ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。
もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。
マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m の距離を取れ!」と、怒鳴り散らす警官たち。
きっと、叫んでいる警官たちも、まだ、今ひとつ、理解していなかったのでしょう。マスクもせずに、人々の前で大声で怒鳴り散らしていました。
次第に、フランス人も(人との距離をとって)並ぶということをするようになります。
しかし、時すでに遅く、医療崩壊を起こして、病院内、ICUで奔走する医療従事者の様子。増加し続ける死者。3月31日の夜から、4月1日にかけて、救急車で運ばれてきた患者が病院に入れない状態になったと証言するパリの医療統括責任者。
それから始まったドイツ・ルクセンブルクなどへのたくさんの機械やスタッフが同伴してのヘリコプターでの重症患者の搬送、TGVでの国内の他地域への搬送。
16歳で亡くなった少女をはじめ、すでにテレビで報道された犠牲者の面々。家に閉じ込められた人々の生活の様子。家族との面会ができずに、個室に閉じ込められた高齢者施設の老人が感情を失っていく様子。
空っぽになった世界中の街、人のいなくなった街に現れ始めた動物、大気汚染の解消された美しい街。
これらの映像の記録は、きっと、後世までも残されて、語り続けられる貴重な映像となるでしょう。そして、今を生き続ける人のためにも、この現実を受けとめ、色々なことを感じて、深く考えるテキストとなるでしょう。
私たちが、これまで、あたりまえのように送っていた日常生活の中で、何が大切なことだったのか、否応なしに考えさせられます。私は、ロックダウンの生活を、残りの私の人生をどうやって生きていくかを考える機会だと思っています。
リモートワークをしてみて、無駄だと思われていた通勤の時間が、気持ちの切り替えには、必要な時間だったり、UberEatsなどで、宅配をしてみて、外食というものは、単に美味しいものを食べるというだけではなかったこと・・そして、人を避けなければならず、人に近寄れないことが、どんなに不自然で、人をギスギスさせることだったのか?
それでも、パリでは、40年ぶりの大気汚染が解消されたと聞かされると、これは、人間が痛めつけた地球を救うためのコロナウィルスという荒療治だったのかもしれないと思ったりもするのです。
まだまだ、この危機は、当分、収まりそうもありませんが、このルポルタージュを見て、映像の記録というものは、大切なものだな・・と思った次第です。
このルポルタージュは、全編フランス語なので、わかりづらいところもあるかもしれませんが、映像ゆえ、言語がわからない方にも、ある程度、伝わると思います。
https://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/ces-55-jours-qui-ont-change-la-france-revoir-le-grand-reportage-de-bfmtv-1244010.html
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