2020年5月25日月曜日

コロナウィルスの第一線に駆り出されたインターンシップの医学生のトラウマ・PTSD

  
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 今回のコロナウィルスの感染爆発により、フランスでは、医療崩壊が起こり、多くの地域の病院では、満床状態になり、病院のベッドだけでなく、医療機器、医薬品、医者、看護師も足りなくなる非常事態が起こりました。

 次々に運ばれてくるコロナウィルス感染患者が病院の廊下にまで溢れ、少しでも余裕のある地域に、TGVや軍用ヘリコプターなどで、患者を搬送したり、足りない呼吸器の補充に動物病院から呼吸器を回収して使用したり、潜水用のマスクを改良して使ったりしていた時期もありました。

 当然、医療に関わる人員も不足し、すでに引退している元医療従事者に呼びかけたり、医学部や看護学部の学生やインターンも多く動員されました。引退している元医療従事者でさえ、そのほとんどは、こレほどの危機的状況に立ち会ったことはないわけで、ましてや、まだ経験のない学生たちにとっては、いきなり、最初の壊滅的な第一線の現場での体験が衝撃的でないはずは、ありません。

 フランスで一番悲惨な状況であった3月末から4月の初めにかけての期間から、一ヶ月以上が経った現在は、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)以外は、病院も満床状態からは、回復していますが、少し落ち着き始めた今、いきなり第一線に駆り出されたインターンの学生の3人に1人が心的外傷後ストレス・トラウマの症状を訴えています。

 Intersyndicale Nationale des internees(Isni)が金曜日に発表した調査によると、回答に応じたインターンの学生の47.1%が5月中旬に不安症状を、29.8 %はPTSDの症状を示し、18.4%は抑うつ症状を訴えています。

 医学を志し、勉強中だった学生たちが、突然、コロナウィルスでの危機的状況の中で、目に見えないけれど、強力な威力を持った未知のウィルスと戦う第一線の戦士となり、目の前で、たくさんの人が苦しみ、亡くなっていく場面に遭遇し、足りないベッド、足りない呼吸器、足りない医薬品の現場に時には、命の選択を余儀なくされていた場面もあったことでしょう。

 「悪夢」「怒り」「悲しみ」「恐怖」が連続した日々は、学生たちに、その後の不安症状、トラウマ、PTSDの傷を残したとしても、なんら不思議は、ありません。日常でさえ、医師になって、患者の死に遭遇することは、敗北感に苦しみ、辛いことに違いありませんが、それが、いきなり毎日毎日、得体の知れないウィルスのために、大勢の人が苦しみ、亡くなっていく現場は、彼ら自身をも、精神的に追いつめ、傷つけてしまったに違いありません。

 この学生たちのストレス症状は、非常に重いため、「悪夢、対処できない、それについて話すことができない。イライラ、怒り、不安、悲しみ・・」に苦しみ続け、この症状は、現場に駆り出された学生の間では、一般的な症状として、確認されています。

 フランスは、医療崩壊を起こした結果、将来の医療従事者に深い傷を残してしまっているのです。

<関連>「コロナウィルスによる命がけという体験」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_2.html

 












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