現在、3回目のロックダウン中のフランス。フランスにとっては、ロックダウンは、回を重ねるごとに、緩くなっていく感のあるロックダウン。しかし、今回は、学校も2週間のバカンス期間を含めた約1カ月間の閉鎖状態で、今週からは、リモート授業がスタートしています。
しかし、一度目のロックダウンで、開始されて、環境整備や準備が整っているのかと思いきや、スタートと同時にサイバー攻撃か?などと、問題が起こり、多くの生徒がリモート授業を受けられない大混乱状態。
リモートワークになるだけで、子供のモチベーションを保つのは、難しいところにきて、最初のスタートからのこのつまづきの痛手は、バカンス期間を挟む日程だけに、余計に難しいのではと思ってしまいます。
ゆるゆるなロックダウンとはいえ、多くの店舗は、営業停止になっているものの、街中やメトロなども、なかなかの人が移動していて、平日にも関わらず、なかなかの人出。
そういう私も用事があって、昨日、久しぶりに渋々メトロに乗って、パリの中心地域に出かけたのですが、本当に恨めしいほどの晴天で、朝晩は、少々、肌寒いくらいですが、日中は、もうサングラスが欲しいかな?と思うほどの日差しで、街の中の花も美しく咲き乱れ、あらためて、パリは美しい街だと思いながら、歩いていました。
ちょうど、昼食時だったので、テイクアウトのサンドイッチなどを楽しそうに食べている様子は、平和そのもので、想像以上に楽しそうなランチタイムの光景です。
フランスの1日の新規感染者は、6万6千人を突破したというのに、この平和な感じは、何なんだろうか?と思います。
パンデミック以来の犠牲者も97,000人を突破(4月6日現在)、これでは、「コロナと共に生きる」などと言っている場合ではないのではないのではないか?と、私は、内心、思っていました。
しかし、もうここまで来ると、同時にもうこれは、これで彼らの生き方で、仕方がないのではないか?という気もしてきているのです。
たしかに感染回避のために必要な努力を怠っている面も多々あり、自分が知らぬ間に感染して、さらに他人に感染させてしまうことは、許されないことだと思いますが、どんな時にも、人生を楽しもうとしている、フランス人がよく言う「la vie est belle ラ・ヴィ・エ・ベル(人生は素晴らしい)」(たしかに、最近、さすがに、あまり聞かなくなった言葉ではありますが・・)の精神は、パンデミックの現在でも、彼らの本質に染み込んでいるものなのだと、つくづく思うのです。
それが、今だからこそ、余計にそんなことを感じるのかもしれません。それが命がけでやることなのか?と思う、人と戯れ楽しく時を過ごす毎日の積み重ねが彼らの人生そのものなのです。
ラテン系と言ってしまえば、それまでですが、華やかなパリのイメージとは裏腹に、実のところは、(ほんの一部のセレブ階級の人を除けば、)彼らの生活は、とてもシンプルで質素です。
こんな時だからこそ、彼らの生き方、死に方が余計に浮き彫りになって、感じられるのかもしれません。
言いたいことを言う権利はあくまで認められ、このロックダウン下でもデモは行われるし、警察が介入して罰金を課せられなければ、人の集まりは止められないし、それでさえ、厳しい規則をかいくぐって、プライベートクラブを運営したり、本当にどうしようもないと思うのですが、この彼らの楽しむことに貪欲な姿勢には、呆れるかえるだけでなく、どこか、もう彼らは、こういう風に生きてきたのだから、仕方ないのではないか?と思う気持ちも湧いてくるのです。
たしかにコロナウィルスに関しては、現在は、確固とした治療法もなく、フランスでも、何とかして命を救おうと医療体制も破綻寸前ながら、長い人は、何ヶ月も集中治療室で治療することになったりしていますが、一般的に他の致命的な病気に関しては、あまり無駄な延命治療などは、しない印象です。
これは、フランスの医療システムにも関係があることですが、フランス人の死生観も大きく関係のあることだと思っています。
フランス人に対して、「これだからダメなんだよ!」と思う反面、あくまでも楽しく生きることを全うしようとしていることが、なんだか、ちょっと羨ましい気さえしてきてしまうのです。
とはいえ、フランスよりも倍近い人口の日本は、未だに1日の新規感染者は2,000人程度とフランスの30分の1で感染を抑えられ続けているということは、ものスゴいことです。衛生観念は日本人の日常から植え付けられているもので、個々が自分を律することができる日本はやはりすごいのです。
しかし、1日の感染者が6万人を超えているような状況でも、それなりに文句を言いながらも、ささやかに楽しむことを決してやめない人々もそれなりにスゴいなとも思うのです。
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