エチュードの講師のアルバイトをする娘とフランスの中・高校生
娘は、現在、学生ですが、学業のかたわら、アルバイトをしています。
日本では、学生のアルバイトというのは、珍しくないことだと思いますが、失業率の高いフランスでは、大学にもよりますが、時間的には、少し余裕ができても、日本のように、学業を優先しつつも、学生が自分の空き時間に、都合よくできるようなアルバイトは、少ないのです。
彼女は、現在、週に1〜2回、エチュードといって、学校の授業が終わった後に、宿題や補習をする授業の講師のアルバイトをしています。
フランスなら、おそらく、どこの学校にも、学校の授業とは、別に、エチュードという時間が設けられていると思いますが、これは、授業の単位とは関係のないもので、強制的に参加しなければならないものではありません。
また、そのあり方も様々で、彼女自身が通っていた中学・高校では、エチュードの時間はあったものの、その時間帯を監督する人がいるだけで、特別に勉強を教えてくれるわけではなく、あくまで、自習のような時間でした。
しかし、現在、彼女がアルバイトに行っている私立の学校は、学校が場所を提供して、学校側と、その講師を派遣している会社とが契約をして、その学校の生徒の希望者に実際に勉強を教えてくれる人を雇っているのです。
そんなシステムを取っているくらいですから、その学校自体も地域では、なかなかのレベルの学校なのです。
保護者がそのために払っている金額も決して、安くはありません。
彼女が担当しているのは、中学2〜3年生の生徒で、彼女は、やる気がない生徒が少なからずいることを嘆いています。
科目は、特に決められてはいないようですが、基本的には、個々の生徒の宿題を見て、その問題の解き方や勉強の仕方を教えるのだそうです。
中には、真剣に取り組んでいる子供もいますが、ダメな子に限って、アドバイスを聞きません。
サボることばかり考えて、時間中もふらふら歩き回ったり、消しゴムを投げて遊んだりして、トイレは授業の前に済ませるように、そして、実際に授業を始める前にもトイレは、大丈夫ですね・・と確認しているにも関わらず、授業の途中で、トイレに行きたいというので、仕方なく許可したところ、いつまでたっても戻ってこないと思ったら、校庭で遊んでいるというのです。
頃合いを見計らって、教室に戻ってくる、そんな生徒を、彼女は、教室には、入れず、「あなたが、何のために、ここに来ているのかわかりません。あなたは、何で、ここに来ているのですか? やる気がない人は、他の人にも迷惑になるから、教室から出て行って下さい。」と申し渡すのだそうです。
全く、我が娘ながら、怖い先生ですが、クラス全体がその子のようなリズムや温度に飲み込まれてしまっては、クラスは収集がつかなくなってしまいます。
その子への退室命令は、それが初めてのことではなかった様子で、その結果がどうなるのかがわかっているその男の子は、その場で泣き出してしまったそうです。
というのも、毎回の授業が終わると、その日の授業や勉強の進捗状況を各保護者に簡単なレポートを各保護者に送ることになっているからです。
保護者の方は、私立の学校の学費プラス、エチュードにお金を払って、子供を勉強させているわけですから、教育に対して、かなり意識が高い親なわけです。
そのような報告を送っても、保護者からのクレームは一切、ないそうです。
その生徒も、うちの娘のような、アカの他人の講師に怒られることなどは、その場限りのことで、さほど、気にもかけないでしょうが、家に帰って、その報告が親に行けば、家に帰って、余程、絞られるのでしょう。
しかし、どんなに親が一生懸命でも、子供にやる気がないならば、仕方ないのです。
子供のやる気を引き出すには、子供が勉強しないことを怒るのではなく、別のスイッチの入れ方があるように思うのです。
以前、私の中学の先生で、非常に厳しい、しかし、とても人気のある毅然とした女性の英語の先生がいました。
授業中に私語が聞こえたり、真剣に取り組んでいない生徒がいると、決して感情的にはならず、しかし、毅然として、「You may go home.」(どうぞ、お帰りください)と言われるのです。
その先生の授業は、いつも緊張感があり、生徒たちは、皆、いつの間にか彼女の授業に引き込まれていたものです。
私は、娘の話を聞いていて、その先生の話を思い出しました。
しかし、まあ、娘がいつの間にか、こんなに強くなったのか、彼女は、教師志望の学生ではありませんが、こうして、アルバイトをして、彼女の専門の研究とは別の、色々な人との関わり方の学びを積み重ねる機会を頂いていることをとても感謝しています。
0 コメント:
コメントを投稿