2019年10月18日金曜日

フランスのベビーシッターと子供のお迎え



 パリに引っ越してくる前の数年は、私たちは、パリ郊外の街に住んでいました。

 子供が一歳になったと同時に仕事を始めた私は、クレッシュ(保育園)に子供を預けて働き始めましたが、仕事場がパリだった私も主人も、保育園が終わる時間に迎えに行く事が、なかなか厳しかったので、代わりに保育園に迎えに行ってもらって、私が戻るまで、預かっていてもらうベビーシッターさんを頼んでいました。

 安い私のお給料で、クレッシュにベビーシッターを頼むのは、かなりの出費でしたが、後々は、パリに引っ越すことにしていたので、それまでの間は、仕方ないと考えていました。

 ベビーシッターさんは、クレッシュに掲示してあった広告で、主人が探してきました。彼女は、小学生二人を持つモロッコ出身の主婦で、とても、快く、お迎えという仕事を引き受けてくれました。

 パリであれば、日本人の留学生の方などを探せたのでしょうが、パリ郊外ともなると、そういうわけにもいきません。

 それから、一年くらいは、彼女にお願いをしていたでしょうか? 

 しかし、慣れてくると、馴れ合いというか、甘いことを考え始めたりするのかもしれませんが、ある時、何をきっかけだったかは、忘れてしまいましたが、彼女が小学生の自分の子供にお迎えをさせていたことが、発覚し、今から思えば、小学生の子供に子供を渡してしまうクレッシュもどうかとも思うのですが、すでに、その子供も母親と共に娘のお迎えに付いて行ったりしていたことで、顔見知りになっていたのでしょう。

 とにかく、近所とはいえ、何かあった時に、当時、小学校低学年だった彼女の子供に対応できるとは、思えませんし、彼女の、その責任感のなさに憤慨した私たちは、急遽、他のベビーシッターさんにお願いすることにしたのでした。

 それから、一ヶ月間くらいでしょうか? やめてもらったベビーシッターさんから、夜中に嫌がらせの電話が鳴り止まず、娘に何か仕返し等をされても怖いと思い、警察に通報し、ようやく、嫌がらせの電話はおさまりました。

 しかし、後になって、今度は、我が家の方が、あの家庭は、子供を放置して、学校(幼稚園)にも行かせていないと、警察に通報され、児童保護担当の警察が我が家にやってきたこともありました。

 そんなことは、学校の出席状況を調べればすぐ分かることですし、お休みの日なども、彼女のお稽古事などで、私もびっちり彼女とずっと一緒にいましたので、証人もたくさんおり、まるっきり、問題にはなりませんでしたが、全く、面倒なことをしてくれる人がいるものだと思いましたが、(通報した人の名前は教えてもらえませんでしたが、)考えてみれば、彼女の嫌がらせの通報だったかもしれません。

 私の同僚にも子供を持ちながら、働いている人がほとんどで、そんな話を職場ですると、皆、色々と苦労話を聞かせてくれました。

 ある人は、子供が幼稚園に通っている頃、ベビーシッターさんに子供を預けていたところ、家に帰ってから、子供が鼻水を垂らしていて、風邪を引きかけてしまったようだったので、子供に、” 今日は、何をしていたの?” と聞いたところ、子供は、無邪気に、”シッターさんと一緒に郵便屋さんごっこをしたんだ!” と言ったのだそうです。

 最初は、何の疑問も感じずに子供との会話を続けていた彼女ですが、それがあまりに具体的で、おかしい??と感じはじめ、子供を問い詰めると、何と、チラシをポストに入れて歩く仕事を子供に手伝わせていたことが判明し、即刻、シッターさんを変えたとの事でした。

 まあ、シッターさんからしたら、子供と一緒にいたのだからいいだろうと考えたのかもしれませんが、倫理観の違いとでもいうのでしょうか? 他人事ながら、全く呆れた話で、ベビーシッターさん選びも、気をつけて、子供から出来るだけ、話を聞きださなければいけないと痛感したものです。

 パリに引っ越してからは、学校のエチュード(学校の授業が終わった後に宿題等を見てくれる時間)の時間の終わりには、何とかギリギリで間に合うようになったので、ベビーシッターさんは、雇わなくてもいいようになりましたが、仕事が終わるのがギリギリになってしまったり、途中のバスが渋滞して、遅れてしまったり、ハラハラ、ドキドキの毎日でした。

 フランス人は、時間を守らないくせに、学校が終わる時間だけは、きっちりしていて、時間に少しでも遅れてしまうと、おっかない顔をして、”セ・パ・ポッシブル!!(ありえない!)マダム!” などと怒られ、こんな時だけ、時間を守るフランス人を恨めしく思ったこともありました。

 私自身は、時間には、キッチリしている方ですが、パリの交通事情は、そんなに生易しいものではありません。

 遅れそうになって、メトロの駅のエスカレーターを駆け上がって、転んで、すぐには、立ち上がれずに、転んだ状態のまま、ズルズルとエレベーターで、上に辿り着いた時の恥ずかしさは、今でも忘れられません。

 パリでは、普通は、子供が小学校卒業までは、子供の送り迎えが求められます。

 その年齢までは、送り迎えが求められるということは、それだけ、危険に遭遇する可能性があるということなのです。

 生まれたばかりの頃は、早く、首が座ればいい、次は、歩けるようになったら・・トイレに行けるようになったら・・と、次々と子供の成長を願いますが、本当に大変だった子供の送り迎え。

 子供が一人で学校へ行って、帰って来れるようになったら・・と、どれだけ思ったことでしょうか?

 でも、今から思えば、必死で送り迎えをしていた頃が、大変だったけど、一番、子供との濃密な時間を過ごせた期間だったのかもしれません。









 




























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