16日のパリでの医療介護者のデモは、事前にパリ警察に届けが出ており、午後2時半から18時に行われる予定で、警察の許可を得た正当なものであったはずでした。
コロナウィルス騒動以前より、長期にわたり、医療介護者、国立病院関係者による不満は、積み重なっており、昨年から、時々、ストライキやデモなどが起こっていました。そこへ、コロナウィルスの感染爆発で病院はフル回転で、危険を侵しての仕事の連日に医療介護者の怒りも相当なレベルに達しており、ロックダウン中に病院視察に立ち寄ったマクロン大統領と医療介護者との間に、衝突が起こり、激しい言い合いになったこともありました。
今回のデモでは、医療介護者は、医療のための十分な医療物資や、人出、労働条件、昇給などを掲げて、デモは、午後2時半に、パリ厚生省のビル近くの出発地からの、スタートの段階では、順調に、開始されたのです。医療介護者のデモは、フランス全土の主要都市で、同時に進行して行われたもので、フランスの国立病院の組合により統括された、正当なデモであるはずでした。
ところが、この医療介護者のデモの中に白衣などを着て、医療介護者に変装していたデモを暴徒化する集団が紛れ込んでいたのです。厚生省を出発して、デモ隊の行列がアンヴァリッドに到着した時、紛れ込んでいた偽医療介護者や黒い服に身を纏った一団に、本来のデモは中断せざるを得ない状態に陥りました。
彼らは、大声で叫びながら、駐車してあった車を道の中央に運び、転がし、車を燃やし、弾丸やバクチク、石を投げつけ、街には黒い煙が上がり、通りかかったバスの窓ガラスを割り、運転手に石を投げつけ、通りかかった人に襲いかかりました。駆けつけた警察も、最初は、後ずさりする様子にどうなることかと思いましたが、催涙ガスを用いて応戦し、数時間後には、沈静化しました。
暴徒化した人たちにひっくり返され、道の中央に運ばれる車 |
最初にこのニュースを聞いた時は、医療介護者のデモがなぜ、暴力化するのか、意味がわかりませんでした。ところが、このデモを暴力化させたのは、ここのところ、フランスで、ウルトラジョンヌ(Ultras-jaunes・gilets-jaunes(黄色いベスト運動のデモ(ジレジョンヌの際に暴力行為に及ぶ人々)やブラック・ブロック(Black Block)と呼ばれる他人のデモに便乗して、暴力行為におよび、社会を荒らすグループの存在でした。
彼らは、デモの情報を得ると、集団でデモに紛れ込み、暴力行為におよび、街を破壊し、暴れます。今回のパリでのデモも、「暴徒化したのは、私たちではない!私たちは、彼らによって、デモの機会を奪われてしまったのだ!」と医療介護者は、嘆いています。
これだけ大勢の騒動にも関わらず、逮捕者は、16名のみというのにも納得が行きません。
アンヴァリッドといえば、ロックダウン直後にパリ市民がアンヴァリッド前の広場にピクニックに訪れ、人が密集しすぎだと問題になった場所です。それも、そんなに前の話ではありません。あの時も、思わず眉をしかめた私でしたが、今の状況を考えれば、全く微笑ましい風景でした。
フランスは、いつからこんな物騒な国になってしまったのか? 毎日のように聞こえてくるデモや集団による街への襲撃に、言葉を失います。
北京では、コロナウィルス感染の第2波が来た模様・・などというニュースも聞こえてきますが、毎日のように、フランスのどこかで、数万人単位のデモのニュースを見ていると、フランスだけが無事なわけがない、やはり、再びロックダウンになる前に、色々、用事は、済ませておこう・・と思うのでした。
<関連>
「マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_16.html
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