2020年6月30日火曜日

バイリンガルになった娘の日本語 複数言語を使う生活




 娘がパリに戻ってきて、約2ヶ月が経ちました。彼女は、2年間、彼女の希望の地方のエコールに通うために、生まれて初めて親元を離れて、一人暮らしをしていました。一人暮らしといっても、シェアハウスのようなところで、数人の同居人のいる中での生活でした。

 もちろん、周りはフランス人ばかりですから、フランス語一色の生活で、2年間を過ごしてきたのです。本来ならば、エコールは、もう一年あるのですが、残りの一年は、スタージュやら留学の予定が入っているために、パリの自宅に戻ってきたのです。

 とはいっても、大部分の彼女の荷物は、パリの自宅においたままだったので、バカンスのたびに、衣替えも兼ねて、何かと言えば、戻ってきては、一週間くらい、滞在し、夏休みなどの長い休みの間は、パリの自宅からスタージュに通っていました。

 私は、彼女が生まれた時から、彼女には、日本語がきちんとできるようになってほしいと、他の勉強については、うるさく言ったことは、一度もありませんでしたが、日本語については、かなり厳しく教えてきました。何しろ、フランスで普通に生活をしていれば、日本語は、全く必要のない言語、かなり意識的に強要しなければ、日本語ができるようにはなりません。

 家の中でも、パパとはフランス語でも、私とは日本語だけ、小さい頃は、テレビは、日本語のDVDのみ、フランスの学校が始まって日本語の勉強をすることが億劫にならないようにと、2歳から公文に通わせて、鉛筆の持ち方から日本人に日本語で教えていただきました。

 夜寝る前には、毎日、必ず日本語の絵本の読み聞かせも欠かさずに続け、毎年、夏休みには、日本へ連れて行き、日本語ができない子は、日本へは連れていけないと、娘の鼻先に日本行きという人参をぶら下げていました。

 私もフルタイムでの仕事があり、送り迎えが大変で、公文は、週に一回しか行けませんでしたが、必ず一週間分の宿題をもらって、毎日、学校から帰ると私は食事の支度をしながら彼女の公文の宿題を見ていました。彼女には、日本語を話すだけでなく、ちゃんと読み書きもできるようになって欲しかったからです。

 10年くらい続けたでしょうか? 送り迎えも、夕方のバタバタした時間に宿題を見てあげるのも大変でしたが、おかげで彼女は、人並みに日本語ができるようになり、つい先日、CVに書き加えることを増やしたいからと日本語検定試験の一級を受験して合格しました。

 ところが、この3ヶ月間のロックダウンでパリに戻ってくることができず、たまに私と電話で話す以外は、全く日本語を使わない日が続き、パリに戻ってきたときには、日本語のレベルが明らかに落ちていました。「よく、それで日本語検定受かったね〜!」というほど、以前は、スラスラと言葉があとをついて出てきたのが、言葉に詰まってしまうことが増えてしまっていたのです。

 パリに戻って2ヶ月経って、彼女の日本語は、すっかり元どおりに戻りました。言語は、使っていないと錆び付くのをロックダウンでまざまざと思い知らされました。

 現在、彼女は、ロンドンの大学にスタージュに行くはずが、これまたコロナのためにロンドンには行けず、家でロンドンの大学の先生と連絡を取りながら、リモートワークをしています。彼女が小さい頃に日本語と並行して英語のカードなどを使って英語を教えようとしたこともありましたが、そのうち英語にまでは手が回らなくなって、彼女の英語は、どんななのか聞いたことがありません。

 一緒に旅行に行って、フランス語が通じない国に行くと、英語で話すしかないのですが、練習だから、話してごらん!と言っても、決して私の前で英語を話すことはありませんでした。今もロンドンとテレワークしている様子は見せてくれません。

 そんな生活なので、彼女は、パリで、私とは、日本語で、友達とはフランス語で連絡をとりながら、仕事は英語でしています。先日、英語での仕事中に私が日本語で声をかけたら、「Ah Oui(ア〜ウィ!)」と答えたので、思わず笑ってしまったら、なんだか、彼女も自分で「ア〜ウィー」と言ってしまったことが、わけがわからない様子でバツが悪い顔をしていました。

 複数言語を使っている場合、私も切り替えがうまく行かないことがあります。日本語を話していてもフランス語の単語を平気で混ぜて話していたり、特にフランス語と英語に関しては、似たような単語も多く、これ?フランス語だった?英語だった?と迷うことがあります。

 でも、私は、このいくつかの言語を使う生活が結構、気に入っています。使っている言語によって、自分のテンションも変わったりもします。そんな自分自身の変化も楽しんでいます。

 先日、テレビを見ながら、娘が、「フランス人は毛深い人が多いけど、日本人は毛浅いもんね・・」と言いました。「深い」の反対は、「浅い」と思って、使ったようです。また、「塵も積もれば・・何になるんだっけ??」とか言っています。私は、冗談で、「ゴミ!」と答えましたが、すぐに、「あ〜山だったね・・」と気付いたようです。

 すっかり元に戻ったと思った彼女の日本語、まだまだお勉強が必要なようです。


バイリンガル


<関連>
「バイリンガルに育てる方法」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_24.html

「フランスの教育・学校・バイリンガル教育」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_7.html

2020年6月29日月曜日

統一地方選挙当日のBFMTV(ニュースチャンネル)のストライキ


Des employés des chaînes BFM-TV, RMC et RMC Découverte ont manifesté devant le siège d’Altice, la maison mère, à Paris, le 24 juin 2020.


 フランス人は、政治の話をするのが好きで、子供でさえも、家庭内での話題なのか、親の受け売りなのでしょうが、小さな子供同士で、政治について語ったりする様子は、なんともおしゃまな感じで、可愛らしい光景です。

 先週末は、コロナウィルス感染によるロックダウンにより、延期になっていた統一市長選挙の第二戦が行われ、日曜日は、テレビも選挙一色で、朝から晩まで選挙選挙選挙の一日でした。

 フランスは、選挙のシステムが日本とは、違い、一回戦で、一位の候補者が、過半数以上に達しなかった地区については、第二戦が行われるのです。

 前回の第一戦は、3月14日(日)のコロナウィルスの感染拡大が、かなりヤバい状態であることが、国民にも伝わり始めた時期でもあり、政府は、とうに学校の閉鎖やロックダウンを決めていた段階での、かなりの強硬に選挙を実施したせいもあり、フランスにしては、珍しいほどの投票率の低さでしたが、3月の第一戦の段階で、決まってしまっている地域も当然のことながら、あったわけですが、多くの地域では、今回の第二戦に至ったわけです。

 ロックダウンが解除になってまもなく、統一地方選、第二戦の日程が発表されていましたが、どちらかというと、ほんの直前までは、選挙の候補者などのことよりも、投票による感染拡大が心配される報道の方が多いくらいでした。

 ロックダウン中の国民へのマスク配布も、選挙を控えていたこともあり、各市町村に委ねられた形になり、各市町村は、フランスとは思えないような速さで、早々に国民への配布が決まっていたアベノマスクよりも、結果的には、ずっと早く配布されたのでした。
(しかし、せっかく配られたマスクも今となっては、あまり使用している人がいないのは、残念ですが・・)

 そんな中、フランスの大手、ニュースチャンネルであるBFMTV(ベーエフエムテレビ)は、業績悪化(広告収入の激減)のために従業員500名を解雇する会社の経営計画に反対するストライキを実施したのです。ニュースチャンネルにとって、政治への関心の高いフランスでの選挙速報は、なかなかのハイライト、高視聴率も期待できるタイミングです。そんな中のストライキとは、なかなかやってくれるものです。

 従業員のストライキにより、速報や中継の報道ができないBFMTVは一日中、選挙とは、何の関係もないドキュメンタリーフィルムの再放送を続けざるを得なかったのです。

 ニュースチャンネルでの再放送、しかもこの選挙の当日に・・何か事件が起これば、BFMTVの中継車を街で見かけることも多く、そんなチャンネルがこのタイミングでのストライキとは、さすが、フランス、やることが大胆です。

 しかし、ニュースチャンネルでありながら、選挙というイベントに放送をせずにストライキなどしたら、チャンネルとしての信用が失墜することも大いに考えられますが、ここはまた、ストライキと言えば、特定の割合の人は、「黙っていてはいけない、経営者の思うとおりにさせてはいけない、ストライキはするべきだ!」と理解を示す人々もいるのもフランスです。

 しかし、他のチャンネルは、当然のごとく、選挙速報から結果を見守る討論会状態と、各市町村の当選した候補者の中継などを次々と報道していましたが、地方のことは、あまりわからない私にとっては、パリ市長が続投・・フィリップ首相がルアーブル市長選再選ということくらい・・。

 気になるのは、当選した候補者を始めとして、マスクをしていない人がほとんどなこと・・これで、ますますフランスは、経済再開に向けての土台を固めて、コロナ色は薄れて、アクセルがかかっていくことでしょう。

 もう一つ、気になっているのは、フランスのコロナウィルスに関するデータ(新規感染者数、死亡者数等)が2日続いて発表されていないことです。もしかして、こちらの統計をとる機関もストライキ???と心配しています。

<関連>「ストライキ大国・フランス」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html
















 
 

2020年6月28日日曜日

フランス最大の化粧品会社ロレアル商品の美白表現撤廃 フランス人は美白がいいとは思っていない



 世界最大のフランスの化粧品会社、LOREAL(ロレアル)は、スキンケア商品から、「ホワイトニング」「美白」「色白」「明るい」などの表示を撤廃することを発表しました。世界で起こっている人種差別問題の拡大による動向に対応したものです。

 ロレアルといえば、LANCOME(ランコム)などを始めとした比較的高価な商品から、庶民向けのお手頃価格の商品までを一手に扱うフランスの巨大メーカーです。そのため、ロレアルは消費者層も幅広く、研究部門なども巨大な施設を持ち、ランコムの商品などに関しても、最も広範囲の人の肌質に合うように作られており、たくさんあるフランスの化粧品の中でも、最もお肌のトラブルが少ないメーカーの印象があります。

 今回のホワイトニング商品の表示については、白い肌が優れているという印象を与えかねない表現ということで、ロレアルだけでなく、世界各国の大手の化粧品メーカーは、続々とホワイトニング商品の表示を変更を発表しています。

 しかし、当のフランス人などの白人には、白い肌が優れているという感覚は、全くなく、むしろ、フランス人は、真っ黒に日焼けしていることがカッコいいと思っており、(これは、肌の色そのものよりも、真っ黒に日焼けしてリッチなバカンスを満喫していることをアピールしたいということ)ホワイトニングや日焼け止めなどの商品は、全く人気がなく、むしろ、日焼けして、赤くただれて、象のような肌になっても、「こんなに焼けて、私って素敵でしょ!」というドヤ顔をしている彼女たちを、私としては、少しは、日焼けを控えて、ちゃんと手入れしないと、このまま歳をとったら、大変なのに・・と、こっそり心の中では、思っているほどです。

 ですから、ロレアルを始めとするフランスの化粧品会社のホワイトニング商品は、主には、アジアやを始めとする海外向けの商品で、フランスの商品だからとフランスで購入しようとしても、商品によっては、アジア限定の商品だったりします。フランスの商品なのにフランスでは売っていなかったりする、ホワイトニングケアの商品は、ある種、独特な位置付けであることは確かです。

 実際に、肌の色で酷い差別を受けている人々には、ホワイトという言葉だけでも、不快な思いをする方もいらっしゃるのかもしれませんが、ことアジアの人、日本人にとっては、何も白人に憧れたり、白人が優れているからホワイトニングケアをしているわけではなく、透明感のあるしっとりとした質感も含めての美しい肌になりたいと思っていると思うので、単に色だけを求めているわけではなく、白人への憧れでもなく、どうにも見当違いな感が拭えません。

 だからと言って、スキンケア商品の中でもかなりのシェアに当たるホワイトニングケアの商品が消えて無くなるわけでもなく、何らかの新しい表現に変わるだけで、新しいホワイトニングに変わるワードが生まれ、逆に新たなマーケティングのきっかけになるかもしれません。

 だいたい、ホワイトニングの表現を撤廃する発表をしたことで、フランスを始めとして、世界各国は、ロレアルの名前をあげて、ニュースで報道し、ロレアルの名前をさらに世界中に知らしめる結果となっているのです。


<関連>「フランス人は、女を捨てない!パリのジムでの大らかなパリジェンヌたち」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_14.html

 


2020年6月27日土曜日

コロナウィルス新規感染者数が1500人を超えても全然、平気なフランス




 26日の一日のコロナウィルスの新規感染者数が1588名に跳ね上がったのを見て、私は、震え上がりました。それなのに、フランスのテレビは、全くこれを報道しないことをとても不思議に思っています。

 日曜日に控えた統一地方選挙、特にパリ市長の候補者についてや、SANOFI(サノフィー)というフランス大手の製薬会社が大規模な人員削減とか、果ては、話題に尽きたのか、パリ市長選挙にちなんでか、シラク大統領やカルロス・ゴーンやイギリスのヘンリー王子とメーガン妃が王室を脱退するまでのドキュメンタリー映像を流したり、まるで、コロナウィルスの新規感染者の増加は、問題視されていません。

 しかも、今日は、土曜日で、もはや、ロックダウン解除後には、恒例となったデモが行われることになっており、パリだけでも7件のデモ開催の申請に対して、5件に許可が下りていることが発表されています。

 統計の取り方も安定していないのかもしれませんが、先週あたりから 344, 458, 467, 811と、グングン増加していると思っていたら、今週に入って、373, 517, 81, ? と、若干下がったの?と思いきや、先日は、テクニカルプロブレムとかで、新規感染者数は、不明。そして、昨日になって、いきなり1500人超えというのですから、驚きます。

 先日、ドイツで食肉処理工場でのクラスターのでさえも、一日の最大の新規感染者数は、1122名でした。フランスがドイツ以上に検査をしているとも思えず、クラスターでなく、1500人超えの新規感染者数というのには、愕然とします。

 テレビでは、相変わらず、垂れ流しのように、コロナウィルスへの警戒を促すコマーシャルが流れていますが、今となっては、何も国民には、響いていません。

 3月の時点でのロックダウンにしても、3月1日には、すでに学校閉鎖は、決まっていたと言います。ところが、フランス政府は、国民の動揺を考えて、段階的にロックダウンを行った結果が、今の3万人近い死亡者数に繋がっています。

 意外にも、国民の動揺を重視して考えるフランスには、驚きですが、最悪の結果を迎えた場合の動揺は、考えないのかが不思議です。無症状の感染者の増加で、今は、気候の影響で発症、重症化しないことから、騒がないのかもしれませんが、この状態で、一定の、あるいは、それ以上の感染者を保ちつつ、気温が下がる秋を迎えれば、再び、最悪の状況に陥ることは、必須です。

 この危険な状況を報道せずに、無意味なコマーシャルを流し続け、毎週のように数万人規模のデモが行われています。この数字がいかに危険なことかを報道することの方が、よほど、コマーシャルよりも国民には刺さると思うのです。

 今やマスクは、誰でも買える状態になりましたが、暑さも合間って、マスクは店頭に山積み状態、つまり、ほとんどの人がマスクをしない状態です。今日、通りを歩いていた年配の男性が、暑いのにジャケットを着て、手には、マスクをぶら下げているのを見かけて、この人は、暑い街中は、マスクを外して歩いても、屋内に入ったらマスクをするんだろうな・・と思って、フランスにも、ちゃんとした人がいるんだと、マスクを手にぶら下げて歩いている人を見つけるだけで嬉しい自分にビックリします。

 24日のデータが81名というのも、少し少なすぎておかしいので、翌日の不明分も合わせて、3日分のデータで、1500人超えという数字になっているのかもしれませんが、それでも一日あたり安定の500人超えの数字です。

 だいたい、現在の状況を正確に把握できないこと自体、はっきり言って、ぬるいです。

 今週末は、デモ、選挙、7月に入れば、パリ祭と、これからもクラスターとなりうる行事が満載のフランス。どうにかして!!と思うのは、私だけなのでしょうか? 

 フランス人のモラルの低さには、ほとほと呆れ返るばかりです。



<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

 

2020年6月26日金曜日

パリで冷房なしで猛暑(42℃)を乗り切る方法


昨年の記録的な暑さのパリの気温、記念に?スクショを撮りました


 まだ6月だというのにパリの気温が35℃近くまで上がることが、昨日からの天気予報でわかっていたので、朝から、少し警戒して過ごしました。こんな時に限って、外出する用事ができて、午前中の出来るだけ早い時間に用事を済ませ、往復、30分ほど歩いて、家に戻った時には、もう汗だくで、シャワーを浴びて、冷たい飲み物を飲んで、一息つきました。

 しかし、午後には、さらに暑くなることから、シャッターのある部屋は、全て、シャッターをしめて、窓も閉めて、シャッターのない部屋には、衝立をして、光を防ぎました。これは、ここ数年、酷暑と言われるほどの夏をなんとか、冷房なしで乗り切って培った予防策です。

 もともと、フランスは、湿度が低く、アパートもぶ厚い石で覆われた建物なので、外が暑くても、よほどの気温でない限り、アパートの建物に入れば、スッとするような感じで、扇風機くらいがあれば、十分に過ごすことができていました。だから、娘の学校の休みに合わせて、夏休みに、さほど暑さも厳しくない快適なパリを出て、わざわざ最も航空運賃の高い季節に日本に行くことを忌々しく思っていた時期もありました。

 それが、ここ数年、パリの夏の暑さは、異常で、昨年の夏のパリは、酷暑で、42℃まで気温が上がった日がありました。さすがに、いくら湿度がなくても、40℃を超える暑さを冷房なしで乗り切るのは、ちょっと恐怖でした。

 フランスでは、さすがに会社や店舗、レストランなどは、冷房がありますが、一般家庭では、未だに冷房のない家がほとんどだと思います。類に漏れず、我が家にも冷房はありません。言っても、一年のわずかな時期の暑さのために冷房を買うのは、躊躇われ、アフリカから引っ越して来た我が家には、扇風機だけは、やたらとあるのです。

 フランスの天気予報は、当たらないことで有名ですが、気温の上昇に関しては、かなり当たります。ですから、今日のようにかなり暑くなることがわかっている日には、朝の早い時間に家の空気を入れ換えて、夜の分まで、大体の料理を済ませ、あとは、窓を閉め、光を遮って、出来るだけ、外の熱い空気が入らないようにして過ごします。

 日本だと一番暑い時間帯は、正午から午後2時くらいの感じですが、フランスは、なぜか、午後4時頃が一番、暑いです。

 外出の際は、水やお茶を入れたペットボトルを凍らせて、それを小さな薄手のタオルに巻いて、抱えて歩きます。ポケットには、保冷剤を入れます。途中、ペットボトルは、どんどん溶けていくので、冷たい水を飲むこともできます。会社についたら、また、ペットボトルや保冷剤は、冷凍庫に入れておき、帰りに再び、それを抱えて帰ります。

 家にいる際は、バスタオルを濡らして、肩からかけています。暑い日には、あっという間にタオルが乾いてしまうので、何度も水で濡らします。そのうち、水道の水もぬるくなってくるので、お風呂に水をはり、たまらなくなると、水風呂に浸かって身体を冷します。

 我が家のベランダは、やたらと陽当たりが良く、とても暑くなるので、最近は、夏になると、きゅうりを植えます。きゅうりがグングン伸びて、良い日除けになってくれます。きゅうりも取れるし、日除けにもなるし、とても良い暑さ対策です。
 
日除けになってくれるきゅうり

しかし、昨年の42℃まで気温が上がった際は、さすがのきゅうりも瀕死の状態で、夜には、すっかりしおれてしまっていました。大切に育ててきたきゅうりが枯れかけてしまって、諦めきれずに、半泣きで夜中に水をあげたら、朝には、復活していましたので、きゅうりの生命力の強さに感激したりしました。

 暑い時には、身体の内側から冷やすのもなかなか効果的です。フランス人は圧倒的にアイスクリームの方が好きなようで、あまり、アイスキャンディーはないのですが、(暑い時には、アイスクリームよりもアイスキャンディーの方がさっぱりしていて好き)昨年、モヒートとライムのアイスキャンディーを見つけ、夏には、常備しています。

 
モヒートとライムのアイスキャンディー

日本なら、暑くても、どこでも冷房が効いていて、何かと快適ですが、こうして、原始的な工夫をしながら、サバイバル生活のように乗り切る生活も、なんだか少し、最近は、楽しい気がしている今日この頃です。

 3ヶ月間、ロックダウンになって、その間のパリの大気汚染は、解消されたかに見えましたが、3ヶ月だけではダメなのですね。ロックダウン中、空気がきれいになったというニュースを見て、神様が人間が地球に対して行って来た横暴を懲らしめるためだったのではないかと感じたことがありました。

 コロナウィルスは、気温が下がると活発になるらしいという話もあり、冷房の効いたところに行くのも、なんだか躊躇われる今年の夏は、この原始的な方法で、暑さを乗り越えていこうと、ちょっと暑かった今日の日に改めて思うのでした。


<関連>「便利な生活が齎すもの フランスへの修行ツアーのススメ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_17.html
 

2020年6月25日木曜日

FAUCHON(フォション・パリ)破産申請 コロナの経済打撃は、パリの老舗にも・・





 パリの老舗である高級食料品店「FAUCHON」フォションは、裁判所に破産申請を提出しました。本社と、パリのマドレーヌ広場にある3つのパリの店舗(ブランドの象徴であり、130年以上にわたってブランドを象徴するもの)とオテルフォション(ホテル)のティールームがこれに該当します。(ホテル自体は、別経営)

 フォションは、日本では、紅茶やジャム、パンや焼き菓子などで有名ですが、パリの店舗では、むしろ、デリカテッセンや、フォアグラやトリュフ、生ハムのような高級食材、ワイン、チーズ、ケーキ、香辛料、チョコレートなど広範囲にわたる食材を扱う高級食料品店で、娘が小さい頃に、日本でフォションのお店を見つけて、日本には、フォションのパン屋さんがあるんだ・・と驚いていたことがありました。

 黒とピンクを使った独特なフォションの店舗の外観は、マドレーヌ界隈でも、一際目立つ存在でした。

 同じくフォションと目と鼻の先にあった競合店(同じく高級食料品店「HEDIARD」エディアールは、2013年の段階で、破産申請が行われており(現在は、オンラインショップと海外店舗の運営)、その時点では、フォションだけが生き残ったように思われていたのですが、実際の経営は、パリの店舗での売り上げは、全体の10%にも満たない状態で、経営危機に瀕していたのです。

 以前は、日本からの観光客もパリに来れば、フォションの紅茶(特にアップルティー)を買い漁っていた時期もあり、パリの街中ではよく、観光客がフォションの目立つ紙袋を持って歩く姿を見かけましたが、今や、パリで紅茶を探すといえば、Mariage Frères マリアージュフレールか最近は、KUSMI TEA(クスミティー)で、観光客の客足も激減していました。

 追い打ちをかけるように、2015年のテロ、2018年〜2019年にかけての黄色いベスト運動や年金改革反対の暴力的なデモ、そして、昨年末から今年にかけての大規模な交通機関のストライキ、そして、コロナウィルスのためのロックダウン。

 マドレーヌ界隈は、黄色いベストなどのデモが暴徒化した際の通り道でもあり、被害は、甚大であったと思います。

 134年も続いた老舗フォションの破産申請には、多くの人が驚き、ショックを受けていますが、実際に、私にとっては、ここ数年のフォションは、派手なパッケージとブランドばかりが鼻につく、やたらと高いわりには、大したことない(失礼!)印象がありました。それでも、マドレーヌ界隈に行けば、時には、店内をのぞいてみたりしていましたが、一昨年のノエルの際には、結構な値段のキャビアやスモークサーモンを値段も見ずに買っている年配の男性などを見かけてびっくりしたのを覚えています。

 しかし、考えてみれば、私がたま〜に買う高級食料品?である生ハムやチーズ、チョコレートなどもフォションのような高級食料品のデパートのようなお店で買うことはなく、それぞれ別の好みのお店で購入するのです。その場で焼いている焼き菓子や紅茶やジャムなどを別にすれば、フォションの商品は、パッケージがフォションなのであって、名前で売っているようなもので、当然、その分、値段は上がり、品質も安定しないこともあり、客足は、遠のきます。

 必ずしも関係はないかもしれませんが、以前、頂き物のフォションのボジョレーヌーボーのコルクがプラスチックだったことに驚いたことがあります。ボジョレーヌーボーは、もともと安いワインですが、それにしても、フォションのような老舗がプラスチックのコルクのワインにフォションのラベルを貼って売っていることに、とてもガッカリしたことがあります。(これは、私の勝手な印象で、プラスチックのコルクがそんなに悪いものではないのかもしれませんが・・)

 今回のフォションの破産申請は、再建型破産申請で、これから再建のための措置がとられ、一先ず、130名の従業員がその対象になるとのことですが、マドレーヌのお店が全く消えてしまうのか? なくなるとなると、色々、文句を言いつつも、やはり、マドレーヌ界隈が寂しく感じられるようなパリの街の一部であるようなフォションのお店です。

 フォションのようなお店でも、こんなことが起こるのですから、どれだけ、コロナによる経済危機が大変なことなのかを、日々、感じます。ロックダウンが解除になって、営業できるはずのお店が閉店したままだったり、開店したかと思えば、閉店セールをしていたり、あれだけ、テラスだけでなく、店内での営業許可を求めていたカフェやレストランの客足も今ひとつだったり・・。

 これがいつまで続くのか、長引けば長引くほど、経済は、停滞していきます。ごくごく、あたりまえだった日常が失われていきます。

 ちなみに、フォション・ジャパンは、存続するそうです。


<関連>「ロックダウンによる業績悪化・ルノー15000人削減・モブージュで従業員数千名による大規模デモ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/15000.htm


















2020年6月24日水曜日

コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染




 ドイツ西部、ノルトライン・ウェストファーレン州の食肉処理工場で約1500人の集団感染が起こり、ウェストファーレン州は、23日、工場がある地域全体を再び、ロックダウンしました。

 このロックダウンの対象となったギュウタースロー地域の、人口約36万人は、再び、外出制限、学校閉鎖等の生活に逆戻りしました。これは、とりあえずは、6月30日まで続きます。ドイツは、フランスよりも一足先にロックダウンを解除し、経済活動を再開してきましたが、先陣を切って経済活動を再開していたドイツでの1500人という大規模な集団感染は、フランスにとっても、ショッキングなニュースでした。

 これまでロックダウン中にも、アメリカ、フランスでも、食肉処理工場でのクラスターが報告されてきました。それでも、これだけの大きなクラスターにまでなってしまったのは、そもそもこの工場自体がかなり大規模な工場である上に、この工場の労働者には、ルーマニアやブルガリアなどの東欧からの労働者が多く、これらの人々は、宿舎で、一部屋に数名が生活しており、その宿舎で、さらに感染が広まったと考えられています。

 食品を扱うような、普通の工場よりも衛生には、注意を払っているはずの食肉処理工場での感染拡大の原因は、労働環境の悪さと、かなりの肉体労働のために呼吸が荒くなることから、マスクなどではウィルスの拡散が防ぎきれないことが挙げられていますが、何よりも、生の肉を扱うことから、工場内の気温が低く設定されており、ウィルスがより長く、活発に活動を続けることが大きいようです。

 もとより、感染学的にもウィルスは、気候の影響を強く受けるという説は、定説で、フランスで、今回のコロナウィルスのクロロキン(マラリアの治療薬)による治療で一躍、スターのようになったマルセイユ医大のラウルト教授なども、早い時期から、ウィルスというものは、季節の影響を受けるものなので、夏には、コロナウィルスもおさまるだろうと語っていました。

 今回のドイツの1500人の集団感染のニュースを受けて、フランスは、このウィルスと気温の関係について、深刻な受け取り方をしており、気温が下がり始める秋にはコロナウィルス感染の第2波が来ることは、もはや確実だと言い始めました。

 ドイツは、感染爆発がヨーロッパ各国で起こった中でも、(ヨーロッパの中では、)桁違いに死者数も少なく(フランスの死者数29720、ドイツの死者数8979・6月23日現在)検査数も桁違いに多く、検査と隔離を行ってきた、いわば、ヨーロッパの中のコロナ対応の優等生です。

 ロックダウン解除になってからも新規感染者数も200人前後で、(これは、圧倒的に検査数が多いことから、数字が多くなっています)それが、6月17日の段階で、急に1122人に跳ね上がり、それ以来、622、534、556、544と、高い数字が続いています。

 フランスにいる私にとっては、ドイツでさえ、あっという間にこんな状態に陥るのだから、フランスに、もしこの状況が起こったら、(気温が下がったら)ひとたまりもない・・と思ってしまうのです。

 今週は、フランスも35℃以上の暑さが訪れるようで、これでは、エアコンが使われている場所へ行くのも躊躇われます。

 コロナでも人が亡くなり、猛暑でも人が亡くなります。にっちもさっちもいかないコロナウィルスとの戦いは、まだまだ続きそうです。


<関連>「5月11日のロックダウン解除は延期になる?ロックダウン解除予報マップ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/11.html






2020年6月23日火曜日

フランス・夏のソルド(バーゲン)は、コロナウィルスの影響で7月15日に延期



 フランスでは、例年ならば、夏のSOLDES(ソルド)(バーゲン)は、6月最後の週の水曜日から4週間と決められています。今年は、昨年末からのデモやストライキでお店を開けられなかったり、売り上げが伸びなかったことに加え、従来ならば、春夏物の新作が出回る時期にロックダウン状態だったので、さぞかし、在庫処分のための掘り出し物が期待できるかと思っていました。

 本来ならば、6月24日(水)に始まるはずのソルドの下見にでも出かけようかと思い、とりあえず、今年のソルドの開始日を調べたところ、経済財政省からの通達が出ていて、(フランスでは、夏・冬のバーゲンの時期が法律で決められています)2020年夏のソルドは、コロナウィルスの影響により、7月15日(水)からの4週間、8月11日(火)までに変更されていました。

 しかし、実際には、各店舗の経営は、火の車で、この期日を待つことなく、「SOLDES」という言葉を使わずに、スペシャルオファーとか色々な言葉を使って、値下げして、セールを行っていて、悲惨なお店では、閉店セールなどもやっています。

 今年の夏は、バカンスに出ない人も、例年よりは、多いだろうし、(フランス人のことだから、案外、結構、行ける範囲内でバカンスに出かける人も多いかもしれません)その分を夏のソルドの消費に回す・・なんてこともあり得ないこともありません。

 例年ならば、春夏物の新作が出回り始めるのが、2月から3月にかけてですから、今年発表の予定?もしくは、発表したばかりだったはずのヌーベルコレクションは、ちょうど、新しいものが出回るはずの時期にロックダウン状態であったわけですから、ほとんど日の目を見ないまま、デモデ(流行から外れた状態)になってしまったわけです。

 ロックダウンが解除になった途端に、とにかく買い物をしたかった人で、フランス各地のZARAなどでは、行列ができるほどだったそうですが、そんなお店は、例外で、ほとんどのお店は、新作が届いて、荷ほどきをして、お店に陳列した状態のまま数ヶ月を過ごしたはずで、まもなく届くはずの秋冬物の注文の調整を行いつつ、今年の春夏物の処分に頭を抱えていることと思います。

 皮肉なことに、フランスは、なんでもスローで、古いものに価値を認め、大切に使う人々ですが、ことファッション・化粧品業界に関しては、春夏、秋冬と大きくは年に2回、一年以上前から翌年のモードは、決まっており、次から次へと新作が発表されます。

 まあ、他の業界に比べて、サイクルが早いことは、どこの国でも同じだと思いますが、ファッションなどの流行り物に関しては、時を逃せば、流行遅れになり、価値も激減するので、その分、この半年から一年にかけては、動向が読みづらく、厳しいものとなるに違いありません。

 私にとっては、新作がいきなりバーゲン価格で買えるのですから、またとないチャンスでもありますが、長いこと篭っていて、今年は、どんなものが出ているのか、街中の人々がどんなファッションをしているのかも見ていませんので、購買意欲も今ひとつ湧きませんが、7月15日まで猶予ができたことで、少し下見の時間ができました。

 ソルドは、初日、最初の週末と一週間ごとに値下げ幅を大きくしていくため、叩き売り状態になる最後の週が狙い目です。フランス人も、もうあまりマスクをしている人がいないので、マスクの叩き売りもあり得るかもしれません。(笑)

 とはいえ、外出を控えるようになって、今ひとつ購買意欲が湧かなくなって、ロックダウン解除以来、毎日のように騒がれているデモや音楽祭での人混みを鑑みると、案外、延期した7月15日には、再びロックダウン・外出制限状態になっていたりすることもあり得ないこともないかもしれません。

<関連>「フランスのモードの世界」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_22.html

 

2020年6月22日月曜日

フェット・ド・ラ・ミュージックでまた、群衆 飲んで踊って大騒ぎのフランス人

 
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  フランスには、デモ以外にも、群衆ができる催し物があることを私は、すっかり忘れていました。夏至でもある6月21日は、毎年、Fête de la musique(フェット・ド・ラ・ミュージック)と銘打った音楽祭が各地で行われ、夕方から夜にかけて、場所によっては、朝方まで、お祭り騒ぎです。

 例年は、パリの街中のたくさんの場所で広場などに仮設のステージを建てたりして、コンサートなど、音楽に関する催し物がたくさん開催されます。今年は、コロナウィルスのために、多くの場所でのコンサート等がキャンセルになりましたが、それでも、パリ10区のサンマルタン運河沿いの仮設会場では、多くの人が集まりました。

 もはや、フランスには、フランスにマスクは、ないのかと思うくらい、この群衆には、マスクをしている人は、見当たらず、屋外であるから許可が下りたのかもしれませんが、屋外であることが、ますます、人々を開放的にし、大声で歌い、騒ぎ、踊り、アルコールも入り、ソーシャルディスタンスへの配慮などは、皆無で、22時には、音楽祭自体は、終了させられたものの、盛り上がっている人々は、音楽祭の終了後も近隣の通りに集まり、ますます狭い場所で歌う踊るの大騒ぎ。

 警察もソーシャルディスタンスを呼びかけ、警戒体制を取っていましたが、なすすべもなく、交通整理。音楽で、アルコールも入って盛り上がった人々がどうなるのか?いい加減、政府も想像がつきそうなものの、厚生大臣のオリヴィエ・ヴェランは、SNSで、「今日は、フェット・ド・ラ・ミュージックです。皆さんは、おそらく家族や友達と一緒に集まることでしょう。しかし、ウイルスは依然として蔓延しており、あらゆる状況でバリアジェスチャーを尊重し続けて下さい。自分自身とあなたの愛する人を守ることは、全員の責任です!」などと呼びかけていましたが、そんな呼びかけが伝わるようなフランスではありません。厚生大臣なら、こんな呼びかけをするのではなく、このような集まりは、禁止にすべきでした。

 昨日のデモでも大概、頭にきましたが、今日のフェット・ド・ラ・ミュージックでは、若者が多いとはいえ、大の大人が、この人たちは、バカなんじゃないか? と正直、思いました。また、このような国民を抱える国で、このような催しに、なぜ、許可を下ろしたのか、許可を下ろせば、このサンマルタン運河の状態になることは、事前に充分に想像できたはずです。今は、フランス人を興奮させるような状況を作ってはならないのです。国民の良識におもねるとか、モラルを期待するとかいうことは、フランスでは通用しないのです。

 これまでも、そして、今回のコロナウィルスの件では、本当にフランス人は、どうしようもない、感染が広まったのも致し方ないと度々、思ってきましたが、今日もまた、やっぱり、どうしようもない・・と、再び、強く思いました。

 一方、学校の再開についてや、スポーツ競技に関してなどは、依然として、とても慎重な対応を取っているのが、なんだかすごくチグハグな感じがするほどです。毎日毎日、何千人、何万人という人が集まっている中、学校の再開や他の業種の営業には、やたらとうるさく二の足を踏んでいることが、なんだか、バカバカしく感じられてくるのです。

 これから、毎週、土曜日のデモはあるだろうし、7月に入れば、フランスの革命記念日であるパリ祭がやってきます。いくらでも、人が集まる機会が訪れます。

 来週のパリは、気温が上がり、30℃を超える日が続くそうです。ますますマスクをするのが辛くなる季節になります。まあ、もう既にマスクをしていない人がほとんどなので、関係ないかもしれません。もう、なんだか、投げやりになりそうです。

 今日は、また、つくづく、フランスは、ダメな国だと思いました。

<関連>
「フランスは、やっぱりダメだと、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html

2020年6月21日日曜日

土曜日のデモは、フランスの日常だけど、フランスの新規感染者は、日々、増加しています


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 週末のパリは、デモが日常のようになっていますが、今週末も、警察による暴力や人種差別、不法移民の正規化、黄色いベスト運動など5つのデモが警察が許可のもと、行われました。

 それぞれのデモを行うグループは、警察にデモの目的、集合場所・時間ルート等を予め届け出をすることが義務化されているので、どこで、何のデモが起こるのかは、おおよそは、前もって、知ることができ、デモが暴走した場合の危険を考えて、周辺のメトロの駅が閉鎖されたり、店舗が閉店したりします。

 フランスという国は、つくづく、デモを尊重する国で、人々は、デモクラシー・民主主義の国と、誇らしげに語りますが、その実、かなり社会主義よりの国のような気もしています。

 今週末のデモは、暴力化したデモには、発展はしなかったようですが、前日に発表されたそれぞれのデモの予定表?を見ると、こんなにあるんだ・・と、絶句を通り越えて、もはや、ため息も出ません。しかも、今回のデモでは、マスク率も格段に減ってきています。

 先週あたりから、フランスのコロナウィルスの新規感染者の人数は、152名、344名、458名、467名、811名とすごい勢いで増えており、私は、ちょっとギョッとしているのです。(日本では、新規感染者は、50〜80名くらいでも、とても警戒していますよね。そんな日本が羨ましいです。)

 これだけ、毎週のように、デモだの何だのと人が密集していることを考えれば、この感染者数は、少ないぐらいかもしれません。第2波が来たとしても、治療薬やワクチンは、なくとも、この数ヶ月の経験で、医療者側の対応も心得て来たところもあると思うので、何も知識がなく、わけがわからなかった状態での第一波の感染爆発のような波には、ならないかもしれません。

 しかし、どうしたら感染するのかは、皆、わかってきているのに、あれだけ、恐ろしい体験をしたのに、意気揚々とデモに出かける人々が私には、どうしても理解できません。

 経済の復興のためにも、デモのために閉店せざるを得ない店舗が出たりすることも、納得がいきません。今は、デモで大勢が集まって抗議することが、感染者の増加や、経済を犠牲にしてまですることとは、思えないのです。

 ワクチンも治療薬もない今、コロナウィルスと共存しながらの生活を模索していかなければならないのですが、デモも含めてフランスの日常生活ならば、デモ自体もコロナウィルスと共存するスタイルにシフトしてくれないか?と、甘いことを考えます。

 デモは、フランスだけではなく、アメリカやイギリスなどでも、なかなかの規模で起こっているようです。日頃は、欧米人という言葉の使い方を疑問に思いますが(アメリカとヨーロッパは、全然違うし、何なら、ヨーロッパの国々もそれぞれ違います)、このさなかのデモに向かう血の気の多さは、(あくまでも日本と比べてですが・・)ついつい、欧米は・・と言いたくなってしまいます。

<関連>
「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html













 

2020年6月20日土曜日

ロックダウンのためにずっと行けなかった血液検査に行って驚いた




 私には、遺伝性の心疾患などの持病があって、定期的にお医者さまにかかっています。特に深刻な状態ではないので、呑気に構えていますが、年に一度くらいの割合で、血液検査をして、心臓専門医にかかるように言われています。

 それが、なんやかやと延ばし延ばしになっていた上に、さらにロックダウンになって、血液検査に行けないままになっていました。

 ロックダウンが解除になったと言っても、ウィルスは、消えたわけでもなく、特に医療施設への出入りは、避けたいと思っていたので、血液検査のことは、気にはなりつつも、つい最近まで、ほったらかしにしていました。しかし、第3段階の解除になり、さすがにもうそろそろ・・と思い、まずは、かかりつけのお医者さんにいつもの薬の処方箋をもらいに行った際に、血液検査の詳細を書いた書類を再び書いてもらいました。

 血液検査をしてくれるラボは、家の近所の私立病院に併設されていて、通常ならば、予約なしにやってくれるのですが、一応、電話で確認したところ、現在は、予約と医者からの書類が必要だとのことで、コロナウィルスの検査ではないのね? 緊急ではないのね? 本当にコロナの症状は出ていないのね!としつこく確認され、予め、医者からの書類をメールで送って下さい・・などというやり取りをしたのが、約2週間前のことでした。

 しつこく、コロナの症状を確認されたりしたので、検査に行くときには、てっきり、コロナの検査もしているのだとばかり思って、コロナの患者さんとは、入り口は、別なのかしら?などと思っていたら、実際に行ってみると、全くそんなこともなく、あまりに緩い雰囲気で、拍子抜けしてしまいました。

 入り口には、アルコールジェル、手で触らずに、足で踏むとジェルが出てくるシステムの大きなタンクが置かれており、こんなところにも・・と思わず目に付くトリコロールのマーク入り。
 
ラボ入り口に置かれたアルコールジェル


 受付には、スーパーマーケットなどにもあるような、プラスチックのバリアは、してあるものの、スタッフには、マスクをしていない人もいて、緊張感は、あまりありませんでした。
 
プラスチックのバリアのある受付

 「ロックダウンの最中は、大変だったでしょう?」と聞くと、「いえいえ、全然、ここは、閉まっていたから・・」という、これまた予想外の回答に、こちらの方が驚きました。パリ、イル・ド・フランス医療施設が飽和状態だったのに、医療機関の一部というのに、クローズ状態であったことには、驚きでした。ここは、私立の病院に併設された施設で、隣の私立病院もコロナウィルスの患者の受付は、していなかったようなのです。

 テレビの報道などでは、多くの私立の病院もコロナの患者を引き受けていると報道されていたのに・・現実は、報道どおりではなかったことにも、私は、少なからずショックでした。報道を鵜呑みにしてはいけないと、改めて思いました。こうなると、フランスの国立病院と私立病院の連携は、どうなっているのだろうか?と、疑問を感じずには、いられません。

 彼らは、いつもと全く変わらず、「警察の車が止まっているけど、母が車を駐車してるけど、大丈夫かしら?」などと、至って和やかな雰囲気で、あれだけ、しつこく、コロナの症状があるかないか?を確認していたのは、コロナの症状があったらば、断るためだったのです。

 我が家から、一番近い病院なので、何かあった時には・・と、どこかで心強く思っていたのに、一気に不安になった血液検査でした。


<関連>「絶対に入院したくないフランスの病院」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_53.html

 

2020年6月19日金曜日

コロナウィルスに振り回された娘の教習所通いが再開 今のフランスの教習所はUberみたいになっている




 ロックダウンが解除になって、最近、娘がフランスの自動車運転免許取得のための教習所通いを再開しました。そもそも、娘と運転免許は、つくづく相性が悪いというか、タイミングがことごとく悪いのです。

 彼女が最初に免許を取ると言い出したのは、18歳の時で、しかも、自動車の運転免許ではなく、バイクの免許を取ると言い出したのです。

 そもそも彼女は、柄にもなく、車などの乗り物が苦手で、特に長距離を移動する場合の自動車での移動や、スキー合宿に行ったりするときに乗らざるを得なかった長距離バスや、ナポリからカプリやイスキア島へ移動したりする比較的小さな船なども苦手で、長いこと、乗り物酔いに悩まされてきたので、車というものがあまり好きではなく、車は嫌いだったはずなのに、それでもバイクなら・・と言い出したのです。

 飛行機やTGVなどは、大丈夫なので、恐らくガソリンの匂いがダメなのかもしれません。これは、彼女の義理のお兄さんも同じなので、もしかしたら、主人の方の家系なのかもしれません。

 とにかく、最初は、車は嫌いだから、バイクの免許を取りたいと言い出したときには、私は、恐らく多くの世間の親が思うように、「危ないから、やめて! 私は、お金は、出さないからね!」と言って、反対しましたが、彼女の意思は硬く、娘は、自分で、それまでお小遣いやお年玉を貯めていた貯金を使って、バイクの教習所に申し込みをしてしまったのです。

 それが、18歳の2月頃のことです。その頃、彼女は、グランエコール進学のためのプレパー(準備学校)に通っており、当然、学校の勉強は、想像以上に猛烈に忙しく、申し込みをしただけで、結局、教習所通いは、できないまま、時間は過ぎて行きました。

 そして、翌年の11月になって、連休か何かでポッコリ空いた4日間だけ、集中的に勉強して、あっさり筆記試験(交通法規)だけは、受かっていました。

 しかし、またさらに翌年、時間ができてから、短期間、教習所通いを始めたものの、結局、その後のグランエコールが地方の学校に決まり、教習所通いは、断念せざるを得なくなりました。

 そして、昨年になって、将来の就職を考え始めた娘は、筆記試験も通っていることだし、この際、自動車に切り替えて、CVに自動車の運転免許があることを書き加えたいと言い出し、当時、彼女が住んでいた地方で、自動車の運転免許を取ると言い出し、(交通法規に関する筆記試験は、バイクに挑戦したときにすでに合格していたものが、そのまま適用され、実技試験に進める有効期限が5年間あります。)教習所に通い始めたのが、今年の2月。

 しかし、3月半ばにロックダウンになって、教習所通いは、再び中断してしまい、ほとほと、免許とは、縁がないんだね・・と話していました。

 彼女の本業である学校での授業のカリキュラムも全て終了し、(残りの一年は、スタージュや留学等の予定で学校には、行かない)彼女は、パリに戻ってきました。本来ならば、6月からは、ロンドンにスタージュに行く予定になっていたのに、それもリモートワークに切り替わって、彼女は、今、パリの自宅で自分の好きな時間に仕事をしているので、現在は、比較的、時間の自由が効くのです。

 しかし、ロックダウンが解除になっても、引っ越してしまったのでは、当然、再び、教習所通いも、もう無理だと思いきや、彼女の契約している教習所は、サイトが統括する教習所の教官の手配サービスのようなもので、フランス全国どこにいても、空いた時間と場所を指定すれば、教習を受けることができる教習所のUber(ウーバー)のようなもので、パリにいて、比較的、時間も自由になることから、再び、彼女のウーバー教習所通いが始まったのです。

 教習所の教官を手配するサイトを運営する会社は、料金も安く、教官側にとっても、教習用の車を借りて、自分の好きな場所を選んで、好きな時間に仕事ができるため、双方にとって、便利なシステムになっています。

 ですから、実際の教習所という建物も存在せず、今、このご時世ですから、サイトの運営会社から、「アルコールジェルを必ず自分で持参して下さい」などという注意が入ってきて、え〜??自分で持っていくの?とビックリしましたが、かなり、フリーなシステムのようです。実際には、先生が用意していたそうですが・・。

 かなりの大学は、閉鎖されたまま、授業が終わってしまった大学も多く、免許を取りたい年頃の若者たちは、今、比較的、時間がある人が多く、そんなウーバー教習所も予約を取るのが大変なようです。

 彼女も、ロンドン行きが可能になれば、ウーバー教習所でも、いくら場所は、自分で選べるとはいえ、あくまでもそれは、フランス国内での話で、再び、教習所通いは中断されることになります。

 この先、どうなることかわかりませんが、つくづく、娘と運転免許は、相性が悪いと思わざるを得ないのです。彼女は、そもそも彼女は、しっかりしているようで、自転車ですら、事故が多く、歩いていてもやたらと転びます。そんなことからも、どう考えても、彼女に運転は危険で、親の私としては、彼女の運転免許取得は、今でも、あまり、賛成ではないので、これで再び免許取得がポシャってくれればいいと、心の中では、こっそりと願っているのです。

 だいたいフランス人の運転は荒いことでも有名ですから・・。

<関連>「フランス人と車」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_25.html

2020年6月18日木曜日

ロックダウン以来3ヶ月ぶりのパリのメトロ


メトロの駅構内のいたるところに貼ってあるステッカー

 フランスのロックダウンが解除になって第2ステージ、第3ステージと進む中、毎日のようにデモだの暴動だのという話ばかりが流れてきて、もはや、テレビのニュースでは、コロナによる一日の死亡者数などの発表もなくなるほど、コロナウィルスの話題は、もうかすんで来てしまっています。

 しかし、注意深く、感染者のデータを見ていると、ここ数日のフランスの新規感染者の数は、152、344、458と、ここ3日間上昇してきており、これが単に検査数が上がったことによるのか、感染が広がっていることなのかは、わかりません。

 でも、頻繁に数万人単位の人出のデモや暴動の中で、再び、人が街を行き来するようになれば、再び、感染拡大、ロックダウンにもなりかねないと思い、今、動けるうちにと銀行の用事を済ませておこうと3月のロックダウン以来、3ヶ月ぶりでメトロに乗って、出かけました。

 ロックダウン中はもちろん、これまでは、出来るだけ移動は、健康のためにも、歩くか、自転車での移動に留めて頑張ってきたのですが、久しぶりにメトロに乗ってみようか?と、私としては、意を決して出かけたのです。

 久しぶりの駅は、すっかりコロナ仕様に様変わりしていて、駅の構内の床には、いたるところに「人との距離を取りましょう」と書かれた丸いステッカーが貼られており、メトロの乗り口にも、ステッカー、メトロ内の座席にも、人との距離を確保するために、ひと席ごとに、「この座席には、座らないでください」と書かれたステッカーが貼ってありました。駅までは、バスなどの交通機関の利用を避けるのか、トロチネット(キックボード)を持参している人も結構、多いようでした。
 
トロチネットを片手にメトロを待つ人

 当然、人が座ってしまえば、そのステッカーは見えなくなるわけで、どうにも不規則なステッカーの貼り方だと不思議に思っていると、何のことはなく、ステッカーを無視して座っている人がいるから、どうにもおかしいことになっていることに気付きました。
 やっぱりです。ルールはあっても、フランスでは、みんながルールを守るわけではないのです。
 
本来ならば、人と人とが向かい合わないようにステッカーは貼られている

 街中は、もうマスク姿の人は、まばらですが、駅構内に入ると、さすがに罰金135ユーロが怖いのか、マスク率は、100%でした。さすがにフランス、マスクもみんな様々で、色とりどり、中には、真っ赤なマスクに黒いコートを来た、素敵な女性も見かけました。マスク込みでのマスク映えのするファッションを楽しんでいる人もいるところが、フランスらしいとも思いました。

よく見ると、彼女のマスクには、トリコロールが付いている

 ラッシュアワーではなかったこともあるかもしれませんが、思ったよりは、メトロも普通に運行されており、最初は、緊張していた私も、なんだか、帰る頃には、いつもと変わらない気分に戻っていました。

 しかし、昨日、SNCF(フランス国鉄)の駅で、マスクなし、切符なしで乗車していた黒人女性が駅員に止められたことで、女性が駅員に噛み付いたために、駅員が取り押さえたところ、暴力を振るわれたと訴えている女性の話がSNSで炎上し始め、問題になっています。女性は、自分は、妊娠中にも関わらず、暴力を振るわれたと言っているようですが、噛み付かれた駅員の方も、感染の危険を考えれば、ある程度の力で止めないわけにはいきません。

 悪いのは、もともと、マスクなし、切符なしで乗っていた自分の方なのに、全く、怖い女性がいるものです。ともかくも、こんな場面に巻き込まれずに、幸いでした。

 久しぶりに乗ったメトロは、いつもと同じ駅に、バリアやステッカーがたくさん貼ってあるだけで、思ったよりも同じ風景で、たった3ヶ月だけなのに、懐かしいような、ちょっと嬉しいような気持ちになりましたが、いつもと違っていたのは、やはり、人と人とが、全く話をせずに、口をつぐんでいることです。

 いつか、日本に行った時、地下鉄に乗って、混雑している地下鉄の中があまりに静かなのに、改めて気が付いて、驚いて、思わず、「静かだな〜」と口をついて出てしまって焦ったことがありました。パリのメトロの中は、いつもは、そんなにシンとしてはいないのです。ということは、きっと、どこかで誰かの話し声が聞こえているのです。人と近づいてはいけないということは、寂しいことです。いつの間にか、シンとした地下鉄より、どこかざわざわしているメトロが心地よくなっていた自分にも驚きました。

 そんなことを考えながら、久しぶりのメトロに、なんとなくドキドキした一日でした。

 
<関連>「パリで時々、目にする光景」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post.html

 
 
 




2020年6月17日水曜日

パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック


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 16日のパリでの医療介護者のデモは、事前にパリ警察に届けが出ており、午後2時半から18時に行われる予定で、警察の許可を得た正当なものであったはずでした。

 コロナウィルス騒動以前より、長期にわたり、医療介護者、国立病院関係者による不満は、積み重なっており、昨年から、時々、ストライキやデモなどが起こっていました。そこへ、コロナウィルスの感染爆発で病院はフル回転で、危険を侵しての仕事の連日に医療介護者の怒りも相当なレベルに達しており、ロックダウン中に病院視察に立ち寄ったマクロン大統領と医療介護者との間に、衝突が起こり、激しい言い合いになったこともありました。

 今回のデモでは、医療介護者は、医療のための十分な医療物資や、人出、労働条件、昇給などを掲げて、デモは、午後2時半に、パリ厚生省のビル近くの出発地からの、スタートの段階では、順調に、開始されたのです。医療介護者のデモは、フランス全土の主要都市で、同時に進行して行われたもので、フランスの国立病院の組合により統括された、正当なデモであるはずでした。

 ところが、この医療介護者のデモの中に白衣などを着て、医療介護者に変装していたデモを暴徒化する集団が紛れ込んでいたのです。厚生省を出発して、デモ隊の行列がアンヴァリッドに到着した時、紛れ込んでいた偽医療介護者や黒い服に身を纏った一団に、本来のデモは中断せざるを得ない状態に陥りました。

 彼らは、大声で叫びながら、駐車してあった車を道の中央に運び、転がし、車を燃やし、弾丸やバクチク、石を投げつけ、街には黒い煙が上がり、通りかかったバスの窓ガラスを割り、運転手に石を投げつけ、通りかかった人に襲いかかりました。駆けつけた警察も、最初は、後ずさりする様子にどうなることかと思いましたが、催涙ガスを用いて応戦し、数時間後には、沈静化しました。
       
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暴徒化した人たちにひっくり返され、道の中央に運ばれる車


 最初にこのニュースを聞いた時は、医療介護者のデモがなぜ、暴力化するのか、意味がわかりませんでした。ところが、このデモを暴力化させたのは、ここのところ、フランスで、ウルトラジョンヌ(Ultras-jaunes・gilets-jaunes(黄色いベスト運動のデモ(ジレジョンヌの際に暴力行為に及ぶ人々)やブラック・ブロック(Black Block)と呼ばれる他人のデモに便乗して、暴力行為におよび、社会を荒らすグループの存在でした。

 彼らは、デモの情報を得ると、集団でデモに紛れ込み、暴力行為におよび、街を破壊し、暴れます。今回のパリでのデモも、「暴徒化したのは、私たちではない!私たちは、彼らによって、デモの機会を奪われてしまったのだ!」と医療介護者は、嘆いています。

 これだけ大勢の騒動にも関わらず、逮捕者は、16名のみというのにも納得が行きません。

 アンヴァリッドといえば、ロックダウン直後にパリ市民がアンヴァリッド前の広場にピクニックに訪れ、人が密集しすぎだと問題になった場所です。それも、そんなに前の話ではありません。あの時も、思わず眉をしかめた私でしたが、今の状況を考えれば、全く微笑ましい風景でした。

 フランスは、いつからこんな物騒な国になってしまったのか? 毎日のように聞こえてくるデモや集団による街への襲撃に、言葉を失います。

 北京では、コロナウィルス感染の第2波が来た模様・・などというニュースも聞こえてきますが、毎日のように、フランスのどこかで、数万人単位のデモのニュースを見ていると、フランスだけが無事なわけがない、やはり、再びロックダウンになる前に、色々、用事は、済ませておこう・・と思うのでした。


<関連>
「マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_16.html
 

2020年6月16日火曜日

4夜連続、フランス・ディジョンでのチェチェンコミュニティの暴動


Dijon : nouvelles violences ce lundi après un week-end agité

 
 先週末から、4夜連続、そして、月曜日には、日中から、フランス・ディジョン(フランス中部・ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ、コートドールの首府)では、チェチェン(北コーカサス地方の北東部に位置するロシア連邦に位置する共和国)のコミュニティのメンバーによる暴動で、せっかくロックダウンが解除された街が震撼とし、店舗は、コロナウィルスとは、別の理由で、再び、ロックダウンのような状況になっています。

 ことの始まりは、16歳のチェチェン出身の少年が、ディジョンのドラッグのディーラーのグループによって「殴打」され、重症を負ったことに端を発しています。16歳の少年とドラッグのディーラーとの関係は、わかりませんが、その事件をチェチェンのコミュニティの一部が、SNSで発信し、ディジョンに住むチェチェンのコミュニティだけでなく、近隣諸国(ベルギーやドイツなど)のチェチェンのコミュニティからも援軍が参加し、ディジョンのドラッグのディーラーに報復するとして、ディジョンのダウンタウン・グレジル地区に集まり、暴れているのです。

 4夜連続で、鉄棒と拳銃で武装し、フードを被り、覆面をした何十人(百名近く)もの人々がグレジル地区に集まり、月曜日には、街中で車を暴走させた挙句に、車は燃えているバリケードに突っ込み、炎上しました。運転していた男は、重症を負って、病院に搬送されましたが、酩酊状態での運転であったことが明らかになっています。

 街には、拳銃の音が鳴り響き、車やゴミ箱が燃やされ、ひっくり返され、近隣の店舗は、全て閉店、近隣の住民にも数十名の負傷者が出て、外出ができない、再びロックダウンのような状態の日が続いています。

 現場には、数百名の警察が出動し、この日の騒ぎは一応、沈静化しましたが、チェチェンのコミュニティのグループは、我々の仲間が安全にディジョンで生活できるようになるために必要であれば、自分たちは、毎日でも、いつでもやってくると、今後の報復活動の継続を予告をしています。

 この事件の原因となっている16歳の少年が攻撃されたのが、ドラッグのディーラーとのいざこざということからして、まともな?騒ぎでは、なさそうですが、ともかくも、このロックダウン解除の第3ステージが開始された途端にデモ、暴動と再び、店舗・街を閉鎖しなければいけない状況が、各地で起こっており、経済再開にアクセルを踏み始めたフランスは、前途多難のようです。

 世界には、どこの国にも外国から来ている移民のコミュニティがありますが、(当然、フランスにも日本のコミュニティもあります)日本のコミュニティがフランスでニュースになったのを聞いたことはありません。外国にいても、大人しく、行儀の良い日本人にとったら、このような騒ぎを起こすことなど、想像もつかないことです。

 チェチェンコミュニティのこの騒ぎを起こしている人たちは、ディジョンの人たちを怖がらせることが目的ではないと言いつつも、結果的には、住民が外出できないような状態に追い込んでいることをどう思っているのか? 正当な手段で訴えればいいものの、これでは、デモの方がまだマシ・・と思ってしまうのです。

 フランスの平和への道のりは、遠そうです。

<関連>「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html


 
 



 

2020年6月15日月曜日

マクロン大統領の勝利宣言 ロックダウン解除第3ステージ突入・「俺たちは、よくやった」





 14日、日曜日の午後8時、マクロン大統領は、エリゼ宮より、明日からのロックダウン解除の第3段階突入と今後についてのスピーチを行いました。ロックダウン以来、しばらくの間、フィリップ首相からの発表が続いていたので、マクロン大統領が正式にスピーチを行ったのは、久しぶりのことです。

 彼は、マヨット、ギアナを除くフランス全土は、明日(15日)から、グリーンゾーンになることを発表しました。長いこと、テラスの営業のみで、店内営業を禁止されていたパリ・イル・ド・フランス地域を含むレストラン・カフェ等も明日から店内でも営業できることになりました。

 また、EU圏内での国境は解放され、これまで禁止されていた高齢者施設での面会も認められるようになりました。一週間の準備期間を設け、保育園、幼稚園、小学校、中学校は、22日から、通学することが義務化されます。つまり、義務教育の範囲内の学校は、完全に再開されるということです。

 また、これまで閉鎖されていた映画館等についても、22日から、安全な措置を取った上での開館が許可されます。

 そして、前の段階で、発表されていた統一地方選挙は、予定どおり6月28日に実施されます。

 また、このコロナウィルスによるロックダウンのために疲弊したフランス(この経済危機は、フランスばかりではなく世界的なパンデミックによる世界恐慌であることを付け加え、)の経済と雇用について、フランスは、労働者の解雇を少しでも避けるために、5000億ユーロを投入したことを明らかにし、今後も、更なる努力を続け、できる限り、増税は、しない方針を表明しました。

 マクロン大統領は、

「3月17日のロックダウン以来、我々は、国民が総力をあげて、協力し合い、困難な状況を次々と乗り越え、足りない医療施設や医療機器に対応して、創意工夫をしながら、数百名の患者を地方の病院に搬送したり、時には、近隣諸国の力も借りながら、この3ヶ月の間に戦いを続けてきました。

 そして、今、以前の生活に戻る道のりを築き始める段階にたどり着きました。

 本当に皆が協力して、頑張った結果です。

 しかし、コロナウィルスとの戦いは、まだ終わっていません。この戦いのために、犠牲になった人の命を忘れてはなりません。これまでの私たちの戦いで培った国民が共に心を合わせて、新しい道を築いていくことをフランスは、誇りを持って立ち向かっていきましょう」

と述べました。

 彼は、ここ数週間にわたって起こっている人種差別問題についてのフランスで起こっている問題についても、あらゆる差別、反ユダヤ主義などに直面する問題について、真摯に対応していくことを言及しました。

 そして、具体的な日付は定めずに、「7月に」再び、新しい道を具体的にしていくこと、若者のための教育、訓練、仕事への大規模な投資について発表することを約束しました。

 「私たちの最優先事項は、まず、強力で、生態学的で、主権的で統一された経済を再建することです。アメリカや中国に屈することのないよう、フランス及びヨーロッパの独立・再構築、フランスの団結、権力と責任の新たな均衡化を軸に、この危機を乗り越えるために、皆で、この意志を一緒に持ち続けましょう」と彼はスピーチを締めくくりました。
 
 3月17日のロックダウンからの3ヶ月間、被害者数からすると、決して誇れる結果ではなかったフランスを、ここまで讃え、スピーチを開始して5分も経たないうちに、フランス人お得意の「俺たちは、よくやった!」自画自賛・自信満々モードに突入してから、なんだか、マクロン大統領の、自分で自分のスピーチに酔いしれるような感じに、私は、逆に妙に冷めた感じになってしまったのでした。


<関連>「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html











2020年6月14日日曜日

ロックダウン解除とはいえ、またパリで1万5千人超えのデモ フランスは、なぜデモを止められないのか?


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 13日(土)、パリでは、1万5千人を超える人が、先日から続いている警察の暴力と人種差別に抗議するデモに参加しました。このデモは、前日から、すでに、午後2時半にリパブリック広場からオペラ座に向けての行進と見られており、近隣の店舗、レストラン、カフェなどは、危険回避のため、ロックダウン解除後に、せっかく再開し始めた店舗をこの日は、閉店することを余儀なくさせられました。

 最終的に、デモ隊は、リパブリック広場に集結し、2時間ほどの抗議集会が行われました。近隣の建物の上からは、「JUSTICE POUR LES VICTIMES DU RACISME ANTI-BLANC(反白人種差別の犠牲者のための正義)」と書かれた大きな垂れ幕が降ろされ、人々は、人種差別と警察の暴力について、訴えました。

 そもそも、前日からわかっているこのような集会が、10人以上の集会は、禁止とされている中で、なぜ止められないのかは、フランスの複雑な事情によるもので、10人以上の集会は、禁止できても、デモ(抗議活動)を禁止することができないのは、人々の口を塞ごう、抗議・意見を主張する機会を奪うと見なされ、それこそ人権問題に繋がるという厄介な問題なのです。

 ロックダウン解除直後にデモ禁止に反対するデモという厄介なデモも起こりましたが、マナーを守って?デモをする限りは、フランスでは、デモを完全に否定することはできないのです。


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警察のバリアにより立ち往生するデモ隊の人々







 
 結局のところ、警察がデモ、スタートの地点から、バリアを張り、デモの進行の妨害をしたことで、根気負けした人々は、リパブリック広場に到達する前に退散したので、当初の予測では、1万5千人から2万人と言われていた人出も、1万5千人程度でおさまりました。(おさまったという数字ではありませんが・・)

 夕刻になって、集会も終盤に近づいた頃、デモが緊迫した状態に達し、迫撃砲や投射物を投げ始めた段階で、警察もそれに反撃して、催涙ガスを発砲し始め、デモ隊が暴れ始めたことを機に、警察が一気にデモ隊を解散に追い込み、パリのリパブリック広場でのデモは、思っていたよりも早く?に収束しました。

 通常のデモ?は、夕刻になって、薄暗くなる頃から、デモ隊が興奮し始めて、ゴミ箱を燃やしたり、周囲の店を壊したりの凶暴な行動に発展するのですが、今回の場合、暗くなり始める前に、一気に収束に向かったのは、むしろ、警察側がデモ隊が騒ぎ出すのを待って沈静化したという、ある意味、デモを禁止できない警察側の作戦であったのかもしれません。結果、このデモでは、26人が逮捕されています。

 ちなみに、このデモは、パリだけでなく、リヨン、マルセイユなどの地方都市でも同日に起こっています。

 とはいえ、今は、コロナウィルスの危険もまだ残る状態であり、このようなデモによる感染拡大の危険は、常に存在しているのです。このデモを見ていた医療従事者が、「コロナウィルスによって、どれだけの人が犠牲になり、どれだけ苦しんできたか、忘れないでほしい、まだ、ウィルスは、消えてない!」と叫ぶように訴えていました。

 フランスは、多くの犠牲を強いてロックダウンをして、感染を抑えてきたのです。人種差別や警察の暴力について訴えたい気持ちは理解できますが、未だ、色々な制限下にある生活をしている状況での数万人規模のデモは、どう考えても、コロナウィルスによる犠牲者を増やすことに繋がっているとしか思えないのです。

 それにしても、こう激しやすい人々をロックダウンできたということは、大変なことだったんだな・・と改めて、思わせられます。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html
 








 




2020年6月13日土曜日

フランス人のこだわり


réussir la cuisson de son entrecôte de bœuf et de ses grillades


 半分、フランス人なのに、フランス料理が苦手な娘のおかげで、我が家は、あまり、外食というものをしません。だいたい、パリの外食は、日本のように、「ワンコインでランチ」なんていうわけには行かず、10ユーロ以下で食事をできるレストランは、ほとんどありません。

 それでも、フランス人にとって、カフェやレストランは、とても大切なもので、必ずしも大したお料理ではなくとも?フランス人は、好んで外食をします。外食は、単に食べるということだけでなく、人と会って、話すということでもあるからです。

 しかし、だからと言って、フランス人が何でもいいから、外食するというのも少し違います。最近は、健康志向からか? カフェのランチなどでもサラダを食べている人が多くなりましたが、一般の庶民的?なカフェでは、メニューも、どこも似たり寄ったりです。

 簡単な、クロックムッシュやサラダ、オムレツ、ステークフリット(ステーキとフライドポテト)、ローストチキンなどなど、ごくごくシンプルなものでも10ユーロを下ることはなく、ということは、ちょっとしたランチでも12ユーロから15ユーロは、かかるので、少なくとも1500円から2000円近く、かかるということです。

 ですから、特別に行ってみたいレストランとか、たまには、ゆったりした気分を味わいたいとか、友人と会って一緒に食事をするとか、そんなことでもなければ、我が家は、あまり外食をしないのです。つましい生活です。

 その代わりと言っては何ですが、たいていのものは、家で工夫して作ります。そして、これ、「外で食べたら、いくらだろう?」などと言いながら、自己満足に浸ります。我が家は、和食?に偏りがちなので、当然、外食すれば、高くつくのですが、それを家で食材を工夫したりして作って、何だか、安上がりになった気がして、満足するのです。

 今日のお昼に、家にあったインスタントラーメンと野菜をたくさん使ってタンメンのようなものを作ったのです。ただのインスタントラーメンですが、たくさんの野菜からもいい味が出て、ガーリックパウダーや胡椒などを効かせて、我ながら、なかなか良いお味に仕上がったのです。そして、いつもの「これ、外で食べたら、いくらだろう?」を始めたのです。

 しかし、あっさりと娘は、「これは、ダメ!インスタントだから、いくら美味しくても、売れないよ!」と言うのです。そうなんです。フランス人は、ファーストフードなどは、別として、どんなにシンプルなものでも、インスタント食品には、お金を出したがりません。まあ、当然といえば、当然ですが、彼らの日常の食事のレベルを考えるとちょっと意外なこだわりでもあります。

 フランス人は、外食の場合、それが手作りであることにこだわります。フランス人に関わらず、誰でも、それなりのこだわりは、ありますが、時々、??と思うことにも、彼らは、こだわります。「手作りのもの」というこだわりにしても、例えば、パリのラーメン屋さんなどでも、しつこく、この麺は、手作りの麺なのか?と店員さんに確認している人を見かけます。まさか、ラーメン屋さんで、インスタントの麺を使っているところはないと思いますが、それでも、しつこく確認するところに彼らの手作りへのこだわりを感じます。

 だからと言って、彼らがインスタント食品を全く食べないわけではありません。むしろ、彼らは、日常では、日本人のように手間暇かけて、何品も食事の支度をしたりはしませんし、冷凍食品やチルド食品もよく利用しています。ただ、外食に関しては、それを許容しません。

 手作り以外にも、フランス人がこだわりを持っていることがあります。それは、缶ビールをどこか、下に見ていることです。若い男の子などでも、大きな顔をして、「缶ビールなんて、飲んでるの?」なんて、偉そうに言う子もいます。まだ、そんなにお酒の味をわかっていなさそうな若い子がそう言うのは、おそらく、彼の家庭で、両親がそんなようなことを言って、瓶ビールにこだわっているのでしょう。しかし、実際のところは、若者は、安い缶ビールを飲んでいるのですが・・。

 考えてみれば、フランス人は、こだわりを持つことを美徳とするようなところがあります。そして、また、それについて、とうとうと語ります。他人には、理解しがたいこだわりであっても、それぞれが自分のこだわりを大切にしています。そして、それは、時にかなり頑固で頑なでさえあり、苦笑させられることもしばしばです。

 でも、そんなこだわりへの必死さも、一歩ひいて眺めてみれば、ちょっと可愛い気もするのです。



<関連>「パリのランチ・お弁当、外食、日本食事情」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_3.html



 

2020年6月12日金曜日

フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国


           Des policiers réunis devant le commissariat du 3e - LyonMag


 いつものことですが、フランスは、ロックダウン解除以来、どうにも騒がしい事ばかりが続いています。ロックダウンという厳戒態勢が徐々に解除されて、当初は、国民も恐る恐るウィルスがまだ残る世界に出ていくことに、どのような体制をとったら良いのかを手探り状態で、子供を学校に通わせる親もごく一部に限られていました。

 しかし、時間が経ち、感染の状況が改善していくにつれ、ロックダウン解除の第2ステージに突入すると、堰を切ったように、アメリカでの人種差別の問題を孕んだ警察の暴力に抗議する動きに触発されて、フランスでも同様の被害にあった問題についての抗議のデモが始まりました。

 それにつれて、同様の被害にあったという人たちが次々と名乗りをあげ始め、訴えを起こすケースが続き、昨日は、14歳の少年をはじめとする4家族が警察の不法逮捕と警察から受けた暴力への訴訟を始め、警察の暴力が公になり、暴力を受けた少年がテレビのインタビューに、ボコボコに殴られて、腫れた顔をさらして答えたことから、事は大きくなりました。

 その少年が暴力を受けた事件は、アメリカのジョージ・フロイドの事件で世間が騒いでいる時期に起こっており、どうにも、理解ができません。ある程度の権限を持った立場である警察官のマイノリティーに対する暴力は、やはり見過ごすことは、できません。

 今の時代、事件が起これば、どこかで誰かが必ず映像を残しており、次々と出てくる映像がすぐにSNSからマスコミに広がります。

 相手が未成年の少年であることもあり、騒ぎが大きくなれば、これでは、またデモが起こるのでは・・と思っていたところに、世間の反応を鎮めるつもりで、内務大臣・クリストフ・カスタナー氏が、記者会見で、警察官の職務権限等に対する見直しを行うと発言したところが、今度は、全国の警察官の反感を買い、全国規模での警察官による抗議運動が始まりました。

 フランス各地の警察で、警察官が並んで、次々に自分の前に手錠を捨てていくというパフォーマンスで自分たちの怒りと正義の訴えを始めました。

 このような芝居じみた?パフォーマンスと抗議は、フランス人のオハコとするところで、最後は、マルセイエーズ(フランス国歌)をみんなで歌いながら、志気を高めるというおきまりのコースです。

 国に抗議しつつも、マルセイエーズを歌うのは、あくまで、フランスは、こうではあってはならないという、それぞれが、それぞれの正義を掲げて、それぞれが、上から目線の愛国心の表れであることも、フランスらしいところです。

 特に、今の時期のデモは、控えてほしいけど、抗議はしつつも、その根底には、揺るがない愛国心があるっていいもんだな・・とも思います。デモは、人権に関わる権利であり、これを禁止する事はできません。フランス人にとって主張する事は、食事をするのと同じくらい当然のことなのです。

 決して、黙ってはいない、いつも誰かが何かを訴え、戦っている、デモの国・フランスが、ロックダウン解除とともに戻りつつあることを日々、感じています。

<関連>
「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

 

2020年6月11日木曜日

ロックダウンの我が家の収穫 ベランダでの野菜の栽培のコツ

昨年、咲いたきゅうりの花


 我が家は、毎年、春から夏にかけて、日本の野菜をベランダで育てるのが、もう、ここ何年もの毎年の恒例行事のようになっています。初めは、アフリカに住むことになった時、日本のものがどの程度、手に入るかもわからずに、全く知らない異国の地に行く際に、「手に入らないならば、自分で作ればいいじゃない!」と言って、母が持たせてくれた枝豆のタネをアフリカのベランダの一角で育て始めたのが最初でした。

 フランスに引っ越してからも、当初は、パリ郊外の街に住んでいたために、通勤にも一時間近くかかっていましたし、娘もまだ小さくて、通勤と送り迎えと娘の教育とで、いっぱいいっぱいで、とても家庭菜園などをしている時間はありませんでした。

 少しずつ思い出したように、ベランダ菜園を始めたのは、今のアパートに引っ越してきてからでした。日本に行くたびに、野菜のタネを手に入れて、最初から変わらずに植え続けているのは、紫蘇と三つ葉や小ねぎ、ニラなどの薬味類が中心で、これまでに、ナスやシシトウなど、色々なものに挑戦してきました。

 しかし、結局のところ、一番、育てていて、楽しいのは、夏のきゅうりで、育ち始めると、成長が著しく、ジャックと豆の木のようにグングン大きくなって、夏の間の日除けになるくらいベランダをいっぱいに緑が覆ってくれるので、毎年、5月に入った頃に、きゅうりの種まきを始めるのです。

 基本、フランスでは、手に入りにくいものを育てるのが、我が家の鉄則で、フランスにもきゅうりは売っていますが、日本のようにカリッとした歯ざわりの良いきゅうりは、簡単には、手に入らないのです。フランスのきゅうりは、やたらと大きくて、日本のきゅうりのようなカリッとした食感がないのですが、フランス人の主人に言わせれば、日本のきゅうりは、水分が足りない・・などと言います。なるほど、そういう解釈もあるのね・・と思わせられますが、まあ、人の好みはそれぞれです。

 今年は、思わぬことで、3月中旬からロックダウン状態になり、初めは、恐怖と戸惑いで、気持ちの余裕もありませんでしたが、4月に入った頃から、やたらと気候が良くなり、外出せずともこの太陽を使えるではないか!?と、いつもより早くにベランダ菜園を開始したのです。

 種まきは、焦って早すぎる時期に植えると失敗するので、きゅうりを植えるには、まだ早く、手持ちの野菜のタネから、フランスの気候でも早めに植えても大丈夫そうな、水菜、春菊、小かぶ、小松菜などを植え、少ししてから、スナックえんどうを植えました。

 外出ができない中で、思いのほか、天気だけはやたらと良く、野菜は、グングン育って行きました。毎日、たくさんの人が亡くなるニュースばかりを聞く毎日で、狭いベランダで土をほぐしながら、野菜が育ってくれるのを毎日、見ることが、私の気持ちを穏やかにしてくれていました。毎朝、毎晩、野菜の苗に水をやる規則正しい生活もロックダウン中の生活の習慣作りには、とても有効でした。

 いつもは、5月の連休が過ぎた頃に始めるきゅうりの種まきの前に、我が家のベランダは、すでに緑で埋められていました。しかし、毎年のハイライトであるきゅうり栽培を諦めるわけには行かず、今は、これまでの水菜や春菊のスペースは縮小し、きゅうりのスペースを拡大しています。

 それでも、今年は、ついつい色々なタネが育つのが嬉しくて、また、いつもより、たっぷり時間があったので、調子に乗って、枝豆なども育て始めたため、ただでさえ狭い我が家のベランダ(畳一畳半くらい?)には、場所がなくなり、家にあった板を組み合わせて、棚がわりにしたり、ついには、プランターや植木鉢まで足りなくなり、いらなくなったお鍋や花瓶にまでタネを撒いてみました。今のところは、お鍋や花瓶に植えられた枝豆もちゃんと芽を出して、育っています。

 夏、暑くなり、きゅうりも大きくなり始めると、鳩が日除けにやってきて、巣を作ろうとし始めるのが恐怖ですが、風鈴を吊るしたり、アルミホイルを細く切ってぶら下げたり、鳩よけ対策もできるようになりました。

 幸いにも、我が家のベランダは、陽当たりが良く、毎年250本くらいのきゅうりが収穫できます。

 きゅうりのシーズンが終わると、長くツルを撒いたきゅうりの茎や葉っぱが枯れると、結構なゴミになりますが、これも細かくして、夏の間、きゅうりを育ててくれた土をほぐしたものと一緒に大きなバケツの中に少し入れ、家庭の野菜のくずや揚げ物に使った油などを少しずつ入れては、夏の間に使った土をかぶせて、来年用の土を作っていきます。

 翌年、新しい土も買い足しますが、一年の間にすっかり新しい土になった昨年からの土も一緒に使います。昨年からの土に少し肥料を混ぜて、新しい土と混ぜます。私は、野菜の栽培は素人なので、全くの自己流ですが、これで、何年もたくさんの野菜を育てています。

 野菜が育っていくにつれて、土が少しずつ沈んでいくので、そこには、土を足してあげます。あとは、毎日、朝晩、欠かさず水をやるくらいで、太陽と土と水で野菜は育ってくれます。太陽と土と水のチカラは、本当に偉大です。

 ロックダウンのような、特別な環境で、買い物にもなかなか行けない中で、自分で黙々と野菜を育てるのは、人間が自分で食べるものを自分で作る、余計なものを削ぎ落としたシンプルな生活の一部ができていることに、妙な落ち着きと、静かな気持ちと、満足感があるのでした。

 ロックダウンが解除になっても、これから夏にかけて、ますます青々としてくるベランダを楽しみたいと思っています。

 ベランダやお庭のある方、野菜を育てるのは、楽しいですよ!


<関連記事>「コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_19.html

 

 

2020年6月10日水曜日

ロックダウン解除・ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ エッフェル塔も再開決定




 フランスは、6月2日から、ロックダウン解除の第二ステージが始まって、その日に2万人規模のデモが起こり、それからは、一ヶ所に2万人とまではいかずとも、毎日のようにデモが続いています。

 それでも、現在のところは、デモの影響で、感染が拡大した兆候は、現れてはおらず、テレビのニュースでも、これまでのように、コロナウィルスの感染による死亡者数や重症患者数がトップで扱われることは、なくなりました。

 ここのところ、コロナウィルスの影がどんどん薄れていくことを感じます。(実際には、昨日の一日の死者数は87名(6月9日)という状況なのですが・・)

 これまで、閉鎖されていたメトロの駅も新たに31ヶ所が再開することになり、6月25日午前10時には、第二次世界大戦以来、最長期間(3ヶ月以上)閉鎖されていたエッフェル塔も、一部ではあり、マスク着用義務(11歳以上)という条件付きではありますが、再開されることになりました。

 私にとっては、エッフェル塔は、家の窓から、夜になると、ライトアップされた姿を眺めるだけなので、ロックダウン中も変わらず、キラキラ輝いていたエッフェル塔で、再開されたとて、あまり感慨は、ありませんが、やはり、フランス・パリのシンボル的な存在であるエッフェル塔の再開は、フランスのロックダウン解除の象徴的な出来事の一つであるに違いありません。

 それにしても、今のところは、解除の度に、条件の一つに加えられるマスク着用の義務化ですが、もともとマスク嫌いのフランス人にとって、今後、マスクは、今まで以上に、ますますコロナウィルス下の体験を連想させる、忌み嫌われる存在になりそうです。

 現在のところは、一応、タテマエのように掲げられている10名以上の集会の禁止の中で大々的に行われているデモでさえ、すでにマスクをしていない人も多く、フランスでは、3万人近い人が亡くなっているというのに、全く恐れることなく、どれだけ、マスクが嫌いなんだ!と思います。

 買い物の際に店内で義務付けられているマスクのために、ショッピングの気がそがれると、売り上げの減少も、マスクが影響しているとさえ言われています。

 現在のところ、パリのレストラン・カフェでは、テラスのみの営業しか許可されていないことも、ここ数日の悪天候で、業を煮やし始めているレストランの経営者から、6月22日を待たずして、再開させて欲しいという声が上がり始めています。もちろん、飲食を伴うレストランでは、マスクは、店員以外は、誰もしていません。

 あくまで、表向きは、慎重に・・という態度をとっている政府ですが、次回のロックダウン解除のステージは、6月22日に発表されることが決まっていますが、その発表を待たずして、次なるステージが7月10日であるということが、発表されました。これは、いよいよバカンスシーズン突入と、7月14日のパリ祭(フランス革命記念日)でのコロナ払拭モードへの切り替えの大きな区切り、緊急事態宣言解除では?と考えられています。

 ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ、このまま、本当にマスクを取ることができるのか? 日常が戻ってくることは、嬉しい反面、私にとっては、今のところは、マスクを取りたい気持ちよりも、マスクをしない恐怖、皆がマスクをしないで感染爆発をしたトラウマの方が大きいのです。


<関連>「私はウィルスではない フランスでのアジア人差別」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_31.html

 









 

2020年6月9日火曜日

マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人は、ルールは守らない


Jeter son masque par terre pourrait bientôt coûter très cher


 フランスでは、6月7日、環境担当国務長官が、マスクのポイ捨て(実際には、マスクだけでなく、タバコやゴミも含まれる)に対する罰金を現行の68ユーロから、135ユーロに引き上げることを発表しました。

 しかし、おそらく、現行犯ではなければ、捕らえられないマスクのポイ捨てのための取り締まりが行われるとは、考えづらく、実際には、何の効力もないと思っています。そんなルールなど、「そんなの関係ない!」とばかりに無視されることでしょう。

 テレビの報道などでも、道路に捨てられたマスクを問題視する報道が取り上げられていましたが、果たして、実際に街を歩いてみると、やはり、マスクが捨てられているのを度々、見かけます。

 フランス人が日本へ行くと、街中のゴミ箱が少ないのに驚くと言いますが、実際には、ゴミ箱の少ない日本の方が、街にゴミが少なく、清潔なのも事実です。

 先日、日本では、政治家が、欧米の国に対して、「オタクの国とは、民度が違うと言ってやるとみんな絶句する」という発言が炎上していましたが、彼の物の言い方や、そのことを公的な場所で発言することは、何かと物議を醸すのはわかりますが、「民度が違う」という、そのこと自体は、事実です。

 フランスの学校では、道徳教育というものもなく、道徳心やモラルというものの概念がとても薄いのです。

 何事にも罰金を課さなければ、徹底しないのは、今回のコロナウィルスの完全なロックダウン状態にして、不要の外出を取り締まり、罰金を課さなければ、国民を治められなかったことからも、明らかです。

 それは、日頃からの生活のあらゆるところで、見られることで、海外生活をしたことのある人には、何かと心当たりがあることだと思います。ルールを守るとか、清潔を保つとか、周囲の迷惑を考えるとか、郵便物がなくならないとか・・(挙げればキリがありませんが・・)日本では、あたりまえのことがあたりまえでないことに、海外に出たことがある人ならば、誰もが最初は、困惑した経験があると思います。

 それでも、普通の日常ならば、一つ一つの事柄を裏返しにして、自由な「文化」という言葉に置き換えることができる点もありますが、それは、自分の行動を正当化する詭弁にすぎません。

 しかし、今回のような有事に、それは、通用しません。

 もはや、フランスは、マスクのポイ捨てどころか、マスクをしない人が大多数で、皆がマスクをしているのは、取り締まりが厳重で、罰金を課される公共交通機関を利用する際くらいです。

 そして、何より怖いのは、人々が、もはや、警察など恐れていないことです。もともと、フランスでは、よほどのことをしない限り、刑務所行きなんてことはないのです。

 この時期のデモでさえ、警察が抑えることができません。今は、特にアメリカで起こったジョージ・フロイドの事件で、人種差別問題から、なぜか、問題は、警察の暴力問題に置き換えられつつあり、(フランスには、アメリカのような人種差別は存在しない、これは、警察の暴力問題であるとフランスのマスコミは人種差別問題を政府が認めない)、ますます、警察が国民を取り締まることに慎重になっています。

 小さい頃から、日本とフランスの両方を見て育っている娘は、「あたりまえのことがなぜできないのか?」「でも、あたりまえのことができないのがフランス」と二つの国を冷静に見ています。

<関連>
「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

「パリでは、日本ではあり得ないことがたくさん起こる・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_11.html



 

 




2020年6月8日月曜日

パンデミックによる留学・スタージュ・インターンシップのキャンセル




 6月のフランスは、年度末に当たる月で、娘の通っている学校などは、5月末には、授業は、終わってしまっていました。というのも、本当ならば、学校のプログラムにより、6月1日より、スタージュ(日本でいうインターンシップのようなもので、スタージュ先は、海外、国内ともに、個人個人で選択します)で、イギリスの大学の研究室に行くことになっており、それが、今回のコロナウィルスのパンデミックの影響で、イギリスには、行けなくなってしまったのです。

 彼女のクラスでは、フランス国内だけでなく、海外でのスタージュの予定をしていた人も多く、半分以上の人のスタージュの予定がキャンセルになってしまい、今も必死にスタージュ先を探し続けている人が大勢おり、7月の半ばまでにスタージュが決まらない場合は、それに変わるプログラムを学校側が用意して、夏のスタージュに行くはずの期間は、そのプログラムを消化することによって、一応、その期間をスタージュをしたと同じような換算をすることになっているそうです。

 そもそも、スタージュどころか、国内・海外共に、失業者に溢れているわけですから、普段、スタージュを受け入れている会社等にとっても、それどころではないのです。

 彼女の通っているエコールは理系のエンジニア養成のエコールで、エンジニアのライセンスを取得するには、企業や大学の研究室、研究機関等でのスタージュの経験がトータルで10ヶ月間、必要になっています。

 娘は、昨年、すでに、フランスの大手の製薬会社でのスタージュを2ヶ月間、経験したものの、彼女にとっても、残り8ヶ月間のスタージュの義務が残っているわけです。幸いにも、彼女の行くはずだったロンドンにある大学の研究室は、リモートワークを受け入れてくださり、彼女は、今のところ、パリの自宅で、ロンドンの大学の研究室の仕事をさせていただいており、3ヶ月間のスタージュは、どうやら消化できそうです。

 彼女のイギリスでのスタージュが決まったのは、昨年のクリスマス、その時点で、スタージュの始まる日と終わる日はわかっていたので、早めに取った方がユーロスターのチケットも安いから・・と早々に往復のチケットを予約していたのですが、それもキャンセルせざるを得なくなりました。当然、今回のようなキャンセルの場合は、全額返金だとばかり思っていたのに、クーポンでの返金という拍子抜け。別に予約していた宿泊施設は、全額返金されるとのことですが、未だ、返金されていません。

 とはいえ、何より、リモートワークとはいえ、スタージュが全くのキャンセルにならなくて、幸いでした。彼女のスタージュの予定は、6月から8月末までの3ヶ月間の予定なので、今後、パンデミックの状況が改善されれば、途中から、実際にロンドンへ行ける可能性もまだゼロではないのです。

 しかし、考えてみれば、この時期に留学などの予定にしていた人も大勢いるわけで、逆にフランスに留学に来ていた学生の多くも母国に帰国してしまっています。パンデミックにより、多くの人の人生が変わってしまいました。

 今年、就活をしている人にとっても、ここ何年間かで最も厳しい年になってしまったことでしょう。この不況がいつまで続くのかは、わかりませんが、娘も本来ならば、今の学校卒業、就職まで、あと一年です。今の不況が年単位で続くことは、もはや明らかで、彼女は、今の学校を卒業してから、さらに次の学校に進んで、就職の時期をずらした方が良いかもしれない・・と、複数の道を考えているようです。

 人生の岐路に、選択肢がある場合とない場合とがありますが、今は、多くの人が人生の岐路に立たされていることを、未だ、学生である娘を見ていても、しみじみと考えさせられます。思い描いていた人生とは、違う方向に軌道修正しなくてはならない状況でも、長い人生で見れば、それが、結果としては、良かったと思えるように、娘には、たくましく、この状況を乗り切って行って欲しいと思っています。


<関連>「学校選びは人生の岐路・娘の通った学校は、なかなか厳しい学校だった」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html

 

2020年6月7日日曜日

ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾


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  6月2日にパリで起こった、アメリカのジョージフロイドという黒人男性が警察の暴力によって死亡した事件から派生したデモは、未だ、続いていて、デモは禁止されているにも関わらず、今週末にも再び、パリ、マルセイユ、ボルドーなどを中心に、再び、多くの人が集まりました。

 パリでは、コンコルド広場から、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルス公園などに約5500人、マルセイユでは、約3500人、ボルドーでは、約2500人が集まり、人種差別と警察の暴力に反対して集まりました。

 もはや、このコロナウィルス感染のおさまりきっていない状態でのデモ、最初は、あまりにたくさんの人出を見たときには、開いた口が塞がらないほど仰天しましたが、もはや、1000人単位での集まりを、いつの間にか、前回のデモが20000人(パリだけで)という数字と比べたら、まだマシ・・と思うようになってきて、だんだんと、起こっている事態について、感覚が麻痺してきてしまっているような気がします。(週末のデモの人出は、フランス全土で23300人と発表されています)

 コロナウィルスによる被害についても、4月3日あたりから、一日の死者数(感染者数ではなく、死者数です)が1000人を超える異常な日が半月以上続き、一日の死者数が100人を切り始めた最近では、まるで緊迫感が違ってきてしまい、昨日(6月6日)の死者数が31人だったというニュースをみて、少しホッとしてしまっている自分に気付いてハッとさせられます。

 慣れというものは、怖いもので、考えてみれば、海外生活を最初に始めたロンドンで、(ずいぶん昔の話ですが・・)度々、起こるメトロなどでの爆弾騒ぎなども、最初は、戦々恐々としていたのに、周りがあまりにあっさりとしているのに驚いていましたが、次第に自分も驚かなくなってきて、今や、フランスでは、日常のようなデモや暴動のような騒ぎも、日常が戻ってきた・・ように感じるのですから、平和ボケならぬ、危機ボケ?の波に飲み込まれてしまいそうな自分に気付いて、時々、ハッとさせられます。

 とはいえ、今回は、目に見えぬ、得体の知れないコロナウィルスに、やはり気を緩ませるわけには、いきません。

 10人以上の集会が禁止とか、レストランは、店内の営業が禁止だったりして、営業がテラスだけに限られている中、テラスをかなり無理に拡張して、歩道や道路さえも通行止にまでして、なんとか営業を再開している人たち、横断歩道の脇に置かれたテラス席でも、意地でも(そんな無理矢理なテラスでも)カフェのテラスの場所を死守している人たちは、このデモの人出をどう感じているのでしょうか? この人出を回避せずに、レストランの営業に制限をかけられていることに、憤りを感じているに違いありません。

距離を取るために信号の先にテラス席を作っているビストロ


 確かに、人種差別は、フランスに根深く存在します。この問題に抗議の声をあげるのも理解はできます。しかし、今のタイミングは、いけない。フランスのマスコミも、このコロナの渦中のデモの是非ではなく、人種差別問題自体を取り上げています。多くの若者がこの問題に立ち上がって抗議をするということを讃える声も多く挙がっています。

 しかし、今はまだ、多くの人が感染を控えるために仕事もできずにいるのです。

 カフェでの和やかな時間を大切にするのも、デモなどで自己主張するのも、どちらもフランスの文化の一部で、通常ならば、どちらもある程度のバランスを保って、なんとか共存しているフランスですが、現在は、どうにもそのバランスが歪(いびつ)な状態です。

<関連>「レイシスト・差別的な言動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_56.html

 

2020年6月6日土曜日

ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトでの人気商品




 ロックダウン中に、この際とばかりに、家の中を片付けた人も少なくないと思います。類に漏れず、私も少々、家の不用品を片付け、もう、この際、いらないものは、処分しようと一時、ストップしていたフランス版、メルカリのようなサイトを一つ増やして、出品してきました。サイトによって、得意分野が違うので、二つのサイトにそれぞれ違うタイプのものを出品しています。

 日本のメルカリのサイトは、日本の緊急事態宣言の最中も取引が続いていて、手に入りにくくなっていたマスクや食料品の一部などを買い占めて、高値で売買するというようなことも起こっていたようですが、フランス版メルカリサイトでは、出品は、できるものの、ロックダウン中の取引は、一切、中止されていました。

 たとえ、商品?が売れても、郵送するために出かけたり、手渡しに行ったりすることも不可能でしたし、衛生的にも問題とされていたのだと思います。タダでさえ、外出できずにネットで買い物をする人が増えた状態に、追い討ちをかけるような配送業者への負担も考えられたのだと思います。ロックダウンと同時に、すぐに「取引停止」のお知らせが届きました。

 ロックダウンが解除されて、取引も再開されましたが、ここのところ、ロックダウン中に出品しておいたものが、少しずつ売れ始めて、少しだけですが、思わぬ、お小遣い稼ぎができています。

 買ったまま、全く袖を通していなかった洋服や、娘が子供の頃にほんの少ししか使わなかったゲーム類、やたらと可愛すぎる日本の文房具類や、プリンターが壊れて、違う機種に買い換えたために使えなくなった買い置きしてあったプリンターのインク、主人が買い集めた訳の分からない世界各国の民芸品のようなものなどなど、我が家の中には、いらないものが山ほどあるのです。

 何かを買い集めるということは、楽しいことでもありますが、後になってみると、なんで、こんなものを??と思うことも少なくありません。日本の実家を数年に渡り、片付けている身としては、今や、何かを集めるとか、そういったことが、いかに虚しいことかと感じてしまうのです。

 そういう私もフランスに来て以来、かなりの香水を集めており、気に入った香水を見つけては、買っていた時期があり、それは、いつの間にか、おそらく、私の一生に使い切れないほどになっていました。

 娘は、あまり香水は、好きではなく、彼女はいらないと言うし、整理してみれば、同じものがいくつもあったり、もう飽きてしまった香りのものも多く、思い切って、サイトに少しずつ載せてみたところが、さすがの香水好きのフランス人、他のものに比べて反応が違います。

 最初は、これまでロックダウンで買い物ができなかったために、とにかく買い物をしたい人がいるんだな・・ぐらいに思っていましたが、今週末は、フランスでは、母の日ということもあって、「母の日のプレゼントにしたいから、急いで送ってください」などと、メッセージがついていて、ここのところ、頻繁に郵便局通いです。

 母の日に香水を送る・・しかも、出来るだけ安い値段で探す(フランスの場合、値切り交渉も半端ないです)・・なんか、いかにもフランスな感じです。しかし、今さらながら、やっぱり、フランス人って香水、好きなんだなぁとつくづく思います。

 ところが、我が家の近くの郵便局の業務の一部を請け負ってくれていたお店がコロナの煽りを受けて、なんと今週末で閉店。なんとも、残念なことです。こんなところにもコロナウィルスが影を落としていることを、これから、色々な場面に遭遇しながら、実感していくのだと感じています。

<関連>
「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見るやたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_60.html

「香水を楽しむフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_87.html


 

2020年6月5日金曜日

ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ


いつもと同じの静かな待合室


 私には、もう20年近く、かかっている近所のかかりつけのお医者様がいて、家族揃って、同じお医者様にお世話になってきたので、娘も小さい時からお世話になっていて、娘の成長の過程も家族の歴史も、その間の病歴なども全て、承知していて下さるので、とても、頼りにしています。

 今の地域に引っ越してきたばかりの頃には、近所の他のお医者様にも行ってみたことがあるのですが、結局、小さい頃の娘の希望で(彼女がきれいだから・・という、とても安易な理由でしたが・・)、彼女のところに通うようになりました。

 しかし、娘の直感は、正しく、彼女は、いつも冷静で、的確で、ちょっと見たところは、いかにも育ちが良く、賢そうな、上流階級のフランス人という感じで、少し冷たい印象もありますが、予約時間には、きっちり時間を守って見てくれるし、これまで私たちの身に起こった、なかなかの深刻な状況の時でも、冷静に的確に対応してくれていたし、何と言っても、長い付き合いなので、気心が知れていて、良い関係を保っています。

 私は、数年前から、いくつかの薬を毎日、飲んでいて、定期的に彼女のところに通って、一応のチェックをしてもらい、3ヶ月分の処方箋を書いてもらっています。その際に、既往症とは、関係ない鎮痛剤や軽い安定剤から胃薬、腰痛に効く塗り薬なども、まとめて処方してもらえるように、家の常備薬のための薬のリストを自分で作って持って行って、処方箋に加えてもらっています。そうすることで、大抵の薬は、保険でカバーされるので、我が家は、滅多に薬屋さんでお金を払うことはありません。(パリ節約術です。)

 話は、それましたが、私は、今年の2月に日本に行く予定にしていたので、1月末に彼女のところに行って、いつものように薬を3ヶ月分、処方してもらっていました。

 そして、日本から帰ってきたのが、2月末、それから、あれよあれよという間にロックダウンになり、いつも飲んでいる薬が切れてしまいましたが、当時、コロナ以外では、到底、医者にはかかれない状況から、期限切れの処方箋で2ヶ月間は、薬局で、いつもの薬を出してもらえたので、彼女のところにも行くことはありませんでした。

 しかし、ロックダウンが解除されて、薬が今週末には、切れてしまうので、約5ヶ月ぶりで、彼女のところに行くことになりました。しかし、付き合いも長い彼女、近況を聞くような電話も迷惑だろうし、どうしているのだろう?と、ずっと思っていました。

 けれど、感染がおさまってきたとはいえ、やはり、医者に行くのは、怖い気持ちもあったので、人があまり重ならなそうな、朝一番の時間に予約を入れました。

 果たして、待合室で人と出会わすこともなく、物々しく、警戒のテープが貼られたりしていることもなく、いつもと同じの静かな待合室でした。診察室に入ると、すぐにアルコールジェルを使うように言われたことと、彼女がマスクとフェイスシード付きのメガネをしていること以外は、いつもと変わらぬ診察室でした。

 このあたりでも、たくさんの感染者が出て、ここにもたくさんのコロナウィルスの患者が来たし、ピーク時には、パリのサンルイ島の病院に応援に行っていたという彼女ですが、自分の診療所に戻った今は、これまで医者にかかれなかった人たちの予約でいっぱいのようで、私の診察中にかかってきた電話にも、「今日は、もう予約がいっぱいいっぱい!今日はもう、5分でさえ、時間は取れないの!急ぎでなければ、別の日にして!」と言って、予約を断っていました。

 実際に、コロナウィルスの患者さんとも、たくさん接し、病院での悲惨な状況にも立ち会ってきた彼女は、コロナウィルスの恐ろしさを目の当たりにして、「これから数年は、警戒を怠ってはいけない・・そもそも、中国が早い段階で国をシャットダウンしないから・・」と、いつもは冷静な彼女にしては、珍しく怒りを露わにしていました。

 しかし、診察が終わって、処方箋を書いてくれて、私が彼女の診療所を出るのを見送ってくれる時には、いつものエレガントな彼女に戻っていました。

 ロックダウンからこれまで、確かに医者にかかれなかった人がたくさんいて、今後、しばらくの間は、彼女は、コロナウィルスの患者同様、それ以外の患者さんの対応に追われることでしょう。コロナ以来、医療従事者に対面したのは、初めてのことでしたが、一瞬、彼女が見せた、怒りの表情が忘れられない一日でした。

 何はともあれ、彼女が無事でホッとしました。

<関連>「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_67.html

2020年6月4日木曜日

ロックダウン解除・パリのレストラン・カフェもテラス席で営業再開


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 パリのレストラン・カフェに日常の一部が戻ってきました。まだ、店内の営業は、認めたれていないため、店の外のテラス席のみの営業、しかし、実際にテラス席のある店舗は、全体の40%にしか過ぎす、急遽、パリ市役所に申請して、店舗の前の歩道のスペースや道路の駐車スペースなどの公共スペースの一部にテラス席を儲ける許可がおり、細い道路沿いなどは、通行止めになっている場所もあります。

 パリの街は、ロックダウン解除の第2ステージが始まる日の午前0時から、カフェのオープンを待ちわびていた人たちで、賑わいました。当日の夜は、テラス席に予約まで入る盛況ぶりで、予約をしていなかった人の行列ができたほどです。

 日本と違って、並ぶことが大嫌いで、とても苦手なフランス人も、この2ヶ月間のロックダウン生活で、スーパーマーケットなどにも、距離をとって並ばなければならなかったおかげで、ちゃんと列に並ぶという習慣がついたようです。並んでまで、楽しみたいレストランのテラスでのひと時、フランス人にとって、カフェ、テラスは、ほんとうに息をするように当たり前な日常の一部だったことを彼らの満面の笑みから垣間見た気がしました。

 ロックダウンになるという前夜、パリのカフェやバー、レストランは、年末のカウントダウンのように多くの若者が集まる騒ぎになりましたが、今回の解除第2ステージでのカフェ、レストランでの彼らは、若者だけではなく、年配の人も大勢いて、穏やかで、どこか、落ち着きを見せながらも、晴れやかな、日常を取り戻した嬉しさを隠しきれない表情が印象的でした。

 「バカンスでもない、特別なことでもない、カフェのテラスでコーヒーが飲める日常が戻ってきたことが何よりも嬉しい。」と何気ない日常の幸せを噛み締めているのでした。真の喜びというのは、ごくごく普通の日常を噛みしめることなのかもしれません。

 レストラン側も衛生面を考慮して、メニューは、これまで使用していた紙のメニューから、携帯でQRコードをかざすとメニューを読み込むことができるようになっていて、そのまま、携帯で、注文、支払いができるシステムを採用しているお店も多いようです。

 もともと、フランス人は、今回のコロナ対策は、関係なしに、テラス席が大好きです。特に、気候が良くなって、日も長くなった季節には、テラス席は、満席で、店内は、ガランとしている・・なんていうことがよくあるものです。

 私としては、小さなテーブルで、排気ガスにまみれ、人通りも多い落ち着かないテラスのスペースを好むフランス人が理解できないと思っていましたが、改めて、彼らが楽しそうにテラスでの食事やコーヒーを楽しんでいる姿を見ると、やっぱりこれがパリだよね!となんだか嬉しくなるのも不思議です。

 ロックダウン中の美しいパリの景色を何度も映像で見ましたが、やはり、レストランやカフェに人がいる様子は、街が生き返った感じです。

 レストランやカフェの営業のために、駐車スペースがなくなったり、道路が通行止めになったりして、苦情が出ても、おかしくはないのですが、彼らにとっては、むしろ、テラス席が拡大されることは、大歓迎なのかもしれません。

<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html
 

2020年6月3日水曜日

ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状

 
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 昨日は、午後から、やけにパトカーだか、救急車だかわからなかったものの、窓の外から聞こえてくるサイレンの音が途切れませんでした。コロナウィルスの感染拡大以来、ロックダウン中にも、救急車のサイレンは、頻繁に聞こえてきていて、また、誰かが搬送されているんだ・・と思いながら、感染の恐怖を家の中で感じていました。

 ここ数日は、それも少し、おさまって、サイレンの音がずいぶんと減って、感染の度合いもおさまってきたのだな・・と感じていた矢先でしたので、サイレンの音がまた、切れ目なく聞こえてくるのを、「また、感染爆発? まさかね・・」などと思っていました。

 ロックダウンが解除されたわけで、交通事故などもあり得るとは思いながらも、そのサイレンの音がいつまでも続くのには、何かが起こったのだ・・と思わざるを得ませんでした。案の定、事件は、起こっていました。

 ロックダウン解除の第2ステージ(さらなる解除段階)に突入したその日に、パリの裁判所前で、2016年7月19日に警察の逮捕の約2時間後に亡くなったという24歳の黒人男性アダマ・トラオレの死への抗議と正義を訴えるために、約2万人の人が集まり、大規模なデモ・抗議が起こったのです。4年前に起こった事件です。

 これは、明らかに、アメリカで起こったジョージフロイドの警察官による死亡事件に触発されており、彼らは、「アメリカで起こっていることは、フランスで起こっていることを反映している!」と訴えています。

 昼過ぎから始まったデモ・抗議行動は、夜になるにつれてエスカレートし、午後9時頃には、石が投げられ、アメリカの旗がポールに吊りあげられてデモ参加者によって焼かれ、ゴミ箱が焼かれ、パリ(17区)の路上のあちこちに、炎が上がりました。

 物々しいバリアを持った防護体制の警察や憲兵隊、消防が駆けつけ、数時間後には、沈静化しました。

 ロックダウンが解除されたとはいえ、パリは、まだレッドゾーンで、10人以上の集会は禁止されています。10人以上の集会の禁止など、どこ吹く風で、2万人とは、もう呆れ果てて言葉がありません。全く、禁止事項など、意に介していない人が、少なくとも2万人もいるのです。長い監禁生活のストレスもあると思いますが、禁止されているデモが2万人に膨れ上がるまで放置するということは、警察がまともに機能していないということです。

 ロックダウン解除がさらに進んで、フランスには、少しずつですが、日常が戻りつつあります。公園も解放され、レストランやカフェのテラスでは、ようやく取り戻した日常に満面の笑みを讃えて楽しいひと時を過ごす人で賑わいました。

 しかし、残念ながら、こうしたデモや暴動もフランスの日常のひとつなのです。
これで、パリにコロナウィルス感染の第2波が来なかったら、奇跡です。

<関連>「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html


2020年6月2日火曜日

コロナウィルスによるフランスの経済危機・賃金削減か?人員削減か?


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 パリのカルチェラタンは、学生街で知られる街ですが、多くの書店が並ぶ街でもあります。今回のコロナウィルスによるロックダウン、パンデミックの影響で、カルチェラタンの書店も一つ、また一つと閉店に追い込まれています。

 この界隈は、いわゆる普通の書店から、専門書を扱う書店、また、古本屋さんも数多く並んでいます。フランス人には、古い本を重用する習慣があり、学校の教科書なども年度の始まりに配られると全ての教科書にカバーをし、出来るだけきれいに使うことを心がけ、一年の終わりには、学校に返却することになっていて、紛失したり、破損したりした場合は、弁償させられます。(余談ですが、海外にいても、義務教育の期間は、無料で国民に新品の教科書を配布してくれる日本とは、エラい違いです)

 ですから、比較的、古本を使うことには、抵抗がなく、いらなくなった本を買い取ってもらったり、買いに行ったりすることが多いのです。我が家も、娘がプレパー(グランエコールの準備学校)に通っている頃は、カルチェラタンに学校に指定された教科書を探しに行ったり、いらなくなった本を買い取ってもらいに行ったりしました。

 今回、閉店したのは、考古学、古代史、建築を専門とする書店ですが、この先、次々と閉店する書店が続きそうです。

 また、ボルドー・トゥールーズ、マルセイユに3つの空港に拠点を置くアイルランド系の航空会社ライアンエアーは、コロナウィルスの機器により経営危機に陥り、フランス国内の従業員に対し、2020年7月より、5年間の給与の削減(5年後に、給与100%回復)、退職するかの二者択一を迫っています。パイロットの場合は、最大20%、客室乗務員(労働時間も年間2000時間から1600時間に削減)の場合は、最大10%の給与削減を提案しています。

 経営者側は、会社を崩壊させないための止むを得ない方策としています。

 給与の削減、労働時間の削減を受け入れて、5年間の減給に耐えて、少しでも安定した道を選ぶのか? それとも、この際、思い切って退職して、数年間、失業手当を受けながら、その間、スキルアップのための勉強や準備をして、新しい道を進むのか?(フランスの失業者への手当は、手厚いのです) 

 これは、ライアンエアーに限らず、多くの企業に起こり得ることで、おそらく、選択肢さえない場合も多いと思いますが、たくさんの人が、苦渋の選択を強いられることになります。

 これから先、同様の問題で、度々、摩擦が起こることは、明白です。ごくごく普通の当たり前だった生活が戻るには、なかなか時間がかかりそうです。

 先ほど、郵便物を送りに近所のtabac(タバ・タバコやロト、雑誌などを扱うとともに郵便局も併設するお店)が来週末に閉店するという貼り紙がしてありました。ヤレヤレ、便利だったのに、コロナウィルスの煽りを身近に感じる・・と思っていたら、その後、携帯に、メガネ屋さんから、閉店のお知らせの通知が入りました。当たり前の生活が戻る前に、もはや、立ち直れない状態になっているお店を続々と知るのが、ロックダウン解除の第2ステージの開始の日というのは、残酷な現実です。


<関連>「5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/11.html











2020年6月1日月曜日

「STOP COVID 」フランスの感染者追跡アプリは、国民に浸透するか?





 6月2日正午、ロックダウン解除、第2ステージ突入と同時に、フランスでは、各自のスマホに「STOP COVID」という感染者追跡アプリを無料でダウンロードできるサービスがスタートします。アプリは、非常に簡単にインストールできるようにできています。

 これは、自分を守り、他者を守り、感染の連鎖をすばやく止め、コロナウィルス流行の第2波を回避するための取り組みをサポートすることを目的としています。

 すでに、コロナウィルス感染拡大防止の一環として、韓国、中国、シンガポールは、あらゆる戦略に加えて、2月、3月からモバイルの連絡先追跡アプリケーションを展開していますが、フランスでも、このアプリに関しての取り組みがなされていないことを2ヶ月ほど前から問題視されてきました。

 原則として、STOP COVIDは、半径1メートル以内で15分以上、陽性の診断を受けた人の近くにいる事を75%〜80%を警告することが可能で、個人情報については、すべて隠された中で、個人の自由を犠牲にすることなく、できるだけ早く対応できるようになっています。

 例えば、メトロの誰かの隣に座っている人、スーパーマーケットで並んでいて、もし、近くにいた人が病気であった場合に、その危険を警告してくれます。警告を受けた人は、症状がなくても、できるだけ早く検査を受けて治療するか、ウイルスの伝染の連鎖を断ち切るために監禁することができます。

 この警告は、コロナウィルスのテストで陽性と判定された人が、まず、このアプリを利用することが大前提で、また、より多くの人がこれを利用しない限り、意味のないものになってしまいます。

 しかし、このアプリの利用は、あくまでも任意であり、強制的なものではありません。
ユーザーが自発的にスマホにアプリをダウンロードして、利用しない限り、意味がありません。これが、もし、5月11日の最初のロックダウン解除の段階で利用できるようになっていれば、その時点では、かなり、危機感を持った人も多く、多くの人がこのアプリを利用し、国民の間に浸透していったと思いますが、ロックダウン解除から一ヶ月近く経ち、すっかり、解放されたモードの現在に、このアプリのサービスがスタートしたとしても、利用する人が一体、どれだけいるかは、甚だ疑問です。

 今の解放モードのフランスでは、マスクでさえ、義務化された場所以外では、しなくなっている人が大部分で、人が集まり、集い、大規模なデモまで、起こっている状況です。

 そんな状況の中、アプリを使って、人の動きに注意を払うとは、考えにくいのです。

 自由と権利を主張するフランス人には、強制を強いるか、罰則でも与えない限り、行動制限や、統率を取ることは、甚だ困難なことで、一度、解放してしまった今、感染の第二波を防ぐために・・などと言っても、これまでの監禁生活のストレスも合間って、再び、第二波が本当に起こってしまうまで、残念ながら、統率は、不可能と見ています。

 3月のロックダウン開始についても、国民のショックを考えて、段階的に・・などという方策をとったがために、ロックダウンのタイミングが遅れ、大惨事となってしまいました。今回の「STOP COVID」のアプリのサービススタートにしても、最初のロックダウン解除のタイミングにすべきでした。

 まだ、サービスがスタートする前から、こんな事を言うのもなんですが、せっかくの試みも、タイミングが悪ければ、意味がありません。フランスでは、「国民の良識に委ねる・・」などと言う絵空事は、通用しません。

<関連>「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html