緊張と不安と、ほんの少しの喜びと共に、フランスは、55日間のロックダウンの解除の初日を迎えました。心配された公共交通機関での混雑は、メトロ13号線や郊外線の一部で、一時、人と人との間隔を取れないほどの混雑に見舞われましたが、想像以上に多くの人が、リモートワークに留まっていることや、自転車やトロチネット、車を利用し、公共交通機関を避けたことで、とりあえず、初日は、大きな問題は、起こりませんでした。
我が家の近くのVelib(パリの貸自転車)置き場には、先週末には、自転車が満杯に用意されていましたが、気がつけば、ガラガラ・・多くの人が、公共交通機関を利用する代わりに自転車を利用していることがわかります。
会社によっては、自転車やトロチネット、車で通勤する人には、年間400ユーロの補助を出す会社もあると言います。
私は、郵便局に用事があったので、近所のコマーシャルセンターに行ってきました。今となっては、外出証明書がいらない外出は、なんか、忘れ物をしているような気さえしてしまう自分に驚きました。
コマーシャルセンターの入り口には、アルコールジェルが新たに設置されていました。
コマーシャルセンター入り口のアルコールジェル |
薬局とスーパーマーケット以外は、全てシャッターが下りている光景を見慣れてしまっていた私には、入ってすぐの美容院が開店して、すでにお客さんも入っている状態に、なんとなく、ニッコリしましたが、同時にいつもとは、明らかに様子が違い、ドアは閉まり、マスク着用と、完全予約制と書かれた張り紙に、今までと違う世界になったことを思わずには、要られませんでした。
ドアを閉じ、張り紙された美容院 |
しかし、中に進んでいくと、Mariono(マリオノ)やKIKOなどの化粧品屋さん、いくつかの洋服屋さん、DARTY(電化製品のお店)などがオープンしていて、不安ではあったロックダウンの解除も、なんだか、とても、感慨深くて、急に一人で、うるうるしてしまいました。
やはり、まだまだ、怖い、危険だ・・と思いながらも、見慣れていた日常生活の一部が戻ってきたことが、想像以上に嬉しかったのです。どこのお店の入り口にもアルコールジェルが置かれ、お客さんが、すれ違うことがないように、店内を一方通行で移動する誘導のテープが床に貼られ、お店の入り口には、人がいっぱいになった時のための店外で並ぶための配置のテープまでが貼られていました。
床に貼られた人と人との間隔の注意喚起のテープ |
そんな、細心の注意を払って、通勤したり、開店したりしている人々がいる一方、パリ・リパブリック広場では、黄色いベストの団体が暴走族のようにバイクで現れたり、(警察がすぐに現れて解散しましたが・・)夕刻になると、サンマルタン運河やセーヌ川岸には、大勢の若者が5〜6名の友人同士で、ワインやビールを持ち寄り、祝杯を上げ始め、結果的には、かなりの人数になり、これまた、警察が出動し、解散させられる事態が起きました。
サンマルタン運河の騒ぎは、あっという間に広まり、また、あっという間(数時間後)に、パリは、翌日(12日)からのサンマルタン、セーヌ川岸での飲酒を禁止する通達を出しました。このパリの対応の早さは、凄いです。
55日間のロックダウンの間、ブローニュの森やヴァンセンヌの森でのジョギングが禁止になったり、19区での路上でのパーティー状態に警察が出動したりしたこともありましたが、ロックダウンが解除になって、外出許可証なしに、友達と会ったり、話したり、飲んだり、食べたりしたいのも、気持ちは痛いほどわかるのです。
人と話すことが好きで、人が集まって食事をするのが大好きなフランス人がこれまで2ヶ月近くもおとなしくしてきたのです。ロックダウン生活から解放されて、友達とひと息つきたいのもわかります。
でも、パリは、未だ、レッドゾーンで危険な状態で、そんなことができる状態ではないのです。それでも、彼らは、もしかしたら、またロックダウンすることを予想して、ほんの少しの間だけでも、辛かった時間を忘れて、楽しいひと時を過ごしたいという刹那的な思いでいるのかもしれません。
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