2021年4月10日土曜日

イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率150%突破 医療崩壊と実世界のギャップ

  


 今週の木曜日は、久しぶりに政府の記者会見もなく、今週のフランスには、コロナウィルス感染対策に関する大きな変化はありませんでした。

 結局のところ、イースターの週末までは、ギリギリ国内の長距離移動も認められていて、フランスにとっての3回目のロックダウンが実質的に始まったのは、今週に入ってからのこと、まだ、その効果を期待するのは、時期尚早であるとしか言いようがありません。

 今回のロックダウンは、学校のバカンス期間に重ねての学校閉鎖(バカンス+リモート授業)と数種類の店舗が営業禁止になったものの、街中に、まるで緊張感はなく、晴天も合間って、すこぶる平和な光景。

 しかし、街中で見える平和な光景とはうらはらに、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、とうとう150.5%にまで達し、フランス全体でも113.8%までに上昇しています。

 医療に関しては、全くの素人の私は、集中治療室が150%超えの状態ということは、どういうことなのか、わかりませんが、恐らく、他の病室の患者を移動させて、器材を揃えて、仮の集中治療室として使っているのだと推察しますが、これでは、コロナウィルスだけでなく、他の病気の人も助かる命が助からなくなっている状態で、これが医療崩壊ということではないかと思っています。

 手術の予定等を組み直しているという話は、聞いていましたが、ここまで集中治療室の占拠状態が膨れ上がれば、そうそう手術の予定をずらせる患者ばかりのはずもなく、加えて緊急を要する患者は、どうなっているのでしょうか?

 長引く、制限下の生活に、こんな深刻な数字にも、国民は鈍感になり、(ある程度は、鈍感でなければ、精神的に参ってしまうのもわからないではありませんが・・)ロックダウンがどんどん、その言葉の重みを失っている気がします。

 つい先日、パリの超高級レストランの闇営業のスクープが大スキャンダルになったばかりですが、これに続いて、昨日は、サン・トゥアン(セーヌ・サン・ドニ地域圏=イル・ド・フランス)の闇営業レストランが摘発されました。

 先日の超高級・闇営業レストランの摘発により、警察の警戒が厳しくなっている結果とも言えますが、昨日、摘発されたサン・トゥアンのレストラン(こちらは、庶民的なレストランでしたが・・)は、警察が突入した時には、店内には、62人もの客がおり、ソーシャルディスタンスもまるでなし、食事中ということでマスクもなしの大繁盛状態だったそうで、いかに危機感がないかが、伝わってきます。

 セーヌ・サン・ドニは、イル・ド・フランスの中でも、最も感染状態が深刻な地域。子供たちが学校へ行けない状態になっているというのに、ここまで他人事でいられる大人が情けないとしか言いようがありません。

 この日のこのレストランの客は、62人全員、135ユーロの罰金を課せられました。

 一方、先日の超高級・闇営業レストランの主催者とシェフは、弁護士同伴で、警察の事情聴取に応じているようですが、「これは、あくまで私的な空間での集まりであり、レストランではない」と主張しているようです。

 しかし、昨年の10月末にレストランの営業停止が再開して以来、招待状などから、少なくとも15回の食事会が開催されていたことがわかっており、それぞれのメニューには、決して少なくない金額が記載されており、場所はどこであろうと商売であることには変わりありません。

 恐らく、闇営業は、これだけではなく、想像以上に存在しているのではないかと思っています。

「あくまでも学校閉鎖は最終手段、その前にやれることは全てやる!」と頑張っていたフランス政府ですが、これらの闇営業のレストランの摘発は、その前にやれることの一つであったに違いありません。

 昨年末にもパリには、昼時になると、超満員になるレストランが今でもあるという話が聞こえてきたりしていましたが、警察も見て見ぬふりをしていると言われていました。

 将来のある子供の学校生活を犠牲にしても続けられている闇営業のレストラン、今からでもせいぜい、力を入れて摘発してほしいと思っています。

 子供たちに大してだけでなく、真面目に営業停止のままで、ずっと耐えている同業のレストランのオーナーに対しても、酷すぎる話です。


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