2020年6月11日木曜日

ロックダウンの我が家の収穫 ベランダでの野菜の栽培のコツ

昨年、咲いたきゅうりの花


 我が家は、毎年、春から夏にかけて、日本の野菜をベランダで育てるのが、もう、ここ何年もの毎年の恒例行事のようになっています。初めは、アフリカに住むことになった時、日本のものがどの程度、手に入るかもわからずに、全く知らない異国の地に行く際に、「手に入らないならば、自分で作ればいいじゃない!」と言って、母が持たせてくれた枝豆のタネをアフリカのベランダの一角で育て始めたのが最初でした。

 フランスに引っ越してからも、当初は、パリ郊外の街に住んでいたために、通勤にも一時間近くかかっていましたし、娘もまだ小さくて、通勤と送り迎えと娘の教育とで、いっぱいいっぱいで、とても家庭菜園などをしている時間はありませんでした。

 少しずつ思い出したように、ベランダ菜園を始めたのは、今のアパートに引っ越してきてからでした。日本に行くたびに、野菜のタネを手に入れて、最初から変わらずに植え続けているのは、紫蘇と三つ葉や小ねぎ、ニラなどの薬味類が中心で、これまでに、ナスやシシトウなど、色々なものに挑戦してきました。

 しかし、結局のところ、一番、育てていて、楽しいのは、夏のきゅうりで、育ち始めると、成長が著しく、ジャックと豆の木のようにグングン大きくなって、夏の間の日除けになるくらいベランダをいっぱいに緑が覆ってくれるので、毎年、5月に入った頃に、きゅうりの種まきを始めるのです。

 基本、フランスでは、手に入りにくいものを育てるのが、我が家の鉄則で、フランスにもきゅうりは売っていますが、日本のようにカリッとした歯ざわりの良いきゅうりは、簡単には、手に入らないのです。フランスのきゅうりは、やたらと大きくて、日本のきゅうりのようなカリッとした食感がないのですが、フランス人の主人に言わせれば、日本のきゅうりは、水分が足りない・・などと言います。なるほど、そういう解釈もあるのね・・と思わせられますが、まあ、人の好みはそれぞれです。

 今年は、思わぬことで、3月中旬からロックダウン状態になり、初めは、恐怖と戸惑いで、気持ちの余裕もありませんでしたが、4月に入った頃から、やたらと気候が良くなり、外出せずともこの太陽を使えるではないか!?と、いつもより早くにベランダ菜園を開始したのです。

 種まきは、焦って早すぎる時期に植えると失敗するので、きゅうりを植えるには、まだ早く、手持ちの野菜のタネから、フランスの気候でも早めに植えても大丈夫そうな、水菜、春菊、小かぶ、小松菜などを植え、少ししてから、スナックえんどうを植えました。

 外出ができない中で、思いのほか、天気だけはやたらと良く、野菜は、グングン育って行きました。毎日、たくさんの人が亡くなるニュースばかりを聞く毎日で、狭いベランダで土をほぐしながら、野菜が育ってくれるのを毎日、見ることが、私の気持ちを穏やかにしてくれていました。毎朝、毎晩、野菜の苗に水をやる規則正しい生活もロックダウン中の生活の習慣作りには、とても有効でした。

 いつもは、5月の連休が過ぎた頃に始めるきゅうりの種まきの前に、我が家のベランダは、すでに緑で埋められていました。しかし、毎年のハイライトであるきゅうり栽培を諦めるわけには行かず、今は、これまでの水菜や春菊のスペースは縮小し、きゅうりのスペースを拡大しています。

 それでも、今年は、ついつい色々なタネが育つのが嬉しくて、また、いつもより、たっぷり時間があったので、調子に乗って、枝豆なども育て始めたため、ただでさえ狭い我が家のベランダ(畳一畳半くらい?)には、場所がなくなり、家にあった板を組み合わせて、棚がわりにしたり、ついには、プランターや植木鉢まで足りなくなり、いらなくなったお鍋や花瓶にまでタネを撒いてみました。今のところは、お鍋や花瓶に植えられた枝豆もちゃんと芽を出して、育っています。

 夏、暑くなり、きゅうりも大きくなり始めると、鳩が日除けにやってきて、巣を作ろうとし始めるのが恐怖ですが、風鈴を吊るしたり、アルミホイルを細く切ってぶら下げたり、鳩よけ対策もできるようになりました。

 幸いにも、我が家のベランダは、陽当たりが良く、毎年250本くらいのきゅうりが収穫できます。

 きゅうりのシーズンが終わると、長くツルを撒いたきゅうりの茎や葉っぱが枯れると、結構なゴミになりますが、これも細かくして、夏の間、きゅうりを育ててくれた土をほぐしたものと一緒に大きなバケツの中に少し入れ、家庭の野菜のくずや揚げ物に使った油などを少しずつ入れては、夏の間に使った土をかぶせて、来年用の土を作っていきます。

 翌年、新しい土も買い足しますが、一年の間にすっかり新しい土になった昨年からの土も一緒に使います。昨年からの土に少し肥料を混ぜて、新しい土と混ぜます。私は、野菜の栽培は素人なので、全くの自己流ですが、これで、何年もたくさんの野菜を育てています。

 野菜が育っていくにつれて、土が少しずつ沈んでいくので、そこには、土を足してあげます。あとは、毎日、朝晩、欠かさず水をやるくらいで、太陽と土と水で野菜は育ってくれます。太陽と土と水のチカラは、本当に偉大です。

 ロックダウンのような、特別な環境で、買い物にもなかなか行けない中で、自分で黙々と野菜を育てるのは、人間が自分で食べるものを自分で作る、余計なものを削ぎ落としたシンプルな生活の一部ができていることに、妙な落ち着きと、静かな気持ちと、満足感があるのでした。

 ロックダウンが解除になっても、これから夏にかけて、ますます青々としてくるベランダを楽しみたいと思っています。

 ベランダやお庭のある方、野菜を育てるのは、楽しいですよ!


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