2021年4月26日月曜日

フランスは、ワクチン接種を進めても、イスラエルやイギリスのような劇的な変化は期待できない


Les fêtes clandestines ont le vent en poupe
昨日のパリ19区のビュットショーモン公園での様子


 フランス人は、フランスのことを特別な国だというような表現の仕方をする人が多いのですが、昨日、ニュースを見ていたら、ある医療機関の代表の人が「フランスは、唯一の国だ・・」と話し始めたので、「ハイハイ、何が唯一なんですか?・・」と思って聞いていたら、「フランスは、感染の蔓延がほぼピークに達している中でワクチン接種を必死に進めている唯一の国だ」と言っているのを聞いて、なるほど・・と思いました。

 現在、ワクチン接種がかなり進んでいるイスラエルやイギリスでは、感染者が劇的に減少し、コロナウィルスによる死亡者も桁違いに減少し、コロナ前の日常を取り戻しつつあります。

 彼らがカフェやパブなどで楽しそうにしている様子を指を咥えて見ているフランスです。

 しかし、彼らが今、劇的な感染者の減少という局面を迎えているのは、ワクチン接種の拡大とともに、彼らは2ヶ月以上の厳しいロックダウンを行ってきた結果でもあり、その効果を伴ったものであるということです。

 その点では、フランスでは、夜間外出禁止や、遠距離の移動の禁止や、レストランやカフェ、一部の店舗の営業は禁止されているものの、日中の街中の人の動きはほぼ平常と変わらず、学校閉鎖に踏み切ったのも学校のバカンス期間を含めた4月に入ってからの約4週間のみで、感染状態も若干、減少したものの、未だに1日の新規感染者数は、平均3万人、集中治療室の患者は6千人に迫る勢い、死亡者も1日平均300人ほど出ている状況です。

 この状態で、学校も今週から徐々に再開され、5月3日からは、長距離移動も可能になると発表されています。実際に、ワクチン接種が進んでいる高齢者の感染はフランスでも劇的に減少しているので、「ワクチン接種さえ進めば・・イスラエルのように、イギリスのように・・日常が戻ってくる!!」と祈るように思っていたのですが、考えてみれば、彼らのような劇的な変化はフランスには、期待できないかもしれないのです。

 しかも、先週末もフランスは、警察署で起こった悲惨なテロ事件や2万人単位のデモ、おまけにパリ19区にあるビュット・ショーモン公園では、数百人にものぼる若者たちがほとんどの人がマスクもなしに、陽気に音楽をかけての盛大なパーティーを開き、そのあまりに屈託なく楽しそうにはしゃぐ様子には、言葉を失います。

 取り締まる警察も、テロ対策、コロナ対策と全てに手が回らないのもわからないではありません。



 たしかにもう、このパンデミックには、ワクチン接種以外に道はなく、ワクチン接種さえ進めば、イスラエルのように、イギリスのように、日常生活が戻ってくるとは思いますが、これまで、厳しいロックダウンをしてこなかったツケがフランスには、回ってくる・・つまり、ワクチン接種の拡大とともに、劇的に感染が減少することはなく、この調子では、かなり時間がかかるであろうということは、覚悟しなければならないと思うのです。 


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