フランスでデモが暴徒化したりする場合に車が燃やされる光景というのは、珍しくはないことですが、それよりも地味に、しかし、着実に起こっているのは車の盗難事件なようで、特に昨年は車の盗難件数が急増し、2021年の127,700件に対し、合計134,000件と9%も急増しています。
つまり、フランスでは、1日367台(1時間に15台)の車が盗難に遭っているということなのです。その中でも昨年、最も盗まれた車はトヨタRAV4なのだそうで、しかも、それは昨年のトヨタプリウスに続いて、トヨタは2年連続の堂々1位のタイトルを獲得しています。
これは、喜ぶべきか、嘆くべきか、考えてしまうところでもあるのですが、そもそもそれだけ、フランス国内でトヨタの車がかなり出回っているという証でもあり、人気があるという証でもあるかもしれません。
たしかに、やはりなんといってもフランスの車が多いフランス(ちなみにフランスで一番売れている新車はプジョー208だそうです)で、特にここ数年、なんだかトヨタの車を目にする機会が増えたような気がするのです。
特に警察車両(パトカー)などがトヨタだったりするのには(もちろん全部ではありませんが)、フランスの国の機関である警察の車両くらい、なんでフランスの車にしないのかなぁ?と、不思議に思ったりもします。
先日、ゼレンスキー大統領がパリに来た時に彼をエリゼ宮に運んで行ったのもトヨタの車でした。
現在の車のキーは、昔のキーと違って、鍵師が巧なテクニックを使って開けるわけではなく、なんと、今はコンピュータ化された電子システムが使用されているために、ネットで解除装置を買えば、誰でも簡単に車を盗むことができるのだそうで、この高度化?されたツールによって、車を3分以内、(車種によっては40秒以内)に簡単に盗むことができてしまうのだそうです。
内務省のデータを編集している保険の専門機関の統計によると、1000を超える車種の盗難頻度を算出したことにより、トヨタRAV4は保険加入車1万台中240台も盗難に遭っていることが判明したのです。
これは主に日本企業の特定のモデル専用のハッキングキットをネット上で数千ユーロで販売している車窃盗システムが発覚し、昨年10月、警察はついにこの車窃盗のためのハッキングキットを輸入していた犯罪ネットワークを摘発したようです。
しかし、これはイタチごっこの始まりということで、一つの犯罪ネットワークを摘発しても、また別のネットワークが登場するだろうし、自動車メーカーがこれらのハッキングキットに対応したセキュリティを開発しても、また、それを解除することができるハッキングキットが再開発されるのだと思います。
フランスに来たばかりの頃に、夫がうるさいくらい、車の中には、決して物をおいておかないで出先でも荷物は必ずトランクに入れるように言っていて、ラジオ・CDのプレーヤーなども外して乗り降りしていて、「そこまでするの??」と思ったのですが、これは、当時も多かった車上荒らし対策だったのだと思いますが、今や車もろとも簡単に盗まれてしまうのでは、もうお手上げ状態です。
しかし、「これには対策があります!」と推奨されているのは、「壊れやすい車や窃盗団に人気のある車をお持ちの場合、理想的な解決策は閉鎖された駐車場に車を駐車すること。それができない場合は、ハンドルに棒をつけるなど昔ながらの方法をとれば、コンピューターでは、それを取り除くことができないため、窃盗犯はそれを見て立ち去ります!」とのことで、この電子ロック解除に対抗する方法がハンドルに棒をつけるという原始的な方法が推奨されていることに、どうにも拍子抜けさせられる気がします。
フランスで一番盗まれる車 トヨタ
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