2021年5月13日木曜日

第3波のピークは超えたフランス 連休突入とロックダウン解除・レストラン再開の条件

  


 ここ10日間ほどで、フランスの感染状況は、少しずつ改善してきました。

 本当に、ゆるゆるなロックダウンで、ずっと高い数値のままに、感染者はグングン増え続け、4月の初旬には、1日の新規感染者数も6万人を突破し、集中治療室の占拠率も私の住んでいるイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)などは、150%を突破、フランス全体でも120%超え(6,000人近く)と、もうこれでは、病床に空きがない場合の患者の移送も不可能ではないか??と、一時はどうなることかと思うほど、逼迫した状況が続いていました。

 さすがに3月末から4月初旬の酷い状況に直面し、4月に入って、最終手段と言われていた学校閉鎖が行われたり、制限が強化され、ワクチン接種も必死で進めている効果が、5月に入ってから、ようやく表れ始め、現在は、どうにか1日の新規感染者数も2万人台までに、集中治療室の患者数も4,583人(5月12日現在)までに減少しています。

 これで、現在は、どうやらフランスの感染状況は、減少傾向にあることは明白になってきました。

 5月3日から、学校も再開し、長距離移動の制限が解除され、今週末は、飛び石連休で4日間の休みに入るため、これまでどこにも出かけられなかった(はず・・)フランス人は、このプチバカンスの機会に100万人の人が国内移動をすると見られています。

 4月末にマクロン大統領から発表されたロックダウン解除カレンダーによれば、一週間後の5月19日からは、フランス人が待ちに待ったレストラン・カフェのテラス席がオープンし、美術館、映画館、劇場、スポーツ施設が再開され、夜間外出制限も現在の午後7時から午後9時までに延長され、日常生活が戻り始めます。

 この19日からの第2段階のロックダウン解除に先駆けて、先日、カステックス首相が、France 2(フランスの公共テレビチャンネル)のニュース番組に出演し、レストラン・カフェの再開に関しては、収容人数上限は定員の50%まで、店内ではなくテラス席のみ、着席のみで、1テーブルは最大6人までという細かい制限等について説明し、「これらの規則をフランス国民が遵守すると信頼している。その上で、警戒、監視、取り締りも行われる予定なので、事業主は営業停止を避けるためのあらゆる努力をしてほしい。」と語っています。

 実に、テラス席だけとはいえ、レストラン・カフェの営業は、昨年の10月以来のことであり、(半年以上、テイクアウトの営業のみだった)レストランのオーナーはもちろんのこと、フランス国民もどれだけ、この日を待ち望んでいたかは、数々の闇営業レストランが摘発されたりしたことなどからも垣間見えます。

 フランス人は、みんなで集まって延々とおしゃべりをしながら食事をするのが大好きなのです。

 しかも、このテラス席の再開に関しての制限の中に「着席」という項目が入っているところも、いかにもフランスで、興味深いです。

 もともと、フランス人は、店内よりもテラス席が大好きで、(コロナ前でさえ、気候の良い季節などは特に、テラス席は満席でも店内はガランとしていることも珍しくはありませんでした。)そして、彼らは、時間が進むに連れて、席を離れて、騒ぎ出すことも少なくないので、この「着席」という制限は、賢明な判断だと思います。

 しかし、これは、「おすわり!」「自分の席に座っていなさい!」「食事中はふらふらしない!」と言われているということで、これでは、まるで小学生、いや幼稚園の教室みたいで、ちょっと笑ってしまいます。

とはいえ、日本の一部のレストランで呼びかけられているような「黙食」=「黙って食べなさい!」「おしゃべり禁止」という制限は、さすがにフランスでは、到底、国民に受け入れられないことで、政府でさえも、多分、思いもよらなかったであろうことで、制限項目には入っていません。

 フランス人にとって、レストランに行く「外食をする=食事をする=人と話す」ということなのです。

 この「着席」という制限は、一番、レストラン側も頭を痛めるであろう項目ではあるでしょうが、ようやく再開できた営業が停止にならないように、お客さんにも必死で、着席を求めるであろうと思われます。

 フランスは、昇天祭から週末にかけての100万人の大移動とともに、レストラン・カフェ、映画館、劇場などの営業再開と一気にロックダウン解除にアクセルがかかっていきます。

 感染が減少傾向にあるとはいえ、未だ、高い数字のままのフランスは、一部では第4波も懸念され続けている中、カステックス首相は、「感染状況が一部地域で急速に悪化した場合は、地域単位でブレーキをかけるつもりである。」と同時に釘をさしています。

 そんな中で大きな希望の綱であるワクチン接種は、先日は、かねてからの約束どおりにオリヴィエ・ヴェラン保健相が白衣を着てワクチン接種をするなどの大キャンペーン続行中。

 私のようなミーハーは、「いいなぁ〜!どうせなら、私も彼にワクチン打ってもらいたかった!」などと思っていましたが、最初は、グダグダでなかなか進まなかったフランスのワクチン接種もようやく軌道に乗り始め、現在は、50歳以上の人は全員ワクチン接種の権利があり、ワクチンを無駄にしないために、ワクチン予約に空きがある場合は、18歳以上の成人はワクチンを接種できるようになっています。

 現在、フランスでは、1,855万人の接種(少なくとも1回は・・)が済み、国民の28%がワクチン接種が済んでいる状況です。

 連休・レストラン等の再開と、解除が進んでいく中、第4波が来るかどうかは、ワクチン接種の拡大にかかっています。


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