つい数日前に、オリヴィエ・ヴェラン保健相がフランスでは、まだインド変異種は発見されていないと言っていたのに、やっぱり、すでにフランスにもインド変異種は上陸していました。
現在のところ、フランスで確認されているインド変異種の症例は、7例(うち2例は海外圏グアドループ)で、ヌーヴェル・アキテーヌ(フランス中部から南西部にかかる地域)、ブーシュ・デュ・ローヌ(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏)で検出されています。
保険当局によると、今のところ、これらの感染者は、インドに渡航歴のある人やその家族で、現在のところ重症化には至っていないということです。
とはいえ、世界で2番目に人口の多いインドで、1日の新規感染者数が40万人を超え、1日の死者が4千人を超えるという壊滅的な状況は、フランスでも毎日のように報道されているインドでの酸素ボンベを奪い合う人々、一つのベッドに複数の人が寝かされている状況、死体が次々に火葬されている終末期的なシーンに、この変異種の脅威を感じずにはいられません。
すでに猛威を振るっているイギリス、ブラジル、カリフォルニア、南アフリカ変異種に次ぐ新たなインド変異種は、新たな脅威的な変異種として世界に認知されるようになりました。
インド変異種(B.1.617変異種)として認知されているこの変異種は、2020年10月にインド中部のマハラシュトラ州のガプールで最初に検出されました。この変異種の出現以来、インド国内で20万人以上の死者を出し、すべての大陸に広がっています。
インド変異種は、 「二重変異体」として認定されており、ウイルスが私たちの侵入を可能にする鍵であるSars-CoV-2ウイルスの「スパイク」タンパク質において、2つの不穏な変異の組み合わせを特徴としています。
このインド変異種については、まだ多くの未知の部分が残っています。症状については、頭痛、鼻づまり、喉の痛み、筋肉痛など、元のコロナウィルスとの顕著な違いはありません。
これらの症状に加えて、多くの人が下痢の症状に苦しんでおり、今年の暑くて乾燥した気候(インド)で、咳やくしゃみが増えるために鼻や喉から出血する人もいるようです。
これまでのコロナウィルスは、ある程度、気候の影響を受け、気温が上昇すると、ウィルスは活発化しなくなっていましたが、暑くて乾燥した気候でこれだけの感染が拡大するということは、気温の上昇に対する耐性を備えた変異種であると考えることもできます。
このインド変異種は、気道に急速に移動する傾向があり、肺に感染すると、鼻や喉に存在しなくなり、PCR検査で検出不可能になる可能性があります。したがって、PCR検査によってこのインド変異種のウイルスを検出する可能性は、症状が現れる前、できるだけ早くに検査を行うことが必要になってくる、非常に厄介なものでもあります。時期を逸してしまった場合は、肺のX線検査が必要となります。
また、変異ウィルスは何重にも変異をしていて、様々な特徴を併せ持つことがあり、時にそれは、人種などによって影響が変わる可能性も指摘されています。
WHOによると、これまでにアメリカ、カナダ、オーストラリア...すでに5つの大陸に存在するインドの変異種は、ベルギー、スイス、ギリシャ、イタリア、そしてフランスなどのヨーロッパの「少なくとも17か国」で検出されています。
しかし、壊滅的な状況に襲われているインドの映像を見る限り、大いに衛生環境にも問題はあるように感じられ、このインド変異種が必ずしも他の国でも同じような状況を起こすかどうかは疑問ではあります。
科学評議会によると、インド変異種に対するワクチンの有効性を決定するための確固たるデータはまだ充分ではなく、「ワクチンの有効性は維持されているが低下していると予想できまる」と科学評議会は結論付けています。
次から次へと現れる変異種、フランスでは、現在、急ピッチでワクチン接種を進めており、少なくとも1回はワクチンを受けている人が高齢者施設の居住者の99%、70歳以上の69%、60歳以上の60%、18歳以上の30%まで数字が上がってきており、想像以上に頑張っているのに、ちょっとだけ救われる気がします。
とりあえず、ワクチンを打てば、100%完璧ではないにしても、リスクは減少するのです。インド変異種の波が押し寄せる前に、どうにか、ワクチンを少しでも進めて欲しいと思います。何だか、波に追いかけられる波打ち際にいる気分です。
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