2021年5月12日水曜日

フランス人女性の美しさの基準と美容整形手術

 


 日本で生まれ育ってきた私がフランス人は日本とは違うな・・と思うことの一つには、女性の美しさについての基準の違いがあります。

 フランス人のある程度の年齢以上の女性にとっては(若い女性であっても)、「かわいい」ということよりも、「かっこいい」とか、「セクシー」であることの方が好まれるような気がします。

 いわゆる「ぶりっ子」(今も日本で使われている言葉かどうかわかりませんが・・)のような「可愛さ」は、どちらかというと幼稚か、ちょっとどこか足りないように受け取られかねません。

 そして、日本のような「美白崇拝」とは正反対で、皆、こぞって日焼けしたがります。これからの季節は特に、日焼けしていることは、リッチなバカンスを満喫しているという一種のステータスでもあるので、結構な年齢の女性も「日焼け後のお肌のお手入れは・・?」などと、私がこっそり思ったりしているのをよそに、実に自信満々に日焼けして、ガビガビになった肌を堂々とさらして誇らしげにしています。

 日本人のような、こまめなお肌のお手入れをしているとは思い難く、シャネルやディオール、ランコムなどの高級化粧品会社の本国であるはずのフランスでは、実際には、それほどお肌に気を使った生活をしているとは思い難い感じがします。

 しかし、だからと言って、彼女たちは、決して美を意識していないわけではなく、むしろ、彼女たちは、歳を重ねても、いつまでも女であることを捨てることはありません。単に、美しさに関する観念が違うだけなのです。その証拠に、フランス人には、美容整形手術をしている人が、少なくありません。

 実際には、「やったよ!やったよ!」とフレまわることでもないので、あまり、おおっぴらにはなりませんが、しかし、かといって、それをひた隠しにする感じでもありません。

 今は、コロナ禍で閉鎖されていますが、以前、私が通っていたスポーツクラブの更衣室やサウナ、ハマムなどで見かける、女性同士とはいえ、あまりにあっけらかんと脱ぎっぷりのよい彼女たち彼女たちの裸体には、明らかに豊胸手術の跡と思われる微かな傷が脇下などに見かけられることが多く、「あぁ〜この人もやってるんだ・・」と見てはいけないようなものを見てしまったような気がしていたのですが、もしも私が、「豊胸手術したの?」と聞いてみたら、案外、あっさりと、色々と話してくれそうな気もします。

 私がスポーツジムに行っていたのは、仕事が終わった後のせいぜい1時間程度の夕方の短い時間帯だったので、年齢層も割と限られていて、比較的経済的にも余裕のある子供にも手がかからなくなっている40代後半から50代くらいの女性が多かったので、年代は、偏りがあったかもしれません。

 今はむしろ、SNSフランスでの美容整形手術は、35歳未満の人の方が多いというのですから、それはそれで驚きです。しかも、現在は、傷跡が残らないヒアルロン酸などの方法も発達し、エイジングを遅らせる効果もあるなどと宣伝されているため、若い人の間で、ますます広まりつつあるようです。

 フランスで圧倒的に多いのは、豊胸手術や豊尻、唇などのボリュームアップや鼻の形を整える、脂肪吸引などですが、どちらかというと、セクシー系に変身したい願望が強いような感じを受けます。

 しかし、どうにも美容整形手術は、やり始めるとクセになる傾向にあることは、どこの国でも同じようで、しかも、むしろ、どこを直すの?と思うような美しい人にかぎって、整形したがるような気もします。

 以前の私の職場にいた女性で、この美容整形を繰り返している人がいて、彼女はフランス人でありながら、本当にバカンスにも滅多に行かず、仕事も決して休まない珍しい人でしたが、子供もいなくて、経済的にも余裕があるせいもあってなのか、洋服を買うのが趣味のおしゃれな人で、彼女が数回、会社を休んだのは、美容整形手術のためでした。

 別に彼女は、手術を隠す様子もなく、痛々しい傷跡を見せてくれたりもしていましたが、(彼女が行ったのは、顔のたるみを引っ張る手術でした)彼女自身は、私よりもかなり年長でしたが、スリムで綺麗な人でした。

 以前、仕事の関係で出会ったタイ人の女性などは、顔も身体も全身、いじっていると言っていた人がいました。そんなわけで綺麗な人で、スタイルも抜群でしたが、比較的小柄で、さすがに身長だけは、変えられないんだな・・などと、ちょっと意地悪く思ったりもしました。

 つい先日も、娘の彼氏のお母さんが痩せるために、胃の入り口を狭める手術をしたとかで、これは、脂肪吸引ともまた別で、美容整形とは少し違うかもしれませんが、ダイエットのために食べられる量を身体の内部から変えるという大胆な方法。

 私など、そうでなくとも年齢につれて、食欲と胃腸のバランスが追いつけなくなり、そうそう食べられなくなってきたのを悔しく思っているくらいで、食べ過ぎたと思ったら、少し気をつけて身体をできるだけ動かすようにするとか、できるだけ食べることを優先にしているくらいで、これ以上、身体が受け付けないように胃を小さくしてしまうなんて考えられないことです。

 昨年から1年以上も続いているパンデミックによるロックダウンやリモートワーク、マスク着用の義務化などで、あまり人に気付かれずに、ますます見えないところで、広まっていると思われるフランスの美容整形手術。

 ロックダウンが解除されて、みんながバカンスに出る頃には、さぞかし美しい人がビーチでこぞって、日焼けしているのではないかと思っています。


フランスの美容整形手術

<関連記事>

「フランス人は、女を捨てない! パリのジムでの大らかなパリジェンヌたち」

「フランス最大の化粧品会社ロレアル商品の美白表現撤廃 フランス人は美白がいいとは思っていない」

「フランス人にとっての夫婦の寝室」

「美しく歳を重ねる同じアパートのフランス人のマダム」

「フランス人の若い女の子は、前髪を切らない」


 

0 コメント: