警察関係者のみならず、地元住民や元警察官など、全国から約1万人の人々が先週、麻薬取締り中に射殺された警察官の追悼式に参加するために、アヴィニヨンの警察署前に集結しました。
ちょっとこのご時世にこれだけの人だかりには、ギョッとするところもありますが、さすがにこのようなところに参加する人々は、フランス人とて、マスク率が非常に高く、パーティー騒ぎで人だかりになっている場所とは、集まる層がちょっと違うんだな・・と感じます。
先週、アヴィニヨンで白昼堂々、麻薬取締りのために駆けつけた36歳の警察官が突然、銃で撃たれて死亡した事件は、衝撃的な事件でしたが、その犠牲になった警察官のために、それを単なるニュースとして見過ごさず、これだけの人が追悼に訪れるところが、フランスらしいところなのです。
花を手向ける人、メッセージを置いていく人、フランスがこのような危険な状態であり続けることは許されないと抗議の意味を込めて訪れる人、その理由は、それぞれ、さまざまではありますが、このような追悼式が一般市民も含めて大きく行われ、犠牲者となった警察官の死を悼み、それぞれの想いを分かち合いながら、マルセイエイズ(フランス国歌)を歌ったりするところは、私が好きなフランスの一面でもあります。
一見、冷たい印象もあるフランス人の、その実、とても心暖かく、危機に直面している人を決して、見捨てない、寄り添ってくれる優しい一面がこのような場面に表れているような気がするのです。
懸命な警察の捜査により、この事件の容疑者二人が逮捕されたようです。しかし、逮捕されたと言っても、彼らは大勢のうちのほんの一部、麻薬の売買の現場に銃を携帯している人は、今もたくさんいるはずなのです。
こんな事件が起こった後でも麻薬の取り締りを続けなければならない警察官の恐怖は、計り知れません。
そんな中、昨日は、フレジュス(プロヴァンス・アルプ・コート・ダ・ジュール地域圏)ガベル地区で、夜11時半頃に70人〜80人ほどが暴れ出し、15軒ほどのショーウィンドーが壊され、3台の車が燃やされるという事件が起こりました。
駆けつけた警察官に向けて、火炎砲が投げつけられ、少なくとも4人の警察官が負傷しています。
この地域は、過激なイスラム主義と麻薬密売組織のある地域で、この日の夜中の暴挙は、そのどちらによるものかは、今のところ断定されてはいません。
ここ数週間にわたり、この地域は、緊張状態が続いていましたが、2週間前にはこの近辺で8キロの大麻が押収されたことからも、麻薬密売の一つのポイントであることは間違いなさそうです。
政府は、このフレジュスに翌日から70人の追加の警察官を動員しています。
先週、アヴィニョンで警察官が殺害されたのも麻薬取引の現場で、麻薬・ドラッグの問題は、もはや、一部の地域だけにとどまらず、これも、フランスの多くの街で起こっているごくごく一部であるに過ぎません。
コロナウィルスとの戦いもまだ済まない中、イスラム過激派によるテロに続いて、麻薬・ドラッグの密売組織と警察の戦いが、どんどん表面化しています。
ウィルスとだけでなく、人間同士が戦わなければならないこの麻薬・ドラッグ問題。
パンデミック・ロックダウン中に、コロナウィルスだけではなく、この麻薬密売組織の勢力がいつの間にか、拡大していた気がしてなりません。
社会全体が弱っている時に蔓延る(はびこる)のは、妙な新興宗教や麻薬・ドラッグなど、さらに人を蝕むものであることが悲しいです。
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