2023年2月20日月曜日

エルメス絶好調で特別ボーナス4000ユーロ 笑いが止まらないフランスの高級品業界

  


 決算発表の時期ということもあり、その明暗の分かれ目が顕著に見える時期でもあります。

 カマイユ、Kookaï(クーカイ)、Pimkie(ピンキー)、Go Sportなどが次々と管財人管理下に置かれるなどのニュースが相次ぎ、ついには、ギャラリーラファイエットの26店舗までがセーフガード手続き申請など、不景気な話ばかりが次々と流れる中、びっくりするほどの絶好調なのは、ハイブランドといわれる高級品業界です。

 先日は、LVMHグループの時価総額過去最高を記録したなどという話が出たばかりのところ、今回は、エルメスも絶好調という話で、昨年の売上高から29.2%増の116億ユーロを記録し、世界中の全従業員19,700人に対して4,000ユーロ(約56万8千円)の特別ボーナス、株主に対しては1株当たり13ユーロの配当を支払うことを発表しています。

 この中でも、最も注目されるのは、売上高の約半分を占める皮革製品・馬具部門で、供給問題の影響を受けた2021年よりも21.3%増、約8,000ユーロで販売されるバーキンは入手するのに平均10ヶ月待ちという状態を少々改善したこともこの増収に繋がっていると見られています。

 強気なエルメスは昨年の4%値上げに引き続き、今年も7%値上げすることも同時に発表しています。

 エルメスのマネージングディレクターは、「独自の、特に強固なビジネスモデルによって強化され、自信を持って2023年に臨んでいる」、「2022年は、あらゆる不確実性にもかかわらず、すべての国で好まれているおかげで非常に好調であった」と述べています。

 競合のLVMHやケリングが年次決算発表時に、第4四半期の中国での売上がパンデミックの影響で落ち込んだことを指摘されたのに対し、エルメスはアジア太平洋地域(日本を除く)の売上が30.7%増となりました。

 たしかにエルメスは最近のルイヴィトンなどのド派手なデコレーションや広告などとは、全く違うビジネスモデルで突き進んでいる感じはします。

 滅多にこの手のお店には行かない私が昨年、日本に一時帰国をした際に従妹に頼まれたものを探しにエルメスの本店に行ったのですが、当然のごとく、その商品は売り切れで、今後、入荷の予定はいつ頃なのかと尋ねたところ、現在作っているのかどうかもいつ入荷するかもわかないと言われて、あんまり売る気ないんだな・・と思いつつも、あまのじゃくな私のようなものにとったら、ぜんぜんやる気ないというか、ガツガツ稼ごうとしていない感じには、かえって好感を持てる気がしたりして、また、そのうち覗いてみようかと思ったまま、結局、あれ以来、行ってはいません。

 そのエルメスが好きな従妹の話によると、とにかくまず商品が入らないのがエルメスで、エルメスの商品を扱っているサイトなどでは、とにかく出せば、即売れてしまうのだそうで、日本は貧乏になった・・などと言われる反面、こういうものを超高価格でも買うという人はいるのだな・・とビックリしたりもしました。

 こんな生産が間に合わない状態を改善するために、エルメスは2023年にウール県(ノルマンディ)ルーヴィエとアルデンヌ県ラ・ソルモンヌに2つの皮革製品工場を開設する予定だそうで、今後、品不足は少しだけ改善されるかもしれません。

 しかし、一方では、簡単に手に入らないということも、価格上昇をもいとわない購買意欲を掻き立てていることも事実なので、エルメスに行って、欲しいものがすぐに買えるようになる(2つ工場が増えたくらいでは、すぐにそうはならないと思うけど・・)のも、なんだか、逆に肩透かしをくう気分がするかもしれません。

 このガツガツしていない感じは(私の個人的な印象ではありますが・・)、以前、前述の従妹に頼まれて、まだ小学校低学年くらいだった娘を連れて、手帳を買いに行ったときのこと、その時は、あっさり希望の品物は買えたのですが、その時に応対してくれたフランス人のお姉さんが、買った商品とともに、「大きくなったら、中身を買いにきてね!」とエルメスの小さなオレンジの箱を持ってきて娘に渡してくれたのは、私のエルメスのイメージをなんとなくほっこりとさせてくれた良い思い出です。

 残念ながら、大きくなった娘は、エルメスには全く興味がないのですが・・。


エルメス大幅増益 特別ボーナス


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