2020年5月16日土曜日

マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決


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 久しぶりにマクロン大統領のマスク姿を見たと思ったら、金曜日は、パリ13区にある l'hôpital de la Pitié-Salpêtrière (ピティエサルペトリエール病院)を訪問していました。ピティエサルペトリエールは、パリにある国立の、大学(医学部)、研究施設等も併設した大きな病院です。

 この病院視察の最中に、マクロン大統領と病院の医療従事者との間で、まさかの緊迫した衝突が起こりました。それは、二人の看護師との会話から始まりました。

 最初は、看護師から病院の労働条件と、コロナウィルスの危機の真っ只中にある病院の医療物資についての質問から始まりました。「政府が公言したコロナウィルスの第一線で働いている医療従事者に対するボーナス1500ユーロも未だ支払われておらず、スタッフ不足、病床不足、医療物資不足のために、たくさんの救える命が失われた! 医療物資も足りない!私たちが2011年で使用期限の切れたマスクを使用しなければならないのは、なぜですか!?」 話しているうちに、看護師たちも、エスカレートし始め、マスクをしているとはいえ、なかなかなテンションでの言い争いになりました。

 そもそも、フランスの病院では、その労働条件の悪さ等を訴えて、昨年から、度々、あちこちの病院で、ストライキが起こっていたり、退職者が続出したりしていたところが、コロナウィルスの騒ぎで、それを訴える機会を失っていたのです。

 看護師たちは、「私たちが欲しいのは、メダルではない!(政府は、革命記念日に、コロナウィルスと戦ってくれた人を労うメダルの授与したいと発表しています)、実際の労働条件と報酬の改善だ!これまで、あなたが何かを公言するたびに、私たちへの負担は、増すばかり!私たちは、絶望的な状態なのです。もはや、私たちは、あなたを信用していない!」最初は、少人数で始まった口論が、大人数の声になっていきました。

 マクロン大統領は、冷静を保とうと努めていましたが、語気は、荒くなり、「私は貴方がたが持っていたすべての不満、動きを私は見ています。仰っていることについては、物事が十分に速く進んでいないこと、そして私たちがそれに応答しなかったことは、わかっています。ボーナスについては、期日を約束したことがないのでがっかりしたとを言わないでください。」と言い返しました。(約束したんじゃなかったのかよ???もう2花月だろ!?と思いましたが・・)

 ロックダウン解除後の病院視察がとんだ騒ぎを引き起こしてしまいましたが、それでも、マクロン大統領は、余裕を装ってか、帰りの車の中からは、笑顔で手を振っていました。

 この騒動に関して、パリのポンピドゥ病院の救急責任者も、「フランスは、もっと謙虚にフランスの医療体制の現実を見るべきです。何でも、フランスが最高だ!と思うのは、大きな間違いで、今や、フランスは、多くの他の国から学ばなければならない。それは、被害者の数が物語っているではないか?」と語っています。

 愛国心が強く、何でもフランスが一番だと思っているプライドの高いフランスも、コロナウィルスの危機に直面して、現実を見ないわけにはいかない局面に立たされています。



<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html


 


 


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