2021年4月9日金曜日

進んでいそうで、結構、進んでいないフランスのオンライン・リモートシステム

  


  

 パンデミック以来、盛んに推奨されているリモートワーク、オンラインシステムです。

「仕事もリモートワークを最大限に!」「現在閉鎖中の学校もオンライン授業に・・」と、オンラインシステムが急速に拡大した・・と思いきや、意外に浸透しきっていないことに、最近、いくつかぶつかっています。

 以前に比べれば、やはり、オンライン化で、まず、銀行などに行くことは、特別なことでもない限りなくなり、振り込みや支払いなども全てオンラインでできるようになったりして、ずいぶん楽になっていることもたくさんあるのですが、それは、コロナ前からのことで、フランスは、1回目のロックダウンから1年経って、この一年間という準備期間があって、さぞかし進歩しただろうと思われるのに、やはり、フランスの本領発揮、何をやるのにも時間がかかるのが常であったということを再確認させられる気にさせられています。

 まず、学校が閉鎖になって、再度、リモート授業になるというスタートから、まず、サイバー攻撃にあったとかで、初日からシステムがダウン。再スタートを切るのに数日を要するという失態。

 そして、個人的なことではありますが、今年に入ってから銀行を変えるという銀行乗り換え作業に乗り出した私は、オンラインでできるはずのことを数回にわたり、銀行に呼び出され、自動振り込みなどの銀行変更手続きも、全て乗り換え先の銀行がやってくれるはずだったのに、そうは行かないところもあり、自分で手続きするにせよ、その機関(公的機関)によっては、オンラインではダメ!RIB(銀行口座ナンバーなどの情報)とIDカードを本人が持参しなさい!というところまであって、オンラインで済むところもある中、わざわざ、それを届けに出かけなければならないという信じられないことがあるのです。

 IDカードをわざわざ持参しろというのだから、本人確認のためかとも思わないでもなかったのですが、マスクは当然の如くしたままで、顔もロクに見るわけでなし、やっぱりそのためでもなかったのです。

 フランスの公的手続きというものは、昨年から今年にかけてのビザ(滞在許可証)の更新手続き(これもオンラインではできない)で、さんざん嫌な思いをしていることもあり、間に人の手が介入すればするほど、書類を失くされたり、ミスやトラブルが起こる可能性が高まるので、全く信用していないので、「書類を持参せよ!」などと言われると嫌な予感しかしないのです。

 無駄に人の手が介入せず、オンラインで機械的に済んだ方が、書類を失くされる心配もなく、ずっと安心していられるのです。

 ましてや、このコロナ禍・・どこかへ出かけて、人と接触する機会はできるだけ減らしたいのに・・持って来い!というからには、そのための人員もリモートワークではなく、出勤しているということですから、思うほどには、リモートワークは浸透しきっていないことを思い知らされるのです。

 浸透しないと言えば、2度にわたって、フランス政府が作り直した#TousAntiCovidというコロナウィルス感染者追跡アプリも結局、使う人が少なくて、ほとんど役に立っていません。

 そして、我が家には、もう一人、オンラインで済まないことを嘆いているのが娘です。彼女は、3月までやっていたスタージュのレポートを現在、在籍しているグランドエコールに提出しなければならないのですが、その40枚ほどのレポートをファイルにして、ネットで送れば済むものを、学校側は、「それを印刷して、郵便で送れ!」と言うのだそうです。

 そのような大量なレポートを印刷する手間と費用と、そして郵便局まで行って送るという、手間と費用と外出の機会の増加とに、どうにも納得がいきません。

 昨年のロックダウンの際のリモート授業で、プリンターが売れに売れたという話は聞いていましたが、それには、小さな子供がプリントして、勉強するだけではなく、こんなことも含まれていたのです。

 まさか、グランドエコールの教授がネットで送られたレポートを開けられずに読めないはずもなく、単に、以前からの習慣から脱却できないだけなのです。この期に及んでも・・。

 フランス人は、変化を嫌う国民である上に、何をするにも時間がかかる(工事などの工期も守られないのが普通)国民ではあります。システムを加速して、進めるパンデミックという絶好の機会でさえも、それは全く活かされていないのです。

 フランス人には、この危機的状況でさえも、「お尻に火がつく」ということはないのです。

 

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