今、コロナウィルス感染拡大が止まらないフランスで、唯一と言っていいほどの希望の星は、ワクチン接種ができるだけ、スムーズに迅速に進んでいくことに違いありません。
そして、そのワクチン接種の予約がどれだけ取りにくい状態であるかは、私が個人的に聞いただけでも、「相当の人が、いくら電話をしても繋がらない・・」とか、「繋がっても予約が取れない・・」とか、「ワクチンが届かない・・」など、相当数の人がワクチン接種を待っている状態です。
一方では、ワクチンは保存方法が容易ではなく、しかも、ワクチン自体が1本で10回分の接種分となっているため、キリよくワクチンを使い切ることが難しく、ワクチンを無駄にしないために、思いがけずに、優先順位とされている順番を遥かに飛び越えて、ワクチン接種が受けられたりするという、チグハグな状況が続いています。
現在のフランスは、もう本当に切羽詰まった感染状況ゆえ、また、ワクチンが予定どおりに届かないという事情もあるため、一回分のワクチンも、無駄にできない状況です。
そんな状況の中、ここのところ、大注目のワクチン予約の空き状況を確認して、瞬時にワクチンの予約ができるサイト「コビット・トラッカー」が大活躍しています。自分の住んでいる地域を選ぶだけで、瞬時に、今、その地域で予約できるワクチンの数と接種場所、時間が出てきて、すぐに予約をすることができます。
試しに、私も自分の住んでいる地域を入力してみると、「現在、予約可能な数は、82、最短で5月17日の13時20分に○○のワクチン接種センターで予約ができます。」と情報が出てきて、その隣には、クリックすれば、予約がすぐに取れるようにできています。
現在の段階で、5月17日とは、かなり先ではありますが、まるで先が見えずに不安な日々を過ごすよりは、少しでも早く、予約が取れることは、大きな安心でもあります。
そして、このサイトを立ち上げたのは、政府とは無関係の若干24歳のギヨーム・ロジエというコンピューター工学学校に通う青年で、彼は、このサイトのきっかけになった状況を振り返って語っています。
「昨年3月にイタリアで、感染拡大が認められた時に私たちは、それを遠くから見るだけでした。」そんな状況をもどかしく思った彼は、ジョンズホプキンス大学のデータを使用して、フランスとイタリアの症例数を示すグラフを作成しました。そして、フランスもイタリアと同じ傾向をたどっていましたが、約10日遅れていることに気付きました。 最初は、単に彼の好奇心から、コロナウィルスの感染状況を監視するサイトを立ち上げたのです。
その後、彼は、そのデータグラフを家族、友人、同僚と共有し始め、周囲の人から、常にそれを更新するように頼まれ、彼の好奇心は、多くの人から期待を寄せられるようになり、彼はいつしか使命感を感じるようになり、ウェブページを作成。
そして、すべての予想に反して、数日でそのサイトには約20,000人の訪問者が訪れました。 需要は急激に拡大したため、彼は、実際のサイトを作成し、自分の名前よりも魅力的な名前とロゴを付け、コビット・トラッカー(CovidTracker)が誕生しました。
そのデータは、フランスのみならず、世界の感染状況が簡単に確認できるようになっており、また、フランスの地域別の情報も得ることができ、現在のワクチン予約が可能なサイトにまで成長したのです。
彼は、昨年の6月に一旦、感染がおさまりかけた段階で、サイトを閉じようとしましたが、多くのユーザーの要望で、このサイトは続行、さらにこのサイトを利用して、更なる有効性を試み続けた結果が現在のワクチン予約システムの導入です。
この予約システムのサイト自体は、「Vite Ma Dose」という別のサイトではありますが、個ビット・トラッカーから簡単に飛べるようにできています。
同様のサイトは、フランス政府でも世界の他の国でも多く作られていますが、現在、フランスでは、ワクチン接種の予約状況を確認し、簡単に予約できるサイトとして、大きく利用されています。
現在は政府のサイトにさえ、このコビット・トラッカーは掲載されています。
「感染がおさまらないのは、政府のせいだ!」というフランス人が多い中、政府にばかり頼らずに自らの手で必要なものを作ってしまう若者がいることに、混迷するフランスの現在に明るい光がさすような気持ちになるのでした。
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