長ヴァレリー・ペクレス氏は、「今後は、地下鉄の交通を妨げないよう、今後、車内で病人が出た場合に地下鉄を停車しない」と発表し、またRATP労働組合の反発を呼んでいます。

 一瞬、ギョッとする話ではありますが、停車しないというのは、長時間停車しないという意味で、病人を最寄りの駅でおろして、駅で対応するということです。

 これまでは、例えば、車内で気を失ったりする人が出た場合のために、病人を動かすこと自体がリスクになることがあり得るために、基本、病人には、触れずに救急隊の支持を待つ間、電車を停めて、待機するという方法がとられていたそうです。

 これは、オリンピック期間中に予想される大規模な利用者増加により数多く起こると想定され、パリの公共交通機関の危機、特に地下鉄交通の異常事態に対応するためのプロトコールとして発表されています。

 これに対して、RATP労働組合は、「これは、体調が悪くなった乗客の健康に対するリスクが増大し、倫理的に問題がある」とこの決定を非難しています。「そもそも、駅の職員は、救命処置の訓練を受けていないのだ!」と。

 これがオリンピック期間限定の対応なのか?それとも、今後も継続されるものなのかは、不明ですが、病人をとりあえず、車内から降ろすことがそんなに大騒ぎになることなのか?と思わないでもありません。しかし、通常、パリのメトロのホームには、基本、駅の職員はいません。

 さすがに、ホームにはいなくても駅には職員がいるので、緊急事態が起これば、おりてきてくれるでしょうが、大きな駅ならばともかく、ふつうの駅ならば、あまり大勢の駅員はおらず、大勢のRATPの職員を見かけるのは、キセル乗車のチェックの時くらいです。

 しかし、私は、25年以上、パリのメトロを利用させていただいてきましたが、メトロ内での病人に遭遇したことはありません。むしろ、電車が停まってしまうのは、不審物発見の場合やプロブレム・テクニックなどの事情がよくわからない停車(これは決して少なくない)がほとんどです。

 ただし、オリンピック時の100万人は超えると言われている観光客を想定した場合は、病人だけでなく、怪我人、事故なども充分に考えられる事態にどう対応するか?ということへの一つの指針なのだと思いますが、通常でさえも、やたらと停車することが多いパリのメトロにそれだけの耐性があるかどうかは、甚だ疑問に思うところで、これは、メトロだけでなく、至る場面で想定できるキャパオーバーの問題です。

 さすがに、不審物発見の際には、電車は停車させると言っていますが、不審物を見極めるための約20頭の犬隊やAIを利用し、10分~15分以内に不審物の撤去に役立てるとしていますが、そもそも、パリ市内の道路でさえも、かなりの混乱が予想されるなか、この犬たちは、どうやって不審物のある駅にやってくるのでしょうか? 

 パリは小さな街なのです。全ての競技をパリで行うわけではなくとも、オリンピックの中心になるとなれば、それはそれは大変な混乱に陥ることは確実です。

 そして、以前よりはマシにはなりましたが、一般的には、フランス人はキビキビと働くことに慣れていない人々です。混乱には、すぐにパニックを起こしがちでもあります。

 でも、彼らは心優しく、転んだりすると、ちょっと恥ずかしくなるくらい、どこで見ていたのか?とビックリするほど、「大丈夫?」と駆け寄ってきてくれる人が表れたりする面もあります。

 おそらく、この期間、パリ市内は、日常のパリ市民よりも観光客が大半を占める状態になると思います。具体的な一つ一つのことは、今の段階では想像がつきにくいのですが、その一つ一つ、例えばメトロ、例えばバスなどを考えるとどう考えても異常事態に陥ることは必須です。

 パリ市内を走っているバスなどもオリンピックを見据えてのことなのか、新車に切り替わっている車体が増えているのですが、これがまた、以前よりも狭くなっているものも多く、どういう対応を考えてのことなのか?首を傾げるところでもあります。

 これから、オリンピックが終わるまで、ずっとこういう変化が続き、またその変化を素直に受け入れる国民ではないため、そのたびにストライキやデモが起こるかと思うとそれだけでもウンザリするところでもあります。


パリのメトロの病人


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2024年2月27日火曜日

マクロン大統領が農民たちに約束した農産物の「下限価格設定」に立ちはだかるもの

  


 すったもんだの挙句に開催されたパリのサロン・ド・アグリカルチャー(国際農業見本市)の初日、大反発する農民たちに一人で立ち向かって話し合いの場を設けたマクロン大統領がその場で農民たちに約束した内容の一つに「農産物の下限価格設定」があります。

 この模様は、全国放送で生中継されていたため、これは、全国民に向けて大統領が約束、公言したことになります。

 この下限価格設定の概念は、もう長い間、農業団体が要求していることで、13年間にわたり、俎上(そじょう)に上っては、却下され続けているものであるようです。

 この下限価格の設定は、農業収入を保護し、農民たちに不利益を与えずに保護するためのものであり、農業生産コストの指標に基づいてその下限価格を設定することは、当然のことだと思うのですが、それがなぜこんなに長い間、却下され続けてきたのかは、大きな社会の仕組みの問題でもあります。

 農業組合によれば、これらの指標は、ある程度、存在はしているものの、実際の生産物の商業交渉ではこれが尊重されていないのが現状であると言います。これらの下限価格は、「農民たちの収入を保証するものであり、彼らが平均生産コストを下回って販売する義務はない」とされていますが、販売する義務はないといったところで、生産物は、販売できなければ、無駄になるだけで、買い叩かれても販売せざるを得ないのが現状なのです。

 この問題に一番に名前が挙がるのは酪農農家とラクタリス(乳製品を主に扱うフランスの巨大食品メーカー)の問題です。ラクタリスは、フランスの食品メーカーとしては、首位の座を勝ち取っている大企業でありながら、非上場企業であり、また社名は製品には表示されていないため、業績や規模のわりには、一般消費者の間での認知度は比較的低い会社でもあります。

 しかし、実のところは、プレジデント(バターやチーズ、クリームなどなど)、ラクテル(ミルク)、ブリデルを始め、この会社の多岐にわたる製品を見ると、誰もが知っている、どれもあたりまえのようにフランス人の食卓に上っているものばかりです。

 ラクタリスは、この下限価格設定に最も否定的な会社の一つであると言われており、彼らの言い分によれば、「下限価格が上がれば、フランス製品は、競争力を失い、国際市場を失うことになる」と述べており、また、経済学者の見立てによれば、「大手流通業者などは、下限価格の設定があれば、それ以下の価格での海外からの物資の調達を躊躇いはしないため、意味のないことになるであろう」という見方もしています。

 しかし、ラクタリスの繁栄は、ひとえにフランスの酪農家の犠牲のうえに成り立っていると思うと、苦々しい思いしかありません。

 また、欧州委員会の一部のメンバーによれば、「この下限価格の設定は、欧州の法律や単一市場の概念とは全く相容れない、他の加盟国は望まないことだろう」との見方をしている者もいます。

 そもそも生産コストは地域、国によって大きく異なることは現実であり、ユーロという同じ通貨とはいえ、その通貨の価値(物価)は、国によって全く異なることからもその問題は明白でもあります。

 マクロン大統領があの国際農業見本市開催を盾にとられたカタチで農民たちに約束した「下限価格設定」の約束が、早くも空約束になるのではないか?との声も上がっています。


農産物の下限価格設定


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2024年2月26日月曜日

いじめを苦に自殺した娘の両親 いじめに加担した教師と2人のクラスメイトを告訴

   


 いじめの犠牲者となった少女が自らの命を絶ったのは、2019年のことで、彼女は当時11歳でした。前年から始まっていた学校での彼女への嫌がらせに彼女の両親は、何ヶ月もの間、学校とも掛け合い、救いの手を差し延べようとしていました。

 しかし、この状態は改善されることなく、両親は娘を転校させましたが、彼女は再び、嫌がらせの標的となり、ついに彼女の心は折れて、最悪の事態に至ってしまいました。

 学校でのいじめや嫌がらせの被害者が陥る、「いじめを両親が学校に相談する」→「学校は、満足な対応をしない」→「子供を転校させる」→「転校先でも嫌がらせを受ける」→「心が折れる」→「最悪の選択をしてしまう」という最悪のシナリオは、このような話でお決まりのようなストーリーである気がします。

 今回の話がよくあるシナリオとは違っているのは、その嫌がらせ行為を行っていた主犯が2人のクラスメートであったと同時にこの行為の引き金を引いたのは、彼女のクラスを担当するフランス語教師だったという点です。

 いや、少なからず、クラス内でいじめ問題が発生していた場合、教師が加担しないまでも、その事実を意図的に見過ごしたり、見てみないふりをしたりすることは、珍しいことではないかもしれません。

 しかし、この教師は、単に見てみないふりをしたどころではありませんでした。

 このフランス語教師に関しては、すでに2020年9月に「15歳未満の未成年者に対する嫌がらせ」の罪で起訴され、訴訟の続行まで、未成年者への指導禁止と注意義務を課せられ司法監督下に置かれていました。

 今回、再び、話題に上がっているのは、この件に関して、両親が再び訴訟の声をあげたことによるものです。

 不幸な事件から5年経って、被害者の両親は苦しみ続けた挙句、「再び、このようなことが教育界に起こってはいけない!」と立ち上がったのです。

 すると、このクラス内でのいじめが、なんと「いじめに関する授業」をきっかけにアクセルがかかったことが明らかになりました。「いじめに関する授業」がさらにいじめを悪化させるとは、皮肉の一言では片付けられない重いものがあります。

 この「いじめに関する授業」において、この教師は、クラスの全員の前で、いじめられている少女に対して、いじめられる原因などを問い詰め、彼女がみんなの前で泣き出してしまうと、さらに「泣くな!」と叱責するという出来事があり、それ以来、彼女は、その教師の繰り返しの標的となり、怒鳴りつけられたり、席を孤立させられたりしていたことから、周囲の生徒が「こいつに対してはやってもいいんだモード」(いじめ行為に対して先生のお墨付きをもらったような雰囲気になった)に突入してしまったと、インタビューを受けた生徒の大半が証言していたことが明らかになりました。

 この教師の彼女に対する叱責や、ふるまいを機に、周囲の子供たちの嫌がらせ行為はか加速していったと見られていますが、そこは、11歳の子供です。彼女が最悪の悲劇的な選択をした直後に、このことを告白していたようです。

 しかし、おかしなことに、この教師の管理ファイルには、彼女は「経験豊富で真面目で行動的な教師」であると示されており、この事件の調査とは全く異なる人物像が描かれているというのです。

 事件が起こってから、再度、訴訟を起こすまでの5年の間、彼女の両親はどれだけ苦しんできたかと思うと胸が潰れそうな思いですが、この教師は、「告発されている事実には断固として異議を唱える」と述べています。つまり、認めていないということは、反省もしていないといいうことです。

 5年後の今、検察庁は、問題の教師と生徒2人に対する裁判を請求したと発表しています。裁判が行われる場合、教師は刑事裁判所に、青少年2人は児童裁判所に送られます。

 検察庁は2月12日、未成年者に対するモラルハラスメントの疑いで、61歳のフランス語教師に懲戒解雇を求めている・・と同時に発表していましたが、逆に、「その先生、まだ、辞めてなかったの?」とビックリ。しかし、学校というもの、当事者だった生徒は次々に卒業していってしまうわけで、問題は風化しやすい場所であるのかもしれません。

 一緒になっていじめに加担していた子供たちもあまりに衝撃的な結末に、事実は、子供たちによっても明らかになっていたというのに、問題の教師が「経験豊富で真面目で行動的な教師」として居すわり続けていたというその後の事実には、学校や教育アカデミーが構造的におかしいと思わざるを得ないのです。


いじめ問題


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2024年2月25日日曜日

サロン・ド・アグリカルチャー(国際農業見本市)の開催初日は大混乱 歴史的見本市

  


 普段は、日中はテレビはつけないことにしているのですが、前日のパリの街中でのトラクターの行進がなんとなく気になっていて、テレビをつけてみると、なんと、マクロン大統領が農民たちに囲まれるカタチで、議論をしているところでした。

 日本語で言う「膝と膝を突き合わせて・・」という表現には、ちょっと甘い感じ・・皆、立っているので、図式だけ見たら、大統領を農民たちが取り囲んで吊るし上げているように見えなくもありません。

 マクロン大統領が当初、この日に予定していた農民たちとの大討論会は、環境保護団体や大量流通団体をも巻き込んだことから、農民たちの大反発をくらい、大討論会は、立ち消えになっていたところ、結果的にこのような農民たちとだけの討論になったのには、当日、朝からの見本市会場での一般公開前の会場での農民たちの抗議デモ行動が起こったことも大きく影響しています。

 当然のことながら、この見本市の行われている会場は、民間のセキュリティ会社の警備に加えて、警察や憲兵隊によって、厳重に警備されていましたが、それにもかかわらず、この警備の隙をついて、農民たちが警備を突破して、会場に押し入り、「マクロン辞めろ!」の大合唱。

 午前8時には、会場に到着していたマクロン大統領も大混乱の中、平穏にこの見本市を開催するために彼らとの対話の場を設けたのです。

 怒って興奮気味のこれだけの人々相手に議論をするという勇気だけでも、相当なもの、「私はいかなる質問もはぐらかさない!」(この言葉、日本の政治家にも言ってほしい)と断言して、マクロン大統領はこの農民たちとの議論に臨みました。

 この農民たちの抗議運動当初から、彼らが要求している内容は数えきれないくらいありますが、この時も彼らの言っていることの大枠は同じ。しかし、中には、「あなたは、ウクライナには、大金をはたいて援助しているのに、私たちには、パンくずだけだ!」と怒りをぶつける人もいました。

 農民たちが、それぞれにマクロン大統領に訴えかけ、時には、興奮状態になり、逆にマクロン大統領自身がキレかかるような場面もあり、この討論は、2時間以上も続き、いったい、どうやって収拾がつくのだろうか? 農民たちの中には、「1日中でも話し続ける!」などと言いだす人もいました。

 マクロン大統領は、「すでに、政府は動き始めている・・」と説明するのですが、彼らは納得せず、「私たちはもう限界なんだ!時間がかかり過ぎだ!早くしろ!」と訴えます。

 マクロン大統領は、「農業は国家にとって不可欠な要素であり、とても誇りに思っている産業である」と述べたうえで、「しかしながら、その構造には、問題があり、改革の必要がある」ことを認め、「欧州レベルで生産の責任を負うために、私は資本削減と闘いたい」と語り、「最低価格、下限価格、加工業者がそれ以下では購入できない価格を設定すること」を約束。

 話しの合間合間に「私を信じてください!」と訴えるマクロン大統領に、これまで30年間虐げられ続けてきた農民たちがあっさりと信じられないのも当然のことです。

 ついには、マクロン大統領は期限を区切り、「3週間以内に、私はすべての労働組合とすべての組織を集めて、何が行われたのか、あるいは行われていないのかを評価し、農業保護計画を立てること」を約束し、月曜日から突貫でそれに取り組むと宣言しました。

 このあたりで、ようやく農民たちがマクロン大統領を解放してくれる感じになっていたのですが、この農民たちとの討論は2時間以上も続いていたのです。

 SPや警備がついていたとはいえ、大統領がこの至近距離で彼らと直に話すということも、ちょっとなかなかないことで、「ヤレヤレ・・すごいな・・」と思いましたが、同時に「日本の首相にはできないんだろうな・・」と思うのでした。

 長時間にわたるこの討論会に見入って、見ているだけでもようやく終わってヤレヤレ・・というところで、テレビを消して、外出したのですが、それから夕方になって帰宅して、夜、テレビをつけたら、まだ、この見本市のニュースをやっていて、マクロン大統領が映っていました。

 「今日は、一日、この話題で持ち切りだったんだな・・」と思って、よく見てみると、画面の左上には、「DIRECT(生中継)」の文字が・・!「えっ??マクロン大統領、まだいるの?」とびっくり!

 なんと、この日、マクロン大統領は、あの討論会の直後に予定よりも4時間遅れの開会式でテープカットをした後、13時間以上もこの見本市の会場で、ブースを廻り、多くの団体と話し合い、また、それぞれのブースに控える農民たちと話し、時には動物と触れ合い、時には試食しながら、長い一日を過ごしたのでした。

 事の成り行きとはいえ、忙しいスケジュールの中、13時間をこの見本市に費やしていたことには驚きだし、今、ここをおろそかにはできないということだったのでしょう。

 とにもかくにも、毎年、何かしらの衝突や問題があるこの見本市も今年は記念すべき60周年。こんなに混乱している農業見本市は、初めてのことで、「歴史的な国際農業見本市」と評されています。

 問題は、未だ山積みのうえ、フランス国内だけの問題ではないため、ハードルも高いと思われますが、決して、マクロン大統領は最高!というわけではありませんが、こうして、大統領が面と向かって話しをしてくれるだけでも、日本人としては、羨ましい気持ちがあり、少なくとも、国の長として、日本のそれと比べて、全く同じ職業とは思えないことに、複雑な思いがあるのです。

 

国際農業見本市 歴史的な見本市


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2024年2月24日土曜日

農民たちの怒りにマクロン大統領が再び火をつけた

  


 毎年、年に一度、パリで行われるサロン・ド・アグリカルチャー(国際農業見本市)の開催が近付いてきて、農民たちの怒りの火がまだくすぶり続けているどころか、あちこちで、未だ火が燃え続けているというのに、今年のサロン・ド・アグリカルチャーは、どんな顔をして開催するのだろうか?とずっと思っていました。

 この見本市は、サロン・ド・ショコラなどが開催されるのと同じポルト・ド・ヴェルサイユ・エクスポ(パリ15区)で行われ、フランス各地から、牛や豚などから、多くの野菜やチーズ、ワインなど数多くの農業製品が集結するフランス人なら知らない人はいないほどの有名な催し物です。

 当然、数々の展示物(動物も含めて)と、それらを展示販売するために多くの農業、農業製品・そしてその製造に携わる人もやってきているわけです。

 毎年、この催事中、そこそこの問題は起こっているのですが、今年は、数ヶ月前から農民たちの怒りの激しい抗議運動が起こっており、そして、それが収束していないなか、無事に済むはずはありませんでした。

 そもそも、農民たちが抗議運動の動きを一時、弱めていたのも、このサロン・ド・アグリカルチャーを再抗議のタイミング、きっかけと考えてタイミングを定めていたことも想像に難くありません。

 そんな農民たちの動きを考えてのことなのか? 政府は、この農業見本市の開催当日の朝に、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)との討論会の場を設けることを発表していました。

 しかし、政府は、この討論会に、環境保護団体「レ・スールヴェモン・ドゥ・ラ・テール」や大量流通団体を招待したことが、農民たちをさらに怒らせる結果となり、肝心のFNSEA(全国農業経営者組合連合会)は、「政府は農民たちを挑発した!」とこの討論会への参加を拒否。

 農民たちをなだめるつもりが、逆に丸め込もうとしていると受け取られてしまったのです。実際に、今回の問題の図式を考える限り、農民たちが訴える問題は、環境問題対応のために農民たちに課せられている厳しい規制や、その規制を守らない海外からの輸入品を大量流通団体が販売することで、価格破壊が起こり、フランスの農家が生産しているものが正当な値段で売られていないことが問題なわけで、政府は、農家が反発を感じている人々(つまりは、農家にとって敵のような人々)で取り囲み、まさに丸め込もうとしている感じが透けて見えるメンバーの集め方でもあります。


 この農業見本市の前日には、いつの間にやってきたのやら、パリの街なみを農業用のトラクターなどが行進する異様な光景が広がり、農民たちは、この見本市の会場に集結しています。

 FNSEA(全国農業経営者組合連合会)の討論会不参加とさらなる怒りを前にして、マクロン大統領は、環境保護団体のこの討論会への招待を取り下げましたが、時すでに遅しで、農民たちの怒りには火がついてしまいました。

 環境問題に配慮しなければならないことは、必要なことではあるものの、農民ばかりにその対応を押し付けている現実に政府は、やっぱりわかっていなかった・・ということが表面化してしまったカタチになりました。

 昔、日本でヒットした映画のせりふのように「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というのがありましたが、まさに、そんな感じがします。

 マクロン大統領は、こうして時々、反発を買うであろうことをやらかして、地雷を踏むことがあり、これまでも、「よくも、こんなに国民に嫌われて平気なんだな・・よっぽどハートが強い人なんだな・・」と感心するのですが、どんなに嫌われても、やっぱり平静な顔をして、見本市にやってくるのです。

 農民たちの怒りはもっともで、彼らの現状には、心が痛むところではありますが、それでも、一縷の光というか、なぐさめられることは、こうした抗議行動の間も、ただただ怒っているだけではなく、音楽をかけたり、ダンスをしたり、楽しんでもいるようなところも垣間見える場面があることで、そんな場面では、彼らの中のラテンの血を感じます。


FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と環境保護団体と政府の討論会


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2024年2月23日金曜日

ほのぼのする光景 パピー・マミー(祖父母)と孫の時間

  


 現在、フランスでは、子供の冬休みのバカンス期間のためか、街に出ると、孫らしき小さな子供を連れたおじいちゃん・おばあちゃんの姿を見かけることが多いです。

 この間、市営プールに行ったら、孫を連れてきていると思われるおじいちゃん、おばあちゃんたちがけっこうたくさんいて、「あら~こんなにたくさん孫連れの人たちがいるのを初めてみたな・・」とちょっとびっくりしました。

 フランスの学校は、ついこの間、ノエル(クリスマス)のバカンスが終わったばかりというのに、1ヶ月後には冬休みのバカンス、そして、またその1ヶ月後には、パック(イースター)の休みのバカンスがそれぞれ2週間ずつ、そして、ちょっとするともう夏休み(2ヶ月くらい)と、とにかく休みが多いので、共働きの多いフランス人家庭は、自分たちの職場でとれるバカンスでは、カバーできない期間は、子供たちを、パピーとマミー(おじいちゃん・おばあちゃん)のところへ預けちゃう!・・という家庭は多いのです。

 もちろん、それができない子もいるので、また別に、市が運営しているバカンス期間のレクリエーション施設のようなものがあるのですが、そこには預けずに敢えて、実家に子供を預ける人も多いのです。

 孫の世話ができる期間というのも、限られていて、おじいちゃん・おばあちゃんの健康状態にも限界があるだろうし、子供は子供の方で大きくなれば、それぞれの世界を持っていくので、考えてみれば、そんな長い期間ではありません。

 でも、そんな光景を見かけると、なぜだか、微笑ましい、とってもほのぼのとした温かい気持ちになります。私自身がとてもおばあちゃん子だったからかもしれません。

 私自身が子供の頃は、父方の祖母は隣の家に住んでいて、よく花札(シブいでしょ!)をして、遊んでもらいましたが、それは、日常の少しの時間に、遊んでもらうという程度で、私の母は家で仕事をしていたので、祖父母に預けられたという記憶はありません。

 しかし、私は父方の祖母も母型の祖母も大好きで、なんなら、誰よりも好きくらいに大好きだったので、私にとって、祖母の死はものすごく悲しくショッキングなことでした。

 また、私の娘に関しては、夫の両親はすでに他界していたため、フランスには、パピーもマミー(おじいちゃんもおばあちゃん)もおらず、私の実家は日本なので、そうそう休みのたびに子供を預けるというわけにもいきませんでした。

 一年に一度、一時帰国をしていた際にも両親が揃っていた時でさえも、母は、心臓病で、寝たり起きたりの生活が多かったので、私が日本で外出する時でさえ、子供を両親に預けて、一人で出かけるということもせず、どこへ行くのにも娘を連れて出かけていたので、あまり、実家に預かってもらったという感覚はありません。

 こうして、孫とおじいちゃん・おばあちゃんだけでプールに来ていたり、お出かけしている様子を見ていると、こういう経験を娘にさせてあげられなかったことは、残念だったなぁ~と思いますが、仕方ありません。

 それでも私の父にとっても母にとっても、本当に「目の中に入れても痛くない」とはこういうことを言うんだろうな・・と思うほど娘のことを愛し、可愛がってくれていたので、それはそれで、できる限りの彼らなりの孫との時間を過ごせたのではないか?と思っています。

 特に父は、気難しく、厄介な人でしたが、娘とだけは、やたら仲良かったのは、孫というものの特別な存在が父の厄介な性格を和らげてくれた魔法のような時間だったように思います。

 核家族化が当然のようになり、祖父母との繋がりも薄くなり、さらに親戚付き合いはほとんどない・・という人も多いように思いますが、おじいちゃんと孫、おばあちゃんと孫というのも、双方にとってかけがえのない繋がりです。

 たとえ、孫の側からしたら、後々、大した記憶に残っていないとしても、心のどこかに暖かい炎をともしてくれる大切な時間なのではないか?と思うのです。


おじいちゃん・おばあちゃんと孫


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2024年2月22日木曜日

オリジン・フランス フランス産のラベルには注意しなければならない

 


 先月からのフランスの農民たちの大規模な抗議運動は、一時ほどの騒ぎではなくなったとはいえ、未だに続いています。

 農民たちが高速道路を数週間にわたりブロックし、一時は、食料品等の配送が滞り、スーパーマーケットに空の棚ができるような事態にまで発展。農民たちがテレビのニュース討論番組などに登場して、農家の厳しい状況、惨状、数々の不均衡で不平等な流通や特にフランス国内農家に課せられている厳しい規制に比べて、輸入品に対する規制があまく、ゆるゆるで、汚い覆面を覆って、彼らの農業製品の占める場所を侵食している状況などを語っていました。

 これまで、そんな話は、全く知らなかったので、私もそんな現状を聞きながら、そんなことになっていたのか?それは酷い・・と感じ、多くの国民も彼らの激しい抗議運動には、どこか寛容な目で、「なにかがおかしい・・」と彼らに共感を寄せ、彼らの行動を容認するような目で見ていたような気がします。

 政府は農民たちの悲痛な叫びに耳を傾け、彼らの要求にこたえる回答をいくつか提案し、彼らの抗議運動は、少し縮小したものの、到底、それが彼らにとって充分に納得いくものではなく、未だ、彼らの怒りの炎はくすぶり続け、あちこちで、抗議運動は続いています。

 そんなことがあってか、私も最近は、買い物に行くと、心の中に、「やっぱり、フランスに住んでいる限り、フランスの農業製品を買うべきだな・・」などという気持ちが芽生えているせいか、やたらと、トリコロールのマークがついたものが目に付くようになり、実際にこのマークのついた製品が増えたようにもなり、野菜や果物でも産地をよく見るようになり、消費者にもそういう人が増えた気がします。

 しかし、この農民たちに指摘された一部である輸入品への規制に関して、政府が食料品の原産地などに関するチェックが開始され、・政府は約1,000の商業施設に調査に入ったところ、このトリコロールのついた「Origine France オリジン・フランス」のラベルが必ずしも確かではなかった・・・このうち372の施設がオリジン・フランスの基準を満たしていなかったことを公表しました。政府はこれに対する、取り締まり、罰則の強化を近々、発表するとしています。

 フランス産のものだと思って購入していたものが、実は、そうではなかった・・騙されていた可能性があるということです。

 だいたい、「オリジン・フランスの基準」というところで、「???」となるのですが、これは、必ずしもオリジン・フランスはフランス産ではない場合もあるということで、なんだか、都合のよい抜け道に使われそうな言葉でもあります。

 食料品には、原産地を記載することが義務付けられていますが、それさえも偽られている場合は、もうどうにもなりませんが、実は巧に原産地は、わかりにくいところに記載されていて、パッケージングだけフランスで行っているためにフランス産を名乗っているようなケースもあるのだということなのです。

 正直、私は、そこまで注意して、買い物をしていなかったため、トリコロールのマークがついていれば、単純にフランスのものだと思い込んでいたし、だいたい、原産地でさえも、そこまで注意してはいませんでした。

 ただ、フランスで売っている「WAGYU」を見て、「おっ!和牛だ!」と勇んで買ったことがあり、「これ?ほんとに和牛?日本で食べる和牛と全然、違うんですけど・・」と思ったことはありました。オリジン・フランスとは関係ない話ですが・・。

 まったく、ごくごく身近でささやかな買い物をする中には、たくさんの詐欺まがいのものがあることには、「いちいち、そんなに注意して表示を見なければならないのか?」と不信感が募るのでした。


オリジンフランス フランス産


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2024年2月21日水曜日

フランスの公立校の制服導入は、難航の兆し

  


 フランスの公立校(小・中・高校)で制服を導入するため、まずは、2024年度の新学期から試験的導入を開始すると発表され、思っていたよりも、この制服導入について、早く動き出そうとしていることに驚いていました。

 なぜならば、これまで四半世紀以上もフランスで生活してきて、およそフランスの学校には、制服のイメージが結びつかないものだったからです。

 それが、2年くらい前に、なぜかブリジット・マクロン(マクロン大統領夫人)が「フランスの学校にも制服があったらいい・・私の学生時代には・・」なんていうことを語ったというようなことが、話題にのぼり、「おいおい・・失礼ですけど、いつの話ですか?」なんていうことを思ったのですが、まさか、そんな話が本格的に制服導入という方向に進んでいくとは、その時には、微塵も思っていませんでした。

 このブリジット・マクロンの政府内の影の力というか、発言の威力、影響力というのも見過ごせない気もしています。

 フランスの学生は、学校にもよるのでしょうが、概して、みんなラフで自由な服装で、かといって、そんなに奇抜だったり、派手だったりすることもなく、また、学校自体も日本のような始業式とか終業式はもちろんのこと、入学式とか卒業式もなく、いつのまにか、始まって、いつのまにか終わっているという味気ないというか、よく言えばさっぱりしています。

 そんな中、制服導入の話が昨年あたりから、急激に具体的に進みだし、政府は、まずテストケースとして、100校を集めるとし、このうち87校がこのテストケースに参加することになっていると発表しましたが、内情は、このテストケースでさえも、集めるのに苦労しているようで、このテストケース参加募集の期限が2月15日だったものを結局のところ6月末まで期間を延長しています。

 つまり、期限内に試験的でさえ制服を導入してみるという学校が100校も集まらなかったということなのです。

 そもそも、これが実験段階とはいえ、「理事会と学校評議会の同意、そしてもちろん地方自治体の同意が必要で、それらのハードルを越えられない学校が多い=つまり、反対意見が多いということなのです。

 だいたい、この制服導入には、「格差社会の差別を抑制し、帰属意識を高めることを目的」としていますが、「制服で差別が解消されるわけではない」ということをみんながわかっているわけで、それ以上に自由な服装を縛られることを嫌っている・・「そんなことで差別が解消されると思うなよ!」というような気持ちが表れているような気がします。

 現在、進められようとして提案されている制服は、制服といっても、いわゆる日本にある制服ではなく、ポロシャツ、セーター、ズボンといったごくごくシンプルなもので、よく言えば活動的ではあるのですが、あまり、若い子たちが着てみたいと思いそうなものではありません。

 そもそも、みんなが同じでなくてよい、違った個性を認め合うところが、フランスの良さのような気が私はしているのですが、そこそこの国費を投じて制服?というのが、そこにお金使うの?という気もします。

 そして、個人的には、この制服導入に際して、学校側の仕事が増えることも、学校側が受け入れない理由の一つではないか?とも思っています。とにかく、フランスの公立校の教師は、少しでも余計な仕事が増えることを拒否する傾向があり、新年度が始まる前にそれぞれの生徒が買い集めなければならない文房具やノートやファイルなどのリストが配られて、それぞれが用意するのですが、こんなにまとまった量であれば、学校側が注文して揃えて、後からお金を徴収すればいいのにと思うのですが、そんなことですら、学校側はやらない・・余計な仕事を増やしたくないのです。

 フランス人お得意の「それは私の仕事ではない」というやつです。

 制服が導入されれば、それぞれの生徒のサイズに合わせて、注文をとり、服が小さくなったとか、破れたとかいうたびに、学校側が対応しなければなりません。

 それを「格差による差別の抑圧」など、もっともらしいことを言われても、私たちの仕事には、制服の管理などという仕事は入っていない・・と、さも言い出しそうなことのような気がします。

 まあ、とりあえず、やってみるのは、よいかもしれませんが、このテストケースにさえも学校が集まらないというのは、そこのところは置いておいて、集まった学校での結果をもとに、強行的に制服が導入されるのか?

 一部では、国歌を歌うことを推奨するとか、入学式とか卒業式を取り入れようとか、どちらかというと、引き締めにかかっているような感じのするフランスの学校教育。

 とりあえず、何かを変えるということには、大変な国民の圧力が存在するフランスで、政府が思っていたようには制服は簡単には受け入れられそうもない感じです。


フランス公立校の制服導入


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2024年2月20日火曜日

ストライキラッシュ 今度はエッフェル塔がストライキ

  


 ストライキは、フランスのお家芸のようなものとはいえ、ここ最近のあちこちでのストライキには、「どうなっちゃってるの?」と思わずにはいられません。

 まあストライキがあることが通常運転のようなところはあるものの、年明けからのRATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)、学校、農民たちの抗議運動などなど、大げさながら、もう黙っているのは損とばかりにストライキのお知らせが後を絶たないのは、ちょっといつにないストライキラッシュのように感じています。

 子供の冬休みのバカンス期間をめがけてSNCFが行った大規模なストライキのために、少なくとも15万人に被害が及んだという騒ぎのあと、ようやくまともにTGVが動き出すらしいという話を聞いたと思ったら、今度はエッフェル塔がストライキ。

 まあ、エッフェル塔に関しては、一般市民というか、住民の日常生活に影響はあまりないものの、やはり、依然として子供の冬休みのバカンス期間中なことに代わりはなく、国内の観光客もいるわけです。

 なんだかこのストライキが目白押しの中、なんだか、エッフェル塔はパリ(フランス)の象徴的存在なだけに、そのストライキもシンボリックな気がしてなりません。

 観光客の数もパンデミック前の状態に戻るどころか、それを越す勢いだったはずなのに、エッフェル塔がなぜ?ストライキをしなければならない状況に陥っているかは、その運営に何やら、問題がありそうです。

 エッフェル塔の職員CGT(労働組合)は、このストライキを「記念碑の維持管理上の問題と、市会計が認めていないにもかかわらず自治体が徴収する手数料の増額」、「エレベーターの近代化、通常、定期的に行われるはずの修繕工事や塗装工事ができていない」、「30年以上も放置されている床やエレベーターの改修は、絶対的に不可欠なことであることにもかかわらず、 これらすべてのことは市庁舎(パリ市)が5000万ユーロを受け取ることを可能にするために脇に置かれている」など、運営管理上の不均衡を訴えています。

 必要不可欠の工事をないがしろにして、なぜか大金が注がれる記念碑の存在も疑問を抱くところでもあり、「それ、他のものを差し置いてまで必要?」というところなような気がするし、エッフェル塔は、パリ市と密接な関係であるとはいえ、別会社。にもかかわらず、その謎の手数料の増額。

 つまり、お金が使われるべきところに使われずに、そこにそんなにお金を持っていかれる?という歪な運営状態。

 インフレや何やら、色々と抑圧される部分が多いなか、このようなお金の流れが一層、注目され、表沙汰になっているのが今の状態なのかもしれません。

 エッフェル塔にしても、交通機関にしても、料金は着々と値上げされて収益は下がってはいないはずなのに、それが正当に使われていないのは、ままあることで、こういうことを見るたびに、運営のための資金が不足しているとかいう前に、「おこづかい帳」つけてる?と何にお金を使っているか?無駄なことに使っていないか?それを見直せば、ずいぶんと削れるところがあることに気付くのではないか?と思うのです。

 余談になりますが、私は、娘にお金の使い方を教えるために、必要なものは、全て親が買っているし、小学生は、自分一人で外出さえさせられなかったために、自分でお金を使うこともないので、おこづかいも必要ないだろうけど、お金の管理を教えるために、少額ですが、おこづかいを渡して、おこづかい帳をつけるように教えていました。

 まあ、それが功を奏したか、生まれ持っての性分だったのか?娘は、ほんとうにお金にきっちり、シビアで、逆に本当に私の娘なのか?と思うほどに、しっかり倹約家になりました。無駄なことには、まずお金を使わず、その徹底ぶりには驚かされるばかりで、時には、私の大雑把な買い物に「ママ、調子にのりすぎ・・」などと、おしかりを受けるようになりました。

 話は脱線しましたが、公的なお金となるとやたらと気前がよくなる公の機関、基本的にフランス人には倹約家が多い中、自分のお財布だと思って、お金は必要なところに使ってもらいたいものです。

 ついでに、付け加えさせていただくならば、今、日本で騒いでいる、政治家の裏金、脱税問題が公になる中、国民には、確定申告で納税を呼び掛けるハタから見ていても、腹立たしい光景に、フランスだったら、こんな事実が明らかになったら、ストライキどころではすまずに、国中が燃える暴動になるだろうな・・と思っているのです。


エッフェル塔ストライキ


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2024年2月19日月曜日

ミスターフランス2024 今のフランスのイケメンはこういう感じ

  


 ミスフランスに比べると、注目度は低いものの、ミスターフランスというコンテスト?は、1993年から行われています。

 ミスフランスとは、独立したものであるとしつつも、このコンテストの審査委員長は、元ミス・フランス大会の看板人物であったジュヌヴィエーヴ・ド・フォントネー(帽子を被った女性といえば、彼女の姿が思い浮かぶ人も多いだろうと思われる)の息子、ザビエル・ド・フォントネーが務めているので、あまり説得力がない説明でもあります。

 今回、ミスターフランス2024に選ばれた男性は、ミスター・ローヌ・アルプのシャルル・スタンパー氏が優勝しました。

 国際ビジネスの修士号を取得したばかりの青年は23歳で、身長1.79メートル、体重74キロで、現在は、自動車メーカーの営業担当として働いています。

 仕事以外の時間には、フィットネスジムに通い、スキーもたしなむスポーツマンとのことで、スポーツに取り組むことにより、学生時代に受けたいじめ被害から抜け出したことを告白しています。

 また、彼は動物愛好家でもあり、ボランティア活動にも参加しており、この「ミスターフランス」のタイトルを動物愛護家としての活動にも利用したいと述べています。

 

 正直、フランス人の評価する「美」の基準というものは、よくわからないところもあるのですが、現在のフランス人の「イケメン」、「ハンサム」とされる人は、こういう感じなのか?と、傍観者的に眺め、「は~~こういう人がカッコいい人なのね・・」と思うのでした。

 一応、ミスターフランスの応募基準は、「フランス国籍」であり、年齢が18歳から30歳まで、身長が1.75メートル以上、独身で子供のいない人という括りがあります。

 彼は1年間、ミスターフランスとして、フランス全土及び、海外を渡り歩くことになり、モデル事務所に所属し、ファッションショーに参加するだけでなく、有名ブランドの顔になるチャンスにも恵まれることになります。

 個人的には、いま一つインパクトに欠ける感じで、いつか、どこかのハイブランドの香水などの広告に彼が登場したとしても、あの時のミスターフランスの人?とは、気が付かなそうな感じもしてしまいます。

 まあ、逆に考えれば、それだけ、彼はその手の類の広告に登場しそうな感じである「美」なのかもしれません。


ミスターフランス2024


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2024年2月18日日曜日

想像以上だったSNCF(フランス国鉄)のストライキに対する国民の怒り

  


 日頃から、普段は感情を激しやすいフランス人がストライキに関しては、比較的寛容だという印象が私にはありました。

 ストライキやデモなどは、本当にいつもどこかがやっているイメージですが、日本で生まれ育った私にとっては、フランスに来たばかりの頃などは、ちょっと信じがたい気持ちで、怒りまくっていて、「まったく、信じられない国だな・・」と呆れていました。

 しかし、そのたびに怒り狂ってばかりもいられず、怒るのにもエネルギーがいるため、このストライキをどうしたら、回避できるのか?を工夫するようになりました。

 一番困ったのは、娘の学校のストライキで、そのたびに預かってもらえる場所を探し回らなくても済むように、ストライキのない私立の学校に入れ、私だけでなく、娘自身も安定した(というかストライキをやらないというふつうのことなのですが・・)学習環境が保てたことは、本当によかったと思っています。

 バカンス時の長距離移動に関しては、時間短縮の意味もあって、たいてい飛行機で移動することが多かったので、これまでSNCF(フランス国鉄)のストライキの被害にあったことはありません。

 それでも、バカンス時に定期的に行っていたのは、日本ですが、やはり一番、ストライキの被害に遭う確率が高いのはエアフランスで、ストライキのために勝手に帰国便を直行便から経由便に変更されたり、また、空港に着いたら、交通機関全て(電車もバスもタクシーもない)がストライキで身動きがとれなくて、途方に暮れ、いつもお願いしている運転手さんに慌てて電話して、会社の車が出払ってしまっているなか、奥さんの車で迎えに来てくれた・・なんてこともありました。

 というわけで、それ以来、飛行機を予約する際は、私は、できるだけエアフランスは避けるようにしています。

 今回のSNCFのストライキでは15万人に被害が及んだということで、多くの人は、長距離、長時間がかかる長距離バスサービスに流れたようです。

 なかでも、今回はパリ⇔ボルドー間に最も影響が及んだということで、予定されていた便の3分の2がキャンセルになったとのこと、一時、娘がボルドーにいたこともあり、娘は、このパリ⇔ボルドー間のTGVを頻繁に利用していたこともあり、他人事とは思えない気持ちでした。

 しかも、乗客が怒っているのは、そのキャンセル手続きが厄介なこと(自動的に返金されない)や、それでもまだ、返金されるのは、良い方で、返金されるのは一部だけだったり、次回の購入時の割引券で済まされたり、あるいは、まったく返ってこない・・なんていうのもあるらしく、そりゃあ、怒るのも当然のことです。

 この次回購入時の・・という返金の仕方は、パンデミックの際にキャンセルになったパリ⇔ロンドン間のユーロスターでやられたことがあり(娘がこの時期、ロンドンに留学予定だったのが、出入国禁止になったためにキャンセルになった)、その時は、次回のチケット購入時のクーポンという形での返金?でしたが、いつ次に行く機会ができるかもわからないのに、そのクーポンは使用期限付きで、「これじゃ、返金しませんってことじゃない!」と大いに憤慨した記憶があります。

 楽しいはずのバカンスが楽しいどころか、その往復のすったもんだだけで疲れ果ててしまうのですから、もうSNCFはできるだけ使わないようにしよう!と思うのは、当然のことです。

 政府は、環境問題を考慮して、移動はできるだけ飛行機や車は使わず、電車に切り替えよう!などと言っているけれど、その電車でこんな思いをさせられるのは、ゴメンだ!と思うのは、当然です。

 フランスは、ストライキやデモをする権利というものをとても尊重していますが、これはちょっとどうにかしてもらわないと困ります。

 子供が小さい頃は、子供の学校のバカンスにあわせて、バカンスに行かざるを得ず、当然、その期間は、ハイシーズンになるため、移動のためのチケットも、宿泊施設も高くなり、おまけにストライキに遭遇する確率も高いわけで、その全てのリスク?デメリットを受け入れざるを得なかったのですが、今は子供の学校のバカンス期間は避けるようにしています。


ストライキ


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2024年2月17日土曜日

人の味覚はそれぞれなので、自分の好みに合うものを見つけるのは簡単ではない

 


 私が日本に行く時は、半分くらい(もしかしたら、それ以上かもしれない)は、食べることが目的なので、当然、もの凄い勢いで食べまくるのですが、前回の一時帰国の際は、我ながら、これまで以上の興奮ぶりで、もう満腹中枢が壊れたかと思うくらい、食べまくりました。

 日頃から、YouTubeやInstagramなどで、「これ最高!」などと紹介されているものをチェックしていて、「日本に行ったら食べたいものリスト」に書き足しています。

 日本に到着するやいなや、日本の場合は、すでに慣れ親しんでいるお店やすでに知っているもので、どうしても食べたいものが、すでにたくさんある中、その新しく食べてみたいものリストから漏れずに食べて帰ろうとするために、色々と買い物に走ったり、お店に食べに行ったりします。

 今回、多分、何かのYouTubeで、「成城石井の焼売がすごく美味しい!」と言っているのを見て、娘に話したら、「成城石井なら、会社の入っているビルに入ってるから買ってきてあげるよ!」と言ってくれたので、ものすごく期待して食べると、「うん、美味しいけど、べつに・・」という感じで、ちょっとがっかりしたという話を隣に住んでいる従姉妹に話したら、「うん、成城石井の焼売は特別感はない、焼売だったら、小洞天のが美味しいよ!」と買ってきてくれました。なるほど、さすがに、長い付き合いだけあって、好みが一緒で、この焼売には大感激でした。

 すると、今度は、肉まんの話になり、肉まんなら「維新號」の肉まんが美味しい!という情報を得て、「維新號」の肉まんを探して歩くことになり、それまでの間に会った友人や叔母たちに聞いても、たしかに「肉まんなら維新號!」と口を揃えて言うので、何が何でもそのみんなが絶賛する肉まんを食べたくなり、さんざん探してようやく渋谷でゲット。

 大変、満足でした。

 フランスに戻って、しばらくは、日本から持ち帰ったもので満足して、フランスの食品が色褪せて見えていたのですが、結局、ないものねだりをしても仕方ないので、また、フランスでも、美味しいものを探して歩くことを再開しています。

 しかし、フランスでは、日本ほどは、感激できるドンピシャのものを見つけるのは簡単ではなく、X(旧Twitter)やYouTube、Instagramなどで紹介されているお店に食べに行ってみたり、持ち帰れるものは買ってきたりしているのですが、どうにもハズレが多く、あんなに絶賛している感じだったのに、全然、大したことなかった・・とガッカリすることもしばしばです。

 そんなお店に行ってみると、フランス人のユーチューバーらしき人々が撮影している場面に遭遇したりすることもあるのですが、「まあ、悪くはないけど、フランス人の好みなのかな?」、まあ、人の味覚はそれぞれなので、必ずしも私の口には合わず、「まあ、美味しいけど、また来るか?って言ったら、そうでもないかな・・」というところが多く、やっぱり自分の好みのものは、自分で探さなければ・・とそのたびに思うのです。

 特にフランス人のインスタなどだと、ノリも良くて、ついついその気になってしまうのですが、なかなかハズレも少なくありません。

 彼らがウソをついているわけではなく、単に好みが合わないだけの話、私も時々、ブログでパリにある私が美味しいと思ったお店や食べ物を紹介していますが、必ずしも万人向けかどうかはわかりません。

 必ずしも有名なお店だったら美味しいというわけでもなく、パリの場合は、特に外食は、決して安くもないし、お店の雰囲気やサービス、そして提供される食べ物が総合的に値段相応のものであるかどうか?そんな感じで私は、美味しいものを探し歩いています。

 それにしても美味しいものを探すのは日本でもパリでも楽しいのです。


おいしいもの探し 味覚


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2024年2月16日金曜日

SNCF(フランス国鉄)大規模ストライキ 50%のTGVがキャンセル

  


 ここのところ、毎日のようにSNCF(フランス国鉄)のストライキはどうなるのか?というニュースをやっていますが、週末に入り、やはりストライキはかなりの規模で決行されるようです。

 今年の子供の学校の冬休みは、先週末から地域によって1週間ずつズレる形で(それぞれ2週間ずつ)3月まで続きますが、このストライキは2週目の週末から突入する模様です。

 このストライキという脅しを受けて、SNCF経営陣は、2022年末の合意では、2023年にコントローラー200人を追加雇用する規定であったものに加えて、乗務員の特別賞与を年間600ユーロから720ユーロに増額、コントローラー200人を含む無期契約の鉄道労働者1,100人を追加採用することを発表しています。

 これらの提案に加え、SNCFは、不動産市場が高騰している地域に住む鉄道労働者向けの住居手当も提案しています。

 そもそもSNCFやRATPなど鉄道関係の仕事は給与はともかく(決して少なくもない)、福利厚生が一般の企業に比べると格段に条件がよく、このうえ、なにか気に入らなければ、できるだけ多くの人が迷惑を被る機会を狙ってストライキをすれば、どんどん要求が通っていくことには、常々、憤りを感じるところです。

 今回は、このバカンス期間を目掛けて、TGVの約半分の便がキャンセルされると言われており、足止めを食う人々は大わらわです。

 特に冬休みというのは、スキーに出かける人々、しかも子供だけで田舎のパピーやマミー(おじいさんやおばあさん)の家に行かせたりする予定にしている人も少なくなく、その交通手段が絶たれてしまうわけですから、大変なことです。

 だいたい、子供の学校のバカンスが多すぎるフランスでは、たとえ、自分のバカンスが1ヶ月近くとれたとしても、それで子供の学校のバカンス期間をカバーできるはずもなく、私も1年の子供のバカンス期間をどう調整をつけるかには、本当に苦労していました。

 思い起こせば、冬休みのバカンス期間は、娘はたいてい、スキーのコロニー(合宿のようなもの)に行かせていたので、それは、長距離バスであったために、その発着場所であったポルトドヴェルサイユか、ベルシーなどに送って行って、2週間後に迎えに行くというのが恒例であったため、SNCFのストライキに左右されることはありませんでした。

 SNCFは、このストライキのためにキャンセルになったチケットに関しては、無料で変更するか、全額返金すると言っていますが、このバカンス期間の予定を滅茶苦茶にされた場合は、たいてい、チケット以上のお金がかかることは必須。なんなら、そのために余計にかかった費用も負担してもらいたいところです。

 最近では、私も、時には抗議運動やストライキも必要だとも思うようにもなったのですが、このSNCFやRATPのストライキに関しては、どう考えても、ストライキなしに交渉、解決していく道を考えてもらいたいと思うのです。

 だって、当然、得られるはずの利益を返金しなければならないのですから、大損害のうえに、結局、要求はのむことになるのですから、だったら、その前になんとかした方がいいのに・・と単純に思ってしまうのですが、甘いのでしょうか?


SNCFストライキ


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2024年2月15日木曜日

運転免許証がスマホに取り込めるようになった・・

  


 もう、どんどん時代は進化して、スマホなしには生活できないようになってきていますが、逆に「スマホ一つさえあれば、なんでもできるようになってきた・・」という方が前向きな捉え方かもしれません。

 今や、スマホで支払いもできるようになったため、現金を持つ必要がなくなり、Navigo(メトロやバスのチケット(定期券)も身分証明書もスマホに読み込めるようになり、ついに運転免許証もスマホに読み込むことが可能になりました。

 今まで、お財布の中に入れていた様々なカードはお財布ごと必用なくなりつつあり、スマホさえ持てば、済むようになりつつあります。

 私は個人的には、どちらかといえば、アナログ人間で、このスマホの操作は億劫で苦手で、いつも娘にバカにされながら、教わりながら、少しずつ取り入れざるを得なくなってきています。

 フランスでの、この証明書類のデジタル化が想像以上に進んでいることを一番、目に見えて感じたのは、コロナウィルスがまだまだ蔓延しつつ、ロックダウンが解除されていく過程で、ワクチンパスポートがないと、出かけられなかったり、レストランに入れなかったりするようになった頃のことで、かなり高齢の人々でさえもスマホにワクチンパスポートを読み込んで提示していた時に、こんなおじいちゃんたちもスマホをちゃんと使えるんだな・・と驚いたのです。

 このようなシステムは、使用方法が簡単であり、且つセキュリティーがしっかりしていることが最低必須条件ではありますが、今回の運転免許証は、これまでに、すでに存在していたfrance-identite.gouv.fr/の中に、運転免許証を追加できるようになったという感じです。

 この証明書関係を読み込むためのアプリをインストールして、そこから簡単に読み込むことができます。フランスの古い運転免許証は、ピンクの紙でできた、それこそ、なんで?こんな大きいの?というようなものでしたが、最近発行されている運転免許証は、ICチップ入りの銀行カードサイズのものに移行しています。

 現段階で最も簡単にスマホに読み込めるのは、このICチップ付の運転免許証ですが、近々、この古いピンクの免許証も電子ID(身分証明書)を取得済であれば、読み込み可能になります。

 この運転免許証のデジタル化、スマホ読み込みが急がれたのは、検問の際の免許不携帯があまりに多いこと、そして、罰金の未回収があまりに多いために、その場で罰金支払い請求が行われるようになって、その場で罰金切符を発行し、その後の追跡がしやすくなることも大きな目的の一つであると思われます。

 しかし、逆に悪い方向で考えれば、スマホを失くしたり、盗られたりしたときには、大変なことになるわけで、この治安の悪いパリでは、スマホを盗られたりすることも珍しくはないわけで、やっぱり、二の足を踏んでしまうところはあります。

 ペーパーレスの次は、カードレス・・時代はどんどん進化していき、アナログ人間はついていくのが大変です。


デジタル運転免許証フランス


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2024年2月14日水曜日

日本の治安が悪化している・・とフランスでは報道しているけど・・

  


 「日本で驚くべき犯罪件数の増加!」というフランスの記事をみつけて、正直、半分は「おまえが言うな・・」という気持ちもあったのですが、反面では、ちょっとショックでもありました。

 なぜなら、これまで日本はとにかく「治安がよい」ことで有名な国であって、このような犯罪件数の増加を海外から取り上げられるなど、およそ、「らしくない」ことであったからです。

 「2023 年に日本で発生した犯罪および犯罪は 70 万件を超え、前年比 17% 増加」、これを精査すると状況の悪化がさらに明確に現れ、窃盗20%増、殺人と性的暴行は30%増、誘拐と人身売買40%増となっています。

 「この事実には、日本国民自身も、日本が安全な国であると考えている人の割合が10~20年前には80~90%であったものが、64%にまで減少していることからもわかります」とあります。

 また、「今年に入ってから1,500回以上の地震で壊滅的な被害を受けた能登半島で被害を受けた家屋への略奪が相次いだことにも垣間見える」としています。

 そして、この記事では、この日本の治安の悪化の原因の一つには、困難な経済状況にあると説明しています。「物価の高騰にもかかわらず賃金が上がっていない」、この物価と賃金の差による貧困化が、強盗や万引きの増加につながっており、この困難な経済状況は、カップルや家族内の関係にも緊張をもたらします。 これは家庭内暴力や児童虐待の増加によって証明されているとしています。

 多くの不安定な労働者が職を失っていますが、日本では非正規の雇用契約では、解雇後に失業手当を受け取る権利がありません。 警察によると、職を失った不安定な労働者のうち一定数が、「闇バイト」に走っているとも言っています。

 専門家によると、長年にわたる社会的距離の維持が精神的健康に悪影響を及ぼしており、死を決意するほど落ち込んでいるのに自殺できない日本人は数え切れないほどいます。 そして、一部の人は「無差別」または「無差別」殺人を行うことを選択します。 

 「つまり、彼らは知らない人を攻撃します。建物に放火したり、路上や電車内で人を刺したり、手製の爆弾を作って犯罪を犯したりします。その結果、それらの犯罪者は確実に死にます。日本では大量殺人の加害者は死刑を宣告されるのです。」と記事を括っています。

 私自身は、もう長い間、日本には住んでおらず、せいぜい年に1~2回くらいしか日本に行っていないので、日本の治安の悪さを実感することはありませんが、(むしろ、フランスの治安と比べてみてしまうので、なんて平和なんだとさえ思う・・)この記事の「なぜ?」という原因の部分を見ると、なるほどね・・と思うくらいです。

 たしかに、数年前までは日本での犯罪件数は減少し続けていたということを考えれば、増加に転じただけでも、大きな転換期でもあり得るのかもしれません。

 しかし、フランスでは、おそらく桁違いの犯罪が発生していて、犯罪もよりダイナミックで暴力的、また、簡単な犯罪はカウントさえ、されていないことは間違いありません。

 日本で「高齢の男性がおにぎり1個の窃盗で逮捕された」などという話を目にしたことがありますが、まあ窃盗といえば、窃盗で、犯罪ではあるのでしょうが、おそらく、これはフランスだったら、その場でお金を払うことを促されて、帰されるくらいで、よほどの常習者でもない限り、記録にも残っていないと思います。

 実際に、スーパーマーケットで万引きをして捕まっていたお客さんが、そのままレジに戻されて、お金を払うように促され、そのまま帰されているのを目撃したことがあります。

 スリやひったくりに至っては、あまりに危険な機会が多すぎて、被害に遭っても、注意が足りなかった・・と思わず被害者側が反省してしまいそうになるくらいです。

 破壊行為、暴動のたびに起こる放火なども、これもあまりに多すぎて、これらの犯罪を全て警察が追跡しきれているとも思えません。

 なので、フランスが日本の治安悪化を語るのは、お門違いというか、おまえが言うな!といった感じもするのですが、なんとなく、日本とフランスでは犯罪傾向が少々、異なるような気もしていて、日本の犯罪にはどこか陰湿さを感じるところもあります。

 そもそも、今、日本で大問題になっている政治家の不正な金銭問題。日本のトップのこの金銭問題の方が日本では、治安の悪化・・よりも重大問題、横領、脱税、政治資金規正法違反も立派な犯罪。

 なんなら、いっそのことフランスでもこっちの問題の方を取り上げてくれないかな?と思ってしまいます。


日本の治安悪化


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2024年2月13日火曜日

未成年の少女2人に売春を強要した3人が逮捕

  


 日本から、パパ活とか、立ちんぼとかいう話を漏れ聞くことがあり、驚いていましたが、フランスでも、未成年者の売春行為は社会問題になりつつあり、なかでも未成年者に対する売春強制行為の件数は過去 4 年間で 6 倍に増加していると言われています。

 この売春行為には、様々なケースがあるようで、今回のケースは、未成年の少女たちを誘拐してアパートに監禁し、売春行為を強要していたという残酷なものでした。

 被害に遭ったのは、15歳と17歳の少女で、パリ19区のアパート内に監禁され、売春を強要されていました。この少女たちは、家出していたそうですが、1月半ば過ぎに父親に「自分は今、誘拐され、監禁されている」と助けを求める電話をしており、この娘の携帯電話の位置情報から、居場所を突き止めることに成功し、パリ19区の警察官とパリ警察本部の未成年者保護旅団がアパートに突入しました。

 アパート突入時は、容疑者3人は酩酊状態で、ナイフを持って暴れて抵抗した模様ですが、警察がスタンガンで応戦し、3人の身柄の拘束に至ったと言われています。

 容疑者は、25歳と30歳の男性2人と22歳の女性の3人だそうで、女性が混ざっていることがさらに恐ろしいことです。

 しかし、売春行為はもちろんのこと、このような未成年を誘拐して、売春を強要するという事件は、珍しくはないようで、過去の事件を遡るとけっこうあることにさらに驚かされます。

 昨年の8月には、17歳の少年2人が14歳と20歳の女性を監禁したうえで、脅して売春を強要するという事件があり、1日に6人から10人の客が来ていたと言います。しかし、彼女たちには、報酬はなく、この17歳の少年でさえも別の人物に雇われて警備のような仕事をしていたにすぎず、この誘拐、売春強要は、組織的なものであったことがわかっています。

 調べてみると、14~15歳の売春強要事件は次々と出てきます。多くのケースにおいて、この少女たちは家出少女であることが多く、最初は金品のために、甘い言葉に誘われて、むしろ、お姫様気分にさえ陥っている場合もあるのですが、現実には、暴力、殴打、強姦、侮辱、唾吐きが待っており、暴力と脅迫により、完全に支配される力関係になっていきます。

 そもそも、常識的に考えてみれば、14~15歳の女の子がたとえ、一晩でさえも家に戻ってこなければ大騒ぎになるのが普通で、それが数日間、数週間、時には数ヶ月にわたり行方不明となれば、売春行為云々以前に大変なことです。

 それが売春を強制されて初めて親に連絡してきたり、警察に駆け込んで助けを求めるまで見つからないなどというのは、異常な話でもあります。

 しかし、こんな話で不謹慎ではありますが、売春も、需要と供給があって成立する話でもあり、それだけの客がいるということも見逃してはならない現実でもあります。

 1月初旬には、オー・ド・フランスで14歳の少女と親密な関係を持った疑いで13人の男が逮捕されています。

 まったく、家出少女、売春をする者、それを強制する者、そして、その客・・とどこから手をつければよいのか? どうしたら、こんなことになるのでしょうか?


未成年少女を売春強制


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2024年2月12日月曜日

小さな子供に生乳チーズを食べさせてはいけない

  


 ローヌ地方(フランス南東部)でモルビエ(生乳チーズ)を食べた2人の少女(1人は7歳、もう1人は生後18ヶ月)が大腸菌による感染症を引き起こし重篤な状態に陥っていることがわかりました。

 この感染症は成人にとっては重篤になることはほとんどありませんが、小児では重篤な症状を引き起こし、死に至る可能性もあると言われています。

 この事件を受けて、当局は子供の食事に関して予防策を講じることを推奨しています。

 この細菌は反芻動物の消化管に存在し、その肉や牛乳を汚染する可能性があり、溶結性尿毒症症候群(HUS)を引き起こす可能性があります。

 溶血性尿毒症症候群(HUS)は、成人にとってはそれほど危険ではありませんが、虚弱体質の人、特に高齢者や5歳未満の子供にとっては危険であり、場合によっては死に至る可能性があります。 フランスでは年間約160件の症例が記録されており、主に不十分に調理された肉や低温殺菌されていない乳製品が原因となっています。

 これを聞いて、チーズにそんな危険があったことに、今さらながら、身が震え上がる思いがしたのです。

 というのも、フランス人の夫は、大のチーズ好きで、「フランスには、何百、何千種類のチーズがあるんだ!この素晴らしい食文化をどうしても子供には教えなければならない!」と娘が小さい頃には定期的に違うチーズを何種類か買ってきては、娘に食べさせていました。

 残念ながら?娘はチーズが嫌いで、むしろ、小さい頃に様々なクセのあるチーズを無理矢理食べさせられたために、余計に嫌いになったきらいがあります。「嫌いかどうかは食べてみなければわからない!」と夫はひとくちでも食べてみろと娘に食べさせていました。その中に、モルビエも入っていたことは間違いありません。

 そのたびに、娘はひとくち食べるだけで、「ノン、ノン、ジェムパ・・」(嫌い)と言って、結局は、ほとんどは夫が食べていたので、そのうち私たちは、「チーズを食べたいパパが口実をつけて、チーズを買ってきているだけじゃん!」などと、冷たくあしらっていたために、しばらくして、夫はそんな娘へのチーズ教育をやめてしまいましたが、それでも、娘が小さい頃に食べたフランスのチーズの種類は相当数に及ぶと思います。

 しかし、結果的に、それでわかったことは、娘がチーズはあまり好きではないということで、今でも、娘が食べるチーズは、ほんの限られた種類のみです。

 今回のモルビエ事件を受けて、パリのトルソー病院(小児病院)の医長は、子供に食べさせてはいけない食品を説明しています。

 生乳から作られているルブロション、サレール、ブリー、ピコドン、ぺラドン、特定のカマンベール、モルビエ、モンドゴールドなどはNG。

 子供に食べさせてよいのは、エメンタール、コンテ、アボンダンス、グリュイエールなどの調理済みのプレスチーズ、スプレッド加工されたプロセスチーズ」や低温殺菌牛乳から作られたチーズであると例示しています。

 肉、特に牛ひき肉はよく火を通しておかなければならず、生乳、生乳から作られたチーズなどの乳製品は5歳未満の子供にたべさせてはいけないと説明しています。

 また、子供たちには、ピザ、ケーキ、パイ生地などの小麦粉を使った調理品を生または調理が不十分なものを与えないように勧告しています。

 そういえば、何年か前にブイトーニの冷凍ピザで食中毒事件があり、子供が数名死亡したことがありました。あの時も溶血性尿毒症症候群(HUS)と毒素産生性大腸菌(STEC)の感染症が原因でした。

 しかし、あの時は、むしろ、あの冷凍ピザ工場の衛生状態のあまりの酷さがクローズアップされていたのですが、考えてみれば、ピザ生地の調理具合は問題にはされていませんでした。

 いずれにしても、子供の食事には気をつけなければいけないことが多々あったにもかかわらず、私には、一応、常識的な、なんとなくの感覚があったのみで、詳しい知識はなく、大病をすることもなく娘が無事に育ったのは奇跡的なことだった・・と今さらながら、胸をなでおろす気持ちです。


生乳チーズ モルビエ食中毒


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2024年2月11日日曜日

パリオリンピックのメダルの特別感 デザインは高級ジュエリーブランド「ショーメ」が担当

  


 開催まで半年を切ったパリオリンピック2024の各競技で授与されるメダルのデザインが発表されました。

 これまで私は、オリンピックメダルのデザインなどについては、あまり注目したことはありませんでしたが、なるほど、これほどオリンピックにとって象徴的な存在のもの、こだわりをもって作られるのは、当然といえば、当然です。

 パリオリンピック組織委員会の発表によると、今回のオリンピックメダルは、パリオリンピックのプレミアムパートナーであるLVMH傘下の高級ジュエリーブランドの「ショーメ」がデザインを担当し、パリ造幣局が製造します。

 このメダルのデザインに関しては、非常に特別な注文であったために、「ショーメ」の内部においても極秘裏に進められ、この件について知らされていたのは5人だけだったと言われています。

 「ショーメ」のデザインというだけでもインパクト大なのですが、このデザインには、他にもパリオリンピックならではの特別な意味が込められています。

 メダルの表側には、フランスを想起させる六角形にパリ 2024 とそのロゴが描かれており、この六角形からメダルの金属を象った光線を発しているような比較的シンプルですっきりしたデザインになっています。

 この中で最も特別感があるのは、この六角形の部分(18g)にエッフェル塔の鉄が使われていることで、このエッフェル塔の鉄は、改修工事でエッフェル塔の破片から抽出されたもので、これまでパリ郊外の格納庫に密かに保管されていたものなのだそうです。




 オリンピックメダルには、勝利の女神アテナ ニケ、パナシナイコ スタジアム、アクロポリスの彫刻が国際オリンピック委員会 (IOC) によって課されていますが、パリ 2024 大会ではエッフェル塔のデザインを追加する例外的な認可を受け、パリオリンピックならではの特別感を演出しています。

 「ショーメ」はヴァンドーム広場に 250 年にわたって存在し、ギュスターヴ エッフェル自身も顧客だったと説明しており、 デザイナーは、20 世紀初頭に作成された結婚式や記念のメダル、ティアラの輝く外観、さらには 50 年代から 60 年代の六角形のエメラルドにインスピレーションを受けてデザインしたと語っています。

 こういったものに、色々と意味付けをして、講釈を垂れるのは、フランスのお家芸の一つでもあるような皮肉な受け取り方もしてしまうのですが、最も注目を浴びるオリンピックのメダルですが、意外にそのメダル自体は、そのこだわりほどには注目されていないな・・などと、いじわるなことも思うのです。


パリオリンピックのメダル 


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2024年2月10日土曜日

現在フランスで起きているMe too ラジオ番組人気司会者の性加害告発続々浮上

  


 昨年の11月に、ある女性が2014年から2022年にかけて、彼女に対して性的暴行行為を行ったとして人気ラジオ司会者を告発しました。彼女は現在25歳ですが当時は16歳の未成年でした。

 番組の場で彼女を見つけた司会者は、オーディションをするといい、彼女をスイスに来るように呼び出し、彼女は、姉夫婦とともにスイスに出向きました。

 待ち合わせたホテルの階下で姉夫婦とともに待っていた彼女に司会者は、部屋でテストを行うといって、姉夫婦には待っている間、でかけてくるようにと薦めます。

 彼は部屋に入り、座って話を聴くように促した後、すぐに彼女の隣に立つと、ズボンを数インチ下げ、彼女にオーラルセックスをするように要求し、「これがラジオの世界のやり方。あなたに何ができるか見せてください。」と言い、彼女は恐怖でそれに応じてしまいました。

 当時、この司会者は42歳、彼女はまだ16歳でした。彼女は恐怖に打ちひしがれたにもかかわらず、その後、彼女は、数回にわたり、違う場所(車の中など)で被害を受け続けます。彼女は声をあげられなかったのです。

 それ以来、彼女は自らの命を絶とうとし、何度か入院したと述べ、今も「抗うつ剤と夜眠るための薬を服用している」と告白しています。

 この告発以来、この司会者は番組降板。弁護士を通じて、「これらの主張は完全に虚偽である」、「これらの重大な根拠のない中傷的告訴に対して検察に告訴する」と発表しています。

 当然、このスキャンダルに対して、マスコミが殺到し、当初、匿名告白していた彼女の身元も割れてしまい、今度は、彼女に対してのネット上での心ないバッシングを受け始め、彼女はそのバッシングとも戦うハメになりました。

 SNS上には、どこから流出したのか、WhatsApp(日本でいうLINEのようなもの)メッセージのスクリーンショットが公開され、炎上しています。SNS上の炎上は今やテレビにまで飛び火し、彼の過去の番組でのちょっと理解しがたい番組内での性的な蛮行を遡って、あらためて伝え始め、彼のプロダクション全体がそれを助長するような体制であったのではないか?とも言われ始めました。

 その後、彼女の告発を受けて、それ以来、「彼女に勇気をもらった・・実は私も・・」と他の3人の告発者が登場し、告発状を提出していますが、この人気司会者は、「自分こそが被害者である」と、最初の告発を行った彼女やSNS上で彼を誹謗中傷した者、また彼の出演を打ち切ったラジオ局に契約不履行を訴えています。

 そして、先週、また、新たな告発者が表れ、彼は追い詰められています。

 それぞれ、知り合いでもない犠牲者があちこちから続々と登場することで彼は追いつめられつつあり、検察は捜査を開始することを発表しています。

 少なくとも彼は人気者のスターで、相手をしてくれる女性は大勢いたであろうに、なぜ、嫌がる女性、しかも未成年にまで手を出していたのか?

 しかし、日本で今、騒がれている性加害スキャンダルとも相似する点がいくつもあり、こういう性加害に及ぶ男性には、共通するところがある・・性加害を受けた被害者が告発するには、時間がかかり、この手の犯罪に時効のようなものを設定するのはおかしいな・・と思うのです。

 告発されたこの男性は、事実を否定しており、「無実の証拠もある」と公言していますが、彼は今のところ、それを裁判を理由に公表していません。


Me too フランス


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2024年2月9日金曜日

フードウォッチが名前を挙げたチープフレーション警告食品

  


 フードウォッチは、消費者が健康上のリスクがなく、信頼性が高く透明性のあるラベルが付いた高品質の食品を提供される権利を求めて運動を行っている消費者保護団体で、このフードウォッチは、2 年間で 20% 以上の食料インフレが進む中、平たく言えば、コスト削減のためにレシピを変更し、材料の質を落としたり、量を減らしたりしつつ、且つ値上げをしている食品メーカーの特定商品について、警告を発しています。

 これをチープフレーション(チープとインフレーションの造語)とか、シュリンクフレーションと呼びます。

 つまり、同じものを食べているつもりでも、中身は変わっている・・しかも、値上げされているのにもかかわらず・・という、ハッキリ言って、知らないうちに騙されているものを買わされているという現象です。

 なんとなく、そのブランド名や商品名、パッケージなどは、今までどおりなので、同じものを買ってしまっているのに、実は中身は違うものになっている・・ということです。

 メーカーにとっては、ピンポイントに名指しされてしまえば、大変な営業妨害でもありますが、いつのまにか、以前よりも低品質の材料や配合になっていることがわかるのは、消費者にとっては、ありがたいことでもあります。

 フードウォッチは、フルーリー・ミションのすり身スティック、マイユ・マヨネーズ(ユニリーバ・グループのブランド)、ミルカ・チョコレート(モンデリーズ)、シェネルのリエット、アフターエイト チョコレート (ネスレ)、または Findus ブランドのフィッシュ (Nomad Foods)の商品について、製造元のメーカーに異議を申し立てたと公表しています。

 たとえば、すり身スティックは、日本で言うところの「カニカマ」で、今やフランスではどこのスーパーマーケットにも「SURIMI」という名前で売っている商品なのですが、その「SURIMI」(フルーリー・ミション)は、魚肉の含有量が11%少なくなっており、そのうえ、価格は47%上昇しているそうで、マイーユのマヨネーズは、2023年11月から2024年1月の間に卵黄の割合が24.7%減少していると指摘しています。

 原材料価格が上昇しているから値上げも致し方ないと思うところが、しっかり品質を落として原材料価格を抑えつつ、そのうえさらにかなり値上げしているというのは、消費者にとっては、二重の痛手を食っていることになっており、許しがたいことです。

 それがマイーユのような、どちらかといえば、高級イメージのあるブランドにおいてまでとなると、なおさら衝撃は大きく、そんなことをしていたのか?とガッカリします。

 フードウォッチは、食品業界と大量流通の巨大企業がインフレを利用し、危機を悪化させているということを指摘し、インフレで、より利益をあげていることを告発しているのです。

 いいかげん、どんなに世間一般が困ろうと、必ず得をしている者がいることにウンザリし、健康志向などと言われながらも、実は、逆方向に動いている部分も確実にあるのだということも思い知らされます。

 今回、名指しされているのは、大手メーカーのものばかり、食料品を買うときには、ある程度、安心の目安の一つにしていたこの大きな食品メーカーの信頼性は、落ちるばかり。つい、この間もネスレグループのミネラルウォーターが実はミネラルウォーターではなかったという大スキャンダルが発覚したばかりです。


チープフレーション シュリンクフレーション


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2024年2月8日木曜日

パリオリンピック開催時に予想される住民が迷惑すること

  


 もうここ数年にわたり、ず~っと、メトロがあちこち工事のために、ちょくちょく閉鎖になったりして、特に昨年からは、もう未だかつてないほどに、工事のための閉鎖が多く、すでにかなりウンザリしています。

 夏の間も1ヶ月強、工事のために閉鎖していたのに、「また~?」、「まだ~?」と本当に信じられません。この間、駅に張り紙がしてあって、何気に眺めたら、「2月は、ほとんど真っ赤で閉鎖ではないか!」ということに気が付いて、「もう、これなら、今月のNavigo(定期券のようなもの)、返金してよ!」と思いました。

 2月は、子供の学校のバカンス(冬休み・・だいたいノエルのお休みもあるのに、冬休みまであることでさえ、前々から疑問に思っている)にあわせてのことだとは思うのですが、この時期にバカンスに出る人は、そんなに多くはありません。

 だいたい全線同時に工事できるはずもなく、少しずつずらして、できるだけ市民に迷惑をかけないようにとか、考えないんだろうか?と憤然とします。そうでなくても、度々、ストライキだのプロブレムテクニックだのと、まともに動かないことも多いのです。

 そんなメトロだけでなく、イル・ド・フランス地域(パリを含むパリ近郊地域)全体に及び、車の通行制限や、道路の封鎖、市民の公共交通機関の利用や駐車場から買い物にいたるまで、けっこう面倒な呼びかけが始まっているのには、さらにウンザリです。

 パリを覆う環状道路には、すでに新しい電子標識が用意され、「パリ2024車両承認済み」と表示されています。 これは、車線全体がタクシー、公共交通機関、選手や公式代表団を輸送する車両のみがこの環状線を利用する権利を持ち、一般車両の通行は制限されるようになるということです。

 なので、この期間に例えば、海外に出かけていても、家族に空港まで自分の車で迎えに来てもらうということなどは不可能ということになります。

 また、周辺の道路も閉鎖される場所が増え、例えば、BMXやスケートボードのイベントが開催予定のコンコルド広場などは準備のために、6月から閉鎖されます。アレクサンドル 3 世橋やイエナ橋も同様です。

 そもそもパリ自体は小さな街で、これらのいくつかの閉鎖区間が通れなくなるということは、それを回避しようと思うと、迂回迂回で大変、複雑になります。

 大会期間中は地下鉄11路線だけでなく、RERの5路線も「飽和閾値を定期的に超える」と言われており、政府はイル・ド・フランスの住民に可能な限りテレワークと同時に公共交通機関の利用を避け、徒歩や自転車での移動を推奨。

 また、オリンピック期間中は荷物の配達を受けないように呼びかけもしています。配達用の車両も少しでも減らしたいようです。

 ただでさえ、荷物の配達のトラブルの多いフランス、この期間中は、一層、トラブルが増えることが予想されるため、回避する方がよいかもしれません。

 また、交通規制された「レッド ゾーン」で駐車場のサブスクリプション カードを持っている場合、駐車場管理者にサブスクリプションの払い戻しを要求した方がよいなどという情報も出回っています。

 すでに、各国からの選手受け入れのために奨学生のための寮に住む学生は6月には、退去させられることになっていることは伝えられており、大反発を生んでいます。

 まあ、ふつうに私が想像がつく範囲で考えても、周囲のホテルなど全てが満室になっているとすると、私がふだん、利用しているバスやメトロなどは、大変な混雑になることは必須です。

 なので、パリの住民には、「この期間は、パリを離れてバカンスに行く!」などと言っている人が多いのも事実ですが、正直、ただでさえハイシーズンで高い交通費(オリンピックのためにさらに高くなっている)を使って、パリを脱出できる人は限られています。

 それよりも、慣れない観光客がこの混乱を極めそうなパリの交通網の中で、無事に移動することができるのだろうか?・・だって、身動きとりづらくなるのは、観光客も同じことで、しかも、メトロのチケットなどもこの期間は倍増します。

 また、そんな観光客を狙って周辺のヨーロッパの国々からは、スリやひったくりなどの出稼ぎ犯罪者もやってくるんだろうな・・などと、そんなことも考えます。

 そんな私はどうしようか?と思いますが、せっかくパリでオリンピックをやるのなら、オリンピックを覗きに行ってみたい気もするし、怖くて逃げたい気もします。


パリオリンピック 交通網混乱


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2024年2月7日水曜日

社会を映し出す若者の自殺の増加と傾向

  


 2月5日は国が定めた自殺予防デーであることをこのニュースで知りました。フランス公衆衛生局がこの日を記念して発表したデータから、「過去 10 年間に見られた18歳から24歳の生涯にわたる自殺念慮と自殺未遂の大幅な増加」が注目されています。

 フランスは「ヨーロッパ諸国の中で自殺率が最も高い国の一つ」であるとも言われています。

 今回フランス公衆衛生局が発表したデータの中で、最も顕著は変動が認められたのはこの18歳から24歳の若い女性の自殺、あるいは自殺未遂の大幅な増加で、+32%増という驚異的な数字を記録しています。

 この若者の自殺・自殺未遂件数の増加は、そもそも不安定な年頃で、潜在的な危険をはらんでいたところに、後から思い返せば一時的ではあったものの、この数年間に人との関わりが途絶えたパンデミックの期間が影響していると言われていますが、その人口動態、家庭環境などを見ると、明らかに格差社会が影響していることもわかります。

 例えば2022年には、10歳以上の75,803人が自殺未遂や自傷行為により入院。そのうち64%が女性であり、また、その内訳は、圧倒的に貧しい家庭の子供に偏っているというのも、社会的に生きづらいことを浮き彫りにしているとも言えます。

 裕福な家庭の子供が自殺しないというわけではありませんが、この両カテゴリーを比較すると、貧しい家庭の子供の自殺願望は裕福な家庭の子供のほぼ2倍であったようです。

 また、この社会的格差がより顕著に表れているのは、45歳から49歳の女性にも見えることでもあり、この年代の貧因層は、そうでない女性の3.5倍とさらに、その差は広がります。

 これらのデータは、男性、女性の差に加えて、「非常に顕著な社会的勾配」をも示しているという、ある意味、社会の生きづらさの縮図のような気もします。

 一般的にフランスなどは、女性が強いイメージがあり、閣僚などにも相当数の女性の顔が並んではいるものの、その実、社会的立場は一般的には、女性が弱い立場に立たされているということが見えます。

 このような社会だからこそ、政府は敢えて、女性を大臣に据えて、いかにも差別がないように取り繕っているのではないか?と懐疑的にさえ思ってしまいます。

 また、さらに驚くことには、18歳から24歳の間で、生涯を通して行われた自殺企図は、前回のデータに比べて50%増、生涯の自殺未遂率は12.8%と10人に1人以上が自殺未遂を起こすということで、これは大変な話です。

 若いこの年頃は少なからずデリケートで繊細で、傷つくことも多い年頃で「死んでしまおうか?」、「死にたい・・」などと思ってしまうこともあり得るのだとは思いますが、しかし、自殺未遂とはいえ、実際に行動を起こすまでには、なかなか至らないのが普通だと思っていましたが、そうでもなくなっているようです。

 10人に1人が自殺を企てるって、どう考えても正常とは思えません。

 親にとって、子供に先立たれることは何より辛いこと、ましてやそれが自殺となれば、なおさらのことです。しかし、前述したデータから見るに、この急激に増加したと言われる18歳から24歳と45歳から49歳の女性はの層は、だぶる気もして、もしかしたら、同じ家庭に帰属しているのかもしれない・・、あるいは、同時に同家庭から犠牲者が出なくても、この年齢層の貧しい家庭が最も危険をはらんでいると見えるような気もします。

 どちらにしても、社会の歪のようなものが、この最も弱い立場の人々に表れてくることが残酷な現実でもあります。


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2024年2月6日火曜日

最近のマイブーム パリのヴィエノワズリーの美味しいお店

  


 フランスに来て、もういい加減、かなり長くなり、本当に今さらではあるのですが、最近、私はとてもパンが好きになりました。

 スタンダードにバゲットを買うことが一番多いのですが、最近はふつうのバゲットではなく、バゲットトラディションを買うことにしています。若干、ふつうのバゲットよりは高いのですが、ほんの20セントくらい高くなるだけで、全然、クォリティが違うので、まあ、ちょっとだけ贅沢といっても、さすがにバゲットとなると、たかがしれているので、まあ、そんなに大量に食べるわけでもなく、まあ、これくらいはいいかな?と思っています。

 さすがにパリはどこへ行ってもパン屋さんは多く、通りかかったパン屋さんは、最初は外から様子をうかがって、良さそうだと思うと、特に買う予定がなくても、とりあえず、必ず入ってみるようにしているのですが、おもいのほかパンやケーキが並んでいるウィンドーは華やかでフワッとしたバターとパンの香ばしい香りに包まれて幸せな気分になります。

 最近は、気のせいか、クロワッサンやパンオショコラがやけに立派になり、またヴィエノワズリーの種類も増えた気がして、ついつい誘惑にかられます。

 昨年、セドリック・グロレのクロワッサンが食べてみたくて、延々並びましたが、たしかに美味しかったのですが、さすがに毎度毎度、あんなに並ぶ気もせず、また、ちょっと値段もいくらなんでも・・というくらいに高いので、そうそうリピートする気にはなりません。

 昨年、一時期、ギャラリーラファイエットグルメに入っていた(期間限定)パン屋さん(     PANADE)のヴィエノワズリーがとても美味しかったので、そのお店に行ってみたら、なんと、ラファイエットグルメとは、同じものが全然、安かったりして、ちょっと嬉しくなって、ごきげんにいくつか買ってきました。



 そのお店のヴィエノワズリーのパイ生地は、ちょっと大げさに言えば、エッジが立っているというか、パイ生地をしっかり感じられ、パイ生地好きの人にはおススメです。




 また、昨年、サロン・ド・ショコラに出店していたお店で魅せられたヴィエノワズリーが気になっていて、パリ市内のお店(LAURENT DUCHENE)に行ってみたところ、こちらも見事なパイ生地なのですが、何よりバターの香りが素晴らしく、パリッとしつつも、しっとりしていて絶品でした。



 この写真のシマシマは、クロワッサン・オ・ショコラでパン・オ・ショコラはまた別にあります。



 種類も多く、お値段もそこそこなので、ケーキを買ったりすることを考えれば、ずいぶんと割安だ・・などと自分に都合のよい理屈をつけて、ここのヴィエノワズリーもいくつか購入。今年中に全種類制覇したい・・などと、ワクワク楽しい気持ちです。

 我ながら、いつも美味しいものを探して歩いている自分に呆れる気もしますが、パンやヴィエノワズリーに関しては、パリでは美味しいものに遭遇する確率が高く、この美味しいヴィエノワズリー探しは、しばらく私のささやかな幸せのひとつになりそうです。


🌟PANADE                          35 Rue Violet 75015 Paris 

🌟LAURENT DUCHENE         2 Rue Wurtz 75013 Paris


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2024年2月5日月曜日

国内農業で禁止されていた農薬チアクロプリド 輸入品にも適用へ

  


 食料品への添加物や農薬などは、もう表示されていることを信じるしかなく、現品を見たところでは、ほとんどの場合はわからないし、一つ一つの添加物や農薬などへの詳しい知識もないので、例えば、この農薬が禁止されていると言われれば、「それは怖いな・・」と思うくらいしかありません。

 たしかに有機栽培の野菜や果物などは、「味も濃くて美味しいな・・」などとも思うのですが、それくらいしか、私にはわからないのです。

 しかし、添加物にしても農薬についても、腐るはずのものが腐らず、虫を殺してしまう薬なわけで、人間の身体にはよくないのは、当然のことです。

 普段はあまり意識していなくても、やけにすぐにカビが生えてしまったりしまう食品に遭遇すると、「あ~あ・・もったいないことしちゃった・・」と思うと同時に、これは、添加物が使っていないんだな・・と少々ホッとするところもあります。

 今回の農民たちの怒りが爆発した騒動から、農民たちの要望に入っていた輸入食料品の農薬規制について、ガブリエル・アタル首相は、問題となっていた農薬チアクロプリドを使用した食料品の輸入を禁止することを発表しました。

 このチアクロプリドという農薬は、散布することで害虫の神経系の異常興奮を引き起こし殺虫するというものらしいのですが、これが、人間にとっても内分泌かく乱物質であることが確認されたために、フランスでは、2018年から使用が禁止され(翌年、欧州連合圏内でも禁止)されていました。

 しかし、このチアクロプリド(日本では、バリアード、エコファイターなどの製品名)は、未だアメリカなどでは多く使用されており、特にブラジルやアルゼンチンなどの南米諸国ではかなり使用されている農薬で、それが低価格でフランスに輸入され続けていたのが実情だったのです。

 フランス国内、欧州連合で禁止した時点でなぜ?輸入品に対しても規制しなかったのかは、まことに不合理な話、きれいごとを並べて国内だけ規制しておいて、輸入品には、お咎めなしというザル規制であったわけで、今回、農民たちが騒がなかったら、一般国民には、知る由もなかった話で、結果的に、この危険とされる農薬を使用して効率よくできる海外からの野菜を安価に仕入れることで、国内の農家の首を絞めることになっていたおかしな話です。

 しかし、輸入食料品の農薬規制に関しては、トレーサビリティー(食品の生産についての情報や流通経路などの情報を消費者が確認できる仕組み)について、複雑な管理を徹底する必要があり、簡単な話ではないようですが、だからといって、人体に有害とわかっている農薬を国内(欧州内)で使用する方向に逆もどりしてよいはずはなく、輸入食料品であっても、国民の身体に害を及ぼすと確認されている農薬を使用したものをそのままなし崩しにしておくのはお門違いで、何としても、しっかり管理してもらわなければなりません。

 ガブリエル・アタル首相は、これを「セーフガード条項」、「ミラー措置」として、輸入食料品に欧州の農家に課せられているのと同じ規則を遵守することを義務付ける仕組みの一部として、他の欧州の国に先立って、フランスは、実行していくと説明しています。

 私自身も今回の農民たちの騒ぎがなかったら、ずっと知らなかったことで、やっぱり、声をあげること、社会運動は時には必要なことなのだろうと思います。

 しかし、この薬品を製造しているのは、ドイツの多国籍企業バイエルであり、ドイツは自国(欧州)で禁止している農薬を世界に向けては販売し続けていることは、もう一つ納得のいかない話でもあります。


チアクロプリド 農薬使用禁止


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2024年2月4日日曜日

早朝のパリ・リヨン駅でのナイフとハンマーによる襲撃事件

  


 パリのリヨン駅は、パリの中では比較的、大きな駅で、どこかに行く時に通過する時に通るくらいなのですが、かなりの割合で、警察官はもちろんのこと、けっこう長いライフルのような銃を肩にかついだ憲兵隊なども警戒にあたっていて、こんなライフルかついで警戒する必要があるのかな?と思いつつ、威嚇の意味なのかな?、とか、その憲兵隊がけっこう若い青年だったりするのに、なんだか物々しい武装のわりに、あどけなさが残るような感じがアンバランスだな・・などと、少し遠巻きに眺めながら、余計なことばかり思っていました。

 しかし、昨日の早朝にナイフとハンマーを持った男が旅行者を襲ったというニュースを見て、やっぱり、残念ながらこんな警戒は必要なのだと思いました。

 事件は土曜日の朝7時半頃、地下に位置するパリ・リヨン駅のRER A、Dや南部を走るR線などの郊外電車が乗り入れているホール3で起こりました。

 襲撃犯は、まずリュックサックに火をつけ、その後にナイフとハンマーを取り出して通行人を襲い、なんとか止めに入った人々をも襲いかかり、そのうち男性1名は腹部を刺され重傷を負っています。

 しかし、その後、襲撃犯はすぐにSNCF(フランス国鉄)鉄道警察により逮捕されました。この襲撃犯は、マリ国籍の32歳の男性で、イタリアの滞在許可証と運転免許証を所持していました。つまり、不法入国ではないということですが、精神障害を患っており、彼が実際に治療を受けていることを証明する一定数の薬が彼の体から発見されています。

 襲撃時には、よくあるこの手の襲撃犯のような叫び声をあげてはいなかったものの、警察は彼のTikTokのアカウントを発見し、2023 年 12 月 2 日付けのビデオの中で「安らかに眠れ、3か月後、アッラーが私を楽園に迎え入れてくださいますように!」などと語っており、 他のビデオでは、フランスのマリへの軍事介入に言及し、フランスに対する憤りを顕著に表明していることを突き止めています。

 現段階ではテロリストとしての認定はされてはいませんが、「テロの足跡が決定的に排除されるかどうかをしっかり見極める!」とパリ警察署長は発表しています。

 しかし、この事件の発生時の駅は、パニック状態であったようで、どの程度の規模の犯罪なのかは、知る由もなく、「すぐに駅から出てください!」と駅を脱出するように促されたとのことで、異様な光景であったと人々は証言しています。

 この恐ろしい事件が報道されている映像は「あ~あれ!あそこだ!」と見たことのある場所が黄色いテープが貼り巡らされている様子であることは、危険が日常のすぐそこにあることを再確認させられる気持ちでした。

 夜、遅くならないようにとか、ある程度の危険を回避することはできても、朝早く(といっても午前7時半頃)の駅などでは、避けようもなく、事件に遭遇してしまったら、本当に運が悪いとしかいいようがありません。いや、でもそういえば、以前にも似たような事件がパリ北駅でも起こって、それもたしか、早朝だった気もするので、早朝の大きな駅・・というのも、落とし穴なのかもしれません。

 反面、こんな時に助けに入ってくれる人がいるということは、それはそれですごいことだと思います。

 しかし、今回のこの襲撃は「交通機関の安全を強化する緊急の必要性を証明している」とも言われており、オリンピック・パラリンピックまで半年を切った今、何かにつけて、「これで1,500万人の来場者を迎えられるのか?」と不安視する声も上がっています。


パリ・リヨン駅 襲撃事件


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