「新型コロナウィルスで入院した患者の3分の1が病院に戻る」という研究結果をBMJ(British Medical Journal)が発表し、症状が改善して、退院しても、決して安心できない状態であることを警告しています。
新型コロナウィルスに感染した場合の複数の合併症が予後に影響を及ぼし、長期的に悲惨な結果をもたらす可能性があるのです。
新型コロナウィルスは、単純なインフルエンザとは違います。2020年8月に退院した48,000人のコロナウィルス患者に関するイギリスの研究によると、彼らのほぼ3分の1(29.4%)が退院後140日以内に病院に戻り、同期間に10人に1人(12.3%)が死亡しています。
これまでも新型コロナウィルスは、長期コロナ感染症(COVID LONG)として知られる持続的な症状を引き起こす可能性があることはすでに知られていました。これは、息切れから頭痛、全身倦怠感、うつ病、記憶障害、関節痛に至るまで、一連の症状を特徴としています。
中国の研究発表によると、患者の75%は感染後6ヶ月でもまだ症状があることがわかっています。
そして、このウィルスは、肺以外の臓器にも損傷を与えることも示されています。
2020年の研究によると、「長期コロナ感染症(COVID LONG)」の患者の32%が心臓に、12%が腎臓に、10%が肝臓にダメージを受け、患者の25%が、複数の臓器に影響を受けています。
この結果は、この感染症は、非常に悪性のものであり、これまで、心臓病、腎臓病、糖尿病はコロナウィルスに感染した場合のリスクの高い危険因子であると考えられてきましたが、コロナウィルスに関する合併症にもなり得るということが判明したとも言えます。
そのため、本来は、感染患者の臓器の損傷をできるだけ早く検出するために、退院後の患者の状態を定期的に検査してチェックし続ける必要があります。
2,000人のコロナウィルス患者を対象としたアメリカの研究では、コロナウィルス患者に最も頻繁に起こっているのは、敗血症、肺炎、心不全であり、退院後60日以内の死亡率が9.1%であることを発表しています。これは、同期間のBMJ(British Medical journal)の発表している研究結果(死亡率)とほぼ一致しています。
そして、この結果は、これまで発表されてきた新型コロナウィルスに関連する死亡率が、実際は、遥かに高い可能性があるということも示しています。
フランスでは、2020年3月2日から2021年4月1日までの間に414,931人が新型コロナウィルスのために入院しました。(この数字は、初めての入院のみが換算されています)そのうちの3分の1が再入院する可能性があると考えると、138,000人が再び病院に戻ってくることになるわけで、それを考慮すれば、病院の混雑の緩和は当分されそうにないことが推測できます。
現在のフランスは、集中治療室は、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)は、155.5%、フランス全体でも116.9%の医療崩壊状態が続いています。コロナウィルス以外の病床は、どんどん縮小され、手術も延期されている状態。退院した患者の検査をする余裕などは、到底ありません。
今後、感染者数が減少してきても、今度は、再入院の波が押し寄せることになります。
コロナウィルス感染からは、生還しても、その後、コロナウィルスが引き起こした合併症により死亡する場合も多いという事実は、衝撃的です。そして、これらの人々は、コロナウィルスによる死亡としては換算されてはいないのです。
知れば知るほど、恐ろしくて侮れない新型コロナウィルス。考えてみれば、これまでなかった病気のため、その病気の実態や、治療、ワクチンでさえも、全てまだ、はっきりわかっていない壮大な実験をしているような状態、そして、その実験結果はまだ出ていない状態なのです。
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