フランスのパスツール研究所(INSTITUT PASTEUR)の考察によると、5月3日から4段階に分けて計画されているフランスのロックダウン解除により、フランスは、7月以降に第4波が予想されると発表しています。
第3波のピークはどうやら過ぎたように見えるフランスの現在の感染状況ですが、2020年5月にロックダウンを解除した状況(集中治療室患者数2,600人・1日の新規感染者数平均1,500人)に比べて、遥かに深刻な状況の中で(集中治療室患者数5,585人・1日の新規感染者数平均2万5千人)、ロックダウン解除が進んでいきます。
ロックダウン中であっても、罰金がなければ規則が規則ではないフランスで、どのように規則を掻い潜るかを常に探っている中で、実際に解除された時の状況は、想像するだけでも恐ろしいことです。
これからは、これまでの制限から解き放たれる国民とワクチンの進行状況との戦いになるわけですが、パスツール研究所の計算によると、現在、1日あたり、約35万件のワクチン接種が進んでいるフランスのワクチン接種が1日あたり、50万に達したとしても、7月以降に第4波を迎え、再び入院患者が増加することは避けられないとしています。
昨年の段階で、感染拡大していたウィルスよりも60%以上感染力が強いと言われているイギリス変異種を始めとして、南アフリカ、ブラジル、インド変異種の出現、そしてこれらの変異種に対するワクチンへの有効性も先行きの見通しを難しくしています。
また、彼らの計算によれば、昨年は、影響を大きく受けたと考えられている気温の上昇も、早すぎるロックダウン解除の中で、感染を抑えるには、今年に新たに登場している変異種に対しては、充分ではないと予測しています。
そして、ウィルスが気候の影響を受けている場合でも、夏の終わりまでには、何とか感染を最大限に抑え、ワクチン接種を最大限に拡大しない限り、また秋、冬を迎えるにあたって、波の高さは低くなるとしても、再び感染が広がることになります。
しかも、5月3日から解除される中学・高校・大学の再開は、ワクチン接種に該当しない年齢層であり、再び感染が拡大されることが心配されています。
マクロン大統領は、このワクチン接種拡大の最後のステージとして、6月15日以降は、全ての成人(18歳以上)がワクチン接種を受けることが可能になることを発表しています。そして、これから、しばらくは、毎年、ワクチン接種が必要になるとも話しています。
毎年、ワクチン接種にかかる費用は、年間52億ユーロだそうで、そうは言っても、コロナウィルスが根絶する見込みがない限り、ワクチンなしで、日常に戻ることはできません。
ロックダウンの段階的な解除が発表されただけで、心配の声も上がる中、すでに解除気分満載のフランス、夏のバカンス時期を待てずに、旅行に出る人も激増、ゆっくりとした制限解除が不可欠と警鐘を鳴らすパスツール研究所の指摘をよそに、夏のバカンス時期には、昨年以上の人々がバカンスに出ることでしょう。
この綱渡りの状況に、相変わらず、余裕で他の国々の第4波について語っているフランスの報道の中には、第4波を迎えつつある日本についての報道も含まれています。
AFPによると、「3月初旬以降、日本での新規症例数は着実に増加しており、1月の第3波のピークに近づいています。 4月27日の時点で、日本では、主にイギリス変異種の蔓延が原因で、4,958件の新たな感染が発生。
「クーリエ・インターナショナル」によると、政府専門家委員会の尾身茂会長は4月2日、「これが第4波の始まりと言える」と述べた。オリンピックを控えている日本が、少なくとも1回のワクチン接種を受けている日本人の1.8%だけで、開会式が7月23日に予定されているオリンピックへの脅威を心配しています。」と報道しています。
フランスの第4波の鍵を握るのは、ほぼ日常生活が戻るとされている6月30日までに、ワクチン接種がどれだけ拡大できるかであることに違いはありませんが、これに失敗した場合は、第2波、第3波以上の入院患者の増加が心配されています。
フランスの人たち・・お願いだから、もう少し我慢して・・。
パスツール研究所
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