2019年10月11日金曜日

フランスの学校のキャンティーン・給食




 フランスの学校のランチは、キャンティーンといって、その多くが、給食のような形態を取っています。働いているお母さんがほとんどなので、子供たちは、ほぼほぼ、キャンティーンを利用しています。

 中には、幼稚園や小学校の間は、働いていないお母さんや、働いているお母さんでも、ヌーヌー(子守さん)を雇って、お昼の時間になると、子供を迎えに来て、家で食事をさせてから、また学校へ連れて行くという人もいましたが、それは、少数です。

 いくら、働いていないとしても、子供を朝、学校に送って行って、お昼に迎えに行って、ご飯を食べさせて、また、学校に送って行って、そして、また夕方、迎えに行く・・なんてやっていたら、一日がほとんど潰れてしまいます。

 最近は、宗教的な食べ物の縛りや、ベジタリアンやアレルギーに対応するメニューもあったりするので、お弁当などの持ち込みは禁止されています。

 学校側も、うちの学校のキャンティーンでは、健康にも充分、留意した食事を提供しています。フライドポテトは、出しません!というのが、ご自慢のようでした。
(それって、自慢することかい!とこっそり思っていましたが・・)

 その代わりに、グーテといって、間食のようなものは、午後4時半に学校の授業が終わった時間からエチュードといって、その後に学校の宿題等を見てくれる時間の間に食べるお菓子やちょっと甘めのパンだったりするものは、持って行くことが許されていました。

 キャンティーンのメニューは、前もって、学校から、一週間ごとに知らされるのですが、メニューだけ見ると、なかなか、しっかりしたもので、アントレ(前菜)、メイン、デザート、とチーズやヨーグルトなどの乳製品が入っており、バランスも考えられていて、一応、コース料理のようなメニューになっています。

 例えば、・前菜 パテ(テリーヌ)とピクルス
      メイン 七面鳥のロースト 人参添え
      デザート 果物(桃)
      乳製品 フロマージュブラン(ヨーグルトのようなもの)
      パン
 とか、
     ・前菜 ジャガイモのサラダミモレット
     ・メイン プアソンパネ(魚のフライ)レモン風味 グリンピース添え
     ・デザート シェーブルのチーズ(ヤギのチーズ)
     ・パン

 メニューを見る限り、まずまずというか、なかなかの食事です。
 (しかし、私自身は、一度も食べたことがないので、お味の方は、わかりません。)

 ところが、娘は、もともと、フランス料理があまり好きではなく、というのも、フランス料理のソース類(ベシャメルソースやマヨネーズ、バターソースなど)、乳製品が苦手で、フランス料理といえば、何らかのソースを使っているお料理が多く、彼女がキャンティーンを好まないだろうことは、わかっていましたが、フランスに住んでいる以上、一生避けて通れるものでもなく、普通のフランス人が食べるものと同じものを食べる機会が1日、一食分、しかも、学校のある期間ぐらいは、食べてもいいだろうと思っていました。

 学校から、帰ってきて、「今日は、キャンティーンで何を食べた?」 と聞くと、「きゅうりとご飯」とか、「トマトとブレ(小麦)」とか、答えるので、「メインは何だったの?」と問いただすと、「お肉になんか、オレンジ色っぽいソースがかかっているものだった・・」とか、「今日は、ベージュっぽいソースがかかっていた・・」とか、もはや、彼女にとっては、かかっているソースの色を説明するのみで、こちらまで、「・・で、今日は、何色のソースだったの?」と聞く始末・・・。

 たまに、プーレロティ(鶏をオーブンで焼いたもの)やステークアッシェ(ひき肉をハンバーグのような形にして焼いたもの)などのシンプルなものがある時には、食べていたようですが、まったく、無残なものでした。

 だいたいにおいて、私は、家にあるものを適当にお弁当にして、職場に持って行っていましたし、主人の職場にも、キャンティーンがありましたが、これまた、公務員価格で破格に安いお値段で、結果的に、娘のお昼ご飯が一番、高かったのです。

 しかも、ロクに食べないのですから・・。

 それにしても、彼女は、クレッシュ(保育園)から、小・中・高プラス、プレパーの2年間、そして現在のエコールを合計して20年近くもキャンティーンの昼食を食べ続けているのです。

 それでも、ずいぶん、キャンティーンの食事も食べられるようになったし、大きくなれば、ある程度、自分で選ぶことができるので、ずいぶんマシになったと思っていたのです。

 ところが、彼女は、「今年からは、キャンティーンはやめた!自分で、お弁当を持って行くことにした!」と言い始めたのです。

 今は、一人暮らしをして、自分でお料理をしている彼女ですが、ロクに食べられないものにお金を払うより、確実に食べられるものを自分で持って行くほうが経済的だし、キャンティーンで並ばなくてもいい、と言うのです。

 自分で作るのだし、まあ、それがいいのなら、そうしたら・・と言っていますが、結局、娘は、20年間のキャンティーン生活を経てもなお、キャンティーンの食事には、一向に馴染まなかったのであります。

   
 














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