2022年4月16日土曜日

インフレも何も全然関係ないエルメスの絶好調

  


 考えてみたら、以前、パリのエルメスの本店に行ったのは、もう10年以上前のこと。空港内に入っているエルメスのお店などを通りかかったついでにふら〜っと覗くことはあっても、わざわざブランド物のお店に行くことはありません。

 私も日本に住んでいた若かりし頃に、一時はブランド物に憧れた時期もありましたが、名だたるブランドものの本拠地でもあるようなパリに来てからは、逆に、およそ、そのようなものとは無縁な生活になり、だいいち、そんなものを持って歩けばたちまち危険な目に遭うことが目に見えている環境では、ブランドものにも興味が失せて、たまに通りかかってお店に入ってみることがあっても、まるで博物館を見るような気分で眺めていました。

 それが、今回、日本に一時帰国した際に、歳の離れた従姉妹から、「エルメスで欲しいものがあるんだけど、日本では、どこでも手に入らないから、パリの本店ならあるかもしれないから買ってきて!」と言われて、久しぶりにエルメスの本店に出向くハメになったのでした。

  

店内に入るとまず馬具のエルメス

 

 考えてみれば、以前にエルメスに行ったのも、彼女に頼まれたエルメスの手帳を買いに行った時で、その時は、難なく商品は手に入り、手帳としては高額とはいえ、まあそこそこの値段で、まだ小さかった娘を連れて、彼女に頼まれた買い物をした時以来でした。

 思い起こせば、あの頃はまだ、エルメスのお店もほのぼのとした感じが残っており、会計を済ませて、店員さんが商品を持ってきてくれた際に、「大きくなったら、中身を買いにきてね!」と、エルメスの小さな小箱を娘に渡してくれて、「なかなか粋なことするな・・」と思ったのを覚えています。

 箱をもらった娘は、「なんで、あんなに高い手帳、〇〇ちゃん、欲しいんだろう?」などと、まるで解せない感じでいた上に、大きくなってから、成人を迎えた際に、私が「成人式の記念だから、何か後に残るちょっといいものでも・・エルメスの時計なんてどう?」などと持ちかけたことがあったのですが、「エルメスはあんまり好きじゃない」とあっさり却下。

 フランスでもブランドものを欲しがる人も中にはいるものの、一般的には、身の丈にあわないブランドものを持つのはみっともない・・それよりも、個性的なおしゃれを工夫する方がよい・・と考えている人が多く、また、お金は別の使い方(バカンス)をする人の方が多いのが現実です。

 しかし、このパンデミックに続いて、戦争に突入し、あらゆるインフレが進む中、LVMH(ルイ・ヴィトン)やエルメスなどの高級ブランドは、売上を軒並み伸ばしているということもニュースでは聞いて、知っていたのですが、実際に久しぶりにエルメスのお店を覗いてみてびっくり。

 平日の昼間にこんなに人がいるとは・・しかも、そこで売られているものは、普通のお店に置かれているものとは、価格の桁が1つも2つも異なるものばかりです。平日の昼間というのに、店員さんに商品の問い合わせをするだけでも延々と待つハメになり、絶句しました。

  


 あらゆるものが値上げされている世の中、そもそもの価格がもうちょっと常軌を逸した金額のため、もうそれを買いたい人にとっては、少々の値上げなど、もうあまり響かないのかもしれませんが、それにしても、どこから、こういう人々が湧いてくるのかとちょっと不思議な気がしました。

 店内の周囲からは、英語で会話している人も少なくないために、その多くは観光客なのだろうということは想像がつきますが、あまりに私のパリでの日常生活とは無縁な空間でのこの高価なものが飛ぶように売れている現場に呆気にとられてしまいました。




 私が従姉妹から頼まれた「コンスタンスなんとか・・」という商品は、日本のサイトでは、100万円以上の値段がついているもので、軒並み売り切れ、パリではいくらなのかは知りませんが、こんな高額なもの、立替えできないよ・・と言ったら、自分のカードまで渡して、「でも、どうしても欲しいから買ってきて!」という従姉妹。

 「そこまでの高額になるとレートによってもずいぶん違うと思うよ・・」と考える私などはせこいのでしょうか?「レートなんてどうでもいいから・・」という彼女の金銭感覚も理解できませんが、そこまで言うなら、たまには、エルメスを覗いてくるのもいいかな?と彼女のカードを預かって、引き受けたのでした。

 しかし、彼女のご希望の商品は、残念ながら、パリでも完売で、今後の入荷予定もないということで、結局、買うことはできませんでした。

 ブランドものは、たしかに品質もよく、一度買ったら、大事に使えば一生使えるようなもので、長い目で見れば、良いのかもしれませんが、だいたい身の危険がかかっているパリでは、まず、使えないのが現実です。

 ひょんなことで、久しぶりに覗いてみることになったエルメスのお店の盛況ぶりと久しぶりに見る豪華な店内にちょっとしたカルチャーショックを感じてきた1日でした。


エルメス本店


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