2020年5月10日日曜日

コロナウィルス・ロックダウン中のインターネットのない世界




 ロックダウンから、50日ほど経って、突然、インターネットが使えなくなりました。
 
 ロックダウンで、外出できなくなっても、ネットが通じるおかげで、情報は、入るし、周りの人とも繋がることができたので、インターネットがある時代で、本当に良かった・・と思っていたら、突然、サーバーがダウンしてしまいました。

 ここのところ、ネットが遅くて、利用者が多いのだなぁと思っていたのですが、まさかのダウンとは・・。

 慌てて、サーバー会社に電話すると、現在、対応しきれないので、しばらくお待ちくださいとのこと。こんな時にもさすがのフランス・・ちっとも、対応を急いではくれません。外に出たところで、サーバー会社のお店もやっていないので、仕方なく、修復可能になるまで、インターネットのない生活を送ることになりました。

 インターネットのない生活は、何年ぶりだったでしょうか? 長いこと、ネットに頼った生活をしてきた私ではありますが、考えてみれば、私は、デジタル世代ではなく、人生の半分以上は、自宅では、ネットを使わない生活をしてきたのです。

 すっかりネットに頼る生活に浸かって慣れきって、習慣になってしまって、わからないことがあれば、ネットで検索して調べ、テレビを見ることよりも、YouTubeを見ることの方が多くなっていた生活(今は、非常時でもあるので、テレビでニュースを見るようにしていますが、普段は、ほとんどテレビは、見ません。)、そのYouTubeで、運動不足解消のためにやっていたダンスやヨガなどもできなくなってしまいました。

 毎日、書いていたブログも出せなくなり、一日のルーティーンも崩れそうになってしまいました。自宅の中での狭い生活の中でも、一日のスケジュールを決め、規則正しく生活を送ることで、何とか、自分を保ってきたのです。

 しかし、無理なものを恨んで、イライラしても、始まりません。

 ネットは、あれば、あったで、やたらと使ってしまうので、ネットのない世界を味わってみるのも良いかと腹を据えることにしました。

 実際に、なくなってみると、いつも、どれだけネットに費やしている時間が多いかと思わされるほど、最初は、なんとなく、手持ち無沙汰な感じもありましたが、慣れてくれば、ニュートラルな自分に戻れるような気さえしてきます。

 しかし、一方、自分で色々な情報を収集できないことは、自分での判断が下しづらいことなのだということも痛感しました。

 でも、以前は、こんな風に時間を過ごしていたんだな・・と、ネットのなかった、以前の生活を少しずつ思い出していきました。電気や水道が止まってしまったら、それこそ命に関わる大変なことですが、溢れかえる情報から絶たれた状況も、時には、あっても良いような気さえしてきます。

 考えてみれば、私にとっては、アフリカにいた頃の生活は、今と少し似ているところがありました。あの頃、家には、ネットは通じておらず、電話とて、国際電話などは、そうそうできるものでもなく、外出とて、そう気安くできる状況でもありませんでした。

 大学へ通ったりもしていましたが、それ以外は、家で、ひたすら勉強し、持って行った本を読み、日本語が聞きたくなれば、主人が持っていた日本語学習用のNHKのビデオ(その時は、それしかなかったので・・)などを何度となく、見ていました。

 アパートには、住民共有のプールもありましたが、マラリアの感染が怖くて、早朝か、夜、日が落ちてからしか行けないので、結局は、そんなにプールには、行けませんでした。マラリアの感染に関しては、街中は、普通に生活していれば、問題はありませんでしたが、ラグーンの近くや、貧窮地帯へ行く時などは、注意が必要でした。

 実際に、主人は、仕事関係の視察で、ラグーンの近くにある工場などに出かける機会もあり、何度かマラリアに感染していました。高熱を出して苦しみ、家にお医者様が来てくれたりしていましたが、その時に主人が飲んでいたのが、今、フランスでは、コロナウィルスの治療に希望をもたらしているクロロキンです。

 マラリアは、蚊に刺されることで感染するので、コロナウィルスよりは、わかりやすい病気なうえ、人から感染する病気でもなかったので、その点は、少し違いますが、外に出れば、病気に感染する危険があり、家の中は、毎日、ジャベルで消毒していましたし、感染を恐れるという意味で、今と少し似ているような気がするのかもしれません。

 アフリカに行く際にも、黄熱病の予防注射が義務付けられていて、私などは、その予防注射をしただけで、あまりにだるくて、体調が悪くなり、もう二度とごめんだと思ったものです。

 そういえば、私のベランダでの家庭菜園も、アフリカが初めてで、あの頃は、まだ、初心者で、一生懸命に育てた、わずかばかりの枝豆を、あっという間に一瞬で食べてしまったことも覚えています。

 今も静かな生活の中で、狭いベランダで、あれやこれやと野菜を育てる生活です。アフリカでは、日本語学習用のビデオを見たりしていましたが、今は、日本のドラマや映画などを録画してもらったDVDのストックがたくさんあるので、そんな昔懐かしいドラマを見たりしながら、あの頃(アフリカにいた頃)よりは、快適に家で過ごせるようになったと、ネットのない世界もたまには、いいかなと思い始めていました。

 そして、2日経って、朝、目覚めたら、ネットが繋がっていました。到底、しばらくは無理・・と居直っていただけに、肩透かしを食ったような・・嬉しいけど、ちょっと残念な気さえする妙な気分でした。


 




















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