2021年4月7日水曜日

子供が一人で歩いて通学できる・「はじめてのおつかい」の番組が成立することは驚異的な治安の良さ

  


 フランスでは、子供の学校の送り迎えは、一般的には、小学校卒業まで続けられます。

 娘が通っていた学校では、高学年にもなれば、親の承諾があれば、一応、子供が一人で帰宅することは、許可されていたものの、「万が一、何かあったら、取り返しがつかない」「何か起こったら、後悔し切れるものではない・・」と、我が家も小学校卒業までは、登校時、下校時は、送り迎えを続けてきました。

 送り迎えは、学校だけでなく、お稽古事の行き来や、外出なども、全て送り迎えが必要で、子供がお友達の家のお誕生日会などにお呼ばれをしたりしても、必ず、送りに行って、お迎えに行く、あるいは、招待してくれた家のお父さんかお母さんが家まで迎えに来てくれたり、送ってくれたりしていました。

 ですから、基本的に、子供が一人で家にいるということも、一人で外出するということも、フランスでは、許されないことで、(何の恨みかわかりませんが、我が家は、決して、子供を一人にしたこともないのに・・)「子供を学校(幼稚園)にも行かせずに置き去りにしている」と通報されたことがあり、区役所の自動保護担当の人が、家に調査に来たことがありました。

 そんなことは、毎日、送り迎えしている際に学校の先生とも、子供だけでなく、親も顔を合わせているので、学校(幼稚園)の出欠を確認して貰えば、すぐにわかる嘘なので、全く問題にはなりませんでしたが、そんな通報で、区役所の担当の人がすぐに家に飛んでくるということや、そもそも、そんなロクでもない通報を誰が何のためにしたのか? その方が恐ろしい気がしたのでした。

 まあ、それくらい、子供を放置したりする家庭もあるということなのでしょうが、こちらとしては、子供の学校やお稽古事の送り迎えと仕事の毎日に、大変な思いをしてきたので、そのとんでもない見当違いの通報をした人に、私の日常を見せてやりたいと思う気持ちでした。

 子供を送って、仕事に行き、仕事が終わると迎えに行き、仕事がお休みの日は、お稽古事のはしごの送り迎えや買い物や家事で瞬く間に時間が過ぎていくのです。

 特に娘が小さい頃に、同じ年頃か、ちょっと年上くらいの女の子が、その頃に住んでいた地域で行方不明になった事件があり、どこへ行ってもその女の子の捜索のためのポスターが貼ってあり、とても他人事とは思えなかったりもしました。

 日本の人気番組に、「はじめてのおつかい」という小さい子供におつかいを頼んで、その様子を隠し撮りして、その様子をレポートする番組がありますが、フランスでは、小さな子供におつかいを頼んで、一人で買い物に行かせるなどということは、全くできません。

 とても愛らしく、微笑ましい番組で、できたら、日本に一時帰国した時に娘の「はじめてのおつかい」の様子を撮ってもらいたいと思ったくらい好きな番組ですが、考えてみれば、あれは、日本ならではできる、かなり奇跡的な番組で、フランスだけでなく、おそらくあれができる国は、なかなか無いだろうな・・と、海外に出てみると思います。

 買い物に行く時は、子供を一人で家に置いておくこともできないので、必ず一緒に連れて行きましたが、一人で買い物に行かせることなどは、できません。

 それでも、お金を払って、何か物を買うということをさせてみたくて、娘が初めて、お金を持って、フランスで買い物をしたのは、パン屋さんでした。

「焼けすぎていないバゲット一本下さい」と言いなさいと言って、パン屋さんの前まで一緒に行って、パン屋さんの外で待っている・・というのが、娘のはじめてのおつかいでした。

 せいぜいこの程度がフランスでできる「プチはじめてのおつかい」です。

 日本に一時帰国した際、娘を実家の近くの区立の小学校に一時入学(2週間ほど)させて頂いたことも数年ありましたが、教頭先生から「登下校の際にお子さんにこれを持たせてください」と、防犯ベルを渡された時には、日本もこんなになったのか・・と驚かされましたが、基本的には、近所の子供が数人で子供だけで登校できるのは、やはり、スゴいことです。

 電車やバスに乗れば、私立の小学校に通う子供がランドセルを背負って通学している様子などは、フランスでは考えられない光景だと、あらためて思わせられるのです。

 日本を出て初めて、日本ではあたりまえだったことが、実は、全くあたりまえではなかったことは、実にたくさんあり、どちらかというと、日本の方が特別なんだということが、いかに多いことか! 学校の送り迎えも、「はじめてのおつかい」も、世界的に見たら、驚異的に治安の良い日本ならではのことなのです。


はじめてのおつかい


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